Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

記録達成!

2014年04月30日 | ひとりごと
パンパカパーン。
ブログ開始(2010年5月)以来、始めて一ヶ月全部埋めた(左のカレンダー参照)。
それを記念して、今日はその報告だけでおしまい。ふっふ。

明日から4年目に突入。
さて、いつまで続くだろ。

いやいや、目指せ海老蔵で行くぜ。
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IVCフィルターの生命予後への影響

2014年04月29日 | 循環
Muriel A, Jiménez D, Aujesky D, et al.; RIETE investigators.
Survival Effects of Inferior Vena Cava Filter in Patients with Acute Symptomatic Venous Thromboembolism and a Significant Bleeding Risk.
J Am Coll Cardiol. 2014 Feb 24. [Epub ahead of print] PMID: 24576432.


RIETE studyという、静脈血栓塞栓(VTE)のレジストリ(4万例以上)を使用して、出血性リスクのためにVTEに対してIVCフィルターが挿入された344例を、プロペンシティマッチングでフィルターを挿入されなかった症例と比較。総死亡率は有意差無し(6.6% vs. 10.2%, p=0.12)だけど、PEによる死亡率は有意に減少(1.7% vs. 4.9%, p=0.03)、DVTの再発は10倍(6.1% vs. 0.6%, p<0.001)。

IVCフィルターについての根拠が乏しい話は去年した

知らなかったこととしては、PREPIC 2 studyという、IVCフィルターについてのRCTが終了していて、結果発表待ちだということ。
楽しみだすな。
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ICU-AWのレビュー

2014年04月28日 | 神経
Kress JP, Hall JB.
ICU-acquired weakness and recovery from critical illness.
N Engl J Med. 2014 Apr 24;370(17):1626-35. PMID: 24758618.


NEJMのCritical Care Medicineシリーズ第9弾。
多分、ジャーナルクラブ行きでしょう。

さっき気がついた。
NJEMのホームページに、このCCMシリーズをまとめたページがあるんだね。
これからは自信を持って第○弾って言えるわ。
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新しい薬に対してどのような態度をとるべきか

2014年04月27日 | ひとりごと
 新薬は、既存の薬剤が抱える問題、もしくは既存の薬剤では解決できない問題を解決する(少なくとも減らす)ために作られる。以前に比べ新薬の承認プロセスは厳しくなっており、既存薬剤に対する新薬の有効性は質の高いエビデンスに基づいている場合が多い。しかし、新薬を臨床で使用する場合に気をつけなければいけない点は少なくない。
 まず、既存の薬剤に比べ高額である。これは発売までに要したコストが高いため仕方がない。にもかかわらず、臨床使用期間が短いため、その有用性および安全性が既存薬剤に比べ不明確である。副作用が少ない、効果が高いという理由で持て囃されても、結果として既存薬剤と同程度ということが後になって判明する事も稀ではない。更には、承認プロセスに問題があったりなどしたために、発売後に承認が取り消される事も起こりうる。また、全然別の話として、人は新しいものが好きであること、および製薬会社は新薬を売る努力を惜しまないという事についても、その重要性を強調しておきたい。
 端的に言ってしまえば、明確な有効性が示されている(ごく稀な)場合を除き、“新薬は原則として使用しない”でも構わない。製薬会社以外が作成したエビデンスが増え、その新薬のポジションが明確になってから使い始めればよい。製薬会社の宣伝に飛びつき、結果的にコストが高いだけで既存薬剤と同程度だった、もしくは効果がなかった、最悪の場合は有害だったことに後になって気がつくよりも、よっぽどましである。

ふむ。
日本語の推敲は必要だけど、言いたい事は分かってもらえるかな。
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VAE vs. VAP in オランダ

2014年04月26日 | 呼吸
Klein Klouwenberg PM, van Mourik MS, Ong DS, et al.; MARS Consortium.
Electronic Implementation of a Novel Surveillance Paradigm for Ventilator-associated Events. Feasibility and Validation.
Am J Respir Crit Care Med. 2014 Apr 15;189(8):947-55. PMID: 24498886.


