平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「はだしのゲン」を平和教材からはずす広島教育委員会~考える機会を子供から奪うな!

2023年03月01日 | 事件・出来事
『はだしのゲン』は広島の平和教育素材からはずされるらしい。

 累計発行部数総発行部数は1000万部を超え、さまざまな言語に翻訳され、
 2007年には、核拡散防止条約(NPT)の委員会で日本政府が英訳版を配布した作品なのにねえ。

 市教育委員会が語るNGな理由は
「浪曲は現代の児童の生活実態に合わない」
「コイ盗みは誤解を与える恐れがある」
 だとか。笑

 子供をバカにするのもいい加減にしろ!
 子供はもっと理解力があるぞ。
 ゲンが鯉を盗んだから自分も何かを盗んでいいんだ、なんてことになるか?
 浪曲が生活実態に合わない?
「浪曲って何だろう?」「じゃあ、実際に聴いてみよう」ってなるのが教育だろう?
 大人が子供の世界を狭めるな!
 この提言作成には大学教授も参加しているらしいが、
 そんな知性なら大学教授なんかやめちまえ!
 ……………………………………………………………………

 僕が『はだしのゲン』を読んでインパクトを受けたのは、
「原爆のシーン」はもちろんだが、「ファシズム社会の怖さ」だ。

 たとえば、これ。

 

 あるいは

 

 これらのシーンを見て、子供の僕はファシズム社会だけは絶対にイヤだと思った。
 引用したシーンは教師だが、他にも憲兵が殴るシーンがあって、子供心に「憲兵怖い!」と思った。
 大人になって「ファシズム社会」について調べたり、考えたりしたのも、この体験があったからだ。

 ファシズム社会とは違うが、『はだしのゲン』にはこんなシーンもある。

 

 ゲンの父親が「戦争の本質」を語ってゲンの兄を殴るシーンだ。
 父親は見事に戦争の本当の姿を語っている。
『はだしのゲン』は1973(昭和48)年から『少年ジャンプ』で連載された作品だが、
 こんな内容を少年漫画誌で語っていたとは!

『はだしのゲン』は他にもさまざまなことを語っている。

 保守論客で作家の古谷経衡氏はツイッターで、
「はだしのゲンを教材から除外するなどとんでもないことだ。
 むしろ中学生までに必ず読ませる漫画として義務化せねばならない。
 鬼畜米英を叫んでいながら戦後、空疎な平和論をぶつ軍国主義者。
 戦後民主主義すらも欺瞞だと喝破する。
 永久に読まれるべき不滅の金字塔である』
 保守論客らしい視点だ。

 今の時代、『はだしのゲン』は『毒』なのかもしれない。
 広島教育委員会は『ゲン』の代わりに『被災者の方の体験談』を教材に入れるらしいが、おそらく『ゲン』の方が毒が強い。
 だが、中世の医師ベラスケスは言った。
「適度な毒は薬になる」

 広島教育委員会は子供をひ弱で薄っぺらな大人に育てたいのかね?


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24 コメント

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現政権は危惧 (半沢)
2023-03-01 18:42:27
コウジさん今晩は
記事の作成お疲れ様です

本と軍国教育とは怖ろしい物です。富国強兵、言論統制等 国民を戦時体制
一色にする酷な事。ま、はだしのゲンは私も子供時代に見た記憶がありますが
何か怖いイメージですね。此れを平和教育から外しちゃ駄目です。戦争の悲惨さを
画いている数少ない漫画ですから。
そう軍国主義者から敗戦後 民主主義者にコロりと変貌する人々…
国に脅かされる日本人、今尚
返信する
絵柄が問題ならば、桂正和先生にやってもらいますかwww (2020-08-15 21:07:49)
2023-03-01 20:46:47
半沢さま
コウジさま

>何か怖いイメージですね。
半沢さまがおっしゃること、わかります。
絵柄が怖いんです。

1970年代くらいまでのマンガって、とにかく「輪郭線が太くて迫力がある」んですね。
今のようなCG主体の繊細なマンガ表現からすれば、当時のジャンプやマガジンって「信じられないくらいぶっとい線でゴリゴリ描く」連載がたくさんありました。
なので、あのころのはだしのゲンは、その中に入ってもあまり違和感がなかったのかもしれません。

