緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

100年の時を刻んだ大きな古時計

2006年10月10日 | 医療

100歳のおばあちゃまはとてもチャーミングな方。 がんを抱えつつも天寿がん。 外来でも、しっかりと話をしてくださっていました。 そして、今。 100年間動き続けた心臓が、最後の力を振り絞って全速力で走り始めました。 

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緩和ケア科に移られる前は、沢山のお子さん達(といっても、一番上の方が70代)にはそれぞれのお気持ちがあったようでした。 全員に集まっていただき、現状をどのようにとらえていらっしゃるかお話頂き、それから、私のほうから病状をお話しました。 まだ、医療的に行えることを望まれている方は月単位の予後があると思っていらっしゃいました。 それが、今、日単位で変化していることをお話し、何かの医療を行っても行わなくても残った時間に差はないことを説明したところ、皆さんに共通していたことは同じ時間なら苦痛はないようにと考えていらっしゃったことでした。

自然な形で最期は・・ というご本人の意思に、沢山のお子さん達は、心を一つにされました。 心不全があり痰が出始め、その苦痛を増強しないために、今は点滴もありません。 痰は止まりました。 少量のオピオイドで苦痛な表情も無く、ただただ心臓は鼓動を続けています。 ご家族の声が聞こえると、口をもごもご動かし、一緒に会話に参加されています。 そうした仕草に、ご家族はとても嬉しそうな表情をされます。 後僅かではありますが、とても、平和な幸せに満ちた時間がゆっくりと流れています。 

医療は、科学的な根拠に立脚したエビデンス・ベースド・メディスン、ご本人の語りの中で選択されていくネラティブ・ベースド・メディスン、ご本人の意思が確認できない時、話し合いを重ね、その中からご本人にとって最善と思われる選択を行っていくコンセンサス・ベースド・メディスンがあり、今回はまさしくこのコンセンサス・ベースド・メディスンであったと思います。 すべてのご家族が疑問を持つことなく、ご本人と同じ方向を向いていらっしゃいます。
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2 コメント

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Unknown (BONBON)
2006-10-11 05:15:07
いいお話ありがとうございます。御家族全員が同じ方向を向いていただけるといい医療が提供できますよね。そのためには我々の十分な説明が必要ですよね。特に点滴など全くしないときには・・・。先生の実力があってこのようなことができるのだと思いました。私もがんばります。
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エールありがとうございます! (aruga)
2006-10-11 21:12:56
点滴をとめて、4日目にお亡くなりになられました。ゆっくり減量すると点滴が無くなってもすぐに亡くなる訳ではなく、痰の吸引の必要もなくなり、ご家族の方はご自分達の選択が間違っていなかったと感じてくださいました。今日は、心豊かになれたよい一日でした。BONBON先生、同志としてこれからもよろしくお願いいたします。
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