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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

査読の課題と未来

2025年03月29日 | EBM関連
Bauchner H, Rivara FP.
The Challenges and Future of Peer Review.
Crit Care Med. 2025 Mar 26. Epub ahead of print. PMID: 40135970.


先日紹介したこの研究のeditorial。概算すると、2025年は1000万のpeer reviewが行われることになると。
そりゃ無理だわ。AIの活躍が今以上に明確になり、許容されていくことでしょう。2023年のGPT-4ですらこの性能を出せてたし。

Peer review関連の過去ログリスト(古い順)。
Peer reviewの効果
投稿された論文のレビュープロセス
著者のCOIは査読に影響するか、を調べたRCT
生成AIが査読プロセスに浸透しつつある。
Peer reviewを500回やって思うこと。
研究者はpeer reviewをする義務がある。
ピアレビューの受諾と完了に対する金銭的インセンティブの効果


記事の内容とはまったく関係なし。
なんか流行ってるらしいので、「集中治療室をジブリ風に描いて」とChat先生にお願いしてみた。
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ピアレビューの受諾と完了に対する金銭的インセンティブの効果

2025年03月12日 | EBM関連
これはちょっと珍しい研究ではないか?

Cotton CS, Alam A, Tosta S, et al.
Effect of Monetary Incentives on Peer Review Acceptance and Completion: A Quasi-Randomized Interventional Trial.
Crit Care Med. 2025 Mar 6. Epub ahead of print. PMID: 40047491.


CCMのpeer reviewの依頼時に250$のインセンティブをつけるかどうか2週間おきに切り替えるquasi-RCTを実施した。その結果、peer reviewの受諾率が47.8%から52.7%に上昇、review期間が1日短縮し、reviewの質には影響がなかったと。

なんと。たった5%しか増えないとは。約4万円もらえるなら、僕なら喜んでやっちゃうのに。仮に4時間かかったとしても時給1万円だし。週1回やったら年200万だし。
アメリカのお医者さんはお金持ちなのね。
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p値による死:クリティカルケア研究におけるp値への過度の依存

2025年03月03日 | EBM関連
つい先日、ベイズ嫌いと言ったら、こんなの出てた。

Patel S, Green A.
Death by p-value: the overreliance on p-values in critical care research.
Crit Care. 2025 Feb 11;29(1):73. PMID: 39934845.


P値がギリギリ0.05を下回らなかったからといって、研究は死にません。
「惜しかったー、N少なかったー、次頑張ろう」とか、「誰か頑張ってくれー」とか思うでしょ。
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集中治療系と麻酔科系雑誌のimpact factor 2023

2025年02月01日 | EBM関連
2011年5月から開始したこのブログ。昨年のクリスマスイブに開設5000日を達成。人気になることもなければ、かと言って完全に廃れることもなく、毎日500人の訪問と1000ページの閲覧をいただいている。何度もやめようと思ったし今も思っているが、たまーにお褒めの言葉をいただくのでなんとか継続中です。

gooブログでは過去3ヶ月の記録が見られるので、試しにどの記事がもっとも読まれているのかを調べてみた。そしたら、2位とは3倍近くの差をつけてこの記事がダントツの1位、毎日平均10人が閲覧していることが判明。そんなに需要?があるのなら、最新版の方が役に立つかと思い、毎年作っている表をコピペして、こっちにリンクを貼ることにした。

