見せ場てんこもりだ!
まずは小山評定。
家康(松本潤)がアジる。
「留守を狙って妻子に刃を向ける輩に天下を任せられようか!?」
その前に、このような事態になってしまったことを謝ることも忘れない。
帰りたい者は帰っていい、と語り、懐の大きさを見せる。
「天下安寧」のためという大義も掲げる。
これに応じて〝仕込み〟の福島正則(深水元基)が立ち上がる。
山内一豊(山丸親也)も名乗り出る。
これを受けて家康は、
「石田三成に代わり我らが天下を取る! 皆の者かかれえ!」
事にあたるに「空気」づくりは大事なんですね。
人は「空気」や「情」で動く。
これを仕組んだのは本多正信(松山ケンイチ)。
正信はクールですね。
どんな逆境でも「空気」や「情」に流されず、他人事のように物を言う。
これ、実にカッコイイ。
そして、今作では欠かせない家臣との交流話。
天下分け目を前に平岩親吉(岡部大)も積年の思いを語った。
「欣求穢土浄土。この世を極楽浄土にいたしましょう」
………………………………………………………………………
ふたつめは調略戦。
「このいくさ、どちらは多くを味方につけるかで決まる」
各大名に書状を書く家康。
三成(中村七之助)も書状書きに勤しんでいた。
いくさは戦う前から始まっている。
一方、大名たちはどうかと言うと──
「いくさと言えば徳川じゃ。どちらにも転べるようにしておけ」
と日和見。
三河軍団最強伝説が功を奏しているのが面白い。
家康寄りの大名もいて
「家康は気前がいい。三成は家康を糾弾するばかりだ」
家康の方が人の心を知っている。
人は利で動き、理念では動かないのだ。
それを体現していたのが秀吉(ムロツヨシ)だったが、三成は秀吉の下で何を学んでいたのか?
岐阜城を福島正則、黒田長政(阿部進之介)が落としたことも、家康側の権謀だった。
「これで黒田、福島が味方につくと世に知らしめた」
………………………………………………………………………
しかし、すべてが家康有利で動いていたわけではない。
まずは鳥居元忠(音尾琢真)が守る伏見城が落ちた。
守兵は2000。いくら秀吉が築いた堅固な城でも数の力にはかなわない。
死にあたって元忠は
「ようやくわしの番が来たんじゃ。うれしいのう」
妻・千代(古川琴音)も
「わたしもようやく死に場所を得た。有難う存じます、旦那様」
この時代の人は常に「死」を意識して生きていたようだ。
いかに死ぬか?
人生をどう終わらせるべきか?
平和な時代に生きる人間には見えにくい視点だが、いろいろ考えてみたい。
まあ、ほとんどの死は無意味で劇的でもないものだと思うが。
そして真田。
信幸(吉村界人)を徳川につけ、昌幸(佐藤浩市)、信繁(日向亘)は豊臣に。
ここにも生き残りを賭けた深謀遠慮があるが、昌幸はこれを愉しんでいる様子。
実際、本多正信、榊原康政(杉野遥亮)を出し抜いて秀忠(森崎ウィン)を足止めした。
秀忠は「真田の蜘蛛の糸」に絡め取られた。
そして秀忠遅参の新解釈。
遅参の原因は家康の書状が届くのが遅れたから。
遅れたのは書状を奪われたから。
この書状を奪ったのは真田の忍。
面白い解釈だと思う。
今までの遅参の解釈は、秀忠が上田城を落とすことにこだわったから、というものだったが、
