Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

ケースレポートから国際多施設臨床研究へ

2021年10月21日 | EBM関連
Finfer S, Cook D, Machado FR, Perner A.
Clinical Research: From Case Reports to International Multicenter Clinical Trials.
Crit Care Med. 2021 Nov 1;49(11):1866-1882. PMID: 34387238.


FinferはANZICS-CTG、CookはカナダのCCCTGの中心人物。つまりここ20年の集中治療の臨床研究の歴史を作ってきた人たちによって書かれたもの。
かつ17ページの大作で、集中治療における臨床研究の過去から未来までについて論じている。

臨床研究をする人は正座して読みましょう。
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脳室ドレーンからの髄液で髄膜炎を診断するのはちょっと無理そう。

2021年10月17日 | 感染
最近はCOVIDと終末期ばかりだったので、がらっと雰囲気を変えて。

Bådholm M, Blixt J, Glimåker M, et al.
Cerebrospinal fluid cell count variability is a major confounding factor in external ventricular drain-associated infection surveillance diagnostics: a prospective observational study.
Crit Care. 2021 Aug 11;25(1):291. PMID: 34380543.


ぶっちゃけ、現役だった頃はこれで診断しようとしてた。赤血球で補正とかもしてた。
なんと、細胞数が体位だけでも大きく変わるとは。

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COVIDと抗凝固、現状でのまとめ

2021年10月16日 | COVID-19
先週、COVIDに対する抗凝固についてのRCTがメジャー雑誌に2つ掲載された。
これで手元にある大きめのRCTが6つになったので、まとめておこうと思う。
Online publicationされた順番で並べると、

INSPIRATION Investigators.
Effect of Intermediate-Dose vs Standard-Dose Prophylactic Anticoagulation on Thrombotic Events, Extracorporeal Membrane Oxygenation Treatment, or Mortality Among Patients With COVID-19 Admitted to the Intensive Care Unit: The INSPIRATION Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2021 Apr 27;325(16):1620-1630. PMID: 33734299.


Lopes RD, de Barros E Silva PGM, et al.; ACTION Coalition COVID-19 Brazil IV Investigators.
Therapeutic versus prophylactic anticoagulation for patients admitted to hospital with COVID-19 and elevated D-dimer concentration (ACTION): an open-label, multicentre, randomised, controlled trial.
Lancet. 2021 Jun 12;397(10291):2253-2263. PMID: 34097856.


REMAP-CAP Investigators; ACTIV-4a Investigators; ATTACC Investigators.
Therapeutic Anticoagulation with Heparin in Critically Ill Patients with Covid-19.
N Engl J Med. 2021 Aug 26;385(9):777-789. PMID: 34351722.


ATTACC Investigators; ACTIV-4a Investigators; REMAP-CAP Investigators.
Therapeutic Anticoagulation with Heparin in Noncritically Ill Patients with Covid-19.
N Engl J Med. 2021 Aug 26;385(9):790-802. PMID: 34351721.


Spyropoulos AC, Goldin M, Giannis D, et al.; HEP-COVID Investigators.
Efficacy and Safety of Therapeutic-Dose Heparin vs Standard Prophylactic or Intermediate-Dose Heparins for Thromboprophylaxis in High-risk Hospitalized Patients With COVID-19: The HEP-COVID Randomized Clinical Trial.
JAMA Intern Med. 2021 Oct 7. Epub ahead of print. PMID: 34617959.


Connors JM, Brooks MM, Sciurba FC, et al.; ACTIV-4B Investigators.
Effect of Antithrombotic Therapy on Clinical Outcomes in Outpatients With Clinically Stable Symptomatic COVID-19: The ACTIV-4B Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2021 Oct 11. Epub ahead of print. PMID: 34633405.


まとめると、
・重症患者では治療的抗凝固は無益か有害。
・非重症患者では治療的抗凝固は無害か有益。
・D-dimerが高くても有効にはならない。
・ただし、日本で行われることが多い、未分画ヘパリンの皮下注と持続静注の比較は(ほぼ)ない。
という感じでよさそうな気がする。

ClinicalTrials.govで調べると、
75 Studies found for: heparin | Interventional Studies | COVID-19
となるので、まだまだ新しい研究は出てきそうだから、結論が出るのはもう少し先かもしれないけど、そうそう変わらないのではないか。

当初は期待されたので、残念な結果ではある。
それにしても、レムデシビルもそうだけど、中等症には有効だけど重症では無効になるというのは少し不思議。
そういう病気なのかしらね。
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感染性壊死性膵炎への介入のタイミング

2021年10月15日 | 消化器・血液
NEJMだし、ご存知とは思いますが。

Boxhoorn L, van Dijk SM, van Grinsven J, et al.; Dutch Pancreatitis Study Group.
Immediate versus Postponed Intervention for Infected Necrotizing Pancreatitis.
N Engl J Med. 2021 Oct 7;385(15):1372-1381. PMID: 34614330.