オランダの2施設で行われた前向き観察研究。電子カルテを用いてVAE(VACとかIVACとか)を診断。同時にVAPの診断もこれまでの方法で行った。2296例中、VAC, IVAC, VAE-VAP(VAPとVAEの両方を満たした), VAPの発生頻度は1000日あたり10.0, 4.2, 3.2, 8.0だった。VAP症例のうちVACと診断されたのは32%だった。死亡率のオッズ比は、3.9, 2.5, 2.0, 7.2だった。

VACとVAPの一致が乏しいのはこれまでの報告と同じだし、VAEのサーベイランスの基準はそもそもVAPを見つけるのが目的ではないし、別に構わないのだけど。

さすがに、VACよりもVAPの方が死亡と関連が強いとか、VAPとVACが一致した症例の死亡率がとても低いとかになってくると、VAEの基準って何?と思ってしまう。それに、IVACは言ってみたらVAP的な位置にあるはずなのに、単なるVAC(感染以外の理由で人工呼吸器の設定が悪化した)よりも死亡率が低いのであれば、IVACを減らす努力の意義も乏しくなってしまう。

VAPの診断は主観的で比較ができない。だからもっと客観的なVAEという基準で比較しよう。
そこまでは良かったけど。
VAEが思ったよりも死亡と関連が乏しく、かつVAEを減らす方法がなさそう(原因が雑多なので)となると、どうなんだろう。
そうそう、editorialにも書いてあるけど、一所懸命に人工呼吸器をウィーニングしようとすればするほど、元に戻す(設定が悪化する)頻度も増えるので、サーベイランスとしての意義(施設の質の比較)も難しいよね。

ちょっと、静観した方がよさそうなんじゃないかな。

あ。
そもそもVAEって何?という方は、こちらをどうぞ。
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ICUナースと患者予後

2014年04月25日 | ICU・システム
Kelly DM, Kutney-Lee A, McHugh MD, et al.
Impact of critical care nursing on 30-day mortality of mechanically ventilated older adults.
Crit Care Med. 2014 May;42(5):1089-95. PMID: 24368346.


アメリカの303の病院に入院した55159例の人工呼吸症例が対象。
複雑なので、要約がちょっと難しい。具体的な研究方法は本文参照のこと。結果だけ書くと、
患者さんの30日死亡率が、
・ICUナースの労働環境が良いと11%減少
・大学出身者が10%増える毎に死亡率が2%減少
・ICUナースと患者の比率、ナースの経験年数は予後と関係無し
だった。

まず、患者ナース比はどこの施設も似たようなものなので、差が出なくて当たり前。
著者が最大のポイントの一つだと思っているのは、大学出身者の割合と予後との関係について。
でもこの点については、外国の話なので、そのまま他の国には当てはまらないでしょう。

それよりも。
ICUナースと予後との関係についての研究って、思いのほか少ないんだよね。
こういう研究、日本でも誰かやったらいいのに。
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多施設観察研究とIRB

2014年04月24日 | EBM関連
Polito CC, Cribbs SK, Martin GS, et al.
Navigating the institutional review board approval process in a multicenter observational critical care study.
Crit Care Med. 2014 May;42(5):1105-9. PMID: 24368345


USCIITG-CIOSという、アメリカのICUの多施設観察研究(特に介入は無い)に参加した施設に対して、IRBの対応がどうだったかについて調査。回答した36施設のうち、8施設ではIRBの審査が免除、24施設では簡略化(expedited)、4施設では普通にやった。4施設ではinformed consentを取らないことについて懸念が示され、1施設ではIRBを通過しなかった。IRBの書類を作った方については、4分の1の人がIRB書類作成に不慣れで、通過までの期間は不慣れな人の方が長かった(97 vs. 29日)。

同じ研究なのに、何でこんなに対応が違うんだろうか。
日本でも不思議に思うけど、アメリカでも同じなんだな。
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人工呼吸患者さんをどれくらい動かしているか

2014年04月23日 | 呼吸
Nydahl P, Ruhl AP, Bartoszek G, et al.
Early mobilization of mechanically ventilated patients: a 1-day point-prevalence study in Germany.
Crit Care Med. 2014 May;42(5):1178-86. PMID: 24351373.


ドイツの116のICUで、2011年のある1日に人工呼吸管理を受けていた783例が対象。そのうち24%がベッドから起きていた(ベッドの端に座るか、それ以上)。挿管患者は8%、気切患者は39%、NPPV患者は53%。

結論は、8%じゃ少ないね、増やさないといけないね、というもの。
日本で同じ研究したら、もっと少なそうだなー、と思った。

この文献のエディトリアルは、

Clemmer TP.
Why the reluctance to meaningfully mobilize ventilated patients? "The answer my friend is blowin' in the wind".
Crit Care Med. 2014 May;42(5):1308-9. PMID: 24736350.


