平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「蜜蜂と遠雷」~ピアノコンクールの4人のピアニストたち。世界は音楽であふれている!

2023年04月18日 | 邦画
 国際音楽コンクールを舞台にした4人のピアニストの物語だ。

・栄伝亜夜(松岡茉優)。
・風間塵(鈴鹿央士)。
・マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)。
・高島明石(松坂桃李)。

 亜夜、塵、カルロスは天才だ。
 凡人とは違う音楽の世界に生きている。
 一方、高島明石は妻子がいて、田舎の楽器店に勤めているサラリーマンだ。

 コンペティションは3次審査まである。
・1次審査は指定曲から3曲を選んで演奏。

・2次審査は指定曲から3曲+コンクールの課題曲「春と修羅」にカデンツァを加えて演奏。
 カデンツァとは、自由で即興的な演奏のことだ。
 ここで亜矢たちは通常とは違った自分を表現できる。

・3次予選はオーケストラを入れてのピアノ協奏曲。
 いかにオーケストラといかに協奏できるかが問われる。
 今回のオーケストラの指揮者は世界的な指揮者の小野寺昌幸(鹿賀丈史)。
 小野寺はコンクールのピアノ演奏者に合せることをしない。
 自分が指揮するオーケストラのクォリティについて来ることを要求する。
 ついて来れなければ、そのピアニストの実力はそれまでだ、と考える厳しい指揮者だ。
 …………………………………………………

 やはりコンペティションものは面白いな。
 今作では、4人が2次審査のカデンツァで自分をそう表現するか、
 3次審査で指揮者・小野寺の要求にどう応えるか、がドラマになる。
 果たして優勝するのは誰か?

 だが、この作品は誰が優勝するかはメインテーマではない。
 それは付随的なものでテーマは別にある。
 それは「4人のピアニストはどのような音楽を見出すか?」というテーマだ。

 彼らは「自分の音」を求めている。
 天才ではないサラリーマンの高島明石は地に足のついた「生活者の音」を。
 カルロスは揺るぎない「完璧な音」を。
 亜夜は「母の死によって失ってしまった自分の音」を。
 塵は「世界は音楽であふれていることを証明する音」を。
 果たして、彼らは自分の求めている音を演奏することができるのか?

 圧巻の作品だった!
 4人のピアニストたちの苦悩。それを乗り越えた時の素晴らしい演奏!
 4人が見出した音については映画本編を観て確かめてほしいが、
 3次審査で亜矢が演奏した「プロコフィエフのピアノ協奏曲の3番」などは音が飛び跳ねている♪
 プロコフィエフを離れて、「世界が音であふれていること」を実感できる。

 この作品を観ると、自分のまわりの音に耳を傾けたくなる。
 心を無にして、目を閉じて耳を傾けてみれば、きっと音楽が聴こえて来るはずだ。
 そう、世界は音楽であふれていて美しいのだ!


※映画予告編はこちら
 映画「蜜蜂と遠雷」予告編(YouTube)


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