超級龍熱

香港功夫映画と共に

この武将雪虎の命、いざ公主に捧げん・・!ドニー・イェン主演最新作『江山美人』

2008-04-29 00:01:08 | 作品レビュー
昨日は前から楽しみにしていた我らがドニー・イェン主演最新作で、程小東導演作品『江山美人』を観ました。
映画は戦国時代の燕国と趙国と言う2つの国の争いを軸に、燕国王の娘・燕飛児姫(陳慧琳)、死期の迫った国王から国を治めるよう命じられた将軍・雪虎(ドニー)、そしてかつては武士でありながら静かに隠遁者として生きる段蘭泉(黎明)という3人の主人公が悲しい運命に翻弄されていく姿を描いています。
今回のドニー兄貴は得意の武打シーンだけに限らず、幼馴染みの飛児姫を密かに慕いながらも敢えて飛児姫を厳しく武人として鍛え、また側から支えるという“耐え忍び見守る男の愛”的な雪虎の男臭い佇まいが素晴らしいですね。この映画の随所でドニー兄貴扮する雪虎が幾度となく見せる時に寂しげで、時に勇猛な表情演技は私たちの心に強く残ります。
作品全体のアクション・シーンはどちらかと言うと映画の中盤から終盤に集中しているのですが、まず私が気に入った武打シーンは後半で燕国の国王の甥でありながら国王を殺し国を乗っ取った悪漢・胡覇(郭暁冬)が放った刺客軍団が飛児姫が心を寄せる段蘭泉の家を襲撃し、それに果敢に応戦する飛児姫が弓矢をビュン!ビュン!と飛ばし刺客たちを片っ端から倒していくシーンですね。
ここではケリー嬢の女優としてのチャームポイントであるあのキリッとした瞳が、飛児姫が弓を手に敵に狙いを定める際の鋭く凛々しい視線として効果的に描かれていて観る側の印象に強く残ります。
でも何と言っても映画の最大の見せ場は、クライマックスでドニー雪虎がたった1人で胡覇率いる無数の兵団に闘いを挑んでいくシーンです。ここではそれまでドニー兄貴が映画の中で雪虎としての存在感を敢えて抑え気味に演じていたからこそ、逆にここぞ!とばかりに“最後の本格派”ティストが爆発しまくるこの大合戦シーンは興奮しましたねー!もういきなりドニー雪虎は迫って来る馬上の敵に大刀を一閃!身体を反転させて別の敵に飛び後ろ廻し蹴り!さらに2人の敵に同時に首を書き込んでフライング・ヘッドシザース!そして今度は素手で馬をヘッドロック(!)しそのまま地面に引きずり倒す!(ってオイオーイ!?)
そこに胡覇の右腕の巨漢が「雪虎!貴様の命貰ったぞォォ!」と突進してきますが、雪虎は長髪をまるで落武者のように振り乱しながらも「さあ、来ォォォい!」と迎え討ちます!
ところがそこに左右から鋭い槍が雪虎の脇腹を貫きます!「ぐぅう!ぐあああ・・!」激痛に絶叫する雪虎に群がるように胡覇の兵が一斉に襲いかかります!
と・・その時!それこそ断末魔の形相で大刀を振り回す雪虎の視線の先に、自分の許に必死に馬を走らせ駆けつけんとする飛児姫の姿が・・!
「公主?・・飛児!?」「雪虎ゥゥ!雪虎ゥゥゥ!」さあ、果たして飛児姫と雪虎の運命や如何に・・!?

