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平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「アンネの日記」破損事件~「アルスラーン戦記」では<焚書>についてこう書かれている

2014年02月28日 | 小説
 『アンネの日記』の破損事件。
 本を破るということは一種の<焚書>だと思う。
 犯人がどのような人物かはわからないが、今の日本は本当に病んでるな~。

 さて、この<本を焼く行為>について、『アルスラーン戦記』(田中芳樹著)では次のように書かれている。
 ルシタニアに占領されたパルスの王立図書館の書物、千二百万巻が「邪悪な異教の書」として焼かれるのだ。
 その指揮をするのは大司教ボダン。

『ボダンの片手があがると、書物の山に油がかけられ、たいまつが投じられた。
 炎は燃えあがり、燃えさかって、千二百万巻の書物をのみこんだ。パルスの建国以前から千年にわたって蓄積されてきた人間の思惟と感性の記録が、侵入者の神によって抹殺されていくのである。
 歴史、詩、地理、医学、薬学、農事、工芸……一冊の書物が完成されるまでにそそぎこまれたであろう無数の人々の苦労や情熱が、炎の中で炭化し、灰と化していった。
 ルシタニア兵の鉄甲の列にさえぎられながら、焚書のありさまを見守るパルス人の間から、おしころした怒りと悲哀の声がもれた。
 群衆のなかに、目深く陽よけのフードをかぶった長身の男がふたり、ならんでたたずんでいた。つれにくらべてやや背の低い方が、にがい怒りをこめてつぶやいた。
「財貨をうばうというならまだしも、文化を焼きつくすとはな。もはや蛮人とすらもいえぬ。猿のやることだ」
「指揮をしている大司教とやらを見ろ、楽しげに踊りくるっている」』(角川文庫版 第1巻 P217)

 この会話をしているふたりはナルサスとダリューンだが、彼らの言葉を借りて、作家は焚書や文化を破壊する行為への怒りを表現している。
 『アンネの日記』を破損している犯人は「猿のやること」をしている頭のおかしな人間だ。

 
コメント
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