Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

感染した医療者の初期症状

2020年04月19日 | COVID-19
一昨日のJAMA。
Nは48と少ないけど、初期症状の頻度というのは珍しいのでは。

Research Letter
Symptom Screening at Illness Onset of Health Care Personnel With SARS-CoV-2 Infection in King County, Washington
Eric J. Chow, Noah G. Schwartz, Farrell A. Tobolowsky, et al.
JAMA. Published online April 17, 2020.


・発熱だけでスクリーニングすると、40%程度。
・よく言われる咳と息苦しさを加えても80%に届かない。
・さらに咽頭痛と筋肉痛と寒気を加えると90%。
・65%は初期症状が出てから中央値で2日間働いていた。

以前、WHOが感染予防に大事な5つとして、
Face, Elbow, Hand, Distance, Feel
と言っていた。
最初の4つは分かりやすい。最後のFeelというのは、自分の症状に注意しろという意味。

なんか風邪っぽいけど熱がないからOK、ではない。
いつもと違う、と感じたら休みましょう。
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ちゃんとやっていれば医療者は感染しない。

2020年04月16日 | COVID-19
今日のNEJM。
これ、すっごく大事な情報だと思う。

Death from Covid-19 of 23 Health Care Workers in China

・中国の死亡例のうち23例は医療者。
・年齢の中央値は55歳、17例が男性、18例は武漢。
・11例は退職後の再雇用。
・13例は内科医、8例は外科医、検査技師が1例、看護師が1例。
・COVIDの診療に直接あたっていた呼吸器内科医は2名、感染症科医はゼロ。
そしてなによりも、
・COVIDの診療を助けるために湖北省に行った42600例のうち、3月31日の段階で感染した人はゼロ。

つまり、
"sufficient precautions with rigorous enforcement can prevent health care workers from becoming infected with SARS-CoV-2 and the subsequent risk of death."
ということ。

繰り返しますけど、4万人でゼロ。死亡者じゃなくて感染者がゼロ。

ICUというところは、COVIDの診断がついているか疑われている患者さんだけが来るところ。当然、ちゃんとした防備が行われている(はず)。
日本でもICUの看護師が感染したというニュースはちらほらあるようだけど、どれもICUで防御しながら感染したということではないようだ。

ICUで働く皆さん、自信を持って言えます。
あなたは感染りません。
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COVID陽性の敗血症性ショックにPMX

2020年04月15日 | COVID-19
US FDA Approves an Investigational Device Exemption for Spectral Medical PMX to Treat COVID-19 Patients Suffering from Septic Shock

まだTigris trialが進行中だけど、COVID-19陽性の敗血症性ショックに対してPMXを使用することを、FDAが特別に認可したそうだ。
PMXは無料で提供されるそうだ。
COVID症例におけるエンドトキシシン活性の上昇、およびPMXによる治療効果が、日本、イタリア、アメリカから報告されているそうだ。

おおお。。。
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東京都の発症年齢の分布

2020年04月14日 | COVID-19
東京は若い人の発症が多いというのはテレビで見たけど、それがどう推移しているか、ふと気になった。
そこで、東京都のデータを使って、週毎の推移をグラフにしてみた。

縦軸の変化が大きすぎて分かりにくいので、パーセント表示。

20代未満が極端に少ないこと、そして20-50代の割合がだんだん増えているのがよく分かる。

品川駅があんなに混雑している間は、ピークは来ないかもしれない。。。
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イタリア北部のICU患者の疫学

2020年04月07日 | COVID-19
お。
ついにイタリア北部の大きいデータがでーた。

Baseline Characteristics and Outcomes of 1591 Patients Infected With SARS-CoV-2 Admitted to ICUs of the Lombardy Region, Italy
Giacomo Grasselli, Alberto Zangrillo, Alberto Zanella, et al.; for the COVID-19 Lombardy ICU Network
JAMA. Published online April 6, 2020.


多くがまだICUにいるので死亡率の計算はできないけど、どの報告を読んでも退室患者より死亡患者の数が多い気がする。
ボリス・ジョンソン、大丈夫だろうか。。。
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ICNARCからCOVID-19のICU患者についてのレポートが出た。

2020年04月06日 | COVID-19
ICNARCとはイギリスのICUのデータベース。
規模はもしかしたら世界一。

Report on 2249 patients critically ill with COVID-19

2000を超える症例について、16ページにわたって情報を提示している。

ロンドンのICNARCのオフィスは当然のことながらほとんど人はいないらしい。
それでもこんなレポートが作れるなんて、しかも1週間毎に更新しているなんて。
そもそもデータが集められるのもすごいし。
唖然とする。

現在入手できるICU患者の疫学情報としては最大だと思う。
ざっと表を見てみたらどうか。
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「心停止時は蘇生しないように言われています」

2020年04月05日 | COVID-19
BMJのニュース。

BMJ 2020;368:m1282 doi: 10.1136/bmj.m1282 (Published 29 March 2020)
Covid-19: Doctors are told not to perform CPR on patients in cardiac arrest
Elisabeth Mahase, Zosia Kmietowicz


イギリスの1地域での話。
COVIDが疑われた患者の救急外来での心停止で、かつスタッフがPPEを着用している場合以外はCPRはしないこととなっているそうだ。
さすがイギリス、これで話は終わらず、CPRでのエアロゾルの発生の有無についての議論など、多くの人の意見が記載されている。
もちろん、どうするべきかの結論は出ない。

日本も、いよいよこういうことを考えないといけない状況になってきた。
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病院内でのマスクの着用

2020年04月02日 | COVID-19
マスクについてはちょっと発言したので、こちらも。

Perspective
Universal Masking in Hospitals in the Covid-19 Era
Michael Klompas, Charles A. Morris, Julia Sinclair, Madelyn Pearson, and Erica S. Shenoy.


患者診療時以外での病院内でのマスクの継続的な着用のメリットとデメリットをまとめた、意見。
状況によって違うし、もちろん、答えなんかない。
でも、することもしないこともデメリットがあることは認識している方がいいかな、と思う。
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AKI後の蛋白尿と腎機能の悪化

2020年04月01日 | 腎臓
Hsu CY, Chinchilli VM, Coca S, et al.
Post-Acute Kidney Injury Proteinuria and Subsequent Kidney Disease Progression: The Assessment, Serial Evaluation, and Subsequent Sequelae in Acute Kidney Injury (ASSESS-AKI) Study.
JAMA Intern Med. 2020;180(3):402–410.


退院3ヶ月後の尿蛋白は、中央値4.7年のフォローアップ中の腎機能悪化をよく予測した(AUC=0.82)。入院中のAKI発症は腎機能悪化の有意な因子ではなかった(HR=1.47)。

面白いもので、振り子が一度逆に振れ始めると、どんどん研究が出てくる。
不思議だ。

でもちょっと大事な話。
このことはいつも頭に置いておかないとね。
流行に流されてはいけません。
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