旅の淡彩スケッチ便り

水絵描きと申します。旅と絵を描くことが好きです。国内外を旅行した思い出とともに旅先で描いた絵を載せています。

河童淵とオシラサマ

2011年06月30日 | 旅行記

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遠野に泊った翌日、朝早く目覚めました。朝食まではまだ2時間近くあるのでスケッチブックを持って市内をドライブ、河童淵を訪れました。朝霧が流れ、何処からか河童が現れてくるような幻想的な風景が広がっている中で一枚絵を描きました。

河童淵の近くの伝承園という所には馬と夫婦になった娘の悲しい恋の物語で知られる馬の神様オシラサマが祀られています。河童もオシラサマも民話によく出てきますが、このような民話が生まれる背景には、遠野の豊かな自然とともに、馬と人が一つ屋根の下で暮らす曲り家での生活があったのではないでしょうか。


デンデラ野

2011年06月24日 | 旅行記

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絵は二度目の遠野旅行で泊った、たかむろ水光園の庭にある少し小ぶりの茅葺の曲り家です。このホテルの近くはデンデラ野と呼ばれています。佐々木喜善の家もすぐ近くです。

度々飢饉に襲われた遠野では、口減らしのため「姥捨て」の風習がありました。60歳を迎えた高齢者は、住み慣れた家を出て家族と別れ、このデンデラ野という所に小屋を建て集団生活をするのが村の掟だったそうです。 家を追い出された老人たちは秋の収穫期には近くの田畑に出て労働を手伝い、僅かばかりの麦や野菜などを手に入れることもあったそうですが、食べるものもろくになく、暖房設備もない掘立小屋での生活は長続きするはずもなく、厳しい冬を越せないで死んでいった人も多かったのではないでしょうか。よく見ると今はどこにでもある山間の畑になっていて、昔こんなところに悲しい物語があったとは信じられません。

タイミングよく明日25日から浅丘ルリ子、草笛光子、山本陽子などが出演する映画「デンデラ」が全国一斉に封切られるようです。どんな映画なのか興味が尽きないところです。


南部曲り家と佐々木喜善

2011年06月18日 | 旅行記

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柳田國男が遠野物語を出版して100年目に当たる昨年秋、三度目の遠野旅行をしました。遠野物語は地元の民話研究家 佐々木喜善が語った昔話を元に柳田國男が自費出版したものです。裕福な農家に育った喜善は語り部であった祖父から遠野に伝わる民話や妖怪譚を聞かされて育ったそうです。

絵はふるさと村にある典型的な南部曲り家です。人が住む母屋に続いて馬の住む所が前につき出る形で造られています。遠野市土淵にある喜善の生家も屋根こそ瓦葺に替えられていますが形は曲り家となっています。


タイムスリップ

2011年06月12日 | 旅行記

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          (画面上で左クリックすると絵が大きくなります)

リタイアしてから始めたスケッチも10年を過ぎました。今まで10人以上の先生について絵を習ってきましたが、先日、上海芸術学院出身の王軍先生という方に教えて頂きました。フランス製の大きな平筆一本で絵を描かれる独特の描き方で知られていますが、先生曰く「絵はモチ-フに似すぎても似てなくてもいけない。ちょうどその中間がいい。」と言われ目から鱗。なるほどと思いました。

我々アマチュアの場合、対象物に少しでも似せようという意識が強くなりがちで、つまらない絵になることが多いのですが、名のあるプロはモチ-フの特徴だけをうまく引き出して(描きこむところと軽く描き流すところを分けて)メリハリのある絵にしています。このあたりがプロとアマチュアの差かなと思いました。

絵は茅葺家のある遠野郊外の風景です。この界隈は明治か大正時代にタイムスリップした感があります。


牧舎風の家 その2

2011年06月06日 | 旅行記

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      (画面上で左クリックすると絵が大きくなります)

白馬4日間の旅から戻りました。コメントにも書きましたように、前半は雨でしたが後半は天気もよくなり、絶好のスケッチ日和でした。田植えの終わった水田の向こうに残雪を被った白馬三山が見える風景は見飽きることがありません。どちらかと言うと水彩よりも油彩向きの風景なのでしょうがそんなことはお構いなしに10枚近く描きました。遠野シリ-ズの後にUPしていきたいと思っています。

これも遠野郊外で見かけた牧舎風の建物です。手前の朽ち果てそうな茅葺屋根の家とのツ-ショットが面白いと思って絵にしてみました。この地方には、曲がり家と並んでこのような建物をよく目にします。

前にも書きましたが「滅びゆくものの美しさ」とでもいうのでしょうか、絵ではピカピカの新しい建物より錆びたトタン小屋や古びた古民家のほうがはるかにモチ-フになります。