ただ、そういった「ゴリゴリのマンガ」は今はほとんどありません。
もはや時代に取り残された「気味の悪い表現」なのでご用済み…

もしそれであれば、悲しすぎます。
そんなに昔の絵柄がイヤならば、はだしのゲンの輪郭線を全部、桂正和先生に書き直してもらえばいいと思います。

ZETMAN的なはだしのゲン、たちまち大人気かもしれません(苦笑)。
返信する
新しい戦時下 (コウジ)
2023-03-02 09:12:08
半沢さん

いつもありがとうございます。

タモリさんは「新しい戦前」が始まるかもしれない、と語りましたが、このまま戦時下に突き進みそうですね。
今回の場合は日本が起因にはならないと思いますが。

そして戦時下になった時、日本社会はどう変貌するのでしょう。
戦後78年、現行憲法の恩恵を享受してきたとはいえ人間の本質はそんなに変わりませんから「新しい戦時下」が始まるのかもしれませんね。
特に台湾有事のどさくさで尖閣を取られでもしたら日本のナショナリズムは大きく沸騰すると思います。
くわばらくわばら……。
返信する
作家の怒りや怨念 (コウジ)
2023-03-02 09:29:15
2020-08-15 21:07:49さん

いつもありがとうございます。

おっしゃるとおり絵柄は古いですが、広島教育委員会が平和教材からはずしたのは絵柄の問題ではないと思います。
問題は内容。
戦時下の日本がひどく描かれていて、自称愛国者の方にとっては気にくわないのでしょう。

怖いと感じるのは、絵に中沢啓治先生の怒りや怨念が込められているからかもしれませんね。
あるいは、この絵でなければやはりこの内容は伝わらない気もします。
作家の思想と文体・画風は表裏一体なんですよね。
返信する
受験と「平和教育」 (2020-08-15 21:07:49)
2023-03-02 22:08:00
コウジさま

今回やや皮肉っぽく言いましたが、昭和時代の戦後から一貫して続いてきた「平和が一番」的な教育が、時代の変遷につれて、徐々に成立しなくなっているのは、事実だと思います。

そして、平和教育が成立しなくなっている社会的背景にあるものは、どうも「受験」らしいんです。

わたしのような昭和戦後時代の庶民にとっては、中学受験は全く無縁だったわけですが、平成令和時代の都会育ちのエリート階層の子弟になると、中学受験がある意味当たり前らしいです。
なので、こういった受験突破のために、本人だけではなくて、バックアップする家族も一丸となって、あれこれ心を砕くらしいです。

ところが「受験勉強に集中すべき大切な時期」に「ヒロシマ的平和教育」の影響を受けると、メンタルが少なからずダメージを受けて、受験どころではなくなる子どもたちが、一定数発生するそうです。
そうなると…
「あんなワケ分からん原爆教育で、ウチの子が受験勉強に集中できなくなって、中学に落ちたんだ、どうしてくれる、訴えてやる!」
ということも、あるらしいです。

となれば、こんなめんどくさい「原爆教育」なんて廃止してやれwww
となってもおかしくありません。
返信する
正義の味方の日本と悪の秘密結社的国家の話 (2020-08-15 21:07:49)
2023-03-03 06:48:38
>特に台湾有事のどさくさで尖閣を取られでもしたら日本のナショナリズムは大きく沸騰すると思います。

台湾有事も尖閣有事も起きないでしょうね。

中国の政府要人ならどうするか、それを考えればいいんです、すぐに答えは出ます。
尖閣諸島には天然ガスがあるようですし、台湾のハイテク産業は魅力的ですが、どちらも軍事力で手に入れるものではありません。無理矢理力尽くで奪っても、反発を買ってあとが面倒になるだけです。
今の中国要人って、そういう計算はできる人たちだと思いますよ。

