桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2013・12・2

2013年12月03日 | Weblog
午前中から劇団主宰者で作演出家でもあるTさんが仕切ってくれて音響照明映像設備一式を取り外して新しく小さなイベントスペースを作る処に運んで貰う。お互い無償。業者に見積もらせたら2万円と言われて冗談じゃないとキレテしまったのだ。そんな端金だったら知り合いのTさんに有効利用して貰った方がいい。だからじゃないだろうが、別れ際にTさんがよく十年もこのスペースを維持するのに桃井は頑張ったと慰めてくれた。じーんと来る。そうだよ。俺は俺なりに頑張った。こんな小さな小さな劇場でも存在価値があるだろうと思っていたんだ。こんな小さな小さな劇場でしかできない芝居がある筈だと思っていたんだ。でもみんなはそう思ってくれなかったみたいだから仕方ないよ。続いてピアノを新しく店をやる広尾天現寺のビルに運び込む。エレベーターを使うつもりだったのが、二センチ高さが合わなくて階段での搬送ということで追加料金8200円を取られる。仕方ないことか?その後もう一度乃木坂に戻って後片付け。さっきまでは照明設備や音響設備があり、そしてピアノもあって、曲がりなりにも劇場ぽかったのに、今はガランとして何もない。のっぺらぼうだ。辛うじて二週間前に終わった芝居「パラソル」で使った非常ハシゴが天井から伸びたままになっている。そうだよな。これを使って滝沢さんが魅力的な芝居をやってくれたんだよな。そしてそのハシゴを登っていく彼女を浜田さんが複雑な顔で見送っていたんだよなと劇中のシーンを思い出して感傷的になる。もうあの時は戻らない。でも、俺はあの芝居ができてホントに幸せだった。俺はその感傷の中にしばらく時を忘れる。