思ったこと。
介入しないことでのメリットがほぼないと思われる一部の介入(敗血症性ショックに対する抗菌薬とか昇圧剤とか)を除き、早期介入は観察研究などを根拠に推奨されることが少なくないが、その多くは多施設RCTで有効性が示されない。
この一般論が改めて確認された。
理由の一つは、待っていると勝手に改善してその介入が不要になるから。

集中治療では待つことも大事。
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終末期ディスカッション②

2021年10月14日 | 勝手に紹介

先日この本を紹介したら、なんと、著者の方々から献本をいただきました。「紹介するってことは献本してほしいってことだろ」、「無料のところだけじゃなくて、ちゃんと全部読めよ」とか思われていたらどうしよう。。。

冗談はさておき、全部読みました(ついでに、このガイドラインも読み直した)。

全編で、autonomyの概念が非常に強く強調されている。当然と言えば当然のことだけど、この基本を理解していない人は驚くほど多い気がする。厚労省のガイドガインが最初に発表されたのが2007年なので、20代、30代の医療従事者の多くにとっては、働き始めた時にはすでに存在していたガイドラインのはずなのに、読んでない人、少なくなさそうだ。
とりあえず、ガイドライン、読もう。そして、「でも実際にどうやったらいいんだ?」と思ったら、この本を読もう。

それとね、「今やっていることには違和感が強いが、それがどうしてなのか分からない」、「autonomyの重要性は理解しているつもりだけど、他の人に説明する言葉が見つからない」という人にもお勧め。僕は読んでいて、「そうなのか、知らなかった!」と思うところは少なかったけど、「そうか、あのモヤモヤはこれが理由だったのか」、「こう説明すればいいのか」と思うところがとても多かった。受験勉強のように赤線引きまくってしまった。

他にも、

・四分割表の使い方を知りたい。
・「予定手術だから死なすわけにはいかない」と外科医に言われて困ったことがある。
・無益な治療とは具体的にどういう意味なのか知りたい。
・「できることは全部やってくれ」と家族に言われて困ったことがある。
・ICUではquality of deathも重要だ、って本当なのか疑問に思う。
・治療の中止は犯罪ではないかと心配で、行うことができない。
・DNARだったら挿管もしないものだと思っている。
・家族のいない重症患者の治療方針決定で困ったことがある。
・医者が患者中心に考えてくれなくて、困ったことがある。
・看護師にこの治療は無駄じゃないかと言われ、困ったことがある。
・Advanced care planningに興味がある。

という人にもお勧め(って、ICUで働く人全部じゃないか?)。

あなたのICUにも一冊、どうですか?

(これだけ宣伝したのだから、許してもらえたに違いない。)
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i-Care-U.net

2021年10月10日 | 勝手に紹介
古巣の慈恵ICUの有志が、こんなサイトを作りました。
i-Care-U.net

慈恵のICUを例にして、ICUってこんなとこだよ、と患者家族に伝えるのを主な目的としたサイト。
お勧めはここ、特にここ

ICUはACPがとっても必要な場所だけど、残念ながらその普及には貢献することが難しい(すでに患者さんが意思表示できないことが多いから)。
一般の人たちにACPの概念が広まることに期待。
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終末期ディスカッション

2021年10月09日 | 勝手に紹介

今朝送られてきたJSEPTICのメーリングリストで紹介されていた。3つの章のPDFが無料でダウンロードできるというので、早速読んでみた。
だって、則末先生が「魂を込めて書きました。」って言うからさ。

終末期に関しては複数のガイドラインがあるし、文献も書籍もたくさんある。
でも、じゃあ目の前の患者さんに対して具体的にどうすればいいのか結局よく分からず、「この人、倫理的に変なこと言っているな」と思っても、上手く説明できなかったりする。この本もそんな感じだったりしないかなーと少し心配しながら読んだのだけど、完全に裏切られた。

ICUは、人の命を救うことができる場所であるとともに、それができない場合には平和に亡くなることができる場所であるべきだ。
なので集中治療学は人の命を救う方法だけでなく、終末期医療も含んでいる。
なので片方しかできない医者は、集中治療医として片手落ちということになる。「家族の希望だから」、「ICUだから」、「大学病院だから」、「手術の合併症だから」という言葉を使う人は、「だから」が倫理的にも論理的にも学問的にも成立しないことを理解していない(とは思うけれども、自分ができていたかどうかは自信ありません)。

でも、人の命を救う方法にも終末期医療にも、明確な答えなんかない。いくら文献を読んだって、患者さんのベッドサイドで悩んだって、どうすればいいかなんて分からない。ただ、分からないことを分かるためには、分からない中でどうするかを考えるためには、知識が必要だ。
この本は、知識を提供しつつ、具体的にどう考えるかについて、わかりやすい言葉で丁寧に教えてくれる(無料のところしか読んでないけど)。

「本書で正しい悩み方を 一緒に考えていきましょう」
いやー、則末先生、平岡先生、すごい本、作りましたね。ただただ尊敬です。
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SSCG2021

2021年10月05日 | 感染
いろいろなところで話題になっているようなので、もうご存知の方も多いでしょうが。
2004年→2008年→2012年→2016年と、4年毎の更新。なので1年遅れだけど、前回は2016という名前で2017年3月号のICMとCCMに掲載されているし、コロナを考えたら立派。

Evans L, Rhodes A, Alhazzani W, et al.
Surviving sepsis campaign: international guidelines for management of sepsis and septic shock 2021.
Intensive Care Med. 2021 Oct 2:1–67. Epub ahead of print. PMID: 34599691.


