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Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

DICの治療、一般的って?

2014年07月13日 | ひとりごと
今日は(も?)、当たり前のことを書こうと思う。

先日、ICUのカンファレンスで、ある科の医師が、
”一般的なDICの治療はしないんですか?”
と言った。

吹き出しそうになった。
でも司会が静かに対応しているので、あ、そういうのが大人の対応なんだなと思って、僕も静かにしていた。
その医師がカンファルームから出ていったので、さあ盛り上がろうと思ったら、やっぱりみんな静かにしているので、ああ、これが本当の大人なんだな、と思い、僕も静かにすることにした。

でも、もうだめ。
なんだ、”一般的な”って!!!
世界中に何百万人もいる医者の中で、DICが治療対象だと思っている割合はどれくらいだ?
せいぜい数%だぞ。

で、改めて思った。

例えば、心筋梗塞や脳梗塞の急性期に抗血小板薬を投与しようと思う割合は、世界中の医者のほぼ100%だ。
例えば、ICU患者に成長ホルモンを大量投与しようと思う割合は、ほぼ0%だ。
ちなみに、成長ホルモンの大量投与ってなんのこっちゃと思う若者どもよ。1990年代には日本でも行われていたし、NEJMもあるのだよ。

薬剤を投与するべき根拠がとても強いからほぼ100%になるし、投与するべきでない根拠がとても強いからほぼ0%になる。
Intensive insulin therapyは否定的なデータが多いけど、未だにRCTが行われているくらいだし、やっている人はやっていると思う。
Daily sedation interruptionは、ネガティブなRCTがあっても、やっている人はそれなりに多いと思う。

根拠の強さと治療選択の頻度はだいたい一致する。
当たり前の話。

なのに、当たり前じゃない。
根拠の強さが治療を選択する頻度と一致していない。
"一般的な”は、その典型例だった。

DICに対するアンチトロンビンは、Kyberseptのsubgroup analysisで有効性が示されている。
トロンボモジュリンは、phase IIbの結果をもとに、現在phase IIIが行われている。
だから、現段階でDICに薬剤を投与する人がいてもまったく問題がない。ただ、根拠は強くないので、そういう人が時々いてもいい、くらいの頻度のはず。
何かがおかしい。

おかしいことなんてどこの世界にもある。
ただ、おかしいことがこんなにも平然と口に出されるのは、とてもおかしい。
どうしたらおかしくなくなるのか。
個人で出来ることはあるのか。

毎日数百人が読むブログで騒ぐのも、チョー小さいけどできることの一つだと思っております。
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