Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

集中治療医としての業務範囲

2014年09月21日 | 昔思ったこと
メールのコピペシリーズ第4弾。
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2008年9月7日 15:41:08
内野@慈恵ICUです。

”集中治療医はどうあるべきか”という話題はここ数年よく耳にするようになりましたが(例えば学会の"young intensivist"のコーナーとか)、話を聞いていていつも思うのは、視点が二つあるなと言うことです。つまり、
・今の日本の状況で集中治療医はどうやっていくべきか
・今後、日本の集中治療医はどうあるべきか
です。
僕もそうですが、皆さんも集中治療医としてのアイデンティティーを周囲に認めてもらうために非常に苦労していらっしゃるかと思います。
そういう状況を悩んでしまうと、どうしても前者の”今の日本の状況で、、、”という視点から見てしまいがちです。
今困っているわけですからそう考えるのは自然なことですし重要であるとも思いますが、それだけでは不十分ではないかとも思います。

>欧米で確立されたものをそのまま日本に放り込んでも、一部の施設を除いておそらく機能しないのではないかと思います。

このご発言は明らかに前者の視点ですが、少し疑問を感じます。
集中治療のシステムは、欧米だけでなくそれ以外の地域においてもそれほど違いがないように思います。
これまでケニア・インド・インドネシア・マレーシア・ウルグアイなどの集中治療医と話をする機会がありましたが、日本よりも貧しい国においても少なくとも都市部では欧米並みの教育とシステムで運営されているようです。
つまり、もちろん国ごと・施設ごとである程度の違いはあるでしょうが、”集中治療医というのはだいたいこんな仕事をする人たち”というのは世界共通である、と言っていいのではないかと思います。

このことをふまえて上記の二つの視点を考えてみると、これらは、
・集中治療のグローバルスタンダードを日本で実践していくためには、今、何をすべきか
というふうにまとめることができます。
現状を考えるだけではなく、将来の目標を見据えて、今どうするべきか。
僕はこの基本姿勢がとても重要であると思っています。
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この6年で、この辺の状況ってどれくらいの変化があるんだろうか。数字では出てこないので、よく分からない。
ただ、集中治療医がいると保険点数が増額されるというのは明らかな進歩なんでしょう。

そうそう、最近、”集中治療に興味がある”とか、”集中治療医になるにはどうしたらいいか”とか、そういう話をよく耳にするようになった気がする。はたして、興味を持ってくれている若者が増えているのか、それとも立場的/環境的にそういう話を耳にする頻度が増えただけなのか。
前者であってほしいけれども、これも数字がないのでよく分からない。
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血糖値の単位の換算

2014年09月14日 | 昔思ったこと
メールのコピペシリーズ第3弾はちょっと違う感じのやつで。
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2008年8月29日 10:41:45
内野@慈恵ICUです。

>『血糖値 mg/dL⇒mmol/L』
>"To convert glucose values to mmol/L, multiply by 0.0555. "
これにはもっとうまい方法があります。

血清浸透圧=2 x (Na+K) + Glu/18 + BUN/2.8

という式は皆さんご存じではないでしょうか。
これってつまりはGluとBUNをmg/dlからmmol/Lに換算するものなので、
血糖:mg/dlを18で割るとmmol/L
BUN:mg/dlを2.8で割るとurea mmol/L
となります。

これ以外に集中治療系の英語文献でよく出くわすものとしては、
クレアチニン:mg/dlを90倍するとmicromol/L
乳酸:mmol/Lを9倍するとmg/dl
ビリルビン:mg/dlを17倍するとmmol/L
といったところでしょうか。

血糖とBUNは浸透圧の式で覚えて、クレアチニンはク(9)レ(0)で覚えれば簡単でしょう?
乳酸とビリルビンは、、、がんばれ。
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オーストラリアに3年いたけど、結局イマイチこの単位の違いに慣れず、いつも頭の中で計算していたことを思い出した。
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ICUでのSMARTアプローチ

2014年09月07日 | 昔思ったこと
メールのコピペ第2弾。
誰との会話かは、分かる人はすぐ分かる。
ちなみにSMARTアプローチというのは、これね
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2008年8月8日 14:44:41
内野@慈恵ICUです。

>a-lineは滅菌したグローブ?(トホホと・・・汗をかく)私、a-lineは酒精綿でフキフキして、手袋はディスポのもの使ってます。みなさんの施設ではどうしてますか?
カテ感染の発生頻度はCVとA-lineでは変わらないようです。
Koh DB, Gowardman JR, Rickard CM, et al.
Prospective study of peripheral arterial catheter infection and comparison with concurrently sited central venous catheters.
Crit Care Med. 2008 Feb;36(2):397-402

