元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

還暦をずっと前に迎えた(元)社労士の新たな挑戦!ボチボチとせこせこせず確実に、人生の価値を見出そうとするものです。

労災で病院で受診できるのは、いつまで?

2011-05-13 04:23:25 | 社会保険労務士
病院で医療事務をしていた頃の話から
 
1 病院で医療事務をしていたときの話です。労災の指定病院になっていましたので、労災で受診する患者もいましたが、その頃は整形外科が多かったですね。
 
2 ところで、労働基準監督署から、その患者は「治癒」していませんかと注意を促す文書が来ていました。症状からみて、治っているだろうという患者には、出しているみたいです。

3 労災で治療する場合の病院でかかる期間は、療養の必要が生じたときから、傷病が治癒するか、死亡するかして療養を必要としなくなるまでの期間です。労災上の「治癒」とは、かならずしも、平常の健康状態に復帰することではありません。症状が残っている場合でも、症状が安定し、症状が固定して治療の効果が期待できなくなった場合には「治癒」したことになり、労災で病院治療できるのは、そこで終了です。(この期間であれば、本人負担なしということになり、労災側から病院にその治療費は、支払われます。これを「療養給付」といいます。)あとは、障害が残ったということによる、労災の「障害給付」の対象になるのです。

4 ことばにすれば、治癒の定義も、さらに治癒後は支給しないというのは、当たり前のことのように思えますが、しかし患者さんの立場になって考えてみてください。もとの状態に戻っていないにも関わらず、治療の効果が期待できなくなったといって、治療を打ち切られるようなものなのですから・・・。本人にとっては、あと少し病院にかかったら、少しでも良くなるのでは、元に戻るのではないかという期待があります。そこは、医師の判断によるのでしょうが・・・・、支給する立場からは、いつまでも出しているわけにもいかず、「治癒」していませんかという文書を出さざるを得ないのでしょう。



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昼間、客が多くて休憩時間が取れない!!

2011-05-12 05:45:27 | 社会保険労務士
 よくある職場のケース 

1 サービス業では、昼間の休憩時間が客が多くて、取れないということがあります。私が、勤めていた職場でもよくそんなことがありました。特に、ある職場では、休憩時間とほとんど変わりなく、職場全体として、客対応におわれるということもめずらくないところもありました。

2 休憩という定義は、法律の上ではなく、行政解釈にあり、それを裁判上も認めているということになっていますが、それでは「労働者が権利として労働から離れることが保障されている時間」ということになっています。したがって、一定の昼間が休憩時間と定められていた場合に、古くて新しい問題ですが、上司の命令で交代制で誰かが電話番をしているというこことになれば、ほとんど電話がかかってきたことがないといっても、その誰かについては、休憩と認められません。

3 仮に12時から13時までが休憩時間と定められている職場で、常態的に客対応におわれているということになれば、休憩を取らせているとはいえないでしょう。特に、黙って見て見ぬふりを上司がしていた場合は、論外です。そこで、そんな場合は、休憩時間をずらすほかはないことになりますが、休憩時間は、一斉に与えるのが原則です。(休憩時間一斉付与の原則)

4 しかしながら、業種によっては、例外も認められています。運輸交通業・商業・金融広告業・映画演劇業・通信業・保健衛生業・接客娯楽業・官公署がそれです。また、これら以外の業種であっても、労使協定を結んだ場合は、認められます。これらの場合は、交代等で休憩を取らせることが可能ということになります。
 したがって、昼間の時間に休憩が取れないことになった者がいる場合は、業種の例外や労使の協定により、対応せざるを得ないことになるのでしょう。

5 では、休憩をとれなくて、そのままずるずると終了時間まで来たということもありうると思いますが、休憩は、途中付与することが当たり前です(途中付与の原則)ので、これには例外はありませんので、その時間は働いたものとして対応せざるを得ないことになるでしょう。そのため、一日8時間以上の労働時間になった場合は、時間外労働となり割増賃金が発生することになります。しかしながら、この場合は、休憩時間を与えておりませんので、割増賃金を払ったとしても、休憩時間の点で、法律違反になることには間違いありません。やはり、昼の定められた休憩時間に働いた者には、別途休みを取らせる方が利口と思われます。 