この先はネタバレになってしまうので・・ここでは映画の結末には触れませんが、今回の程小東導演はかつての程導演の悪いパターンであった物語が進むに連れて映画の展開がゴチャゴチャになってしまうといった傾向は見られず、全体的には比較的コンパクトに良く纏まっていましたね。
陳慧琳と黎明は恐らく本人の肉声っぽい(北京語)のですが、ドニー兄貴は残念ながら吹き替えでした。
『江山美人』と言う題材は香港映画ではお馴染みではあるんですが、今回のバージョンはドニー兄貴の勇猛ながら繊細な心を持つ武将、陳慧琳の一国の姫としての凛としたカリスマ性、また1人の女性として愛する男性への一途さとか弱さ、そして黎明の心優しい男性の寡黙な中の芯の強さ、などと言ったそれぞれの俳優たちの持つ個性が十分に引き出された浪漫武侠片の秀作に仕上がっていると思います。是非何らかの形で日本公開して欲しい作品ですね。
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新影帝誕生!李連傑① 黄飛鴻ブレイク前夜!トリンブルとの死闘!『ハード・ブラッド』

2008-04-26 13:44:12 | 作品レビュー
さて先日からの公約通り、李連傑ことジェット・リーことリー・リンチェイ45歳の誕生日の本日から、リンチェイの香港電影金像奨における最佳男主角受賞記念特別企画として「新影帝誕生!李連傑」を開始します!
まず初回は徐克導演、袁振洋&元華武術指導、そして勿論主演リンチェイの『ハード・ブラッド』(92)でスタートです!
この『ハード~』はロサンゼルスが舞台の設定であるために海外ロケを敢行していますが、この時期のリンチェイは私生活でも様々な問題を抱え、また武打星としても伸び悩んでいた頃だったんですが、この映画で初めて徐克とコンビを組んだ事により、後にリンチェイは徐克との黄金コンビで天下の黄飛鴻武打星として大きく飛躍していく事となります。実際この『ハード~』は完成後暫くしてから黄飛鴻武星として大ブレイクしたリンチェイ黄飛鴻ブームに便乗して、原題を『黄飛鴻之92:龍行天下』として公開されていますし、劇中でリンチェイ演じるウォンが闘いの際に両手を「ババッ!」と広げ身構える戦闘ポーズは、リンチェイ黄飛鴻の代名詞であるあの戦闘ポーズに似ていない事も・・ないですね(苦笑)。
さて物語はアメリカで医院(名前が何と“寶芝林”!)を開く師匠のタク(元華!)に会いに香港からやって来た青年ウォンが、当地のギャングのボスにして凄腕の格闘家ジョニー(演じるはジェリー“ゴールデン・ボーイ”トリンブル!!)との激しい抗争に巻き込まれていく、という展開です。
映画の序盤で元華と元弟子(の設定)のトリンブルが“寶芝林”内で見せるマニア号泣のクンフー・ファイトやヒロインの郭錦恩が可愛かったりと色々と見せ場がありますが、劇中では何とあの“ヴィクトリィィ!”こと若き日のビリー・ブランクスがチラッと顔を見せていますので要チェックです。
でも何と言ってもこの『ハード~』の一番の売りは映画の中で幾度にも渡って展開されるリンチェイとトリンブルのスリリングなクンフー・ファイトでしょう。まず2人は“寶芝林”の前で前哨戦としてストリート・ファイトならぬ車上ファイトを見せるんですが、ここで騒ぎを聞きつけて駆けつけたアメリカ人警官の台詞が泣かせます!
「フリーズ!2人とも動くな!(リンチェイに向かって)お前もだ!ブルース・リー!」・・ってヘイヘ~イ?オフィサー!それじゃ同じリーでも“リー違い”だぜ!?(苦笑)。
そして、映画のラストでNRBビルの屋上を舞台にリンチェイとトリンブルが見せる壮絶な一騎打ちは、今改めて観直して見ても本当に素晴らしい完成度ですねー!
屋上の屋根を突き破った2人はビルの空調室内に転落し、そこで床にあるバルブ部分に脚を挟まれたリンチェイがそのまま片脚状態でトリンブルに応戦したり、割れたガラスが散乱(ここは映画の序盤の元華vsトリンブル戦が伏線となっています)したままの床上で同じくリンチェイがトリンブルの連続蹴りの猛攻に反撃していくなど、ここではリンチェイ演じるウォンが様々なシチュエーションに順応しながらジョニーと闘う様子が実にユニークかつ迫力に満ちたクンフー・ファイトとして仕上がっています。それも悪の格闘家ジョニーを憎々しげに、そして凄味タップリに演じたトリンブルの卓越したキッキング・テクニックがあればこそリンチェイの見事な受けが更に際立ったわけで、改めてこのトリンブルこそがあのマイケル・ウッズやジョン・サルヴィティと並ぶ香港クンフー映画史上最強の外国人武打星であると断言したいですね。
でも私が昔にこの映画を最初に観た時、ウォンの猛反撃に屈したジョニーが苦し紛れに「What are you waiting for? You son of bitch!Finish meeee!(何をしてやがる?このクソ野郎がぁ?さっさとケリを着けやがれぇぇ!)」とウォンを罵倒すると、英語がカラキシ駄目な設定のはずのウォンが思わず「OK!・・・ Finish!」と英語で応えるシーンでつい爆笑してしまったのでした(苦笑)。
そしてガス爆発でビルの壁が吹き飛び、そのままビルの外壁に宙吊り状態で闘ったウォンとジョニー(このシーンも決して多くは無い予算の中で何とか新しいアクションを見せようとする徐克導演の奮闘振りには感心します)ですが、最後はウォンの放った決死の回転浴びせ蹴りを受けたジョニーが悲鳴と共にビルから大落下して闘いに決着が着きます。

