吉村昭のエッセイ集の中に、昭和19年に広島沖で沈没した伊号33潜水艦の話があります。9年後に引き上げられたのですが、無酸素低温であったため乗組員の遺体は腐敗していなかったそうです。艦内の写真がいっぱい撮られた中に、一人の19歳の水長のものがあったそうです。遺体の場所には浸水はなく、ただ縊死していたのだそうです。9年間のあいだに体が伸びてしまい、脚が床に着いていたとか。当時の年齢が著者と2歳違いなので、とても思い入れがあることだったという話です。潜水艦というのは絶えず沈没の恐怖と戦っているので、浮上できないと知ったときの気の持ちようはいかばかりでしょう。現代でも潜水艦事故はたまに起きますが、艦内空間のことは想像もできませんね。
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