平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ファーストペンギン~「バカか!? お前らはー!」 荒くれ漁師たちの中で奮闘するヒロイン!

2022年12月08日 | 職業ドラマ
 岩崎和佳(奈緒)が啖呵を切る。
「バカか!? お前らはー!」
 片岡洋(堤真一)も言い返す。
「上等じゃ、ボケ~!」

 このやりとり、ぜんぜん不快にならないんだなぁ。
 むしろ心地いい。
 ヒロイン和佳を演じる奈緒さんはふわふわした童顔。
 でも、あのふわふわした顔がキリリと締まって「バカか!? お前らはー!」と叫ぶから面白い。
 奈緒さんは芯のある女性を演じることができる女優さんで演技は確かだ。
 堤真一さんが純情なあらくれ男が似合うのは映画『三丁目の夕日』で実証済み。

 こうした役者陣に加えて、脚本が森下佳子さんだから面白くならないわけがない。
 ……………………………………

 物語は魚業再生の物語。
 主人公・和佳は陸揚げされた魚の直販『お魚BOX』を始める。

 これに立ちはだかる漁協。
 漁協は今まで魚の卸・流通を一気に担ってきた既得権者。
 だから『お魚BOX』が邪魔というか脅威。
 これが拡大すれば自分たちは用済みになり、利権も失う。
 だから潰そうとする。
 漁協は時代の遺物になりつつあるんですね。
 かつては流通販売を代行し、漁師たちに氷や燃料を共有し、船や網を買う資金を提供したりて機能していたが、時代はそれを必要としなくなった。
 燃料も氷もダイレクトに買えるし、営業がいれば直販できる。
 
 一方、この動きに目をつける外資。
 今までは漁協が障壁になっていたが、『お魚BOX』のような動きが出て来れば、日本の漁業を自分たちのものにできる。
 漁業を担う会社と業務提携契約を結んだり、買収すればいいのだ。

 既得権と自由化の対立。
 この流れは水産業にもやって来たんですね。
 そんな中で主人公・和佳たちはどう闘ったか?
 作品は実は骨太の社会派ドラマだ。
「バカか!? お前らはー!」
「上等じゃ、ボケ~!」
 とやり合っているだけではない。

 恋愛要素がまったくないのもこのドラマの特徴だ。
 いや、正確に言えばあるのだが、主人公・和佳はことごとくフラれる……!
 ほのかに恋愛感情を抱いたりするのだが、勘違いで終わる……!
 水曜10時の日テレは、闘う女性を描くドラマ枠だが、この傾向が強い。
 今田美桜さんの『悪女(わる)』、永野芽郁さんの『ハコヅメ』もそうだった。
 月9が路線変更したように、もはや恋愛要素はメインで描くものではなくなったようだ。

 それにして題材が水産業か。
 よくこんな題材を面白く成立させたなぁ。
 確かにファッション業界やお菓子業界は飽き飽きしているんだけど、まさか漁業とは!
 役者さん、脚本家さん、スタッフさんに感謝。
 ちなみに、この作品の主人公・和佳にはモデルがいる。
 坪内知佳さんという女性だ。
 日本経済、まだまだ捨てたものではない。
 工夫と改善次第できっと上向く。
 ファーストペンギンの登場を乞う!


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