この『ハード・ブラッド』の頃のリンチェイは、まだデビュー作品『少林寺』でリンチェイが確立したショート・レンジから繰り出す電撃の突きや打点の低い蹴り、と言ったある意味オーソドックスな武術(うーしゅう)スタイルのクンフー・アクションで勝負しています。そしてこのリンチェイ独自のスタイルに洪家拳の力強さ、打点が高い猛スピードの連続蹴り・・つまり“無影脚”、そして脅威的なワイヤー・ワークを合致させた新時代の“香港クンフー・アクション”確立を目指す徐克の手により、いよいよリー・リンチェイが近代中国武術の偉人・黄飛鴻に扮した伝説の“ワンチャイ”系列が幕を開けるのです!
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世界の中心で“ドラゴン”と叫べ!周星馳主演『カンフー・ハッスル』今夜TV放送!

2008-04-26 00:53:48 | ニュース
最近購入した「看電影」4月5日号は、日本公開に期待高まる成龍&李連傑共演『ドラゴン・キングダム』大特集号ですね。もう表紙を飾るリンチェイとジャッキーの2人がニッコリと笑顔で握手している黄金のツーショット写真だけで思わず表紙買いしてしまいました(苦笑)。
中身も「『功夫之王』超前解密」と題して、ジャッキー、リンチェイ、リー・ビンビン、そして袁和平のインタビューなど堂々8頁の大特集に加えて、例の『ドラゴン~』の折込ジャンボ・ポスターが付録で付いております。
以前は私はこの映画イマイチ乗れなかったんですが・・公開が近ずいて来るに連れてかなり楽しみになって来ました。早く観たいなー!

