Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

PET/CTで感染症のフォーカスを見つける。

2021年05月17日 | 感染
Pijl JP, Londema M, Kwee TC, et al.
FDG-PET/CT in intensive care patients with bloodstream infection.
Crit Care. 2021 Apr 7;25(1):133. PMID: 33827655.


写真がすごい。こんな感じで見れるんだ。
全然知らないのだけど、日本でやってたりするのかな?
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カテ感染とマニュアルの類似性

2021年05月12日 | ひとりごと
類似性シリーズ(とか言ってこれで終了)。

ICUにしばらくいる患者さん。新しい熱が出た、血圧が下がった、なんか具合が悪い。炎症反応も高いし、感染が疑われるが、はっきりした原因が分からない。カテがちょっと古いのでカテ感染かもしれない、入れ替えることにした。

ICUで医療事故が起こった。事故の再発を防ぐため、マニュアルを作ることにした、既存のマニュアルを改定することにした、マニュアルに書いてあることが守られなかったので改めて周知することにした。

似ている。

随分前に読んだ文献で、手元にもうないのだけど、ICUでカテ感染を疑った時に、実際にカテ感染である可能性は10%程度だそうだ。つまり、無視できる確率ではないけど、ほとんどの場合、カテ感染を疑ってもそれは間違っている。なので、患者さんの具合が悪くなったら、カテ感染は否定できないのでカテの入れ替えはするとして、それ以外の原因を考えないといけない。

マニュアルって、あって当然ではあるけれど、じゃあスタッフ全員がちゃんと読んでちゃんと覚えるかというと、まあそんなわけないでしょう。ルールは必要だからマニュアルは作るけど、それはそれとして、それぞれの事故に対しての対応方法を個別に考えないといけない。

どちらも、それは当然やるとして、それ以外の方法を考える必要があるところが、似ていると思う。

実はもう一つ、類似点。
カテの入れ替えをして/マニュアルを作って、それで満足してしまう人が少なからずいるところ。
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治療戦略とファッションの類似性

2021年05月11日 | ひとりごと
ある病態に対して、特別な機器を使ってモニタリングをしたり、高価な薬剤を投与したり、侵襲性のある医療機器で管理を行なったりすることについて。

こういう治療戦略は、多くの場合、生理学的な有効性が語られ、複数の観察研究で有効性が示され、場合によってはサロゲートマーカーをアウトカムとしたRCTで有効性が示唆されている。ICUには昔からたくさんあるし、学会などでもよく話題にのぼるし、最近ではpro/conとかも行われる。そして、多くの医療者はこれらの治療戦略のうち一部を選択して自分の診療で使用する。多く選択する人もいれば、ほとんど選択しない人もいる。

選択することにはメリットがある。もちろん、有効かもしれないので患者さんのためにはやるべきだ、というのが一番の理由だろう。でもそれ以外にも、”新しいことをやると楽しい”、”なんかカッコいい”、”うちの施設ではやってますというと注目される”などの理由も、否定はできないだろう。

ただし、過去を振り返ると、多くの場合でこのような治療戦略は無効であることが示され、消えていく。成長ホルモン、活性化プロテインC、強化インシュリン療法、あげればキリがない。なので、そういう治療戦略を選択することを好む人は、新しい治療戦略が出るとお金と手間をかけて導入し、無効であることが示されたらやめる、ということを繰り返すことになる。

ファッションに似ている。
流行を追いかけると、お金も手間もかかる。でも楽しいし、カッコいいし、”あの人センスあるね”と注目される。でも流行り廃りを追いかける必要があるので、以前買った服を処分して、新しい服を買い続けないといけない。

「First, do no harm」なんだから、そういう選択はするな、大きなRCTで有効性が証明されてから選択しろ、ということを言いたいのではない。有効なのか無効なのか分からないのだから、自分で判断すればいい。

ただ、似ているなと思っただけ。
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ギランバレーの一次治療に失敗したら。

2021年05月07日 | 神経
昨日と同じLancet Neurologyに載っていたので、ついでに紹介。

Walgaard C, Jacobs BC, Lingsma HF, et al.; Dutch GBS Study Group.
Second intravenous immunoglobulin dose in patients with Guillain-Barré syndrome with poor prognosis (SID-GBS): a double-blind, randomised, placebo-controlled trial. Lancet Neurol. 2021 Apr;20(4):275-283. PMID: 33743237.


59施設で8年間で300例ちょっと。対象症例的に難しいから仕方ない。

一定の割合で治療不応性の患者さんはいて、そういう人にはもう一度やってもダメ、というのは頭では理解できるけど、何かやってあげたくなるので、つい2回やっちゃう。そういうイメージがある。
なので、この研究で重要なのは、無効どころか重篤な合併症が増えたところ。結論も”should not be considered"となっている。

もし神経内科医がやりたがったら、やめようよと言ってあげましょう。
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脳梗塞に対する血管内治療後の血圧管理

2021年05月06日 | 神経
Mazighi M, Richard S, Lapergue B, et al.; BP-TARGET investigators.
Safety and efficacy of intensive blood pressure lowering after successful endovascular therapy in acute ischaemic stroke (BP-TARGET): a multicentre, open-label, randomised controlled trial.
Lancet Neurol. 2021 Apr;20(4):265-274. PMID: 33647246.


