Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

敗血症性ショックとベータブロッカー

2013年10月29日 | 感染
で、二つ目。

Morelli A, Ertmer C, Westphal M, et al.
Effect of heart rate control with esmolol on hemodynamic and clinical outcomes in patients with septic shock: a randomized clinical trial.
JAMA. 2013 Oct 23;310(16):1683-91. PMID: 24108526.


イタリアのある一つのICU。敗血症性ショックで、血圧の維持にノルアドを必要として、かつ脈拍数が95/min以上の154例。エスモロール(短時間作用型のベータブロッカー)を投与して脈拍を80-94/minにコントロールするかしないかでRCT(オープンラベル)。Primary outcomeは96時間後の脈拍のコントロールで、循環やノルアドの必要量や臓器不全なんかをsecondary outcomeとして評価。その結果、エスモロール群で脈拍のコントロールが良好であっただけでなく、心機能の改善、乳酸値の低下、ノルアドレナリンの必要量減少、さらには28日死亡率が49.4%と80.5%(p<0.001)。

コントロール群の死亡率が異常だし、そもそもSingle centerのphase IIなんだからどう判断するべきかは昨日勉強したばかりなので、それは置いておいて。
何で、これがJAMAか。

どうも、JAMAは、少なくともJAMAのcritical care sectionは、おおっと思われる研究が好きらしい。
典型例はこれ

今回の研究も、
・メジャーで流行りの疾患に対して(敗血症性ショック)、
・どこにでもある治療薬で(ベータブロッカー)、
・有効性を説明する理屈がちゃんとあって、
・ビックリするほど有効だった(死亡率の低下)
から載ったんだろうと推測される。

さあ、これでJAMAに自分の名前を載せる方法は分かったね?
あとは実行あるのみ!

Be ambitious! 我が友よ 冒険者よ~
コメント
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