Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

術後合併症軽減のための周術期アルブミン補充

2024年02月22日 | 循環
おお、アルブミンのRCTが外科系のトップジャーナルに掲載されている!
今更かー!

Schaller SJ, Fuest K, Ulm B, et al.
Goal-directed Perioperative Albumin Substitution Versus Standard of Care to Reduce Postoperative Complications: A Randomized Clinical Trial (SuperAdd Trial).
Ann Surg. 2024 Mar 1;279(3):402-409. PMID: 37477023.


で、結論は、"cannot generally be recommended"。
良かった、良かった。Positiveだったらどうしようかとドキドキしながら読んじゃったよ。

それにしても、最近アルブミンをよく見かける気がする。ここ数ヶ月でも、これとかこれとか。
何かあったんかい??
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SCCM系雑誌への投稿の準備と審査におけるAIの適正使用

2024年02月21日 | AI・機械学習
Buchman TG, Tasker RC.
Fair Use of Augmented Intelligence and Artificial Intelligence in the Preparation and Review of Submissions to the Society of Critical Care Medicine Journals: Critical Care Medicine, Pediatric Critical Care Medicine, and Critical Care Explorations.
Crit Care Explor. 2024 Jan 19;6(1):e1017. PMCID: PMC10798684.


Statements
2. (途中から)For example, “Dr. Smith submitted the text to the Generative Pretrained Transformer version 4.0 (GPT-4.0) to analyze the spelling, grammar, syntax and usage of the prose and to propose edits that conform to standard scientific English.” Such reporting is always appropriately included in the Methods section of the submission.

4. Certain uses of artificial intelligence during the creation of the report are strongly discouraged. These discouraged uses include creation of prose, tables, or figures; creation of reference lists to accompany prose that is either already written or being generated by computers.

AIに文章を書いてもらったり図表を作ってもらうのはダメだけど、文章を直してもらうのはOKと。

Critical CareもOKだったし、SCCM系の雑誌もこれでOKをもらったし。もうビビらずに、どの雑誌に投稿する時も、
"ChatGPT-4.0 was used to analyze the spelling, grammar, syntax and usage of the prose and to propose edits that conform to standard scientific English.”
これをコピペしてMethodsに貼って、英文校正にお金を払うのはやめようかなと思っている。
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早期敗血症ケアにおける自動リアルタイムフィードバックの効果

2024年02月20日 | ICU・システム
Leisman DE, Deng H, Lee AH, et al.
Effect of Automated Real-Time Feedback on Early-Sepsis Care: A Pragmatic Clinical Trial.
Crit Care Med. 2024 Feb 1;52(2):210-222. Epub 2023 Dec 13. PMID: 38088767.


敗血症が疑われる患者さんに対して、敗血症バンドルに沿った検査と治療(抗菌薬開始、血液培養採取、乳酸測定、および異常値だった場合の再検)が行われなかったら、それをポケベル(!)で知らせる仕組みを作り、この仕組みで連絡するかしないかを無作為に割り付け比較。1377名が対象となり、敗血症バンドルに沿った検査が行われた頻度は21.1% vs.29.6%と有意に上昇したが、死亡率は8.3% vs. 8.4%で改善はなかった。

まず、ほぼ70%はアラートに関係なしにバンドルの対象ではなかった可能性があり、20%はアラートされなくても検査が行われた。なのでそもそも介入できる患者さんが全体の10%しかいない。これが自動アラートの限界。
人は必ず忘れるし、コンピュータは忘れない。なのでコンピュータが人の役に立つことはきっとあるはずだけど、本当に有効な仕組みを作るのは難しい。
その典型例のような研究。考えされます、ほんとに。

一つ思うのは、こういう仕組みを作る時って、抜けを減らそうとしてどうしても広くアラートしてしまう。そうするといわゆる”オオカミが来たぞー”症候群が起こり、正しくアラートされた時ですら無視されるようになってしまう。それだったら、抜けがあってもいいから、絶対に役に立つアラートだけした方が役に立つんじゃないだろうか。

実は、3年ほど前からフィリップスとこれ関係のアプリを開発中で、もうすぐ臨床応用ができそうなレベルまで来ている。コンセプトは「うるさいと思われないこと」。
さて、ユーザーに便利だと思ってもらえるか、実際に有効性が示されるか、乞うご期待。
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急性呼吸不全生存者のための移動クリティカルケア回復プログラム

2024年02月18日 | ICU・システム
Khan BA, Perkins AJ, Khan SH, et al.
Mobile Critical Care Recovery Program for Survivors of Acute Respiratory Failure: A Randomized Clinical Trial.
JAMA Netw Open. 2024 Jan 2;7(1):e2353158. PMID: 38289602.