この手の研究でいつも思うこと。
・血圧のターゲットを二群に分けると、どうしても予定よりも差が小さくなる。
・特に高血圧に対する降圧療法の場合、勝手に正常血圧に向かうので、差がいよいよ小さくなる。
・介入期間が多くの研究で短い(24時間とか)。少なくとも日本の臨床では”血圧のターゲット”というものが(往々にして外科医によって)設定されると、それは数日継続されるので、外的妥当性が微妙になる。

RCTの結果の解釈と臨床応用が難しい典型例。
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AKIKI-2

2021年05月05日 | 腎臓
Gaudry S, Hajage D, Martin-Lefevre L, et al.
Comparison of two delayed strategies for renal replacement therapy initiation for severe acute kidney injury (AKIKI 2): a multicentre, open-label, randomised, controlled trial.
Lancet. 2021 Apr 3;397(10281):1293-1300. PMID: 33812488.


RRT開始の絶対適応がなくても、
・尿量<0.3ml/kg/hrが72時間継続
・尿量<500ml/日が3日間継続
・BUN>112mg/dl
になったら開始した方が、
・BUN>140mg/dl
まで待ってから開始するよりも死亡率が低い。

僕が研修医だった頃のRRTの適応は、いわゆる絶対適応+BUN>100mg/dlが普通だった。
その後、早期にやったらいいのではという話が出て、消えて、最近はいくら待ってもOKという雰囲気になってきた。
でもさすがにBUNが高くなったら始めましょうという、昔に戻った結果。
EBMはぐるっと回って元に戻る現象がここでも見られる。

昨日がこのブログを開始して10周年。
セミリタイアしたのが去年の6月。最近はいろいろ理由があって、更新頻度が減ってきた。
さて、今後はどうなるのかな。
自分でもわかりません。
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重症度スコアの歴史を知り、未来を考える。

2021年04月19日 | ICU・システム
これは良いレビューだ。

Kramer AA, Zimmerman JE, Knaus WA.
Severity of Illness and Predictive Models in Society of Critical Care Medicine's First 50 Years: A Tale of Concord and Conflict.
Crit Care Med. 2021 May 1;49(5):728-740. PMID: 33729716.


重症度スコア、特にAPACHEについて、表面的ではなく、しっかりと歴史が書かれている。
この手の話題は好きなので、それなりに知っているつもりだけど、これは読んだことがない。知らないことが一杯。
どうして今もAPACHE IIをよく見かけるのか。
すごくよく分かった。

ちょっと長いけど、英語は難しくないし、休み中にでも読んでみたらどうか。
お勧めです、マジで。
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動脈圧ラインの挿入部位と感染リスク

2021年04月18日 | 感染
Buetti N, Mimoz O, Schwebel C, et al.
Insertion Site and Infection Risk among Peripheral Arterial Catheters.
Am J Respir Crit Care Med. 2021 Mar 1;203(5):630-633. PMID: 33052721.


橈骨に比べ鼠径に挿入されたA-lineは、コロナイゼーションは多いが感染は同等。

あれ。
昔読んだものを忘れちゃってるだけなのかもしれないが、初めて聞いた気がする。
鼠径って、そんなに気にしないでもいいのか?
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頭部外傷患者の意識と機能の回復

2021年04月17日 | 神経
Kowalski RG, Hammond FM, Weintraub AH, et al.
Recovery of Consciousness and Functional Outcome in Moderate and Severe Traumatic Brain Injury.
JAMA Neurol. 2021 Mar 1 Epub ahead of print. PMID: 33646273.


中央値39歳の頭部外傷なので、全ての脳損傷で見られる結果ではないとはいえ。
ICUで働いていると、患者さんがその後どうなるか分からないものだが。
こんなに回復するのか?
マジか?
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RCTについての、ありがちだけど重要な話

2021年04月11日 | EBM関連
昨日来たICMから、2つ紹介。

Shehabi Y, Serpa Neto A, et al.; SPICE III Study Investigators.
Early sedation with dexmedetomidine in ventilated critically ill patients and heterogeneity of treatment effect in the SPICE III randomised controlled trial.
Intensive Care Med. 2021 Apr;47(4):455-466. PMID: 33686482.


SPICE IIIのサブ解析。65歳以上ではDEXを使うと予後が良くなるかも。

Juschten J, Tuinman PR, Guo T, et al.
Between-trial heterogeneity in ARDS research.
Intensive Care Med. 2021 Apr;47(4):422-434. PMID: 33713156.


ARDSについての67のRCTのsystematic review。コントロール群の28日死亡率は10-67%と大きな幅があり、補正しても18-45%と、患者背景だけでは説明できない大きな違いがあった。介入群が有意な効果を示した研究の方がコントロール群の死亡率は高かった(44% vs. 28%)。

・サブグループ解析はあくまで仮説を作る行為。66歳だと有効だけど64歳だと有害な治療って存在するのか?
・コントロール群の死亡率が高い研究は疑ってかかる必要がある。偶然有意差が出ただけかもしれないから。

常識だけど、繰り返し言ってないと、知らない人たちが増える。
年寄りの義務かと。
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