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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

集中治療医に向いている人/向いていない人

2025年03月23日 | 勝手に紹介
元ヤフーエンジニア社長が考える、ITエンジニアに向いている人/向いていない人
(何度見ても、元ヤンキーに見えてしまう)

まとめ
ITエンジニアに向いている人の特徴 ✅
・問題解決が好き
・学習意欲が高い
・論理的思考ができる
・コツコツ作業が得意

ITエンジニアに向いていない人の特徴 ❌
・学ぶのが嫌い
・細かい作業が苦手
・コミュニケーションが極端に苦手
・結果がすぐに出ないと飽きる

この"ITエンジニア"の部分を"集中治療医"に変えても成立すると思う。
特に、「コツコツ作業が得意」、「細かい作業が苦手」の部分。

この本の第1章を担当した時に参照しまくったこの文献にも、
”the best critical care doctors are those who pay attention to detail. Some smart critical care doctors have never learned that.”との記載があるしね。
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「ついに来た」感のあるニュース

2025年02月28日 | 勝手に紹介
「中国テンセントが集中治療室向けAI、5秒で病状を把握し1分でカルテ作成」

おおお。複数の意味で「さすが中国」だ。
是非お読みください。ICUに関与する人で興味のない人はいないはずだから。

この記事によると、
・知識の提供、検索ができる
・患者の状態についての情報を収集してサマライズ表示、かつ治療の提案
・自動でカルテ記載

一つ一つの機能はこれまでも報告があるように思うけど、
・それらを一つの大規模モデルが行っている
・かつすでに臨床で利用されている
というのが驚き。

このサービス自体が日本に入ってくる可能性は低いでしょう。
同様の仕組みが国内で開発されて倫理・法的な問題がクリアされて利用可能になるのはいつか?
全然わからないけど、実は思いのほか遅いのではないか。10年とか余裕でかかるのではないか、という気もする。
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論文の書き方についてのいろいろな意見

2025年01月26日 | 勝手に紹介
自治さいたまICUのTEAMSで紹介された動画を見た。
僕も論文の書き方について何度か書いたけど、プロはやっぱり違うなと思った。

【必ずacceptされる医学英語論文執筆のコツ 基礎コース「初心者も安心、論文執筆の心構えと準備」】_康永秀生 2024医学英語論文執筆セミナー
【必ずacceptされる医学英語論文執筆のコツ 発展コース「なぜあなたの論文はacceptされない?」】_康永秀生 2024医学英語論文執筆セミナー

そしたら、Googleからこのページが紹介されたので、こっちも読んでみた。
初めて論文を書くあなたへ_論文執筆の際に頻回に行ったアドバイスをまとめました.私が目指す格好いい論文を書くためのtipsです.

どちらも、いかに採用される論文を書くか、を目的としているのだけど、康永先生は「Simple is best」、こちらの方は「キャッチーであること」を重要視している。僕はどちらかというと「キャッチー」派。康永先生の動画を見ていて10%くらい僕の意見とは異なる部分があって、うーん、考え直した方がいいかなーと思っていたので、ちょっと安心。

意見に違いがあるのは当然。採用される論文の絶対的ルールというものはなく、editorやreviewerが自分で判断しているから、なんとなくの原則はあっても100%同じということはない。だから投稿する側も経験することが少しずつ異なり、その結果として論文の書き方についての意見も少しずつ異なる。

でも逆を言えば90%は同じ。だから初学者は、というか自分の意見をしっかり持てるようになるまでは、先人の知恵に耳を傾けた方が絶対に得ですよ。動画を見た後に恥ずかしくなって過去の記事を消そうかと思ったけど、少しは役に立つかもと思い直した。

ということで過去ログ(新しい順)。
論文執筆は図表が全て。
Peer reviewを500回やって思うこと。
文献の書き方:データを手に入れてから原稿が出来上がるまで
IntroductionとDiscussionの書き方
論文の表の書き方
"Mom, I did it!"な研究
英語で論文を書くということ
文献執筆と食品偽装
Plagiarismとは盗用/剽窃という意味
文献を書くことは、ダンスのようだ。
文献の執筆は料理と同じ
コメント (2)
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CCR Down Under 2024

2024年12月12日 | 勝手に紹介
が、昨日と一昨日、開催された(プログラムはこちら)。開催地は僕の第二の故郷、メルボルン。
合計8つの研究が発表されたようで、今のところ、そのうち5つがJAMAとNEJMからonline pubされた(5つ目はこの記事を書いている最中に来た)。
以下がそのリスト。

Dark P, Hossain A, McAuley DF, et al.; ADAPT-Sepsis Collaborators.
Biomarker-Guided Antibiotic Duration for Hospitalized Patients With Suspected Sepsis: The ADAPT-Sepsis Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2024 Dec 9. Epub ahead of print. PMID: 39652885.


