平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ふしぎの国のアリス~「意味」や「論理」から解放された世界は自由だ!

2022年04月22日 | 小説
 無意味な世界って自由だ!
 意味に縛られた世界から脱却しよう!

「ふしぎの国のアリス」を再読。
 再読して、そんなことを考えた。

「アリス」の世界ってムチャクチャなんですね。

 たとえば、有名な三月ウサギ、帽子屋、ヤマネの「お茶会」のシーン。
 長いテーブルにたくさん椅子があるのにアリスがやって来ると、彼らは「席はないよ! 席はないよ!」と叫び出す。
 ヤマネが眠ろうとすると三月ウサギたちはお茶をぶっかける!
 ヤマネを紅茶のポットに押し込む!
 なぞなぞをしてアリスが「降参! 答えを教えて」と言うと、「僕も知らない」「俺も知らない」と言う。
 帽子屋は時計にバターをベタベタ塗っている。
 その時計は時刻がわからない。日付けだけがわかる。
 三月ウサギたちの時間は、時間がヘソを曲げたため停まっていて、
 停まっているのがお茶会の時間なので、彼らはいつもお茶会をしている。

 ヤマネが語った物語は要約すると、こんな感じだ。
『昔、井戸に住んでいる3人の娘がいました。
 3人は糖蜜を食べていて病気でした。絵を描くのを習っていました。
 井戸は糖蜜の井戸でした』
 一応、ここには井戸の糖蜜を汲む(draw)と絵を描く(draw)という言葉遊びがあるのだが、ヤマネの話は筋が通っているようで通っていない。

 公爵夫人の家では、料理人がコショウをスープに大量に振り注いでいて、公爵夫人と赤ん坊はクシャミをしている。
 すると突然、料理人がキッチンにあった鍋とか皿を投げ始める。
 公爵夫人は女王からクロケーに誘われていると言って、アリスに赤ん坊を預け、アリスは飛んで来る鍋とか皿から避けるため外に出るが、赤ん坊はブタになってしまう。
 ……………………

 ほんと、頭のおかしいメチャクチャな世界だ。

 ここで僕たちは「なぜ料理人が突然鍋や皿を投げたのか?」「なぜ赤ん坊が突然ブタになったのか?」を考えてはいけない。
 考えた時点で「意味の世界」「論理の世界」に囚われてしまう。
「鍋や皿を投げる料理人」や「ブタになる赤ん坊」を素直に愉しむのだ。
 そうすることで、「意味」や「論理」から解放されて自由になれる。

 僕は昔『ふしぎの国のアリス』が好きでなかった。
 これのどこが面白いの? と思っていた。
 でも、今は何か楽しい。
 このメチャクチャな世界が清々しい。
「意味」や「論理」の世界は疲れるからだ。
『ふしぎの国のアリス』は世界を少しずつ破壊し、解体している。


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