集中治療系:雑誌名にcritical careかintensive careが含まれているもの+CHEST+SHOCK
INTENSIVE CARE MEDICINE 27.1
AMERICAN JOURNAL OF RESPIRATORY AND CRITICAL CARE MEDICINE 19.3
CHEST 9.5
CRITICAL CARE 8.8
CRITICAL CARE MEDICINE 7.7
Annals of Intensive Care 5.7
Intensive and Critical Care Nursing 4.9
Pediatric Critical Care Medicine 4
Journal of Intensive Care 3.8
Anaesthesia Critical Care & Pain Medicine 3.7
Current Opinion in Critical Care 3.5
JOURNAL OF CRITICAL CARE 3.2
Neurocritical Care 3.1
CRITICAL CARE CLINICS 3
Nursing in Critical Care 3
JOURNAL OF INTENSIVE CARE MEDICINE 3
Intensive Care Medicine Experimental 2.8
AMERICAN JOURNAL OF CRITICAL CARE 2.7
SHOCK 2.7
Australian Critical Care 2.6
SEMINARS IN RESPIRATORY AND CRITICAL CARE MEDICINE 2.3
Journal of the Intensive Care Society 2.1
Critical Care Nurse 2
AACN Advanced Critical Care 2
Critical Care Research and Practice 1.8
Acute and Critical Care 1.7
Indian Journal of Critical Care Medicine 1.5
Canadian Journal of Respiratory Critical Care and Sleep Medicine 1.5
Critical Care Nursing Clinics of North America 1.4
Critical Care and Resuscitation 1.4
Dimensions of Critical Care Nursing 1.4
Trends in Anaesthesia and Critical Care 1.4
Journal of Emergencies Trauma and Shock 1.2
ANAESTHESIA AND INTENSIVE CARE 1.1
Critical Care Nursing Quarterly 1

麻酔科系:雑誌名にanesthかanaesthが含まれているもの
ANESTHESIOLOGY 9.1
BRITISH JOURNAL OF ANAESTHESIA 9.1
ANAESTHESIA 7.5
REGIONAL ANESTHESIA AND PAIN MEDICINE 5.1
Journal of Clinical Anesthesia 5
Best Practice & Research-Clinical Anaesthesiology 4.7
ANESTHESIA AND ANALGESIA 4.6
Korean Journal of Anesthesiology 4.2
EUROPEAN JOURNAL OF ANAESTHESIOLOGY 4.2
Anaesthesia Critical Care & Pain Medicine 3.7
Canadian Journal of Anesthesia-Journal canadien d anesthesie 3.4
Minerva Anestesiologica 2.9
Indian Journal of Anaesthesia 2.9
Journal of Anesthesia 2.8
INTERNATIONAL JOURNAL OF OBSTETRIC ANESTHESIA 2.6
BMC Anesthesiology 2.3
Current Opinion in Anesthesiology 2.3
JOURNAL OF NEUROSURGICAL ANESTHESIOLOGY 2.3
JOURNAL OF CARDIOTHORACIC AND VASCULAR ANESTHESIA 2.3
PEDIATRIC ANESTHESIA 1.7
Brazilian Journal of Anesthesiology 1.7
Anesthesiology Research and Practice 1.6
Current Anesthesiology Reports 1.6
Journal of PeriAnesthesia Nursing 1.6
Anaesthesiology Intensive Therapy 1.6
Local and Regional Anesthesia 1.5
Journal of Anaesthesiology Clinical Pharmacology 1.5
Trends in Anaesthesia and Critical Care 1.4
Saudi Journal of Anaesthesia 1.3
Seminars in Cardiothoracic and Vascular Anesthesia 1.1
ANAESTHESIA AND INTENSIVE CARE 1.1
Anaesthesiologie 1.1
Annals of Cardiac Anaesthesia 1.1

7年前と比べると、impact factorが高くなっているのはもちろんだが、雑誌の数が圧倒的に増えていることがわかる。あまりに多いので、今回はIFが1以上のもののみに限定。
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急性心筋梗塞入院患者における学会発表と院内死亡率の関連

2025年01月01日 | EBM関連
あけおめです。
今年の一発目はこれにしました。理由は、面白いから。

Takada D, Kataoka Y, Morishita T, et al.
The relationship between conference presentations and in-hospital mortality in patients admitted with acute myocardial infarction: A retrospective analysis using a Japanese administrative database.
PLoS One. 2024 Dec 9;19(12):e0315217. PMID: 39652554.


DPC研究。循環器学会で発表した人がいる施設は、誰も発表していない施設に比べて、AMIに対する薬剤使用が根拠に基づいていた頻度が高く、死亡率が低かった。

研究をすると、いろいろなことが変わる。文献は読みやすくなるし、宝とゴミが混在していることも分かるようになるし、根拠に基づいた医療の重要性がより深く理解できるし、などなど。研究している人とそうではない人は、臨床の仕方も違うし、カンファなどでの発言も違う。これって、研究したことがある人なら誰でも経験することだけど、したことがない人には分からない。ただし、学会発表は研究か?という問題はある。学会発表されたもののうち実際に文献になる比率は低い。上記の変化を感じるには、学会発表ではなく国際雑誌に採用されることが必要。