さて、どうも余り話題になっていないみたいですが、今夜フジTVで夜の9時から我らが星爺の『カンフー・ハッスル』が放送されます!地上波初登場+10分延長での放送が嬉しいんですが、もう私はこの映画が本当に大好きで、この放送を機会に是非多くの方にご覧になって頂きたいですねー!
洪金寶が武術指導した“3人の達人”が初暴れするシーン、元華&元秋夫婦がフォン・ハックオンたち殺し屋を撃退するシーン、“火雲邪神”こと梁小龍と元華夫婦の“大鐘決戦”、そして星爺vs梁小龍の『燃えよドラゴン』への熱きオマージュが炸裂しまくっている大決闘!と、この『カンフー・ハッスル』には星爺のリーさんと香港クンフー映画への燃え滾る愛情がギュゥゥゥゥ!と目一杯詰め込まれているんです。まさに大快作です!
特にクライマックスで星爺が身に纏っている白と黒のトーナメント・ウェアは・・・そうです、当ブログ「超級龍熱」をご覧になって下さっている方々には、もはや説明不要の“伝説のコスチューム”ですね。
ええっ?もうDVD持ってる?それでももう1回観ましょうよ!(笑顔)。勿論私も絶対観まーす!
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ヴィック・チョウ&ニン・チャン競演!『闘茶 Tea Fight』

2008-04-25 01:10:38 | 作品レビュー
昨日は1日中都内を行ったり来たりで慌しかったんですが、まず午後はムービー・アイさん+ピクニックさん企画&製作、王也民導演、戸田恵梨香&香川照之主演『闘茶Tea Fight』を試写で観て来ました。(Hさん、試写のお誘いありがとうございます!)
闘茶・・文字通り互いがお茶を入れる事によって、そのお茶の風味、様式美などを競う実際に中国は宋代に栄えた競技なんですが、映画では香川照之と戸田恵梨香(熱演!)演じる親子が先祖から伝わる“黒金茶の呪い”を巡る騒動に巻き込まれていく、という展開です。
ヴィック・チョウ(今回はニヒルな悪役を快演!)やニン・チャン(妖艶で素敵な女優さんです)の2人が颯爽と闘茶に挑むシーンは意外なほど決まっていますし、映画の狂言廻し的な人物で曾志偉も顔を見せていて例によって飄々と実にいい味出しています。それにしても闘茶をテーマに映画を作るなんて本当ユニークでナイスな発想だなぁ!
この『闘茶』は今夏にシネマライズでロードショー公開との事ですので、是非!

夕方からは某映画雑誌の編集部に行って来ました。これは角川エンタテインメントさんが6月からショウ・ブラザース作品DVDを14本リリースするとの事で、編集部から私に角川さんのご挨拶に同席してくれませんか、との依頼があったためでした。その際に角川さんから全14タイトルの邦題&リリース予定日なども見せて貰いましたが、角川さん、これから色々と大変だとは思いますが頑張って下さいねー。

関係ないんですが、最近は例によってビデオやDVDの救済はマメに行っているんですが、ちょっとブログに救済報告を怠ると・・もうどれを何時救済したのか判らなくなってしまって(苦笑)・・また近日中に救済作品(と言っても殆どがDVD)をちゃんと整理してご報告したいと思っています。
最後になりますが、先週以前行きつけだった中国ビデオレンタル屋さんに本当に久々に顔を出したら、店のオーナーさんが「うち来月で店閉めるから!店にあるビデオ全~部1本100円で持ってっていいよ!」という事(笑顔!)で、敢えて古めの作品を集中的に選んで、周潤發主演電視劇『蘇乞児』全巻、銭小豪主演電視劇『獨臂刀客』全巻、これまたレアな恵英紅&ロバート・マックというショウ・ブラザースのコンビ主演電視劇『城市英雄』全巻などを購入して来ました。この時「ねえ、もうサンプルのジャケも要らないだろうから貰っていいでしょ?」と上記の電視劇の写真&作品解説入りビデオ・ジャケットもチャッカリ貰って来た龍熱でした。


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「超級龍熱」今後の予定特別企画・・「新影帝誕生!李連傑」or「亜洲格闘超人編」