English SW, Delaney A, Fergusson DA, et al.; SAHARA Trial Investigators on behalf of the Canadian Critical Care Trials Group.
Liberal or Restrictive Transfusion Strategy in Aneurysmal Subarachnoid Hemorrhage.
N Engl J Med. 2024 Dec 9. Epub ahead of print. PMID: 39655786.


Arleth T, Baekgaard J, Siersma V, et al.; TRAUMOX2 Trial Group.
Early Restrictive vs Liberal Oxygen for Trauma Patients: The TRAUMOX2 Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2024 Dec 10. Epub ahead of print. PMID: 39657224.


RENOVATE Investigators and the BRICNet Authors.
High-Flow Nasal Oxygen vs Noninvasive Ventilation in Patients With Acute Respiratory Failure: The RENOVATE Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2024 Dec 10. Epub ahead of print. PMID: 39657981.


Arabi YM, Alsaawi A, Alzahrani M, et al.; SCREEN Trial Group and the Saudi Critical Care Trials Group.
Electronic Sepsis Screening Among Patients Admitted to Hospital Wards: A Stepped-Wedge Cluster Randomized Trial.
JAMA. 2024 Dec 10. Epub ahead of print. PMID: 39658862.


研究内容とは別に、思ったことがたくさん。

・CCRのミーティングは生放送される。メルボルンだと時差が2時間しかないので、見ようと思えば生で普通に見れた。今もオンラインで全部見れる(合計18時間以上だけど)。研究発表を見るだけならもう現地に行かないでいい、と改めて思う。

・年に2回もCCRが開かれて、そこでこんなにたくさんのRCTが発表されたら、もう他の学会では発表されなくなったりしないだろうか。実際、ESICM2024での発表数は以前より少なかった印象だし。

・Online pubも早い。メールが届いた時間とプログラムを見比べると、発表開始10分でアラートが来たりしている。実際、アラートが来て、ああCCR down underやってるのかと思いWebサイトに行ったら、まだその研究のディスカッションをしていた。文献で新しい情報を早く知りたいだけなら発表をオンラインで見る必要すら無くなった。

・集中治療領域の多施設RCTが本当に増えた。年齢的なもの、臨床を離れているから、というのは否定できないが、さすがにこれだけ増えると、全部を記憶して頭の中で整理しておくのは誰でも難しいのではないか。

・実施された国が白人の国ばかりじゃないし、いつものメンバーでもない。実際、この5つにはANZICS-CTGは入っていないし、一つはブラジル、一つはサウジだし。車輪の両輪のはずなのに、日本は片方だけ大きすぎないか?
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臨床変数の追加がSOFAスコアの予測精度に及ぼす影響

2024年11月25日 | 勝手に紹介
自治さいたまから。
ちょっと前に掲載されたのだけど、紹介し忘れていた。

Yawata S, Nishiyama S, Ono S, eta l.
Assessing the impact of additional clinical variables on SOFA score predictive accuracy: a retrospective cohort study.
Anaesthesia. 2024 Nov 7. Epub ahead of print. PMID: 39511712.


