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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「イカゲーム3」~資本主義・民主主義・人間とは何か? を問うた作品!

2025年07月04日 | テレビドラマ(海外)
『イカゲーム3』を見終わった。
 ネタバレになるので詳細に書けないが、『イカゲーム』とは現代社会を集約した作品だ。

<資本主義の象徴>
 プレイヤーたちは賞金をめぐってデスゲームをおこなう。
 賞金はひとりあたり1億ウォンなのでプレイヤーが300人いればトータルの賞金金額は300億ウォンになる。
 これを奪い合うのだ。
 たとえばデスゲームの結果、プレイヤーが10人になればひとりあたり30億ウォンの賞金を得られるが、生き残ったプレイヤーが100人ならば賞金は3億ウォンしか得ることができない。
 だからプレイヤーはひとりでも多くの参加者を脱落させようとする。

 限られたパイを奪い合う。
 力の強い者、知恵のある者、ズルいヤツが勝ち、善良な弱者が喰われる。
 これこそがまさに資本主義の本質だ。

 ゲームの参加者が借金を背負っていたり、貧しかったりというのも資本主義の象徴である。

<民主主義の脆弱さ>
 ゲームを続行するか否かは生き残ったプレイヤーの投票によって決められる。
 投票で次のゲームに参加したくない人間が多ければゲームは終了。
 参加者はそれぞれの賞金をもって社会に戻れる。

 ある程度の賞金を得られれば不参加を表明してデスゲームから離脱したいと考えるのが普通だが、
 実際はそうならない。
「まだいける」
「まだ賞金が足りない」
「わたしには幸運の女神がついている」
 と考えるプレイヤーが現われて「ゲームを続行する」に投票してしまう。
 結果ゲームは続行される。

 民主主義(投票・多数決)というのはこんなふうに間違った方向にいくことがあるのだ。
 多数派が望めば少数派は受け入れるしかない。
 これが民主主義の脆弱さだ。

 デスゲームを扱った作品はたくさんあるが、〝投票〟というシステムをつくった所に『イカゲーム』の新しさがある。

<観覧者>
 今作ではプレイヤーたちのデスゲームを優雅に観覧している金持ちたちがいる。
 歴史をたどればコロシアムでも戦いを観戦しているローマの貴族たちなどもそうだが、
 現代社会でもネットで安全な所から他国の戦争を見たり、スキャンダルを起こしたタレントを論評し叩いたりしている。
『イカゲーム』という作品をワクワクして見ている我々も貴賓席の金持ちとそんなに変わらない?

<人間は……>
 シーズン3・最終話のサブタイトルは『人間は……』
 さて、われわれは次にどんな言葉を続ければいいのだろう?
・人間は愚かな生き物である。
・人間はカネのためなら何でもする生き物である。
・人間は醜い最悪な生き物である。
 今作を見ているとこう続けたくなる。
 だが一方で、シーズン3の参加番号222番キム・ジュニ (演チョ・ユリ)や老母チャン・クムジャ(カン・エシム)やジュニやクムジャを守ったTSのチョ・ヒョンジュ(パク・ソンフン)はどうだろう?
 あるいは主人公のソン・ギフン(イ・ジョンジェ)は?
 彼らの行動を見ていると、
・人間は美しく崇高である。
 と言えなくもない。

 さて、皆さんは「人間は……」の後にどのような言葉を続けますか?


※関連動画
 『イカゲーム』シーズン3 予告編 - Netflix(YouTube)

コメント
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