呼吸不全でICUに入室し生存退院した患者さんを、最初の半年は2週に1回、その後は月に1回訪問して、身体的および精神的な評価と介入を行なった。その結果、QOLは改善せず、ER受診と入院の確率が増え、死亡率に有意差は認められなかった。

つまりはPICSに対する介入研究、と考えていいだろうか。
結論だけ見ると有効そうじゃないけど、死亡率は10.3% vs. 16.3%でp値は0.05。実際に計算してみるとChi squareで0.0562。確かに0.05を上回っているけど、定期的に訪問すると体調や病気に対する注意が払われて、「病院行った方がいいよ」とより頻回に言われ、もろもろの結果として死亡率が低下した、と考えるとスッと理解できるので、どちらかと言えば有効性を示した研究のように思える。

最近のAJRCCMにもこんな記事が載っていて、いわゆるICUサバイバーの長期管理の重要性について述べている。PICSの関心がいよいよ高まっている感じ。

ただ、PICSのフォローやケアはICUの仕事なのか、については疑問。
ICUに来なくても長期入院でADLが低下する人はたくさんいるし、AKI後のCKD管理の重要性なども言われているし、入院による状態悪化を長期フォローする仕組みが必要で、PICSはそこに含まれれば良いのではないか。

ICUリサーチの担当は、PICSという病態を世に知らしめて、より大きな仕組みの中に組み込んでもらうところまで、な気がするのだけど、
それってちょっと無責任か??
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それにしても、いつも思うのだけど。

2024年02月17日 | ひとりごと
普段からやるべきことをやっていれば、例えば制度が変わってもバタバタする必要はないし、インシデントは起こりにくくなるし、監査で文句もつけられない。
記録関連、モニタや医療機器の使い方、搬送時、RRSなどなど。

もちろん制度変更の対応は必ず必要だし、インシデントは絶対ゼロにはならないし、監査で何も文句言われないことなんてありえない。でも、それらを減らすことはできるし、何かあるたびに振り回されるICUもあれば、比較的スムーズに対応できるICUもあるはず。いや、実際にどちらのパターンも見たことある。

ICUでは一つ一つをちゃんとやることが大事。重要そうに見えることだけじゃなくて、小さいことも。そうすると、より良い臨床が行えて、能率が上がって、患者さんにメリットがあって、結果的に自分も楽になる。「面倒だ」、「自分の仕事じゃない」、「ルールは作ったけど守られない」は、自分の首を絞めているのと同じ。

わあ、説教くさい。
もうアラカンだから仕方ないのよ。許してね。
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ICUにおける血液ガスのベストプラクティス

2024年02月15日 | ひとりごと
来年度からの診療報酬改定でSOFAがいよいよ重要になるらしい。
それに関連して、周囲でSOFAの算出とか精度とかについてちょっとざわついている。多分、日本中のたくさんのICUで多かれ少なかれ話題に出ているのではないか。

データの自動抽出については以前まとめて書いた。
部門システムからのデータの自動取り込みにおける注意点
部門システムからのデータの自動取り込みにおける注意点
「上手く取り込めないなー」と思っている方は、ご参考に。

さて。
さすがに100ヶ所もICUを訪問していると、臨床的にもデータ利用的にも、血液ガスはこうやって測定するのがベスト、というのが見えてくる。実践できている人からしたら「それがどうした?」的な話だけど、実は驚くほど行われていない。
なので、これがベスト、というのをまとめておくことにする。

・採取はベッドサイドナースが、医師のオーダーに基づくのではなく、自分で取るべきだと判断した時に行う。
・測定はICU内にある血液ガス測定装置で行う。
・測定時は、患者ID(バーコードとか)の入力だけでなく、FiO2と検体種別(動脈、静脈、胸水、髄液、その他)も入力する。
・測定結果は自動で電子カルテ・ICU部門システムに飛ばす。紙の結果はそもそも出力しない。
・結果はナースが評価し、異常があるか、ある場合は自分で対応するか医師などに相談するか、を判断する。
・医師はナースに言われなくても結果を自分で確認する(定期的に経過表や検査結果のページを自分で見る)。

ベストじゃない例:
・医師が血ガス採取の担当
・医師の指示でのみナースが血ガスを採取
・検査室に検体を送る
・FiO2や検体種別を入力しない
・表示が見にくいなどの理由で紙に印刷された結果を見る
・電子カルテや部門システムに取り込まれないので紙をスキャンしている
・異常値が放置される(医師、ナース)

僕の知る限り、ほぼ満点を取れるICUは5-10%といったところ。
あなたのところはどうですか?



