平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

花燃ゆ 第3話「ついてない男」~正しい筋道で、正しいやり方で世の中を変えてみろ

2015年01月19日 | 大河ドラマ・時代劇
 寅次郎(伊勢谷友介)の行動を大人の目で見ると、兄・梅太郎(原田泰造)の言葉になる。

「これをしたいと思うたら、もう歯止めがきかん。それでは子供と一緒じゃ」
「一家が後ろ指をさされ、路頭に迷おうとも、お前は『公のため』『天下万民のためや』と言うんじゃろう。
 じゃが、それは詭弁じゃ。
 勝手を許されんかった5歳の子どものわがままと変わらん」

 大人の意見として、梅太郎の言うことはもっともだ。
 梅太郎には、一家、ひいては藩を守らなくてはならないという荷物も背負っていますし、当然の発言。

 僕も歳を取ったせいか、梅太郎の言葉に共感するなぁ。

 だが、ここで敢えて寅次郎の立場になってみる。

 若さゆえのあふれる情熱、思い。
 これはこれで美しい。
 あるいは従来のものを守ろうとする抵抗勢力。
 人が極端なことをしようとする時は必ず守旧勢力が現れる。
 梅太郎が言う<世間のしきたり><お家の掟><主君への忠義>がそれだが、これらは世の中を変えようとする者の妨げになる。

 徳川幕府が滅びたのも、<世間のしきたり><お家の掟><主君への忠義>といった古い価値観が時代に合わなくなったせいであろう。
 幕末の志士たちが脱藩したのも、自分を縛りつける古い価値観が邪魔でしょうがなかったからだろう。

 歴史は、改革派と守旧派のせめぎ合いで動いていく。

 今で言えば、原発もね。
 原発を守り、推進したい原子力ムラは守旧派。脱原発は改革派。
 安倍首相もね。
 僕は嫌いですが、好意的に取れば、今の世界情勢に憲法9条は合わなくなっているから変えようとしていると言えなくもない。
 その意味では、山口出身の安倍首相は、吉田松陰的長州人ですよね。
 そんな自分に酔っているのかもしれない。
 まあ、物事にはすべてプラスとマイナスがありますから、原発や憲法9条もあることとなくなることのプラスとマイナスを考えなくてはいけないのですが。

 さて、文(井上真央)。 
 彼女はどちらかというと、寅次郎の考え方に近いようだ。
 寅次郎の考え方と同じ、久坂玄瑞(東出昌大)を叱咤し、好意を抱いた。
 黒船を見にいく行動力を持った<知行合一>の玄瑞をすごい人だと言った。

 そして、小田村伊之助(大沢たかお)。
 彼は寅次郎にこんなことを言った。

「正しい筋道で、正しいやり方で世の中を変えてみろ」

 これも歴史ですよね。
 過激なやり方で、世の中を変えていこうとするのが<革命>。
 伊之助が言うような、法に則った、正しい筋道、正しいやり方で変えていこうとするのが<改革>。

 明治維新は、大政奉還によって成し遂げられたという点で<改革>なのですが、過激な討幕運動や戊辰戦争などを見ると<革命>と言えなくもない。

 というわけで、後の歴史の萌芽が見え隠れしている『花燃ゆ』第3話。

 吉田松陰も久坂玄瑞も今までの幕末物のようなステロタイプでなく、迷いや弱さもある人間として描いている所に好感を持てます。

コメント (4)
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