活字日記

毎日読んだ活字系(雑誌、本、新聞、冊子)を可能な限りレポートします。

【12月18日】

2023-12-18 | 文庫

病院坂の首縊りの家を読了。上巻は昭和28年の事件、下巻は昭和48年の事件です。昭和48年の事件は新たな殺人事件も起きますが、その解明とトータルのこの事件の解明もなされます。昭和28年の事件は時効となっていましたが、昭和28年のことを伏線として48年の事件が進むことになります。
横溝正史は戦後の推理小説ブームの先頭を走っていましたが、松本清張など社会派ミステリーの台頭によって、スランプになり昭和30年台後半は作品を出していません。ただ、映画は作られていて、なんと初代の金田一耕助は時代劇俳優の片岡千恵蔵だったとか。イメージできませんねえ。何人もの俳優が勤めましたが、市川崑監督と石坂浩二のコンビのものが大ヒット、角川書店とのタイアップもあり、その後この作品と悪霊島が書かれました。金田一耕助はこの作品で探偵を引退、財産をすべて処分して(施設などに送った)アメリカに渡り、消息不明になります。金田一はスランプで作品を書かなかった成城の先生(横溝正史のことですね)のために事件ファイルを渡してくれたと最後に書かれているのも面白いです。図書館で見つかりにくくなった横溝正史の文庫は、廃版もあってKindle版でしか読めないものも多いようです。

「病院坂の首縊りの家」横溝正史 角川文庫

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