この文献は学会発表をした人がいる施設かどうかで比較しているので、いよいよ”研究効果"が薄まる。でも視点が面白いし、結果は感覚と一致している。

ICUで働く若い医療従事者の方へ(医師だけではない)。
働き出して数年経って、何となく周りが見えてきたなと思ったら、研究しましょう。そうすると、見えてきたと思ったことが実は全然間違いだったことに気がつけます。
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観察研究の"Target Trial Emulation" - 可能性と落とし穴

2024年12月08日 | EBM関連
最近よく聞く言葉。
少し危険を感じているので、これを紹介。

Hubbard RA, Gatsonis CA, Hogan JW, et al.
"Target Trial Emulation" for Observational Studies - Potential and Pitfalls.
N Engl J Med. 2024 Nov 28;391(21):1975-1977. PMID: 39588897.


最後の文章。
"When rigorously implemented, the target trial emulation framework provides a useful method for systematic specification of the design of observational studies, but is not a panacea."
(意味が分かりにくい部分があるのでChat先生に少しだけ意訳してもらった)
「厳密に実施される場合、target trial emulationのフレームワークは、観察研究の設計を体系的かつ一貫して定義するための有用な手法であるが、万能薬ではない。」

極端な例だし、Target traial emulationでもないけど、観察研究の限界をわかりやすく示している文献を紹介。

Teman NR, Strobel RJ, Bonnell LN, et al.
Operating Room Extubation for Patients Undergoing Cardiac Surgery: A National Society of Thoracic Surgeons Database Analysis.
Ann Thorac Surg. 2024 Sep;118(3):692-699. PMID: 38878949.

1000以上の病院の約67万例を使用した研究。CABGや弁手術患者をOP室で抜管したら死亡率が半分になった。

なるか!
どれだけ情報を集めたって、Nを増やしたって、患者背景の群間差をなくすことはできない。

「ビッグデータと洗練された統計手法とAIがあれば、将来的にはRCTは行われなくなっていくのでは?」と言う人もいるが、僕は真逆だと思っている。
多施設RCTを行うには、研究を立案して、IRBを通して、保険会社と相談して、参加施設を募って、患者家族からICを取得して、データを集めて、参加施設の意欲を維持して、正しくデータを解析して、執筆して投稿して、採用してくれる雑誌を探す必要がある。列挙してみると改めて大変さがわかるし、ビッグデータを後ろ向きに解析したらこの大変さの相当な部分が省略できるのは事実。でも、データが電子化されて、研究プロセスのあらゆるところにAIが関与するようになると、実はこの大変さのほとんどは劇的に減少する。sakana AIを見れば、それは容易に予想できる。

観察研究もRCTも両方とも進歩するから、ずっと車の両輪のままです。
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ESICM2024

2024年10月10日 | EBM関連
昨日終了、今年はバルセロナだったそうだ。
今年はJAMAから今朝送られてきた分だけみたいだ。例年より少ない印象。CCRが影響してたりするのかな。

Restrictive vs Liberal Transfusion Strategy in Patients With Acute Brain Injury
The TRAIN Randomized Clinical Trial

脳損傷(頭部外傷、SAH、脳出血)での輸血はHb<7より<9の方が神経予後が良い。

Effect of Tele-ICU on Clinical Outcomes of Critically Ill Patients
The TELESCOPE Randomized Clinical Trial

Tele-ICUによるICU専門医の毎日の回診と毎月のフィードバックはICU在室日数を減らさない(有意ではないが延長)。

Extracorporeal Blood Purification and Acute Kidney Injury in Cardiac Surgery
The SIRAKI02 Randomized Clinical Trial

非緊急の心外手術中の血液浄化療法は術後のAKIを減らす。

Frequency of Screening and Spontaneous Breathing Trial Techniques
A Randomized Clinical Trial

SBTをT-pieceでするかPSでするか、スクリーニングを1日1回するか高頻度でするか、の2x2のRCT。基本的にはどちらも有意差なし。

どの研究も熟読する価値あり、という印象。それって珍しいかも。普通は「まあそうだよね」と思うのがあるのに。
輸血の域値はだんだん分からなくなってきたし、
初めてのtele-ICUのRCTはネガティブだし、
Double-blindの血液浄化て何?と思うし、
2x2のRCTでinteractionがあったってほぼ見たことないし。