2008-04-24 00:27:30 | その他
昨日はエスピーオーさん配給の韓国映画でイ・チャンドン導演、チョン・ドヨン、ソン・ガンホ主演『シークレット・サンシャイン』を試写で観て来ました。非常に重いストーリーなんですが、とにかく主演女優のチョン・ドヨンの凄まじいまでの熱演が光ります。彼女がこの映画で去年のカンヌ映画祭で主演女優賞を受賞したのも頷けます。
あと私は共演のソン・ガンホがお気に入りの俳優なので彼が画面に出て来ただけで微笑ましいと言うか(苦笑)、何かアッと言う間の142分でした。この『シークレット・サンシャイン』は6月7日からシネマート六本木&池袋シネマ・ロサでロードショー公開との事です。

さて映画祭で受賞と言えば、未だにその興奮冷めやらないのが我らが“功夫皇帝”李連傑の第27回香港電影金像奨での最佳男主角受賞の快挙です!これは当ブログ「超級龍熱」でもそのリンチェイの快挙を祝うべく特別祝賀企画として「新影帝誕生!李連傑」と題し、リンチェイの代表作を3、4本ほど特集しようかな、と思っております。
あともう一つ企画物として、現在劇場パンフ等を執筆中(と言っても既にゲラ構成段階ですが)のタイの格闘ヒーロー映画劇場公開に向けて、アジアと言うか日本の特撮ヒーローアクション物を「亜洲格闘超人編」と題して何本か特集しようか、などとも考えております。
あ、そう言えばあの『仮面ライダー:THE NEXT』もDVDがリリースされた様ですので、『~THE NEXT』をメインに「超級龍熱」なりのティストで我らがダブルライダー特集も良いかも知れませんね。
まだどちらかの企画を行うかなど思案中ではありますが、いずれにしてもどうかお楽しみに!

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ヴァンダミング最後? J.Cヴァン・ダム主演『THE SHEPHERD BORDER PATROL』

2008-04-22 13:35:51 | 作品レビュー
さて、昨日は以前から当ブログでもイチオシだった最新“ヴァンダミング・アクション”こと我らがジャン=クロウド・ヴァン・ダム主演『THE SHEPHERD BORDER PATROL』(08)を観ました。
勿論監督はアイザック・フロレンティン、アクション監督JJペリー(ペリーは今回チョイ役で出演もしています)、そして共演にスコット・アドキンス(大拍手!)という現在の欧米アクションにおける最強の布陣がヴァン・ダムを猛プッシュ!している作品です。
物語はこれも以前にお伝えした通り、アフガニスタン帰りの特殊部隊崩れの一団が麻薬販売集団として暗躍し、それを国境警備官のジャック(ヴァン・ダム)が阻止する、という展開です。
ヴァン・ダムは前作の『ディテクティヴ』でもちょっと草臥れた渋い刑事を演じて実にいい味出していたんですが、今回のジャック役も自分の幼い娘を麻薬で失い深く傷つき、その娘が可愛がっていた兎が入っている籠を絶えず持ち歩きながら娘の仇の麻薬集団を追い求めていく・・という孤高の主人公を貫禄十分に演じています。
で、注目のスコット・アドキンスのアクションなんですが、映画の冒頭でいきなりジャンプしながら相手の首に片脚を巻き込んで蹴り倒し、そのままナイフで刺し殺す!というブッ飛びアクションを披露し、中盤では今度は怒涛のサイドキックから腕拉ぎ逆十字固め!ともう期待通りのバリバリ!のハード&リアル・アクションを見せてくれています。
当然映画の最後ではヴァン・ダムとアドキンスの一騎打ちとなるんですが、序盤はやはりアドキンスの連続のハイキックから強烈なネックロックでヴァン・ダムが大苦戦!もうこの辺りの攻防は新進気鋭のアドキンスの猛攻に老いたヴァン・ダムが懸命に応戦する様子が私も観ていてメチャに泣けてきてねえ!(感涙)。
思わず「ヴァン・ダム!そこでヴァンダミングだぁ!」と画面に向かって叫んでいました(苦笑)。
ここからは逆襲のヴァン・ダムとアドキンスが互いに猛然と蹴り合いを開始!さらに2人の激しい闘いは一気にクライマックスに突入していきます・・!まあ確かに当初期待していたほどのアクション面における超ハイテンションの盛り上がり感は薄い作品ではありましたが、やはり“夢の対決”であるヴァン・ダム対アドキンス戦を観る事が出来たのは本当に嬉しかったですね。
ヴァン・ダム、まだまだ老け込まないで“ヴァンダミング・アクション”全開!で頑張って欲しいですね。
この『THE SHEPHERD BORDER PATROL』は既に海外ではDVDがリリースされていますので、是非ご覧になってみて下さい。
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“鉄血銀狐”黄正利ショウ・ブラザース襲撃!徐蝦導演『廣東{青見}仔玉』(SB)