日本の愛国的な人たちって「日本は素晴らしいんだ」と、ことあるごとに言います。
日本が素晴らしいことを否定はしませんが、そこから「こんなに素晴らしい国だから、悪の勢力から狙われているのだ!」と思考が飛躍すると「おいおい、大丈夫か?」なんです。
そんな「正義の味方のお面ダイダーと悪の秘密結社のジョッカー」的な原理で、現実の世の中が回っているわけはないんですが…
返信する
すべては空疎な教育が原因 (コウジ)
2023-03-03 09:51:10
2020-08-15 21:07:49さん

>受験と「平和教育」
そうなんですよね。
以前、話題にした月9ドラマ『女神の教室』もまさに同じテーマを描いていました。
ロースクールの学生たちにとって司法試験に受かることが大事だが、裁判官、検事、弁護士なるには「人して学ぶことがあるのではないか」というのがこの作品のテーマでした(というか、まだ放送中ですが)。
こういう基本を今の大人たちは忘れてしまったんでしょうね……。

>台湾有事も尖閣有事も起きないでしょうね。

僕もウクライナ戦争まではそう思っていました。
・21世紀では戦争を仕掛けた方が大きなダメージを得るので「理に合わない戦争」はしない。
・戦争するより親中国政権をつくって平和的に併合する方がはるかに有効。

ただプーチンは「理に合わない戦争」をやってしまったんですよね。
その背景には2014年のクリミア併合の成功体験があったからでしょうが、そういう判断をする政治指導者が出て来てしまったのも事実。

習近平がプーチンのように愚かでないことを願うばかりです。
あるいは習近平が交代したら、過激な指導者が出て来るかもしれません。
というわけで僕は一応、思考をヴァージョンアップしておきました。

>悪の勢力から狙われているのだ!
これ、ありますよね。
・政権に批判的な言動をする人間は中共のスパイ。
・マスコミはすでに乗っ取られている。
こういう言動を見ると、めまいがします。

これも空疎な教育の結果なんですかね……。
断片的な知識しかない空っぽな頭の中に、たまたまネトウヨ的な考え方が入って来て、それが思考の中心になってしまったみたいな……。

「日本は素晴らしい」も情けない……。
「日本は素晴らしい=日本人である俺もすごい」という短絡思考。
国とか関係なく、個人として「俺はすごい」と言える人間になってほしいですね。
返信する
不滅の価値観を求めた結果… (2020-08-15 21:07:49)
2023-03-04 06:45:35
>ただプーチンは「理に合わない戦争」をやってしまったんですよね。
>その背景には2014年のクリミア併合の成功体験があったからでしょうが、そういう判断をする政治指導者が出て来てしまったのも事実。

この部分に関しては、わたしはコウジさんとは少し考えが違います。

Pさんは、KGBのスパイのようなことをしていたらしいのですが、信じていた共産主義体制が崩壊したことがきっかけになったのか「不滅の価値観」を求めたそうです。

そこで出会ったのが、旧ソ連時代以前からある「ロシア正教会」や「偉大なるロシア帝国」だったのかもしれません。
日本スゴい的な価値観が、今日本の愛国的な人たちの中では支持されていますが、同じようなものが、ソ連崩壊のときのロシアにあったかもしれないわけです。

「東ローマ帝国(ビザンチン帝国)以来の歴史を持つ偉大なるロシアが、西側からの侵略の危機に瀕しているのだ。国家と教会の栄光を守るために、今こそ戦うのだ!」
今のウクライナは、もうソ連の一部でもないし、ロシア帝国の一部でもないという21世紀の正論なんて、どこかにすっ飛んでいるんですね。
悪いことに、正教会的な価値観だと、政教分離の概念が薄いので、国家と教会がごっちゃになりがちということもあります。

こう考えると、日本の愛国的な人たちの「日本スゴい、2600年の歴史と伝統だ!」という価値観と、愛国的ロシア人の「ロシアスゴい、東ローマ帝国以来1600年の歴史と伝統だ!」という価値観って、意外に似ているんです。

一方、現在の中国指導部ですが…
漢詩や論語ばかりを重んじて、政治実務や科学的な思考力を問わなかった科挙への反省から、指導者の候補には幅広い能力が求められ、トップを目指そうと思うと、理系な学問も本気で修めなくてはいけないと聞いたこともあります。

