平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

青天を衝け 第23回「篤太夫と最後の将軍」~篤太夫、西洋に魅了され、慶喜、大政奉還をおこなう

2021年07月19日 | 大河ドラマ・時代劇
「この国では役人も武士も商人も同じ!
 世の中はこうでなくちゃならねえ!
 この理(ことわり)こそ日の本に移さねば!」

 篤太夫(吉沢亮)、すっかりフランスやヨーロッパの国々が気に入った様子。
 だから毎回ツッコむが、攘夷はどこに行った?笑
 まあ、この「風通しのいい社会」こそ篤太夫が求めていたものなんですね。
 今の篤太夫は水を得た魚。
 どんどん西洋社会のいい所を吸収している。
 たどたどしいがフランス語で意思を伝えられるようになり、
 フランスの高官とも親しくなった。
 マゲを着ることにも、洋装にも何のこだわりもない。
 これに比べて同行の水戸藩士は……。
 自分の価値観だけにこだわり、心を閉じて拒絶している。
 ここは人間の対照的なふたつのタイプが見られて面白い。
 さあ、篤太夫、次は何を見る?
 ……………………

 国内では、慶喜(草彅剛)と薩摩が駆け引き。
 フランスとの借款が得られず近代装備を揃えられなければ、幕府はジリ貧。
 第二次長州征伐の時のように、いくさで薩摩に負けるかもしれない。
 そうすれば幕府の権威は失墜し、日和見の大名が薩摩に荷担して反幕府勢力が増える。
 そこで考え出した起死回生の秘策は──「大政奉還」。
 帝を中心とした合議制の政権をつくり、慶喜がその中枢で政治をおこなう。
 こうすれば薩摩は手を出せない。
 なぜなら徳川を排除することは帝に弓引くことになるからだ。
 同時に「大政奉還」には、不要な内乱を避けるという意味もある。
 おおっ、慶喜さん、何という深謀遠慮!

 しかし、ここでダークホースが登場した。
 岩倉具視(山内圭哉)だ。
 岩倉は慶喜を排除して、自分と薩摩が新政権で力をふるいたいと考えている。
 この岩倉と同様に慶喜を排除したいのが、西郷吉之助(博多華丸)だ。
 西郷が企むのは、徳川の挑発だ。
 徳川を挑発して、いくさに持ち込む。
 江戸では慶喜の「大政奉還」に怒っている者が多いし、簡単に火がつきそう。
 いくさになれば、長州もいるし、薩摩が勝つ公算が大きい。
 岩倉は「錦の御旗」を作成して、徳川を「朝敵」にすべく動いている。

 まさに権力闘争ですね。
「帝の奪い合い」でもある。
 日本の歴史は、誰が帝を味方にするか、で展開される。
 つまり帝を味方にした者が権力を握る。
 昭和の戦争指導者たちは天皇の権威のもとに戦争を遂行し、権力をふるっていた。

 だから戦後、天皇が「日本国民の統合の象徴」になったことは妙案であろう。
 天皇が「君主」になった時点で、天皇は権力者に利用される。
 だからかつて自民党が提出した憲法草案は危うい。
 天皇家も自分たちがふたたび「君主」の座に祭り上げられることを望んでいないだろう。
 自分たちが政治に利用されることを良しとしないからだ。
 もっとも今回のオリンピックの開会式には出席されるようだが、菅義偉がゴリ押ししたのだろう。

 小御前会議では山内容堂(水上竜二)が論陣を張った。
「公平無私な慶喜をこの場に呼ばないのはおかしい!」と薩摩と岩倉を圧倒。
 越前の松平春嶽(要潤)もこれに同調した。
 大河ドラマで、こんなふうに山内容堂がフューチャーされるってめずらしい!
 坂本龍馬や高杉晋作は出て来ないし、
 西郷や薩摩は「西郷どん」を完全に否定して悪者にしているし、
 作家やスタッフのこだわりを感じる。


※追記
 坂本龍馬や高杉晋作が出て来ないのは、反・司馬遼太郎を意識しているのかな?
 でも、慶喜の人物像は司馬遼太郎史観。
 今回のタイトルも「最後の将軍」だし。
 山内容堂といい、司馬遼太郎の中短編は意識しているのかもしれない。

 今回の徳川家康(北大路欣也)は意味があった。
 大政奉還にあたって、台詞は少なく、表情で徳川の終わりを語る。
 その心中は、言葉に出来ない、さまざまな思いが入り交じったものだろう。


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