一冊の本を読んでこれほど驚きを得たのは久しぶりのことです。古き良き昭和30年代の想い出の影に、大手ではない中小炭坑の抗夫達の虐げられた悲惨な生活ぶりをルポしたこの本は、読者投票で復刻されたわけがよくわかります。こんなにも雇用者に圧政を受けても行くところが無く、家族揃って星が見える天井と底の抜ける畳の上で3日間飲まず食わずに横たわっているなどという光景は、ほんの50年前の日本とは思えません。大手炭坑は労働組合によって抗夫は守られますが、中小炭坑は暴力団の経営者によって戦前から残る(いや戦前以下の)搾取を受けます。でも働けるだけよしということで、給料遅配(遅配ではなく結局はただ働き)にも関わらず黙々と働きますが、その姿は是非この本で読んでもらいたいものです。
「追われゆく抗夫たち」上野英信 岩波新書
「追われゆく抗夫たち」上野英信 岩波新書
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