平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

重版出来! 第9話~キャラクターの物語。「俺も好きです。ツノひめさま好きです」「俺もだ」

2016年06月08日 | 職業ドラマ
 今回は作品のキャラクターについて。
「俺も好きです。ツノひめさま好きです」
「お前、(ツノひめさまの)ファンだったの? 俺もだ」
 読者からも、編集者からも、漫画家からも愛されているキャラクター。
 大ヒット作には必ず魅力的なキャラクターがいるんですね。

 高畑一寸(滝藤賢一)はツノひめさまを愛していたから簡単に連載をやめられなかった。
 高畑は自分の世界観に合った他の作品を描きたいと思っていたが、彼の心の中には、しっかりとツノひめが存在していて、捨てられなかった。
 だから、梨音(最上もが)の次のせりふが面白い。
「だって勝てないんだもん、ツノひめ。いっちゃん、ツノひめ大好きなんだもん。あの女、超ジャマ!」

 黒沢心(黒木華)は編集者だが、読者の心も残している。
 だから、心は『ツノひめさま』の読者代表として高畑に言う。
「いい加減なたたみ方は許しません。読者が読んできてよかったと思える最終回にして下さい」

 そして、編集者の五百旗頭(オダギリジョー)。
 彼は常に理性的で、作家の伴走者であろうとしたが、ついにカッコ悪く自分の心情を吐露した。
 それが、「俺も好きです。ツノひめさま好きです」
 五百旗頭が編集者でなく、ひとりのファンになった瞬間だ。
 人は理屈ではなく、感情で動く。
 五百旗頭に欠けていたのは感情だった。好きなものを心から好きだと言える素直な心だった。
 五百旗頭はそれを読者代表である黒沢心と感情のかたまりである梨音から学んだ。
 人間、いくつになっても悩み続けるし、学ぶことは沢山だ。

 さて、中田伯(永山絢斗)。
 彼もまたキャラクターを探していた。
 マスミという女の子だ。
 しかし、身近にいる女の子は心で、どう見ても心は作品世界には合わない(笑)
 街を歩く女性を観察して警官に不審者として追いかけられながら、マスミを探す。
 梨音とも遭遇したが、マスミではなかったようだ。
「マスミを描けない……」
 そんな時に現れたのが、牛露田の娘・アユ(蒔田彩珠)だった。
 マスミのイメージが天から降ってきて、まわりに人がいるのに床に這いつくばって、マスミを描く中田。←『ガリレオ』の湯川先生ーーー!(笑)
 キャラクターをつかんだ時、中田伯の『ピーヴ遷移』は完成したのだ。
 中田は、自分以外の人間を描けないという弱点を克服した。

 一方、心。
 彼女もまた編集者として一皮むけた。
「『ピーヴ遷移』のテーマは恐怖と支配」
 彼女は中田伯という作家の本質を理解した。
 これから心はもっと的確なアドバイスを中田に与えられるだろう。

 成長の物語ですね。
 キャリアを積んだ高畑も五百旗頭も何かを学び、新人の心も中田もさまざまなものを吸収して成長していっている。
 見事な職業ドラマです。

  

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