というタイトル。ボブディランの1962年の曲。

Yes, how many deaths will it take till he knows, that too many people have died?
The answer my friend is blowin’ in the wind. The answer is blowin’ in the wind.

著者が何を言いたいかというと、人々が患者さんに危害を加えるのをやめる前に、どれくらいの文献が発表されないといけないのか。
そして、何故人々が考えを変えないのかについて書いている。
つまり、鎮静して寝かせていないで、どんどん動かせよ、ということ。

ちょっとねー、ここまで言われるとねー。
逆に、じゃあやらない、とか思ってしまう。
だって、風邪引いたら家でおとなしくしてるじゃん。
肺炎で呼吸不全だと動いた方がいいの?
とかね。

いや、どんどん鎮静しましょう、とは思わないのよ。
ただね。
早期リハビリは最近の流行で、ちょっと根拠のレベルに比べて加熱している気がするのよね。
それだけ。
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日本の消化管穿孔術後のPMX

2014年04月22日 | 消化器・血液
Iwagami M, Yasunaga H, Doi K, et al.
Postoperative polymyxin B hemoperfusion and mortality in patients with abdominal septic shock: a propensity-matched analysis.
Crit Care Med. 2014 May;42(5):1187-93. PMID: 24365858.


日本のDPCデータを用いた後ろ向き研究。下部消化管穿孔で入院当日に手術を受け、ドーパミンかノルアドを必要とした2925例が対象(当日か翌日に死亡した症例は除外)。そのうち642例が当日か翌日にPMXを受けた。PMXを受けた症例と受けなかった症例をプロペンシティスコアを用いてマッチングした結果、590例ずつが対象となった。28日死亡率はPMXが17.1%、非使用群が16.3%(p=0.696)。いろいろサブグループ解析しても同様の結果。全例を対象として普通に多変量解析してもオッズは1.1で有意差無し。

結果はさておき。
下部消化管穿孔で手術をしてショックになった患者さんのうち22%がPMXを受けたという数字は始めて見た。多いか、少ないか、うーん。
それと、なんとドーパミンが80%以上に使用されていた。こっちの方が驚きだったりして。まあ、2007年から2011年のデータなので、許してあげるか。
いや、ちょっと待てよ?
普通に多変量解析をすると、死亡率に対するノルアドのオッズ比が1.42(p=0.043)。そっか。ノルアドは体に悪いんだね。

ちなみにこの文献のエディトリアルを書いているのはDr Cruz。
あのJAMAの文献のfirst authorであらせられます。
そのDr Cruzが、
In Japan, PMX is often used in postsurgical patients who are on noradrenaline or dopamine and that this population overall has a reasonably good prognosis. PMX is clearly not beneficial in this type of patient.
と言ってます。

早く結果が知りたいな、これこれ
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敗血症は増えているのか

2014年04月21日 | 感染
Rhee C, Gohil S, Klompas M.
Regulatory Mandates for Sepsis Care - Reasons for Caution.
N Engl J Med. 2014 Apr 16. [Epub ahead of print] PMID: 24738642.


NEJMのperspective。2ページちょっとの短い文章。アメリカの敗血症の現状について。

・アメリカでは、2000年から2008年の間に敗血症が倍になった。
・プロトコルやバンドルがどんどん導入されていて、政策としても進められていて、地域によってはプロトコルの遵守率の報告が義務化されたりしている。
・現在の敗血症の疫学情報は保険病名に基づいているけど、人々の敗血症に対する関心が高くなっているし、お金が支払われるようになったりしているので、正確とは言えない。
・敗血症の主な原因である疾患の推移:肺炎は減少傾向、腹腔内感染/尿路感染/血流感染は同じくらい。
・プロトコルなどを強制するとデメリットも起こる。例えば、感染症じゃないのに早期に抗菌薬が投与されたりとか。
・敗血症のサーベイランスも、ventilator associated eventsのように客観的にやった方がいいのでは?

という話。
図が綺麗。
敗血症が増えた、死亡率は減った、というのは嘘くさい、というのがよく分かる。

明日からはCCMばっかりの予定。
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