プロメテウスの政治経済コラム

プロメテウスは人間存在について深く洞察し、最高神ゼウスに逆らってまで人間に生きる知恵と技能を授けました。

非同盟首脳会議 米国の一国覇権主義が団結を強化

2006-09-21 16:34:35 | 政治経済
「非同盟運動が事実上、再生した。新しい段階の始まりだ」―非同盟首脳会議最終日の16日、新議長国キューバのペレス外相が記者会見で強調しました。首脳会議では、首脳のほとんどが、国連憲章と国際法の擁護、多国間主義の促進を主張し、それらをふみにじる米国の単独行動主義や覇権主義的支配を批判しました。米国と同盟国の横暴という現実の世界が非同盟運動の強化を促し、米国との距離のとり方の違いを超えて団結に向かわせているのです(「しんぶん赤旗」2006年9月20日)。

「非同盟運動の再活性化」は、とりわけ三年半前の前回首脳会議以降、集中的に検討されてきた課題です。この間、イラク戦争に端的にあらわれた米国主導の先制攻撃戦略と一国覇権主義の強まりがありました。
首脳会議が採択した総括文書の一つ「ハバナ宣言」は、国際法や国連憲章の原則に基づく「多極的な世界の構築の促進」を強調し、「単独行動主義と成功裏にたちむかうために団結し、行動を強めることが、かつてなく求められている」として、全体として「反米」基調の強いものとなりました(Asahi.com2006年 9月17日)。

また「宣言」は、「現在進行中のグローバル化の過程の結果として低開発、貧困、飢餓、疎外が重大化している」とし、「すべての国々が平等な条件と機会のもとに、責任の違いはありながら、国際的な経済関係に全面的に参加すること」を求めています。
今回の首脳会議が、核軍縮などで積極的な提言をしたのも注目されます。
「宣言」は、核兵器使用政策に走る米国が核廃絶に向けた動きを妨害するなかで、期限を切った核兵器廃絶を改めて主張しました。今回初めて「新たな非核地帯の創設」を非同盟運動の目的に掲げました。

非同盟運動の再活性化には、この間の南米の変革や東南アジア諸国連合(ASEAN)、上海協力機構(SCO)、アフリカ連合(AU)などの地域共同体の発展に見られる世界各地域の情勢の変化が反映している点も見逃せません(「しんぶん赤旗」同上)。

非同盟運動は1961年25カ国で始まりました。それから45年、いまでは、アフリカのすべての国、アジア・中東のほとんどの国が参加しています。国連加盟国の三分の二に近い勢力です。東アジアで加わっていないのは、米国と軍事同盟を結ぶ日本と韓国だけです。中国はオブザーバーです。
今回の非同盟首脳会議は「行動する非同盟」を打ち出しました。世界の動きをアメリカの窓からだけ見ていたのでは時代の胎動を掴むことができません。日米安保=軍事同盟を宿命と考える固定的な発想から脱し「いかなる軍事同盟にも参加せず、すべての国と友好関係を結ぶ平和・中立・非同盟の道を進み、非同盟諸国会議に参加する」(日本共産党綱領)ことを、日本の進路として真剣に考えてみるときです。


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