先週も、面白い文献がいくつかあった。
Hakim SM, Othman AI, Naoum DO.
Early Treatment with Risperidone for Subsyndromal Delirium after On-pump Cardiac Surgery in the Elderly: A Randomized Trial. Anesthesiology. 2012 May;116(5):987-97. PubMed PMID: 22436797.
CABG術後でせん妄になりそうな高齢者にリスペリドンを投与すると、せん妄の発生率が減った、というRCT。せん妄についての研究はたくさんあるが、RCTは多くない。
Cao GQ, Kang J, Wang F, et al.
Intrapleural Instillation of Autologous Blood for Persistent Air Leak in Spontaneous Pneumothorax in Patients With Advanced Chronic Obstructive Pulmonary Disease.
Ann Thorac Surg. 2012 Mar 27. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 22459543.
COPDの自然気胸で、トロッカーを入れても治らなかった患者さんに、自分の血液を胸腔内に入れると気胸が治る、というRCT。これまた、ケースシリーズはちょっとあったけど、RCTは初めて?
Meltzer EC, Gallagher JJ, Suppes A, Fins JJ.
Lip-reading and the ventilated patient.
Crit Care Med. 2012 May;40(5):1529-31. PubMed PMID: 22430239.
広範囲熱傷で気切されて、上肢も拘縮してしまって、コミュニケーションがとれない患者さんに、読唇術が出来る人を呼んでコミュニケーションがとれた、というケースリポート。ICUではコミュニケーションが困難な患者さんが多いから、読唇術ができたらいいなー、と思うことは多い。でもちょっと悲しいお話。
Casserly B, Gerlach H, Phillips GS, et al.
Evaluating the use of recombinant human activated protein C in adult severe sepsis: Results of the Surviving Sepsis Campaign.
Crit Care Med. 2012 May;40(5):1417-1426. PubMed PMID: 22430247.
SSCGのデータベースを用い、活性化プロテインC(APC)が投与されたかどうかで予後にどのような影響が出たかを検討。APCは登録された15000名のうち8%に投与された。予後に関連する因子を調節すると、APCの投与は有意に死亡率を減少させた(OR 0.76)。
ご存知の通り、昨年10月に発表されたPROWESS-SHOCKの結果を踏まえ、APCはマーケットから消えた。
この文献は、PROWESS-SHOCKの結果が出る前にCCMにアクセプトされたようで、にもかかわらず何故今頃掲載されたかというと、どうも書き直しが行われたらしい。だからDisucssionにはPROWESS-SHOCKについての記載がある。
さらに、この文献についてのeditorialでは、これまでの研究との比較や、ガイドラインとはどのように作られるべきか/使用されるべきかについて議論している。
Zilberberg MD, Shorr AF.
Surviving sepsis: A time for "don't just do something, stand there" philosophy?
Crit Care Med. 2012 May;40(5):1468-9. PubMed PMID: 22511129.
いやー、難しい話。
難しいので、ゴールデンウィークには向かなそうなので、この話はおしまい。
ちなみに、日本集中治療医学会が敗血症診療についてのガイドラインを作成し、
このブログの執筆時点で、パブリックコメントを募集中。
http://www.jsicm.org/guide120426.html
さて。
これで今週はおしまいにしようかと思ったのだけど、ちょっと短い。
以前にも書いたのだけど、
一応、文献を読むことを趣味としていて、そこそこの数を毎年読んでいる(つもり、もしくはフリをしている)。
http://blog.goo.ne.jp/druchino/e/32682204dd1f6f6e3cce7c6130472804
こんな生活をもう10年以上続けていて、ふと、何故続くんだろうと考えてみた。
・患者さんを救うには知識が必要だと思い込んでいるから
・ブログの執筆や勉強会の主催を継続するために必要だから
・自分の専門性(AKI、RRT)を維持するために情報をアップデートする必要があるから
・研究のアイデアや参照文献が得られるから
・他人が知らないことを知ると優越感を感じるから
・単純に、面白いから
ちょっと自虐的な気もするが、全部ですかね、やっぱ。
患者さんを救うには知識が必要だから、ではない。だって、証明されてないでしょう?
文献を読んだ数と患者予後との関係とか、聞いたことないし。
一番の理由は、最後から2番目だったりして???
