Badawi O, Liu X, Hassan E, et al.
Evaluation of ICU Risk Models Adapted for Use as Continuous Markers of Severity of Illness Throughout the ICU Stay.
Crit Care Med. 2018 Mar;46(3):361-367. PMID: 29474321.
eICUで収集された50万例以上のデータを使って、APACHE IVやSOFAを毎時間計算したらどうなるか、という研究。
でこの研究のeditorialがこれ。
Maslove DM.
With Severity Scores Updated on the Hour, Data Science Inches Closer to the Bedside.
Crit Care Med. 2018 Mar;46(3):480-481. PMID: 29474330.
基本的に、big data万歳、という内容。
そりゃ確かに、データが全部電子化されているんだから、重症度スコアを自動的にどんどん計算していくことは可能だ。
お金さえあれば、今すぐ誰でも自分のICUに導入できる。
でも、話はそんなに簡単じゃない。
・GCSは観察された値ではなく、薬の影響を除いて推測しないといけない。これは機械にはできない(少なくとも今は)。
・バイタルのデータは嘘が多い。A-lineがなまったり、呼吸数がちゃんと測定されていなかったり。それを人が直したり確定したりすることになっているけど、ちゃんとできていることろはほとんどない。
・酸素化を評価するには血液ガスは動脈のデータしか使えない。でも検体種別を入力していないところは多いし、していても間違えたりする(デフォルトで動脈になっていて、それを静脈に直し忘れたりとか)。おかしな値だったので再検したら古いデータは消さないといけないが、消し忘れる。
つまり、例えばAPACHE IIを算出する時に必要なデータのうち、自動化しても信じられるのは一部のラボデータのみ。
さらに、
・APACHEは入室24時間の最悪値から予測死亡率を計算するので、24時間以前、もしくは24時間以降に算出されたスコアからは計算できない。
・循環作動薬の情報が含まれていない。薬なしで低血圧な人より、すっごい量の昇圧剤を使って血圧を維持している人の方がきっと予後は悪い。
・状態の変化を考慮に入れることが難しい。経時的に測定されているスコアが20から22になった人と、24が22になった人とでは、多分予後は違う。
人が入力したり修正したりしないとデータの質が維持されず、かつ人が関与するがためにデータの質が悪化するのが現状。
この問題をクリアして、かつ既存のスコアのことは一旦全部忘れて、経時的に予後を予測するまったく新しいツールを作らないと、少なくとも臨床利用は無理でしょう。研究にはなるけどね。
とか言っている間に、すっごいAIがこんな指摘なんか全部クリアしてしまうんだろうか。
Evaluation of ICU Risk Models Adapted for Use as Continuous Markers of Severity of Illness Throughout the ICU Stay.
Crit Care Med. 2018 Mar;46(3):361-367. PMID: 29474321.
eICUで収集された50万例以上のデータを使って、APACHE IVやSOFAを毎時間計算したらどうなるか、という研究。
でこの研究のeditorialがこれ。
Maslove DM.
With Severity Scores Updated on the Hour, Data Science Inches Closer to the Bedside.
Crit Care Med. 2018 Mar;46(3):480-481. PMID: 29474330.
基本的に、big data万歳、という内容。
そりゃ確かに、データが全部電子化されているんだから、重症度スコアを自動的にどんどん計算していくことは可能だ。
お金さえあれば、今すぐ誰でも自分のICUに導入できる。
でも、話はそんなに簡単じゃない。
・GCSは観察された値ではなく、薬の影響を除いて推測しないといけない。これは機械にはできない(少なくとも今は)。
・バイタルのデータは嘘が多い。A-lineがなまったり、呼吸数がちゃんと測定されていなかったり。それを人が直したり確定したりすることになっているけど、ちゃんとできていることろはほとんどない。
・酸素化を評価するには血液ガスは動脈のデータしか使えない。でも検体種別を入力していないところは多いし、していても間違えたりする(デフォルトで動脈になっていて、それを静脈に直し忘れたりとか)。おかしな値だったので再検したら古いデータは消さないといけないが、消し忘れる。
つまり、例えばAPACHE IIを算出する時に必要なデータのうち、自動化しても信じられるのは一部のラボデータのみ。
さらに、
・APACHEは入室24時間の最悪値から予測死亡率を計算するので、24時間以前、もしくは24時間以降に算出されたスコアからは計算できない。
・循環作動薬の情報が含まれていない。薬なしで低血圧な人より、すっごい量の昇圧剤を使って血圧を維持している人の方がきっと予後は悪い。
・状態の変化を考慮に入れることが難しい。経時的に測定されているスコアが20から22になった人と、24が22になった人とでは、多分予後は違う。
人が入力したり修正したりしないとデータの質が維持されず、かつ人が関与するがためにデータの質が悪化するのが現状。
この問題をクリアして、かつ既存のスコアのことは一旦全部忘れて、経時的に予後を予測するまったく新しいツールを作らないと、少なくとも臨床利用は無理でしょう。研究にはなるけどね。
とか言っている間に、すっごいAIがこんな指摘なんか全部クリアしてしまうんだろうか。