Dr内野のおすすめ文献紹介

集中治療関連の文献紹介が主な趣旨のブログ。
しかし、セミリタイアした人間の文献紹介なんて価値があるのか?

HESは完全に禁止されるべきか?

2013年10月18日 | 循環
Vincent JL, Kellum JA, Shaw A, Mythen MG.
Should hydroxyethyl starch solutions be totally banned?
Crit Care. 2013 Oct 1;17(5):193. PMID: 24083341.


というタイトルのコメント。泣く子も黙るビンセント先生から。
現状のエビデンスではそこまでは言えないでしょう、患者さん毎に有用性と有害性を天秤にかけて注意深く使いましょう、というのが結論。
こんなことも言ってます。

Indeed, one can consider that even oral fluids have their risks: beer, wine, and non- alcoholic beverages, such as coffee and sugar-containing beverages, should all be taken only in moderation, and even water can be harmful if taken in excess.

はは。まあ、そりゃそうだ。

と思ったら、今月のICMにこんな研究が載っていた。

Muller RG, Haase N, Wetterslev J, et al.
Effects of hydroxyethyl starch in subgroups of patients with severe sepsis: exploratory post-hoc analyses of a randomised trial.
Intensive Care Med. 2013 Nov;39(11):1963-71. PMID: 24037226.


Scandinavian Starch for Severe Sepsis/Septic Shock(6S)のpost-hoc解析。軽症が含まれているとか、タイミングを早くすればとか、外科患者には有効だとか、いろいろケチをつけてくるから、それならサブグループ解析してやるよ、という研究。その結果、
・ICU入室後4時間以内に割り付けられたかどうか
・術後かどうか
・割り付け前に2L以上の晶質液が投与されていたかどうか
・乳酸値が4mmol/L以上かどうか
・低血圧かどうか
・昇圧剤を使っていたかどうか
で比べてみたけど、どれもHESが有害であることには変わりがなかったよ、と。

議論は続く。
そして、日本のHESは蚊帳の外。
コメント
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