4 その際には、休憩時間は、就業規則に定められなければならないことになっていますので、別の時間に休憩を取らせる旨を就業規則に定めなければなりません。また、認められた業種以外は、労使協定を結ばなければなりません。就業規則の変更等が必要になってきます。

 
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宮崎県社労士会入会式の出席について

2011-05-11 04:25:07 | 社会保険労務士
 昨日は、宮崎県社会保険労務士会の入会式に行ってきました。社会保険労務士を名乗るためには、まず社労士会に、入らなければなりませんが、それが5月1日からとなっていたのです。その入会式と聞けば、みんな並んで、名前を呼んで、何かを渡すというようなものが想像されますが、そんな肩ぐるしいものではなく、会長、副会長さんとの昼食会です。会長さん(1人)、副会長(3名)さん全員揃われ、こちらの新人は、3月からの入会となった、私を含めて4人いました。聞けば、この昼食会の前に、役員会が行われたらしいのです。そこで、その会議室で弁当をとっての昼食会でした。
 入会者には、銀行OBや社会保険事務所出身の方もいらしゃいました。副会長は、開業20年前後それ以上のベテランぞろい、会長に至っては、開業30年を超え、非常に手広く行っていらっしゃいます。
 昼食会ですから、小1時間ほどですので、自己紹介等で時間はあっという間に過ぎてしまいました。なかなか、役員の方もいい雰囲気で、自ら、いい「会」ですよとおっしゃっていらしゃいました。 
 最後に、何か質問はないでしょうかと会長がおっしゃいましたので、そんないい雰囲気の中で、馬鹿な私、社労士の事業を行っていくうえで、「何かわからないことがあったら、教えてもらえるのでしょうか」と質問しました。(ある意味で、競争相手だよね、しかし会の継続をはかっている役員として、またベテランとして後輩の指導をしていく立場の、積極的に指導をしていこうを考えている役員さんに向かってのこの質問ですから・・どうなんでしょう、馬鹿だよね) もちろん、答えは、イエスでしたが、その後に、本当に役に立つ回答(私の質問に、本当にこの人悩んでいるんだろうなということから、本当に誠実な答えをいただきました。)がかえってきました、ありがとうございました。
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自宅の車に乗ろうとしての事故、労災として認められる?

2011-05-10 04:57:51 | 社会保険労務士
 職場で実際に起きたケガの例ですが・・・<職場の事例(労災)> 

1 私が総務課長であった、ある職場の話です。ある係長さんが、指にけがをして、病院にいったら、労災と思われるので、手続してもらったらといわれたと、診療を終えて帰ってきました。聞いてみると、朝職場に行こうと出かけようとしたのはいいのですが、自宅の車庫の車に乗ろうとして、ドアーの開閉の際に指をひっかけたとのことで、結構,相当なケガをされていました。
 
2 労災の通勤災害は、前回のコンビニの買い物で話したように、住居と就業場所の間の往復移動中の事故であることが必要です。労災の通知では、「不特定多数の者の通行を予定している場所」を通勤途上であるとしておりますので、一戸建ての住居の玄関先における事故は、住居内の災害であって、通勤途上ではないとしております。まだ自宅の中での事故だとして扱うというわけです。
 係長さんの事故も、あいにく、このケースに該当することになり、認められません。

3 病院のことを悪くいうわけではありません。私、医療事務も8年間しておりましたので、理解はしているのですが、医療事務は、診療行為に対する、医療保険としての収入計算をすることが仕事ですので、収入の計算が間違っては大変です。特に少なく計算すると、本来もらえる収入が減ることになりますので、病院の収益に響きます。正確をもっとうに、日夜努力を重ねているのが医療事務の仕事をする者の心がけです。(医療事務の仕事をしている方は、私みたいにこんなに理解している上司を持てば幸せでしょう。)

