Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

セプザイリス

2014年07月12日 | ひとりごと
いやー、思いのほか時間がかかった。
AN69STを使った持続腎代替療法用の膜が7月に日本で発売されると聞いていたので、そろそろかなと思ってググってみたのだけど、全然その情報が見つからない。
やっとこさ、発売元がGambroで、商品名がSepXiris(すごい名前だ)ということが分かり、これでググってみたけど、やっぱり見つからない。
そして最後に、”セプザイリス”で調べたら、見つかった!
そりゃそーだ。日本だもん。カタカナだよね。

保険収載は7月だけど、発売はこの秋らしい。そしていくつか、驚きの事実を発見。

まず、適応疾患。
・重症敗血症及び敗血症性ショックの患者
・敗血症、多臓器不全等の疾患又は病態を伴う急性腎不全の患者、あるいはこ れらの病態に伴い循環動態が不安定になった慢性腎不全の患者
おお!
敗血症だけで使用可能でんがな!

ちなみに、PS膜(商品名はエクセルフロー)の適応は、
・敗血症、多臓器不全、急性肝不全、急性呼吸不全、急性循環不全、急性膵炎、熱傷、外傷、術後等の疾患又は病態を伴う急性腎不全の患者
・これらの病態に 伴い循環動態が不安定になった慢性腎不全の患者
なので、腎不全は必要。

そして値段。
28,500円で、あれ、ちょっと高い気がすると思ったら。
有用性加算 (ハ)10%
って書いてありまんがな!

医療機器は薬剤に比べて保険が通りやすいとは言っても、治験は必要で、その結果はこの中医協の書類にもちょっとだけ書いてあるけど、文献にはなっているのかな。とりあえず、図を一つ見つけた。34例中13例でAPACHE IIが36点以上というのは、ものすごい重症な症例群。普通、よほどセレクトしない限りそんな重症例を集めるのは難しい。スコアリングに問題があった可能性が捨てきれない。

PubMedで"AN69ST"で調べてもほとんど文献がない。
膜寿命が長くて抗凝固剤が不要という話が主で、でもCRRTではこの結果

値段が同じなら、単に選択肢が増えただけだから使いたい人は使えばいいんじゃんと思っていたのだけど、値段が高いとなると、もう選ぶ理由が無いじゃないか。。。

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2016年追記:こっちも読んでね。
2017年追記:こっちこっちこっちも読んでね。
2019年追記:こっちも読んでね。
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