秀忠がいくら凡将とはいえ、本多正信、榊原康政がいたのにそうしてしまうのは無理がある。
これなら正信と康政が「してやられて」も智将のイメージに大きなダメージはない。
いずれにしてもこれで徳川の本軍が関ヶ原に間に合わなくなった。
しかし三成側も同様だった。
毛利輝元(吹越満)は「後は任せる」と言って大坂城を出なかった。
茶々(北川景子)も「秀頼を出す用意がある」と言っていたが……。
密度の濃い見所満載の回だった。
本多忠勝の娘・稲(鳴海唯)と昌幸の駆け引きも見応えがあったし。
毎回同じ結論になるが、さまざまな思いが渦巻く関ヶ原はやはり面白い。
前回は家康と三成の物語だったが、今回はまわりの人たちの物語が描かれた。
まずは小山評定。
家康(松本潤)がアジる。
「留守を狙って妻子に刃を向ける輩に天下を任せられようか!?」
その前に、このような事態になってしまったことを謝ることも忘れない。
帰りたい者は帰っていい、と語り、懐の大きさを見せる。
「天下安寧」のためという大義も掲げる。
これに応じて〝仕込み〟の福島正則(深水元基)が立ち上がる。
山内一豊(山丸親也)も名乗り出る。
これを受けて家康は、
「石田三成に代わり我らが天下を取る! 皆の者かかれえ!」
事にあたるに「空気」づくりは大事なんですね。
人は「空気」や「情」で動く。
これを仕組んだのは本多正信(松山ケンイチ)。
正信はクールですね。
どんな逆境でも「空気」や「情」に流されず、他人事のように物を言う。
これ、実にカッコイイ。
そして、今作では欠かせない家臣との交流話。
天下分け目を前に平岩親吉(岡部大)も積年の思いを語った。
「欣求穢土浄土。この世を極楽浄土にいたしましょう」
………………………………………………………………………
ふたつめは調略戦。
「このいくさ、どちらは多くを味方につけるかで決まる」
各大名に書状を書く家康。
三成(中村七之助)も書状書きに勤しんでいた。
いくさは戦う前から始まっている。
一方、大名たちはどうかと言うと──
「いくさと言えば徳川じゃ。どちらにも転べるようにしておけ」
と日和見。
三河軍団最強伝説が功を奏しているのが面白い。
家康寄りの大名もいて
「家康は気前がいい。三成は家康を糾弾するばかりだ」
家康の方が人の心を知っている。
人は利で動き、理念では動かないのだ。
それを体現していたのが秀吉(ムロツヨシ)だったが、三成は秀吉の下で何を学んでいたのか?
岐阜城を福島正則、黒田長政(阿部進之介)が落としたことも、家康側の権謀だった。
「これで黒田、福島が味方につくと世に知らしめた」
………………………………………………………………………
しかし、すべてが家康有利で動いていたわけではない。
まずは鳥居元忠(音尾琢真)が守る伏見城が落ちた。
守兵は2000。いくら秀吉が築いた堅固な城でも数の力にはかなわない。
死にあたって元忠は
「ようやくわしの番が来たんじゃ。うれしいのう」
妻・千代(古川琴音)も
「わたしもようやく死に場所を得た。有難う存じます、旦那様」
この時代の人は常に「死」を意識して生きていたようだ。
いかに死ぬか?
人生をどう終わらせるべきか?