4 そこで、労災の場合は、診療の収入の計算単価が、健康保険扱いより高いのです。その計算は、診療行為ごとに点数が決められ、その点数の総計で計算し、金額に直しますが、その単価としての1点は、健康保険は10円ですが、労災の場合は12円(非課税の病院は11・5円)として計算します。ほかにも初診料や再診料、諸管理料が高く設定されております。この理由は、労災独自の特殊性で説明されておりますが、ここのところは、(財)労災情報センターのHPに詳しく載っていますので、そこに譲ります。言いたかったのは、健康保険扱いと労災認定だと収入が大きく違うということなんです。病院の職員が、まさか健康保険で受診すべきであると思っていたのに、労災であると言ったとは思えませんが、労災であってほしいというのは、そういった医療事務の立場からは、さもありなん、同じ医療事務をやっていた私としては、分からなくはありません。                     

(ただし、誤解のないように、言っておきますが、このため、労災と認定する場合については、通知で細かく決められており、恣意的に労災か否かを決めることは、できません。あくまで、最後は、請求した書類により、労働基準監督署が判断し認定します。)
 
4 最後に、一戸建てではなく、2階アパートに行くところの階段で転倒した場合は、どうなんだということですが、もう一度、2をご覧ください。「不特定多数の者の通行の場所」が通勤途上ですので、アパートの階段は、この不特定多数の通行の場所となりますので、労災として認められます。アパートでは、玄関ドアーを出たところから、通勤途上というわけです。

  

  
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仕事帰りのコンビニ買い物、ケガをしたら労災の通勤災害になる?

2011-05-09 05:11:02 | 社会保険労務士
 「ひるおび」の番組の中から(4)<ジャッジマン>

1 今日の内容は、その「ひるおび」を私が見ていたわけではなく、前3回の内容を確認するために、パソコンで見ていたら、その1週間ほどまえの3月28日(火)に放送されていたテーマがありましたので、その内容です。放送内容が全てが載せてあるわけでなく、テーマだけが載っていましたので、放送どおりかは分かりませんが、ついでに解答を載せることにしました。
 なお、前3回同様、基本的な考え方と例外を織り込みながら話をしておりますので、限定された時間でのテレビ放送よりは詳しくなっているものと思います。

2 設問は、仕事帰りのコンビニでちょっとした買い物をし、けがをしてしまったが、これは労災の通勤災害として、認められるかというものです。

3 通勤災害は、最近ではほかのケースも付け加わり、また、ほかにも必要な要件がありますが、住居と就業の場所との往復中に起きた、ケガ等であることが必要です。しかし、その通勤の途中において、就業・通勤等と関係ない目的からその合理的な経路から外れたり(「逸脱」)、通勤とは関係ない行為を行った場合(「中断」)は、いつもの経路で帰ったとしても、そのあとの災害は、基本的には通勤災害とはなりません。例えば、映画館に入ったり、デートをしたりする場合です。

4 ただし、日用品の購入等の日常生活上必要な最少限度の行為は例外とされています。惣菜等の購入やクリーニング店への立ち寄りなどです。この場合は、間違ってならないのは、買い物等の、その行為そのものの間に起きた事故については、認められません。意味するところは、その経路等を外れたことにはなるが、そのあとの帰宅については、合理的な経路に戻った場合は、それから先は、通勤災害として認めようということであって、買い物等のその外れた行為をしている間に起きた事故には、認定されないことです。
 したがって、設例では、コンビニの買い物中に起きた事故には、認められませんが、買い物の後、家に帰宅中であれば認められることになります。

5 これと対照として考えなければならないには、ちょっとした寄り道、例えば、経路の近くにある公衆のトイレを利用したり、駅構内でのジュースの立ち飲みなどは、「ささいな行為」として、もともと合理的な経路から外れたとはみなされませんので、その間に起きた事故であっても、労災として認められることになります。
 
6 いつどこで事故に巻き込まれるは分かりませんので、常に気を付けなければなりませんが、帰りのコンビニでの買い物中には、労災とはなりませんので、特に注意をしなければならないということですね。


**会社にお勤めでならない方は、労災ってそんなに大事なのということになるかもしれませんが、ケガをした場合、健康保険で医者にかかった場合は、一般には3割は自己負担しなければなりませんが、労災(正確には労働者災害補償保険法で認めた災害)の場合は、自己負担なしです。まったく、病院には支払いは必要ないことになり、勤め人にとっては、費用負担の分かれ目になりますので、重要なことなんです。


  
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