緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

呼吸困難、呼吸の辛さは病態にあった対処が大切です(がん緩和ケア)

2018年01月03日 | 医療

ブログを書き始めて、4300日と1日。
随分長く書いてきたものだなあと思います。

時勢も変わり、患者さんのことや
特定の薬のことを書くことは、
以前よりまして、さらに、
難しくなってきたように思います。

それでも、緩和ケアを必要な方に届けることができ、
社会の中で活用してもらえるように、
可能な範囲で続けて行こうと思います。

どうぞ、今年も、よろしくお願いいたします。



最近、情報発信したものから
呼吸困難について・・・



呼吸が苦しいと患者さんに言われたら、
指に酸素測るために
パルスオキシメーターつけて、
酸素見て、もし、正常でも
とりあえず酸素吸入始める・・・

これは間違いだと言うことは、
かなり浸透してきているように
思います。






(有賀悦子;臨牀消化器内科 31; 818-824, 2016 )

低酸素、高二酸化炭素血症→化学受容器刺激→延髄
という経路は酸素不足などで刺激されます。

一方で、肺胞が伸びないなど伸展しないことによるもの
→(鈍痛を伝える神経のC線維を介して)機械受容器刺激
→延髄

という経路も存在し、胸水、
胸郭腫瘍浸潤(左右何れかの肺が腫瘍に鎧状に覆われてしまうような病態)、
腹水による横隔膜拳上、便秘による横隔膜拳上、
横隔膜神経障害による横隔膜運動障害などが
原因になります。

こんな時は、酸素を使うことでは改善せず、
腹腔内圧を下げることができればその処置、
ステロイドや呼吸リハビリ(腹式呼吸)、
オピオイド投与(C線維刺激を緩和)などを
検討します。

さらに、この化学受容器刺激、機械受容器刺激に加え、
高次より不安などの情動的な因子が呼吸困難を修飾(増強)します。

呼吸の辛さの緩和は、この3つの要素のアセスメントが重要で、
その上で、対応するためのプランを立てて行きます。

ご家族の立場では、室温をやや低めにする、
加湿、扇いで緩やかな風を送る、
固まっている胸郭をさする(マッサージする)など
できることもあります。

患者さんが心地よいと感じられるようでしたら、
辛い方の胸に湿布をはってみたり、
スーっとするメントールのようなにおいや
ミントやレモンバームなどのハーブを
利用してみたりすることもあります。

呼吸の辛さの緩和は本当に難しいです・・・


コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (Ras(元猫好き))
2021-04-24 17:11:17
大変お久しぶりです。
私のこと、覚えていますか?
この度、ようやく薬剤師国家試験に合格しまして、
今まさに就活をしています。
ブログをいろいろやりかえていたので、すみません。
そして、今後は、薬剤師として、よろしくお願いします。
私も薬剤師として、精一杯していきたいと思います。
返信する
Unknown (e3693)
2021-04-25 17:49:50
Rasさん

薬剤師国家試験合格、おめでとうございます!!
これからのご活躍、ご祈念しています!

aruga
返信する

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