桃井章の待ち待ち日記

店に訪れる珍客、賓客、酔客…の人物描写を
桃井章の身辺雑記と共にアップします。

2009・1・18

2009年01月19日 | Weblog
昨日一昨日とこの日記で「16人の少女」と書いたけど、それが「16人の女子大生」だったと分かったのは今日の公演直前だった。ニュアンスとしてどっちが危なく聞こえるか分からないけど、若い女たちには変わりない。そしてその「16人の女子大生」が着替えした時に、見えてもいい下着(ミセパン?)だったか、本物の下着だったか、そんなことはどうでもいい。とにかく、薄明かりになったカウンタースペースで「16人の女子大生」たちは二時間の公演の間、衣装替えで次から次に着替えをしたらしい。「らしい」というのは、その間俺は厨房に籠もったきり、正月に半分まで読んでそのままになっていたPオースターの「幻影の書」に没頭していたので、全くと言っていい程関心を持たずに済んだからだ。柴田元幸さんの翻訳はホント俺の生理に合う。「16人の女子大生の着替え」なんかヨソの国の出来事の様に俺をオースターの世界に耽溺させてくれた。ホント助かった。つまらない小説だったら俺はカーテンの隙間が気になって仕方なかっただろう。嘘の様にイベントが終わり灯がついたのと、小説の最後のページをめくったのが同時。前のページまで救いようのないラストだったのに、最後の最後の一行でちょっとばかり救われて、俺は厨房から二時間ぶりに出る。オースターの小説が俺の怒りを治めてくれてなかったら、俺はきっと「てめえら、ここで着替えなんかするんじゃねぇ!」と怒鳴りちらしていたに違いない。