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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

インシデントでもチョコでもない方の、M&M

2025年02月20日 | ひとりごと
注:下記の文章にはやや極端な表現や根拠に必ずしも基づいていない内容が含まれる可能性があります。

知ってますか?
Midazolam & Morphineのことです。
僕的にはMorbidity and MortalityよりこっちのM&Mの方が先だった。

2000年から3年間、オーストラリアのICUにいたのだけど、当時そこの挿管患者の鎮痛鎮静は全例でM&Mだった。すでにfentanylもpropofolもあったけど、単純にコストの問題でM&Mが選択されていた。当然のことながらどちらも腎障害で蓄積されていくので(そしてICUに腎障害のない患者さんなんかいないので)、まず2mg/hrずつで開始して、貯まってきたら1/1にして、morphine単剤にして、0.5にして、なんていうのが一つのパターンだった。そうなんですよ。結構多くの挿管患者さんはmorphine 0.5mg/hrのみで管理できちゃうんですよ。これ、もしかしたら知らない人は驚くかも?
帰国して、2004-2006年に働いていたところにもM&Mを導入した。みんな普通に使っていた。「M&M始める?オッケー」と何度ナースに言われたことか。

MidazolamとPropofolの比較はたくさんある。主に20世紀に行われ、それらをまとめたメタ解析が2001年に発表されて、"lack of evidence of superiority"とか言われてたりする。ベンゾが譫妄の原因になるという話が出たのはその後で、さらにはDexmedetomidineが出てきて、譫妄の予防効果の可能性とかも言われちゃったりして、何となく現在のDEX > Prop > MDZという順位づけができた。

これに比べてopioidにはこういう歴史的な流れに基づいた順位づけがない。一時期、remifentanilが出た時に少しざわついたけど、fentanylに比して明らかな優位性が示せず、騒ぎはおさまった。ちなみにこの記事を書くためにPubMedをあさっていたら、こんなsystematic reviewもあった(読んでないから内容はしらんけど)。最近日本でICUでの使用が認可されてまた耳にするようになったけど、僕的には過去の薬の一つだったので、ちょっと驚いた。高い、ボーラスできない、突然オフできない、同じルートから抗菌薬を落として意識がなくなった、などなど、やっぱり過去の薬だった。文献で昔盛り上がり、"過去の薬"判定を下したのに、日本で復活した薬といえばアレと同じじゃないか、なんて思ったりする。
Fentanylとmorphineとなるといよいよ比較はなく、つい最近、やっとこんな研究が行われた。Introductionに、
"Despite widespread use, no controlled randomized studies have compared fentanyl with morphine infusions for analgosedation in adult mechanically ventilated patients in the ICU."
と書いてあって、これを信じるなら初のRCTが2021年に発表されたことになる。で、結果を見るとちょっとFentanylの方が良さそう。ただしEditorialには「本当に退院時のオピオイド依存がfentanylの方が多いならmorphineの方がいいんじゃね?」とか書いてあるし、この研究のpost-hocでfentanylの方が譫妄が多い可能性も示唆されていたりして、何とも言えない感じ。それ以前に二施設のphase IIだし。

実際、国際的には鎮痛鎮静の選択ってどうなっているんだろう?と思い、できるだけ最近の疫学データを探したら、これが見つかった。2019年に行われたブラジルのアンケート研究なのだけど、2番目に参加者が多い国はフランスで20%、3番目がインドで10%なので、結構国際的。色々な結果があってダイレクトには答えてくれないけど、例えば選択される鎮痛剤はfentanyl > morphine > remifentanilの順で、想像通り。

まあ、つまり何が言いたいかというと、
最近フェンタの供給不足で困った困ったと聞くけれど、単純に「じゃ、モルヒネで」って言えば終わりじゃね?
と思うのですよ。ただし、RASSなどできっちり評価して、投与量の調節(特に減量)はちゃんとしないといけない。RASS-4と記録したけど何も言わないナースや、それを見ることすらない医者ばかりの病院では難しいかも。

注:上記の文章にはやや極端な表現や根拠に必ずしも基づいていない内容が含まれています。


タイトル:「ICUの挿管患者の持続鎮痛はモルヒネ使っとけばいいじゃん」 by ChatGPT-4o
やはり日本語が下手。
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