緩和ケア医の日々所感

日常の中でがんや疾病を生きることを考えていきたいなあと思っています

オピオイドローテーション

2007年03月02日 | 医療

骨髄腫の方の疼痛緩和に
フェンタニル貼付剤 7.5mg
を投与していました。

もう一つすっきり痛みがとれず
オピオイドローテーションを行うことになりました。

+++++++++++++++++++
お元気でしたか?
ここをクリックお願いします。
ブログランキング「緩和ケア医の日々所感」のクリックでもどってきます。
+++++++++++++++++++

オピオイドローテーションというのは
掃除のモップにたとえられます。
あるモップで掃除をしていると
だんだん埃がとれなくなってきます。
そこで、新しいモップに変えると
また、埃がモップにつき始めます。

こんな風にして、がん性疼痛の治療に医療用麻薬は
3つの薬剤を切り替えながら投与していきます。
そうすると、一剤だけで何とかしようとするより
増量幅が抑えられます。

がんが慢性疾患になった所以です。
治療の効果から、治療をしながら
疼痛緩和をしていく期間が長くなったため
オピオイドをどのように長期間
上手に使い続けていくかということが
腕の見せ所になってきたわけです。

フェンタニル 貼付剤 7.5mg
経口モルヒネ     180mg/日
経口オキシコドン   120mg/日 
これがほぼ等力価になります。

切り替えるときは、ここから20~30%減量します。

ということで、オキシコドン100mg/日を目標にして
切り替えました。

と、すごい眠気・・・
今、40mg/日まで減量しています。

骨痛には、オキシコドンがよく効きますが、
目標値の半分以下となるとは予想を超えていました。
と、いいつつも、これで複数例の経験です。

疼痛の原因から、ローテーションの比率をもう少し
細かに調整していく必要がありそうです。

患者さんは眠い眠いとおっしゃっておりましたが、
オピオイドが1/3に減らせそうだと伝えたら
とても、嬉しそうに笑ってくれました。
+++++++++++++++++++++++++++
ここ、クリックお願いします。人気ブログランキング参加中です。
今日も、お付き合いくださりありがとう。明日も、来て下さいね。
+++++++++++++++++++++++++++


コメント (3)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 夏の花が今咲いています | トップ | 講習会。舞台表と裏で »
最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (アビシニアン)
2007-03-03 03:46:02
薬剤師です。
僕の数少ない経験では、デュロテップパッチを使用していて、レスキューが飲めなくなって、注射剤にローテーションするケースが多いような気がします。
ローテーション時には、一時的な痛みの増加がこわくて、デュロテップをはがすタイミングと
ローテーション後の薬剤の開始時間に気をつかいます。注射剤にスイッチングするときは、痛み時にレスキューを使ったら、持続注射を始める予定時間が近かったらそのまま持続注射をはじめるようにお願いすることもありますが、先生は、ローテーション時の切り替えタイミングには、どのような指示を出され、注意されているのでしょうか?
今回のブログとは関係ないのですが、3月3日の「がん疼痛緩和と医療用麻薬の適正使用推進のための講習会」に行きます。楽しみにしてます。とんちんかんな質問をするかもしれませんが...

返信する
オピオイドローテーション (fumi)
2007-03-03 09:26:26
 同僚医師の話を聞いていると、お示しくださったようなフェンタニル・パッチから他のオピオイドの経口・注射に切り替えで、等力価のはずの他のオピオイドの量が多すぎることがよくあるようです。皮膚がパッチからをキチンと吸収していなかったのではないかと思ってしまいますが、目で見て、手で触ってキチンと貼れているように見えても本当の意味で密着していないのか、未だ分かっていない関係がフェンタニル貼付剤と人体の間にあるのかなどと考えてしまいます。貴重な経験報告に感謝しています。
返信する
コメントありがとうございます (aruga)
2007-03-03 21:48:32
アビシニアンさん
ローテーション前の疼痛の状況によりますが、貼付剤を剥がしたら、同時~2、3時間遅れで、静注を1/2のスピードで開始し、12時間後(前後)にフルドースにアップしています。

fumiさん(どのような方にも“さん”で統一しており、大変恐縮ですが、さん付けで書かせていただきますことお許しください)
ご指摘の通り、安定した吸収が得られているのかという問題があります。ただ、今回のような症例を経口モルヒネからオキシへのローテーションでも経験しており、共通項が骨転移であったことから吸収率だけの問題ではないかもしれないと思っています。本当にオピオイドは奥が深い薬剤だなあと感じています。
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

医療」カテゴリの最新記事