機械補助をSOFA 4点で計算しても精度は向上しないよ、というletter。
この文献を読んだ時にすぐ思いついたのだけど、やる人がいなくてアイデアを寝かしていたら、そろそろSOFA 2.0が出そうな気配が出てきたせいかリジェクトされまくった。でも悪くない雑誌に採用してもらって一安心。

「研究はナマモノ」であることを再認識しました。
皆さんもお気をつけあれ。

ちなみに僕の名前は著者数の制限をくらってAcknowledgementsに移動しています。
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集中治療の巨人が日本の若手研究者へ贈るーProf Bellomo

2023年09月04日 | 勝手に紹介
Dr. Bellomoの動画はいくつもあるし(これとかこれとか)、今回もいつもとメッセージは同じなのだけど、なんか、ちょっと泣きそうになった。

集中治療の巨人が日本の若手研究者へ贈るーProf Bellomo

この動画が彼の他の動画とちょっと違う感じがするのは、日本の若い医師向けに、分かりやすい英語で自分の思いを伝えようとしているからかな。さすがにほとんどの人は泣きそうにはならないと思うけど、とても大事な話をしてくれているので、ぜひ見てください。

"Research is a fundamental part of intensive care that you cannot do clinical treatment and clinical practice without research in university-affiliated ICUs. It's like not having a blood gas machine...It's your generation's job to make that happen in the next 20 years so that Japan can be productive in EBM trials."

日本に帰ってきたのが2003年なので、ちょうど20年前なんだよね。
彼の元に留学した最初の日本人として、非常に恥ずかしいし、非常に申し訳ないと思う。

方法は難しくない。
1:グループを作る
2:小さい研究をする
3:そこで得たノウハウを使って、より大きい研究をする

日本のICUの研究ほとんどは、2で止まってしまうか、初めから大きな研究をしようとして空中分解するかのどちらか。
3が大事。とにかく大事。

若者よ、申し訳ないが、頼む。
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それをしたらダメ!NG事例から学ぶ臨床研究デザイン

2023年07月12日 | 勝手に紹介
JIPADのデータを使って、自治さいたまの若き研究者と一緒にやっている研究がある。入室24時間以内に行った検査Xは患者予後を改善するかについての検討で、登録症例を検査施行群と非施行群に分け、propensity matchingして予後を比較したところ、検査Xを行った方が予後が良いという結果だった。ちなみに、対象患者を全ICU患者にすると日本のICUの特徴である予定手術の1泊2日がたくさん入ってきて重症度が極端に低くなってしまうので、24時間以内に生存退室した患者は除外した。
この研究は、自治医大から最近東大に移った笹渕くん(自己紹介がまだ自治のままだよ)に統計のサポート(Rの使い方とか)をしてもらっているのだけど、草稿がほぼ完成した段階で読んでもらったところ、「immortal time biasが発生するので24時間で退室した全例(つまり死亡例も)を除外する必要がある」という指摘を受けた。もうほぼ書き終わっているから許してくれとゴネたのだけどダメと言われ、諦めて若者に解析を全部やり直してもらったところ、なんと結果がひっくり返り、検査Xは予後を改善しない、という結論になった。

いやー、ICUの研究でチョロい予定手術を除外するのはありがちだと思うので、自分では気が付かなかった。Immortal time bias、やっぱり怖いね。24時間以内に死亡した人は検査Xをする時間がなかった、もしくはする価値がないと判断されたので、検査非施行群の死亡率を上げてしまう。そしてその差はmatchingしても消えない。
「笹渕くん」なんてもう呼べない。これからは「笹渕大先生」とお呼びすることにする。東大の准教授先生だし。

で、その大先生がお書きになった本が、本日発売されます!

出版社から僕のところに数日前に送られてきた。
大先生からの献本なので、当然のことながら正座して読ませていただき、ここにその感想を述べさせていただきたいと思う所存でございます。

「はじめに」の最初に書いてある通り、この本は研究初心者向け。研究の準備から発表まで、33種類の陥りやすい落とし穴について、分かりやすい例をあげながら説明している。その代わり、難しい統計学とかの情報についての記載はほとんどなく、例えば脱落症例への対応として多重代入法を行うとバイアスを減少させることができる、とは書いてあるけれど、多重代入法についての説明はゼロ。良い意味で徹底しているなーと思った。さすがに僕的に知らないことはほとんど書いてなかったので、1時間強で全部読めたけど、これから研究を始めようと思っている人、トライしたけど挫折してしまった人でもそれほど時間はかからずに読めるのではないか。
どの項目も、「そうそう、こういう間違いするよね」と思うものばかり。ということは、この本は研究初心者が対象の本ではなく、研究初心者は必読の本ということだ!

