英国人写真家の見た明治日本ですが、副題がこの世の楽園・日本というもので、著者はこよなく日本を気に入って愛した英国人写真家でした。時は1900年代初頭で日露戦争直前の頃です。写真機もこの頃にはだいぶ進化していて、この本に載っている日本を写した写真もかなり鮮明です。浅間山を登った話では、もう信越線が軽井沢まで通っていて、碓井峠越えもアプト式の鉄道で行けていました(ただ電化されていなくて蒸気機関車でした)。その浅間山登山は信じられないことに、噴火の最中の登山でした。現代なら登山禁止、立ち入り禁止となる状況ですが、噴火している火口間際まで行って覗いて(写真も撮って)、その時噴火して頭上から灰や石が落ちてくる、さらには火山性ガスにまかれて窒息しそうになるといった状況での登山を、別に危険とも思わずに敢行したのです(生きて下山できたのは風向きのせいでした)。ジョンブル魂というのはこういうものでしょうか。阿蘇山登山では火口近くの火山性ガスで写真乾板をやられて、国に帰った時に現像してそのことがわかったという落ちもありました。
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