「ICUにおける血液ガスのベストプラクティス」というタイトルでChatDPTに絵を描いてもらったら、わけわからんことになった。
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COVIDに対する侵襲的人工呼吸の発生率と地域の重症患者管理能力との関連

2024年02月10日 | COVID-19
Ohbe H, Hashimoto S, Ogura T, et al.Association between regional critical care capacity and the incidence of invasive mechanical ventilation for coronavirus disease 2019: a population-based cohort study.
J Intensive Care. 2024 Jan 30;12(1):6. PMID: 38287432.


集中治療界隈ではダントツの文献発表数を誇るDr.大邉による新しい研究。

表1に全都道府県のICU関連の情報が示されているのだけど、この中に10万人あたりのICUベッド数の欄がある。これを見ると、最小値は新潟と山梨の1.5、最大値は岡山の11.8。なんとほぼ8倍の差がある。

「日本はICUベッド数が少ない」という話はよくあって、以前は僕の作ったこの図がちょいちょい引用されていた。でも、日本が少ないといっても他の国の数分の1程度で、国内の差に比べると全然小さい。重症患者の県外への搬送がたくさん行われているとは思えないので、きっと臨床も全然違うのではなかろうか。

JIPADの仕事で三県とも行ったことあるけど、あまり意識していなかったので、ちょっと驚きました。
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VAPに対する短期と長期の抗生物質治療の比較

2024年02月09日 | 感染
昨日に続きLancet RMのVAP関連の文献。ただしこれは本文が読めた。

Mo Y, Booraphun S, Li AY, Domthong P, et al.; REGARD-VAP investigators.
Individualised, short-course antibiotic treatment versus usual long-course treatment for ventilator-associated pneumonia (REGARD-VAP): a multicentre, individually randomised, open-label, non-inferiority trial.
Lancet Respir Med. 2024 Jan 22: Epub ahead of print. PMID: 38272050.


抗菌薬の投与期間についてRCTするとだいたい短くてもいいという結果になるので、そこはあまり興味がない。実際に臨床で使おうと思うと、他にもたくさんの要素があって、スムーズにいかないことが多いし。

それよりも、研究がネパールとシンガポールとタイで行われていることに興味を持った。Oxfordが関与しているらしいけど、細かいところはわからない。
ただ、なんか良いな、と思いました。
それだけです。
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急性脳損傷に対するCTRXによるVAP予防

2024年02月08日 | 感染
Dahyot-Fizelier C, Lasocki S, Kerforne T, et al. ; PROPHY-VAP Study Group and the ATLANREA Study Group.
Ceftriaxone to prevent early ventilator-associated pneumonia in patients with acute brain injury: a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, assessor-masked superiority trial.
Lancet Respir Med. 2024 Jan 19: Epub ahead of print. PMID: 38262428.


Lancet RMは読めないし、自分で調べてもいないのだけど。

この話題で大きな研究といえばこれを思い出す。この研究でも肺炎は減っているけど、予後の改善がないという理由で予防的抗菌薬は使用しない方がいいという結論になっている。
でも、ストレス潰瘍予防も予後は改善しないけど出血されると面倒だから普通に行われているのと同様に、肺炎になると面倒だし、1回投与なら簡単にできるし安いし、副作用はほぼなさそうだし。

お気軽にやってしまったらどうだろうか、とちょっと思ってしまう。
でも読んでないし調べてもいないから大きい声では言わない。
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ICU用に調整された薬剤の組み合わせアラートの効果

2024年01月25日 | ICU・システム
Bakker T, Klopotowska JE, Dongelmans DA, et al.; SIMPLIFY study group.
The effect of computerised decision support alerts tailored to intensive care on the administration of high-risk drug combinations, and their monitoring: a cluster randomised stepped-wedge trial.
Lancet. 2024 Jan 19: Epub ahead of print. PMID: 38262430.


無駄なアラートは、単に無駄なだけでなく、患者さんに有害。
逆に、無駄を省くと人はちゃんとアラートに反応にするようになる。

電子カルテなどのDXが導入されて医療者の仕事量が逆に増えたという話があるが、それはコンピュータがいけないのではなく、導入方法を考えた人間が悪い。コンピュータによる正しい仕組みの構築はきっと有益。

「そう、まさしくその通り!」という結果を示した研究がLancetに載っていて、ちょっとゾクゾクしました。
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