Table 1にカラフルに推奨がまとまっている。
前回と推奨に変更がある項目のうち、おっと思ったのが二つ。

44. For adults with septic shock, we suggest starting vasopressors peripherally to restore MAP rather than delaying initiation until a central venous access is secured. Weak recommendation, very low quality of evidence.
この話は以前書いた。大賛成です。very lowとか気にせず、是非そうしましょう。

59. For adults with sepsis or septic shock, we suggest against using polymyxin B haemoperfusion. Weak recommendation; low quality of evidence.
いやー、やっとですよ。
この話は何度書いたことか。右にある検索ウインドウでPMXとpolymyxinで検索してみてください。30くらいあったよ。

今までは、PMXをやりたがる人にはRCTの結果とかを説明しないといけなかったけど、これからは、「だってSSCGで使うなって言ってますよ?」と言えば済むよ。
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集中治療に対するICUスタッフの"好み"

2021年10月03日 | 終末期医療
Preferenceの和訳って、好み以外にあるのかな。ちょっとニュアンスが違う気がするのだけど。

Anstey MH, Mitchell IA, Corke C, et al.
Intensive care doctors and nurses personal preferences for Intensive Care, as compared to the general population: a discrete choice experiment.
Crit Care. 2021 Aug 10;25(1):287. PMID: 34376239.


オーストラリアの研究。以前、一般の人に行ったのとほぼ同じ内容のアンケートを13のICUのスタッフ(医師233名、ナース747名)に対して行った。
「今、あなたはICUに入院しています。1週間の治療を受けてきましたが良くならず、死亡率が50%、生存したとしても寝たきりになる確率が50%あります。」
みたいな質問。
興味深い結果をまとめると、

・同じ状況を提示された時に、一般人の方がICUスタッフよりも治療中止を選択しやすい。
・ICUスタッフの方が、ICUでの治療期間の延長が治療中止の選択に影響しやすい。
・約30%で、自分が同じ状況になった時に、患者さんに対して行う選択と異なる選択をした(多くは、患者さんなら治療継続するけど自分なら中止する)。
・スタッフの特徴によって選択肢が異なる(女性は治療を中止しやすい、子供がいると継続しやすい)。

一般人よりも治療中止を選ばないけど、治療期間が延びると中止しやすくなる、というのは医学的に正しい判断。最初は未来の予測は難しいけど、時間が経てば経つほど容易になっていくから。この結果を、TLTという概念をICUの医療者は理解しやすい、という風に解釈することは可能では。

自分か患者かどうかで判断が異なる、医療者の背景によって判断が異なるというのは、もし治療中止を科学とするなら(そうあるべきだと思う)、望ましいことではない。そういう意味でもAdvanced Care Planningは大事。

TLTとACP。
日本のICUでも普通に使われる言葉になることを期待。
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入院患者の敗血症予測モデルの評価

2021年10月02日 | 機械学習
ICUの話ではないですが。
個人的にはとっても興味があり、かつ将来的にはとっても重要ではないかと思っているので。

Wong A, Otles E, Donnelly JP, et al.
External Validation of a Widely Implemented Proprietary Sepsis Prediction Model in Hospitalized Patients.
JAMA Intern Med. 2021 Aug 1;181(8):1065-1070. PMID: 34152373.


EPICというアメリカの電子カルテの機能で、40万例のデータをもとに、入院患者が敗血症になりそうになったらアラートを出してくれる。商品として売られてはいるものの外的妥当性の検討がされていないので、やってみた。そしたら、感度33%、特異度83%、陽性予測値12%、AUC 0.63。さらには全患者の18%にアラートが出たにもかかわらず、敗血症の3分の2は検出できなかった、と。

どんな形かはわからないけど、近未来(数年後?)には何かを予測する仕組みがICUにきっと入ってくる。
その時に、
・どんなデータをもとにモデルが作られたか
・予測制度はどれくらいか
・外的妥当性は検証されているか
・そもそも臨床的に有益か、逆に有害(アラーム疲労、不要な検査や治療)だったりしないか
などなど、たくさんの評価が必要。

これは、製品を作る人とか研究者とかだけでなく、利用者も知っておかないといけないこと。
今はまだいいけど、頭の隅に置いておきましょう。
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