平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

シンゴジラ~ゴジラは暴走する原発か? 3・11を再現した映画。そして現在の日本そのもの

2016年09月09日 | 邦画
 3・11の再現だった。
 最初のゴジラの上陸は<津波>。
 海から上がってきて町を破壊し尽くす。
 官邸は大混乱。
 根拠のない楽観論と前例重視の官僚主義と無能な有識者会議。
 二度目は<放射能>。
 進化したゴジラは<暴走する原発>であり、放射能をまき散らす。
 ゴジラを倒す方法が冷却というのも、水をぶっかけて原子炉を冷やしたのと同じ。
 凍ったゴジラが東京の真ん中で立つ姿は、現在の福島第一原発を思わせる。
 この作品、3・11がなければ完成しなかった作品だろう。
 庵野秀明監督が3・11や原発について、どう考えているのか、聞いてみたい。
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 ゴジラに対抗したのが、霞ヶ関のはみ出し者・オタク官僚だったのも面白い。
 昆虫のアリの世界は働き者ばかりだが、その中の何%かは働かずに遊んでいるアリがいるそうだ。
 彼らは何のために存在しているかというと、いざという時に力を発揮して危機を乗り越えるためらしい。
 はみ出し者・オタク官僚たちはまさにそれだった。
 はみ出し者は日本を救う。
 オタクは日本を救う。
 日本の中心で偉そうにふんぞり返っているやつはどうなんだろう?
 頭が硬直して斬新な発想が出てこない。
 ゴジラに対して彼らが考えたことは、自衛隊の投入や米軍の力を借りること。
 そして国連決議に基づく核ミサイルによる攻撃。
 何かこれは現実に起こりそう。
 日本がどこかの国と戦争になった時は絶対こういう流れになるよね。
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 シンゴジラの到来を予言した牧博士(岡本喜八)。
 博士はゴジラのデータを提示し、「私は好きなようにした。君たちも好きにしたまえ」というメッセージを残した。
 これは日本人に対する絶望のメッセージか?
 たとえば、ゴジラ=原発と読み解くと、「私は原発の危険を提示した。さて、君たちはどうする?」となる。
 経済優先の経団連や経産省、電力会社から献金をもらっている政治家など、日本の中枢は、3・11など忘れて原発を使い続けるんだろうけど。
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 これほど、<法律の適用>にこだわった映画もめずらしい。
 政治家、官僚、自衛隊は、法律を厳格・実直に適用してゴジラに対処する。
 拡大解釈はするが、法律に外れることは絶対にしない。
 これがアメリカ映画だと、法律などお構いなく、敵とガンガン戦っていく(笑)

 でも、これは現在、自民党がすすめている憲法改正の<緊急事態条項>に繋がりそう。
 <緊急事態条項>では、緊急事態が宣告されると、一切の法律は停止され、すべての権限が総理大臣に集中する。
 安倍ちゃんなどは、「ゴジラのような事態が起こったら法律は邪魔でしょう? だから緊急事態条項は必要なんです」と言い出しそう。
 だが、緊急事態条項には危険がある。
 もし首相がバカだったらバカに権力が集中することになるし、独裁的な人物だったら、それが長く続いた場合、独裁国家が誕生する。


『シンゴジラ』
 これは現在の日本そのものを描いた作品だった。


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