プロメテウスの政治経済コラム

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習近平-バイデン電話会談  中国VS米国の力関係を占うペロシ下院議長訪台問題

2022-07-30 09:17:01 | 政治経済

 中国の習近平国家主席とバイデン米大統領が7月28日、電話会談を行った。習氏は台湾情勢を巡り「火遊び」という言葉で警告し、ペロシ米下院議長が予定する台湾訪問に強い懸念を示した。ペロシ下院議長が予定通り訪台出来るかどうか。私は、中国VS米国の現在の力関係を占うものとして秘かに注目している。

 

 リチャード・ニクソン大統領が1972年2月に中国を訪問、国交を回復させて以来、アメリカ政府は中国を承認、台湾は中国の一部だと認めてきた。中国は「一国両制」を表明している。中国はひとつだが、その中に違うシステムを存在させるということだ。それによって東アジアの均衡を作り出すことにしたと言えるだろう。その均衡をペロシ米下院議長が壊そうとしている(https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202207290000/)。

 

 アメリカは「戦争ビジネス」で、世界中に戦争を仕掛けて、アメリカ人以外の「人類の命」を駒として使い、アメリカの武器商人が儲かるという論理の中で動いている国である(https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220626-00302766)。ロシアのプーチンもウクライナのゼレンスキーもアメリカのこの作戦にまんまと嵌められた。アメリカ政府における「ナンバー・スリーの地位にある人物」(大統領後継者として、下院議長は副大統領に次ぐ地位にある)であるペロシ議長が訪台するとなれば、中米両国関係の「レッドライン」とみなされてきた「一つの中国」政策を事実上崩そうとする新たな戦争挑発である。アメリカの準植民地である日本の故安倍元首相などは喜んで「台湾有事は日本有事」などと米国の「戦争ビジネス」に自ら進んで嵌められている有様である。

 

 米下院議長が台湾を訪問する話は今回だけでなく25年前にもあった。25年前の1997年、ニュート・ギングリッチ下院議長が韓国・香港・中国・日本を経て台 湾を訪問した。米国下院議長は露骨に台湾防衛の意思を示した後、台湾に移動したが、当時の中国(江沢民時代)はこれを強く批判できなかった(http://japan.hani.co.kr/arti/international/44155.html)。

 ところが、今度は様子が全く違う。7月26日、中国国防部の譚克非報道官はペロシ訪台計画に関する記者の質問に対し、「アメリカ政府におけるナンバー・スリーの地位にある人物であるペロシ議長が仮に訪台するとなれば、一つの中国原則と中米3共同声明の規定に厳重に違反し、中国の主権及び領土保全を深刻に侵害し、中米関係の政治的基礎を厳重に破壊し、中米両国両軍関係に極めて深刻な破壊を作り出し、台湾海峡情勢のさらなる緊張のエスカレーションを導く。中国はアメリカが“台湾独立”を支持しないという誓約を実際行動で履行することを要求し、ペロシ訪台をアレンジすることは許されない。仮にアメリカが独断専行するならば、中国軍隊は絶対に指をくわえて見過ごすことはあり得ず必ず強力な措置を執って、いかなる外部勢力の干渉及び「台湾独立」の分裂策謀をも挫折させ国家主権と領土保全を断固防衛する」と述べた(https://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2022/1487.html)。

 

 「中国軍隊は絶対に指をくわえて見過ごすことはあり得ず、必ず強力な措置を執る」とは穏やかではない。中国は、ペロシが訪台を強行するときは実力阻止する不退転の方針であることを明言したのである。25年前の中国VS米国の力関係が大きく変わったことを暗示している。アメリカばかりに尻尾を振って中国を敵にまわしている今の日本のままでよいのかどうか分岐点に立っているように思う。ペロシ下院議長訪台の成り行きが注目される。


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