ちなみに、ESICMは去年一昨年も発表されるのはアメリカの雑誌(つまりNEJMとJAMA)だけ。そしてほとんどはJAMA。ちょっと不思議。
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インパクトの大きいRCTにおける複合アウトカム指標

2024年07月18日 | EBM関連
Walker HGM, Brown AJ, Vaz IP, et al.
Composite outcome measures in high-impact critical care randomised controlled trials: a systematic review.
Crit Care. 2024 May 28;28(1):184. PMID: 38807143.


16のhigh-impact journalsに2012-2022年に発表された重症患者を対象としたRCTを調査。194研究中39.1%でcomposite outcome (COM)が使用されていた。COMを使った研究の方がサンプル数が少なかったが、有意差が出る頻度は同等だった。ほとんどの研究でeffect sizeは過大評価されていた。93%の研究において、患者さんにとっては重要ではないアウトカムが含まれていた。

結論は、
”Further work to improve the use of COM in critical care should focus on the design and validation of COM that include patient important outcomes and effectively represent the heterogeneity of the pathologies studied in the critical care literature.”
つまりは、使うなら賢く使おう。おっしゃる通り。

ちなみに、集中治療系のRCTが載るhigh impact journalってどれだろう?
NEJM, Lancet, JAMA, BMJ, Lancet RCCM, AJRCCM, ICM, CCM, CC, Chest
ここまでは当然として、これで10か。あと6は何だろう?
と思ったら。
雑誌のリストは10年前のこの研究と同じものを使用していることが判明。そのせいでLancet RCCMとCCが含まれていなかった(全リストはこちらの2ページ目)。
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セーフティネット病院と非セーフティネット病院における敗血症死亡率の比較

2024年07月14日 | EBM関連
セーフティネット病院って何?
って思うよね。僕も思った。

Law AC, Bosch NA, Song Y, et al.
In-Hospital vs 30-Day Sepsis Mortality at US Safety-Net and Non-Safety-Net Hospitals.
JAMA Netw Open. 2024 May 1;7(5):e2412873. PMID: 38819826.


hospitals that care for a disproportionately high share of low-income and underinsured patients
低所得者や保険未加入の患者を多く受け入れている病院、のことだそうです。
この研究が言いたいことは、
"Differences in in-hospital mortality may partially be explained by greater use of hospice at non–safety-net hospitals, which shifts attribution of death from the index hospitalization to hospice."
「院内死亡率の差は、セーフティネット病院以外でのホスピス利用が多く、死亡の帰属が指標入院からホスピスにシフトしていることで部分的に説明できるかもしれない。」

当たり前と言えば当たり前だけど、施設の予後の良し悪しは、実際の診療レベル以外の多くの因子で影響される。それをちゃんと示した点が良いな、と思いました。
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生成AIが査読プロセスに浸透しつつある。

2024年05月13日 | EBM関連
Cheng K, Sun Z, Liu X, Wu H, Li C.
Generative artificial intelligence is infiltrating peer review process.
Crit Care. 2024 May 7;28(1):149. PMID: 38715069.


ここに書いてある通り、雑誌がpeer reviewにおけるAIの使用をどんどん禁止していっている。確かに、peer reviewでは秘密保持がお約束なので、勝手にcloudにアップしちゃいけない、と言いたくなるのはわかる。
ちなみに、知らなかったのだけど、JAMAは、
”entering any portion of ...reviewer comments into chatbots, language models, or similar tools violates their confidentiality agreement. "
と言っているらしい。さすがに厳しすぎないかい?

白状しますが、ChatGPTのmyGPTsの機能を使って、peer reviewが簡単にできる仕組みを作って使っちゃってます。ただし、情報を利用しない設定にはしています。それに、文献の悪い点を見つけてもらうのではなくて、最初のサマリーと、箇条書きで書いた問題点を文章化してもらっているだけ。それでも相当な時間の節約になっている。

ちゃんと設定すれば秘密保持にも違反しないと思うけどなー。
便利なんだけどなー。
許してくれないかなー。。。
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