早速、文献の紹介を。
今回は、Clinical Infectious Diseasesから。
Validation of the infectious diseases society of america/american thoratic society minor criteria for intensive care unit admission in community-acquired pneumonia patients without major criteria or contraindications to intensive care unit care.
Chalmers JD, Taylor JK, Mandal P, Choudhury G, Singanayagam A, Akram AR, Hill AT.
Clin Infect Dis. 2011 Sep;53(6):503-11. PMID: 21865188
長いタイトルですが、
つまりは、ISDA/ATSの市中肺炎のガイドライン:
Infectious Diseases Society of America/American Thoracic Society consensus guidelines on the management of community-acquired pneumonia in adults.
Mandell LA, Wunderink RG, Anzueto A, et al.; Infectious Diseases Society of America; American Thoracic Society.
Clin Infect Dis. 2007 Mar 1;44 Suppl 2:S27-72. PMID: 17278083
の中に、市中肺炎のICU入室適応についての記載があって、
メジャー基準(人工呼吸もしくは昇圧剤の必要性)はuniversally acceptedだから良いとして、マイナー基準、具体的には、
・呼吸数が30以上
・P/F比が250以下
・複数の肺葉に陰影
・意識障害
・BUNが20以上
・白血球が4000以下
・血小板数が10万以下
・体温36度以下
・補液が必要な低血圧
がICU入室と関連するか、という研究。
スコットランドの複数(いくつなんだか分からない)の病院の救急外来にやってきた肺炎患者のうち、メジャー基準を満たすか、治療制限などの理由でICU入室の適応無しと判断された患者を除いた1062名について検討。
その結果、マイナー基準のAUROCが、人工呼吸もしくは昇圧剤の必要性の予測に対しては0.85、ICU入室に対しても0.85、そして30日死亡に対しては0.78だった。
そして、その結果は、市中肺炎の重症度スコア(PSIとかCURB65とかSMART-COPとかSCAPとか)と比べても見劣りしなかった、という内容。
で、思ったこと2つ。
一つは、AUROCが0.85と言っても、病棟に行ってから具合が悪くなってICUに来ることに対する感度と特異度は80%くらいで、つまりはこれだけで判断するのは無理、ということ。マイナー基準を3つ以上満たしたらICU適応、というのがガイドラインでの記載らしいけど、そんな単純には決められない。あとで具合が悪くなるかどうかを入院時の情報で予測するのは難しい。
もう一つは、universally acceptedなメジャー基準。このuniversallyって、スコットランドでは一般的に、という意味なのか、国際的にどこでも、という意味なのか、どっち?
少なくとも日本では、人工呼吸器も昇圧剤も一般病棟でバンバン使っているのではないだろうか。
諸外国の状況を見たり聞いたりすると、どうもこんな状況なのはほぼ日本だけのようなのだけど、それを知っている日本人はどれだけいるんだろう???
ちなみに、最近の緑雑誌にこんな文献が載りました。病棟で人工呼吸器を使用されている患者さんの状況について。お時間があれば、どうぞ。
一般病棟における人工呼吸器使用症例に対する全身管理の現状:各種ガイドラインとの比較
瀧浪將典、内野滋彦、鹿瀬陽一、他
日本集中治療医学会雑誌 Vol.18 No.3 JULY 2011; 417-8
今回は、Clinical Infectious Diseasesから。
Validation of the infectious diseases society of america/american thoratic society minor criteria for intensive care unit admission in community-acquired pneumonia patients without major criteria or contraindications to intensive care unit care.
Chalmers JD, Taylor JK, Mandal P, Choudhury G, Singanayagam A, Akram AR, Hill AT.
Clin Infect Dis. 2011 Sep;53(6):503-11. PMID: 21865188
長いタイトルですが、
つまりは、ISDA/ATSの市中肺炎のガイドライン:
Infectious Diseases Society of America/American Thoracic Society consensus guidelines on the management of community-acquired pneumonia in adults.
Mandell LA, Wunderink RG, Anzueto A, et al.; Infectious Diseases Society of America; American Thoracic Society.
Clin Infect Dis. 2007 Mar 1;44 Suppl 2:S27-72. PMID: 17278083
の中に、市中肺炎のICU入室適応についての記載があって、
メジャー基準(人工呼吸もしくは昇圧剤の必要性)はuniversally acceptedだから良いとして、マイナー基準、具体的には、
・呼吸数が30以上
・P/F比が250以下
・複数の肺葉に陰影
・意識障害
・BUNが20以上
・白血球が4000以下
・血小板数が10万以下
・体温36度以下
・補液が必要な低血圧
がICU入室と関連するか、という研究。
スコットランドの複数(いくつなんだか分からない)の病院の救急外来にやってきた肺炎患者のうち、メジャー基準を満たすか、治療制限などの理由でICU入室の適応無しと判断された患者を除いた1062名について検討。
その結果、マイナー基準のAUROCが、人工呼吸もしくは昇圧剤の必要性の予測に対しては0.85、ICU入室に対しても0.85、そして30日死亡に対しては0.78だった。
そして、その結果は、市中肺炎の重症度スコア(PSIとかCURB65とかSMART-COPとかSCAPとか)と比べても見劣りしなかった、という内容。
で、思ったこと2つ。
一つは、AUROCが0.85と言っても、病棟に行ってから具合が悪くなってICUに来ることに対する感度と特異度は80%くらいで、つまりはこれだけで判断するのは無理、ということ。マイナー基準を3つ以上満たしたらICU適応、というのがガイドラインでの記載らしいけど、そんな単純には決められない。あとで具合が悪くなるかどうかを入院時の情報で予測するのは難しい。
もう一つは、universally acceptedなメジャー基準。このuniversallyって、スコットランドでは一般的に、という意味なのか、国際的にどこでも、という意味なのか、どっち?
少なくとも日本では、人工呼吸器も昇圧剤も一般病棟でバンバン使っているのではないだろうか。
諸外国の状況を見たり聞いたりすると、どうもこんな状況なのはほぼ日本だけのようなのだけど、それを知っている日本人はどれだけいるんだろう???
ちなみに、最近の緑雑誌にこんな文献が載りました。病棟で人工呼吸器を使用されている患者さんの状況について。お時間があれば、どうぞ。
一般病棟における人工呼吸器使用症例に対する全身管理の現状:各種ガイドラインとの比較
瀧浪將典、内野滋彦、鹿瀬陽一、他
日本集中治療医学会雑誌 Vol.18 No.3 JULY 2011; 417-8