”普通のやり方”(滅菌手袋・クロルヘキシジン)に比べてMaximal precautionをやったらどうなるかを比較してる人までいます。
Rijnders BJ, Van Wijngaerden E, Wilmer A, et al.
Use of full sterile barrier precautions during insertion of arterial catheters: a randomized trial.
Clin Infect Dis. 2003 Mar 15;36(6):743-8


>なかなか、Semirecumbent > 30°になってません(涙)。
semi-recumbent positionについて有名な文献と言えば、
Drakulovic MB, Torres A, Bauer TT, et al.
Supine body position as a risk factor for nosocomial pneumonia in mechanically ventilated patients: a randomised trial.
Lancet. 1999 Nov 27;354(9193):1851-8

ですが、これって0°と45°を比べてるんですよね。
どこから30°っていう数字が出てきたのか、どなたかご存じですか?

で、0°なんて実際にはしないだろうとケチがついて、10°と45°を比較しようとした人がいます。
van Nieuwenhoven CA, Vandenbroucke-Grauls C, van Tiel FH, et al.
Feasibility and effects of the semirecumbent position to prevent ventilator-associated pneumonia: a randomized study.
Crit Care Med. 2006 Feb;34(2):396-402

でも実際にはナースが45°にはしてくれなくて、結果的に30°と10°の比較になり、VAPの発生頻度に差はなかった、という結果でした。

以上、文献紹介でした。
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6年前も文献紹介とかしてたんだ。
やっぱ変わってないわ。
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IVIGとEBM

2014年08月31日 | 昔思ったこと
先日、調べものをしていて、自分のメールボックスの送信済みフォルダーの中の、JSEPTICメーリングリスト宛に書いた文章を読み直す機会があった。
懐かしくもあり、しばらく読んでしまったのだが、ブログのネタにちょうど良さそうなのがいくつもあったので、これをコピペするのも手だな、ということに気がついた。
ということで、第一弾はこれ。
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2008年7月30日 23:38
JSEPTICの皆さん、内野@慈恵ICUです。
初めて投稿させていただきます。

ちょっと前の話題になって恐縮ですが、
そろそろ皆さんのお手元に緑雑誌の今月号が届いたかと思います。
そこにセプシスに対する免疫グロブリン(IVIG)についてレターを載せていただきました。
内容はお読みいただくとして(感想をいただければとてもうれしいです)、このMLで紹介されたもの以外にもいくつか文献を参照していますので、ご参考にしていただければと思います。

それなりにprovocativeに書いたつもりですが、友人からは、”シベレスタットのやつよりつまらない”と言われました。

今も急性膵炎に関して素晴らしい議論が行われていますが、いつも思うことは、IVIGにしても膵炎にしてもDICにしてもARDSにしてもseptic shockにしても脳梗塞にしても何にしても、どうして日本はこうなってしまったんだろう、ということです。
どの治療も完全に否定されているわけではなく、その治療を行うことを選ぶ人がいてももちろんいいのですが、根拠の強さ・期待される有効性・コスト・副作用などをてんびんにかけて、ほとんどの人が治療を行うことを選ぶ、というほどのものは一つもないはずです。
にもかかわらず、現実には日本中でそういう治療が行われてしまっています。何故なんでしょう?

活性化プロテインCは欧米ではそれなりに使用されていると思いますが、この治療を行うことを選択した人で、PROWESS studyを読んだこともなければ聞いたこともないという人は、ほとんどいないだろうと想像します(間違ってるかもしれませんが)。少なくとも、メーカーに勧められたからとか、先輩に教わったからという理由だけで選択している人は多くはないでしょう。
日本で重症感染症に対してIVIGを使用する人の中で、その根拠が、
”血液疾患患者に使うと1週間後の解熱率が10%程度増える”
であることを知っている人は何%くらいいるんでしょう?
50%くらい?10%くらい?1%くらい?

無効だから使うな、とは言いませんし、言えません。
問題なのは、知識を持たずに平然と診療をしている人があまりにも多いということです。

どなたか、日本がこうなってしまった理由をご存じの方はいらっしゃいませんか?
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6年も経つと状況が異なるところ(APCとか)もあるし、
6年前も今も日本はあまり変わらんな、とも思うし、
6年前も同じことを言ってるわ、成長しとらんな、とも思うし。
少し今の方が冷静かなー、そうでもないかなー。

自分的にちょっと面白いので、しばらく続けるかも。
ま、分からんけどね。
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