でも、読もっと。
みんなも読めよ。
Hakim SM, Othman AI, Naoum DO.
Early Treatment with Risperidone for Subsyndromal Delirium after On-pump Cardiac Surgery in the Elderly: A Randomized Trial. Anesthesiology. 2012 May;116(5):987-97. PubMed PMID: 22436797.
CABG術後でせん妄になりそうな高齢者にリスペリドンを投与すると、せん妄の発生率が減った、というRCT。せん妄についての研究はたくさんあるが、RCTは多くない。
Cao GQ, Kang J, Wang F, et al.
Intrapleural Instillation of Autologous Blood for Persistent Air Leak in Spontaneous Pneumothorax in Patients With Advanced Chronic Obstructive Pulmonary Disease.
Ann Thorac Surg. 2012 Mar 27. [Epub ahead of print] PubMed PMID: 22459543.
COPDの自然気胸で、トロッカーを入れても治らなかった患者さんに、自分の血液を胸腔内に入れると気胸が治る、というRCT。これまた、ケースシリーズはちょっとあったけど、RCTは初めて?
Meltzer EC, Gallagher JJ, Suppes A, Fins JJ.
Lip-reading and the ventilated patient.
Crit Care Med. 2012 May;40(5):1529-31. PubMed PMID: 22430239.
広範囲熱傷で気切されて、上肢も拘縮してしまって、コミュニケーションがとれない患者さんに、読唇術が出来る人を呼んでコミュニケーションがとれた、というケースリポート。ICUではコミュニケーションが困難な患者さんが多いから、読唇術ができたらいいなー、と思うことは多い。でもちょっと悲しいお話。
Casserly B, Gerlach H, Phillips GS, et al.
Evaluating the use of recombinant human activated protein C in adult severe sepsis: Results of the Surviving Sepsis Campaign.
Crit Care Med. 2012 May;40(5):1417-1426. PubMed PMID: 22430247.
SSCGのデータベースを用い、活性化プロテインC(APC)が投与されたかどうかで予後にどのような影響が出たかを検討。APCは登録された15000名のうち8%に投与された。予後に関連する因子を調節すると、APCの投与は有意に死亡率を減少させた(OR 0.76)。
ご存知の通り、昨年10月に発表されたPROWESS-SHOCKの結果を踏まえ、APCはマーケットから消えた。
この文献は、PROWESS-SHOCKの結果が出る前にCCMにアクセプトされたようで、にもかかわらず何故今頃掲載されたかというと、どうも書き直しが行われたらしい。だからDisucssionにはPROWESS-SHOCKについての記載がある。
さらに、この文献についてのeditorialでは、これまでの研究との比較や、ガイドラインとはどのように作られるべきか/使用されるべきかについて議論している。
Zilberberg MD, Shorr AF.
Surviving sepsis: A time for "don't just do something, stand there" philosophy?
Crit Care Med. 2012 May;40(5):1468-9. PubMed PMID: 22511129.
いやー、難しい話。
難しいので、ゴールデンウィークには向かなそうなので、この話はおしまい。
ちなみに、日本集中治療医学会が敗血症診療についてのガイドラインを作成し、
このブログの執筆時点で、パブリックコメントを募集中。
http://www.jsicm.org/guide120426.html
さて。
これで今週はおしまいにしようかと思ったのだけど、ちょっと短い。
以前にも書いたのだけど、
一応、文献を読むことを趣味としていて、そこそこの数を毎年読んでいる(つもり、もしくはフリをしている)。
http://blog.goo.ne.jp/druchino/e/32682204dd1f6f6e3cce7c6130472804
こんな生活をもう10年以上続けていて、ふと、何故続くんだろうと考えてみた。
・患者さんを救うには知識が必要だと思い込んでいるから
・ブログの執筆や勉強会の主催を継続するために必要だから
・自分の専門性(AKI、RRT)を維持するために情報をアップデートする必要があるから
・研究のアイデアや参照文献が得られるから
・他人が知らないことを知ると優越感を感じるから
・単純に、面白いから
ちょっと自虐的な気もするが、全部ですかね、やっぱ。
患者さんを救うには知識が必要だから、ではない。だって、証明されてないでしょう?
文献を読んだ数と患者予後との関係とか、聞いたことないし。
一番の理由は、最後から2番目だったりして???
でも、読もっと。
みんなも読めよ。