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香港功夫映画と共に

回想~李小龍(之二) 『死亡遊戯』と思遠影業公司

2008-11-18 01:41:38 | その他
さて、最近ある方から金泰中こと唐龍の貴重な資料を色々と頂きました。それらの中には金泰中の韓国時代の主演作品『お嬢さん勘弁して』(81)の資料は勿論、本当にレアな金泰中の情報が満載で感謝の一言(Dさん、ありがとう!)なんですが、その中に78版『死亡遊戯』の例のドクター・ランド(ディーン・ジャガー)のマカオの別荘での乱闘シーンの撮影中に、武師グループたちが撮影現場で撮ったと思われる記念写真がありました。
そこには金泰中は勿論、元彪や火星も映っている中で、ドーン!と真ん中にサモ・ハンこと洪金寶が映っているのが私にはある意味意外だったんです。
だってあのランドの別荘での乱闘シーンって、サモ・ハンが実際に武術指導した金泰中vsボブ・ウォールのロッカー・ルームの決闘や、金泰中vs王虎の温室の決闘の素晴らしい完成度に比べると明らかにボルテージが下がっているアクション・シーンで、私はあの別荘のアクション・シーンはサモ・ハンじゃなくてロバート・クローズ(あるいは絡み役で顔を出している劉家榮辺り)が作ったアクションだったんじゃないか?と長い間疑惑の目(苦笑)を向けていたんですね。まあその疑惑も今回の記念写真にサモ・ハンが映っている事で晴れたのは逆に良かったかも知れません。

で、やっとここから今回の「回想~李小龍」第2回のテーマである『死亡遊戯』なんですが、金泰中&『死亡遊戯』と言えば、当然次に私たちの脳裏に浮かぶのはあの『ブルース・リー死亡の塔』(81)になるわけです。
恐らくは我々リー信者にとってある意味最大の問題作?である『死亡の塔』に関しては、私もあの別編集バージョンである『死亡の塔』韓国版の紹介も含めてこれまで様々な形でリサーチを行って来ました。
で、これは以前にも触れましたが、私も含めたリー信者の多くが今だに『死亡の塔』(この場合は国際版)に対して強い疑問&不満として持っている「何故、この『死亡の塔』製作時に呉思遠は『死亡遊戯』の五重塔内ファイトの未使用映像(要するに今も現存する約96分のラフカット)を全く使用しなかったのか?」という謎に満ちた永遠のテーマに関して、今回駆け足ながら私なりの考察をして見たいと思います。
まずこれは私が以前に未確認情報として得た情報ですが、『死亡の塔』国際版に使用された数少ないリーさん本人の『燃えよドラゴン』(73)の未使用映像(リーさんと高僧の会話シーン、リーさんと老人の会話シーン、そしてリーさんが室内で武術書を手に取るシーン等)は当時から嘉禾公司ではなく呉思遠率いる思遠影業公司が権利を所有していた映像だそうで、だからこそ『死亡の塔』国際版公開時にもワーナー・ブラザース側とのトラブルが(表面上は)クリア出来たと思われます。
またこれも現時点では未確認情報としておきますが、以前に私が『BRUCE LEE in G.O.D/死亡的遊戯』(00)製作に深く関わった方に訊いた話なんですが、『G.O.D』や『Warriors Journey』(00)製作の要因となった『死亡遊戯』の約96分のラフカットも嘉禾公司からメディア・アジアに譲渡された後に、上記の方がメディア・アジアを訪れた際に知った事実として、何と『死亡遊戯』のラフカットはその当時のメディア・アジアにおいても嘉禾公司ではなく思遠公司に属する映像として扱われていたそうです。
この2つの情報が事実と前提した上で考察を進めると、呉思遠としては70年代終盤に『死亡の塔』を製作する際には、それこそ何時でも『死亡遊戯』の五重塔内ファイト・シーンの未使用映像を『死亡の塔』に使用出来た事になる訳で、逆に「では何故そうしなかったのか?」と言う新たなる謎が膨らんでしまう事態に至るわけです。
ただですね、その『死亡遊戯』のラフカットさえも、78版『死亡遊戯』の本物リーさんのクライマックス・ファイトシーンの編集に使用した後の言わば“使用済み編集素材(その証明として池漢載のフロアの無数のテイクが欠落しているのは編集&使用後にテイクが元の状態に戻されなかったため)”であった可能性が高いばかりか、嘉禾公司からメディア・アジアにリーさん関連の映像が譲渡される際に、あのラフカットはそれらのリーさん関連の映像の中に殆ど紛れ込むような状態で譲渡されて来た映像で、恐らくは嘉禾公司でさえもラフカットがメディア・アジアに譲渡された事を正式には把握していなかったとも言われています。
最後に余談ですが、そのメディア・アジアの映像の保管場所と言うか倉庫は、床に嘉禾公司作品のロビーカードが何枚も無造作に散乱し、その傍らには成龍の『プロジェクトA』(83)のフィルム缶が何缶も平積みになっていたそうです。もしかしたらそのフィルム缶の中の1巻には『~A』のNGフィルムがまるごと入っていたとしたら?・・と思うと是非ともその場に居てみたかった!と思ってしまいますね。
というわけで、李小龍を語る事は歓びである!「回想~李小龍」、リーさんの誕生日目指してまだまだ続きます。
コメント (4)
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