緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

オピオイド誘発性便秘:下剤を投与していても1/3は便秘

2017年04月23日 | 医療

Opipid induced constipation
オピオイド誘発性便秘

昨年改訂されたRomaⅣ

1988年国際消化器病学会の時にローマで開催された
過敏性腸症候群の診断基準検討委員会が発展し、
機能性消化管障害の国際作業部会として設置。
Roma委員会と呼ばれています。

精神疾患の診断基準のDSM-Ⅴをモデルとして、
機能性消化管障害の診断基準を示しています。
昨年、ⅢからⅣとなった時、
オピオイド誘発性便秘が独立した項目になりました。


経口オピオイド服用患者619例
便秘は、週3日以上排便がないものとしたところ、
74%が下剤を服用していたにも関わらず
その内34%が便秘と報告しています。

http://journals.lww.com/clinicalpain/Abstract/2012/06000/A_Multi_institutional_Study_Analyzing_Effect_of.1.aspx

(Ishihara M, et al. Clin J Pain. 2012:28(5), 373-381)



便秘は、オピオイド投与開始後、
鎮痛効果が得られるより前段階で、
小腸、大腸の蠕動が抑制されることが
動物実験では示されています。

便がでなくなったら、下剤を開始すればいいか・・・
No.です。

下剤を用いていても、その1/3はコントロールされていません。







ナルデメジンはスインプロイク®として承認されています。

腸管にあるμオピオイド受容体拮抗薬です。
血中濃度の上昇はあるようですが、
その構造的に側鎖をつけているようで、
血液脳関門を越えない設計になっているようです。
腸管でのみブロックして、
薬理学的に鎮痛効果はブロックしないことで、
オピオイド誘発性便秘に効果が期待できるようです。

また、投与オピオイド量に対する増減の必要もないようで、

スインプロイク®(0.2㎎)1T 1X

と一日一回でよいのもの特徴です。
一般診療医とのコラボレーションにも
少し楽になります。

http://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med_product?id=00066855


副作用などは、インタビューフォームを待ちたいと思います。


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