緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

FDAからの警告文:貼付剤

2007年12月26日 | 医療

シリーズもので今日もいこうと思っていたのですが
ちょっと気になるニュースを見たものですので・・・
アメリカ FDA から フェンタニルパッチの警告文が流れています。
2005年の警告に続き、2回目です。
死亡事故があったようです。

Second Safety Warning on Fentanyl Skin Patch

FDA issued its second safety warning on Dec. 21, 2007, about the fentanyl transdermal system, an adhesive patch that delivers a potent pain medicine through the skin.
(中略)
Recent reports to FDA describe deaths and life-threatening side effects after health care professionals inappropriately prescribed the patch or after people used the patch incorrectly.

ここでいう不適切使用が招いた死とは、どうも、術後の疼痛ー時々の、あまり強くない頭痛に対して用いたケースと正しくない使用方法をしてしまったケース(頻回の貼替え、または、指示以上の枚数を貼ったり、パッチを上から温めてしまい吸収を促進させてしまったもの)のようでした。

Advice for Consumers

  • Fentanyl patches are only for people who are opioid-tolerant and have chronic pain that is not well controlled with other pain medicines. The patches are not to be used to treat sudden, occasional, or mild pain, or pain after surgery. 
  • Be aware of the signs of fentanyl overdose: trouble breathing, or slow or shallow breathing; slow heartbeat; severe sleepiness; cold, clammy skin; trouble walking or talking; or feeling faint, dizzy, or confused. If these signs occur, get medical attention right away.
  • If you are prescribed the fentanyl patch, tell your doctor, pharmacist, and other health care professionals about all the medicines you take. Some medicines may interact with fentanyl, causing dangerously high fentanyl levels in the blood.
  • Read the instructions on how to use the fentanyl patch in the patient information that comes with the patch (www.fda.gov/cder/drug/infopage/fentanyl/DuragesicPPI.pdf).
  • Do not use heat sources such as heating pads, electric blankets, saunas, or heated waterbeds, or take hot baths or sunbathe while wearing a patch. If your temperature is higher than 102 degrees while wearing a patch, call the doctor right away.

ちなみに、102華氏とは約39℃にあたります。

ハワイに旅行に行った前立腺がんの患者が、疼痛で現地の病院を受診したところ、オピオイドナイーブ(オピオイドをまだ始めたことがない患者さん)にも関わらず、突然フェンタニル貼付剤20mgを貼られたという話を聞きました。オピオイド消費国アメリカは本当に信じられないラフなことをやってくれると驚愕でした。日本の麻薬免許を持っている医師はこんなことはしないと思いますが・・・


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4 コメント

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米国で!? (よっしぃ)
2007-12-27 08:53:21
>突然フェンタニル貼付剤20mgを貼られたという話を聞きました。

そりゃ、命にかかわる事態になってもおかしくないですね。
この記事がきっかけとなり日本の医療麻薬の消費量が下がらないようにして欲しいですね。

麻薬消費量が多いので、気をつけて使用しないといけないって感覚がなくなってきてるのでしょうね。
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以前・・ (aruga)
2007-12-27 21:20:47
在米期間が長かったアジアの女性に少量から増量していくと言ったら、痛みを感じさせながらゆっくり増やすなんて人権侵害だと言われました。“気をつけて使用しないといけない”というより、痛みを感じさせる医療はしてはいけない→最初から多めで開始するという実態があります。
日本の医療麻薬の消費量が下がるかどうかということが重要なのではなく、除痛の質が担保されるかどうかです。量ではなく、質です!
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Unknown (HH)
2007-12-31 13:21:27
素朴な疑問です

〉痛みを感じさせる医療はしてはいけない→最初から多めで開始するという実態があります

という緩和のあり方と 
激しい副作用での苦痛をもたらす標準的(高容量)抗がん剤投与のありかたとが
大きくかい離しているような気がします。

欧米でも低容量化学療法に懐疑的と聞き及びますが
患者のQOLを最優先に考えるときの治療法に
本来低容量とか高容量という考え方はずれているようにも思えます。

医療の流れ、科学技術の方向は一体何を目指しているのでしょうか。



そんなこと、凡人が考える必要はないのかな(笑)




http://d.hatena.ne.jp/yabuinu5/20070413
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返信は・・ (aruga)
2007-12-31 20:24:43
でんでんむしの記事の方にしています。
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