平和な時代に生きる人間には見えにくい視点だが、いろいろ考えてみたい。
まあ、ほとんどの死は無意味で劇的でもないものだと思うが。
そして真田。
信幸(吉村界人)を徳川につけ、昌幸(佐藤浩市)、信繁(日向亘)は豊臣に。
ここにも生き残りを賭けた深謀遠慮があるが、昌幸はこれを愉しんでいる様子。
実際、本多正信、榊原康政(杉野遥亮)を出し抜いて秀忠(森崎ウィン)を足止めした。
秀忠は「真田の蜘蛛の糸」に絡め取られた。
そして秀忠遅参の新解釈。
遅参の原因は家康の書状が届くのが遅れたから。
遅れたのは書状を奪われたから。
この書状を奪ったのは真田の忍。
面白い解釈だと思う。
今までの遅参の解釈は、秀忠が上田城を落とすことにこだわったから、というものだったが、
秀忠がいくら凡将とはいえ、本多正信、榊原康政がいたのにそうしてしまうのは無理がある。
これなら正信と康政が「してやられて」も智将のイメージに大きなダメージはない。
いずれにしてもこれで徳川の本軍が関ヶ原に間に合わなくなった。
しかし三成側も同様だった。
毛利輝元(吹越満)は「後は任せる」と言って大坂城を出なかった。
茶々(北川景子)も「秀頼を出す用意がある」と言っていたが……。
密度の濃い見所満載の回だった。
本多忠勝の娘・稲(鳴海唯)と昌幸の駆け引きも見応えがあったし。
毎回同じ結論になるが、さまざまな思いが渦巻く関ヶ原はやはり面白い。
前回は家康と三成の物語だったが、今回はまわりの人たちの物語が描かれた。
千代に関してはすでに36話で張られた伏線どおりでしたが、夫であった鳥居元忠にとっても大きな救いとなっていたことが印象的でした。
元忠を演じた音尾琢真さんのインタビューでも、側に千代がいたからこそ幸せな最期だったといった感想を述べておられました。
肩を組み合って文字通り「二人一緒で」のシーン、「心中」でもあそこまで見事に逝くのは難しいことでしょう。
>各大名に書状を書く家康。いくさは戦う前から始まっている。
たしかに「いくさの勝敗は開戦時にはほぼ決まっている」と言われています。
いくさと言えば戦闘シーン(チャンバラ)というイメージを打破して、「武将のリアル」に迫ろうということなのでしょうね。
敢えて「チャンバラが強い猛将」というイメージの強い本多忠勝に調略戦の重要性を解説させ、「殿は一通でも多く書状を!」と言わせているのもその狙いなのでしょう。
家康も「腕が折れるまで書くぞ」と応じています。
もっとも「武将のリアリズム」路線、かつての大河のような派手な戦闘シーンを展開する予算が取れなくなった結果なのかもしれませんね。
そのあたり、来週の「関ヶ原」本番で見てみましょう。
>人は利で動き、理念では動かないのだ。
「秀吉(→今回は家康)は気前がいい」という台詞、たしか小牧・長久手の戦い直前の池田恒興の台詞として既視感があります。
>秀忠遅参の新解釈。遅参の原因は家康の書状が届くのが遅れたから。この書状を奪ったのは真田の忍。
これはおそらく何らかの史実上の材料があるのかもしれませんね。
>信幸を徳川につけ、昌幸、信繁は豊臣に。
>本多忠勝の娘・稲と昌幸の駆け引きも見応えがあったし。
逆の視点からの「真田丸」との味わいの違いがありますね。
「犬伏の別れ」、真田親子にとっては「苦渋の選択」として描かれていましたが、家康視点からは真田一族の「したたかさ」と見えます。
また、家康視点の本作では稲さんは本当に頼もしく、格好良いキャラに見えます。
さて、「関ヶ原」は来週1話で終わるのか、2話くらい使うのでしょうか。
「最大の見せ場」であることは確かですが。
いつもありがとうございます。
音尾さん、インタビューでそんなことをおっしゃっているんですね。
確かに千代と共に逝けた元忠は幸せ。
これに元忠に比べると、秀吉の死は悲惨ですよね。
家康も最愛の人(瀬名)との別れはつらかった。
いくさのシーンは、「銀英伝」のようなアニメなら用兵の妙を見せられるのでしょうが、実写ではおっしゃるとおり予算の問題があり、すべてに全力投入というわけにはいきませんよね。
とはいえ、今回の駆け引きの部分は面白かったです。
次週の関ヶ原では本多忠勝、井伊直政らが活躍しそうですね。
キイパーソンは小早川秀秋になるのですが、今の所、フリは不十分ですよね。
それと鉄砲を撃って催促するのは、長篠の合戦の時、信長が家康にやっていましたよね。
「人は利で動く」は小牧長久手で秀吉が言っていたことなんですね。
鉄砲を撃って催促したことといい、家康には信長、秀吉の戦術・戦略が頭の中に刻まれているのかもしれません。
稲は魅力的ですよね。
あの真田昌幸とわたり合って負けていません。
一方、信幸、信繁は影が薄いです。
さて、どのような「真田丸」になるのでしょう。