たった一つ、問題があることに気がついた。
なんでピンク?
とくにコラムなんて全部ピンク。老眼には読みずらい。

あ。
研究初心者に老眼はいないか?

あ。
もう一つ気がついた。
落とし穴の13番目はimmortal time bias。
「そんな初歩的なことを間違えるお前は、この本を読んで勉強しろ」というメッセージか!
ブログで紹介してくれという依頼かと思ったら、違ったか!
むむむ。言い返せない。。。
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「了解しましたは失礼」と集中治療

2023年02月19日 | 勝手に紹介
無茶なタイトル。

「了解しました」は無礼なので「承知しました」を使いましょう、という話には違和感が強く、僕は頑なに「了解しました」を使い続けている。でも、自分が受け取るメールやSNSでは「承知しました」が100%なので、流石に肩身が狭くなってきた。仕方ないので諦めるか、でもその前に少し調べるか、と思ってググってみた。
そうすると、「了解しました 承知しました」で検索すると「了解しましたはマナー違反」というサイトばかり出てくるけど、「了解しました 失礼 嘘」と検索するとこれもたくさん出てくることが分かり、その中でも有名なサイトがあることを知った。僕以外にも知らない人もいるかもしれないので紹介。

「了解しました」より「承知しました」が適切とされる理由と、その普及過程について
過去のWEBメディアを検索し、かつ1980年以降のマナー本数十冊を調べたところ、
・ある人が、2000年代に「了解しました」より「承知しました」の方がいいと感じるようになり、そのことをマナー本で書いた
・2010年に発売されたマナー本でこの記述が参照され、この本が5万部売れた
・WEBサイトで多く取り上げられるようになり、加速度的に広まって”常識”化した
ということが分かったと。

僕はこれからも頑なに「了解しました」を貫こうと決意しつつ、たった一人の意見が日本中で常識化するってすごいなと思いつつ、これって医学や集中治療の世界にもあることだなと思った。

その典型は、やっぱり"CHDF"でしょう。
1990年代にある人が言い出し、単なる持続の腎代替療法としてではなくサイトカイン除去という積極的な治療法として日本でブームになった。2000年代に入り、主に海外で多くの研究が行われ、予後を改善しないどころかサイトカインの血中濃度も下げないことが示され、臓器不全のサポート目的で持続腎代替療法=CRRTとして定着したけど、未だにCRRT=CHDFと思っている(特に集中治療を専門としていない)人たちは残存している。自治さいたまのCRRTの基本選択はCHDなのだけど、つい先日、ある患者さんにCHDFが行われていて、副部長がその理由を聞くと、当直だった医師が「患者の主治医が炎症の除去のためにCHDFをしてほしいと言ったので」と返事をしていた。30年以上も言葉と概念が使用され続けているって、すごいことだよね。

僕も残せるなら何か残してみたいけれども。
AKIの日本語は「急性腎障害」じゃなくて「急性腎傷害」ですよ、というのを普及しようとしたけど失敗したし。もうリタイアしちゃったし。諦めてICUの隅で静かに座っていることにします。
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肺内を泳ぐマイクロロボットが肺炎を治療

2022年10月11日 | 勝手に紹介
肺内を泳ぐマイクロロボットが肺炎を治療

元文献はこちら。
Zhang F, Zhuang J, Li Z, et al.
Nanoparticle-modified microrobots for in vivo antibiotic delivery to treat acute bacterial pneumonia.
Nat Mater. 2022 Sep 22. Epub ahead of print. PMID: 36138145.


おお。。。
挿管チューブから人工の藻を撒く時代が来るかも??
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Critical care physiology in resuscitation: Rinaldo Bellomo

2022年09月23日 | 勝手に紹介
Critical care physiology in resuscitation: Rinaldo Bellomo
つい最近、知り合いに教えてもらった。
4年前の動画なんだけど、全然知らなかった。

クソ面白い。
たった15分なので是非ご覧あれ。
内容は、
"physiological gain is immensely seductive in ICU where we all practice a new art called numerology"
を、ぐうの音も出ないレベルで説明している。

ちなみに、
"how lucky are you to be such a doctor?"
でプレゼンが終わる。
さて、どんな医者だと言っているでしょう?
これまた、ぐうの音も出ないよ。
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