つまり、同じような専制主義的な体制で、同じように「帝国の歴史」があっても、中国の場合、カルト的な要素が入らないように制度設計されつつあるのかもしれません。中露は意外に似ていないと思います。

わたしが心配しているのは、経済的な結びつきを深めている米中の二大国が、徐々に「日本無視」「日本外し」の方向に行くことです。
そして、孤立した日本が、石油や天然ガスを求め、精神的な価値観が似ているロシアに親しみを覚え、ロシアと同盟することです。
まあ、ロシアと同盟して日本人が幸せになれるならいいんですけど、それはあまり望めないような気がします。
そんなバカなと思うかもしれませんが、1990年代には、社民党と自民党の連立政権もできたくらいですし、銀河帝国正当政府は、自由惑星同盟に亡命政権をつくっていたワケですし(苦笑)。

こういう政治的なねじれって、意外にあるんです。
返信する
面白い! (コウジ)
2023-03-04 09:15:50
2020-08-15 21:07:49さん

プーチンの思想的なバックグラウンドを教えていただきありがとうございます。

おそらくこの侵攻にはさまざまな動機が絡み合っているのでしょう。
そして、いずれにしても「理に合わない戦争」をしてしまったことは事実。
歴史的な動機がありますし、中国が台湾に対して同じことをしないという保証はありません。
なので、台湾有事の際に日本はどう行動するのか、その経済的ダメージはどれくらいか、中国で働いている邦人をどう保護するのか、など、さまざまなシミュレーションをしておく必要はあると思います。

>「日本無視」「日本外し」「ロシアとの同盟」。
面白い!
「台湾有事」よりは可能性が低いと思いますが、おっしゃるとおり何が起こるかわからないのが、国際政治。
・日本で極端な左派政党が政権をとって「日米同盟を破棄」し、中国と手を結び「東アジア共栄圏」を作ろうとする。
・当然アメリカは面白くない。
・中国にとってはアメリカの方がメリットがあるのでアメリカと組んで「日本外し」をおこなう。
・孤立した日本は同じく孤立しているロシアと手を結ぶ。
みたいな流れでしょうか。
こうなるまでには、とんでもない国内の混乱と膨大な政治的なエネルギーを使うと思いますが、50年後くらいにはこうなっているかもしれませんね。
僕は生きていないと思いますが、面白そうなので見てみたい気がします。
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左派政党だから親中? (2020-08-15 21:07:49)
2023-03-04 11:30:45
>歴史的な動機がありますし、中国が台湾に対して同じことをしないという保証はありません。

今中国が台湾を武力で制圧しても、双方の犠牲が大きすぎて、戦後統治ができません。ドンパチやって力づくで押さえつけても、向こう数百年はギクシャクした関係が続くでしょう。
それより、気に入った台湾のハイテク産業の株を買えばいいんです。それで実質的な支配ができます。
おっしゃるように、可能性を考えておくことは必要ですが、実際の有事はほぼないでしょう。


>日本で極端な左派政党が政権をとって「日米同盟を破棄」し、中国と手を結び「東アジア共栄圏」を作ろうとする。

う~ん、それもちょっと違うと思いますね。
左派政党が政権を取ることと、中国と結ぶことを同一視するのは、冷戦型思考だと思います。
たとえば、今のアメリカは、政治的には中国と対立しながら、経済的には固く結びついています。共和党政権でも民主党政権でも、その関係性は一貫して変わらないわけですよね。
冷戦時代には、アメリカとソ連の間には、経済的な関係はほとんどなかったわけで、それが大きな違いなんです。
今のアメリカが、中国と経済的に結びついているからと言って「親中」とか「共産主義の傀儡政権」とは言わないわけですね。
また銀英伝の話になりますが、フェザーンの政治体制が「親帝国」なのか「親同盟」なのか、それを考えることは無意味ですが、似たようなことが現実に起きているのかもしれません。

右派と左派、親中と反中、愛国と反日、そういった単純な対立構造で理解しようとする方がラクですが、そういう枠から外れたところにも、現実社会は存在しているわけです。
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