2008-04-20 14:45:41 | DVD&Blu-ray情報
先週辺りから原稿書きとか色々とバタバタしていまして、試写もやっと観に行けたのがジャック・ブラックの『テネイシャスD』ぐらいだったんですが、逆に劇場やDVDでは何とか時間を作って『クローバー・フィールド』とか『THE MIST』を観れました。『クローバー~』は既に観ている人から「カメラが激しく動きまくるから目が廻りますよ!」と言われていたんですが、私は全く無問題でそれなりに面白く観れました。特にHAKAISHAがその全身を現す辺りまではかなりスリリングでしたねー!
『THE MIST』はキングの原作の中では一番好きな中篇で、もう何度読み返したか判らないくらいのお気に入りだったんです。今回の映画化も原作に忠実に映像化していて十分に楽しめたんですが・・最後だけ映画版のオリジナルの展開に変えてしまっていたんですね・・・うう~ん!

さてさて、最近本当に久々に天映娯楽社版のショウ・ブラザースDVDを購入したんですが、それが徐蝦導演、ワン・ユエ、ヤン・パンパン、そして“鉄血銀狐”こと黄正利主演『廣東{青見}仔玉』(82)なんです。
この映画は昔から比較的画質の綺麗な広東語版のブートが出回っていて、私も随分前に一度観ているんですが、それなりに面白かったと記憶しています。
今回の天映娯楽社版も実はまだ本編は観ていなくて、特典で収録されているオリジナル予告編を真っ先に観てしまいました。と言うかここ最近の私が天映娯楽社のショウ・ブラザースDVDを購入するポイントは、ジャケ裏の「額外収録内容包括」欄に「本片預告」と入ってるかどうかなんですね(苦笑)。
それも新版予告なんか観ないで公開当時のオリジナル予告編を観れるのがもうメチャに嬉しくて、今回の『廣東~』のオリジナル予告編もリマスター処理すらされてない雨降り状態の予告編が何とも最高にいい感じなんです(号泣!)。
それにしても黄正利がショウ・ブラザース作品に出演しているDVDがこのような高画質で観れるなんて・・本当に良い時代になりましたねぇ。黄正利のショウ・ブラザース作品は他にもあるんですが、作品の完成度では成龍のコメディー・クンフー映画ブームの余波を受けて製作されたこの『廣東~』がベストですし、本作には黄師匠と同じようにジャッキー映画で名を売った任世官も顔を見せていて激闘を展開しています。
まあ黄師匠は残念ながらこの後にショウ・ブラザースの“女帝”方逸華と大トラブルを起こしてしまい、ショウ・ブラザースを去る事になってしまうんですけど・・。

そう言えば、私も以前からよくショウ・ブラザース作品で一番レアな作品は何でしょうか?と訊かれるんですが、これに関しては私も何度か多方面で言及しているので皆さんもご存知だと思いますが、『飛龍斬』(76)や『悪爺』(80)などがそれに該当します。
あとショウ・ブラザースのレア作品と言うと、毎回決まったように『残酷大刺殺』(78)を挙げているリマスター世代の人間がいますが、この作品は天映娯楽社が正規版リリースを開始する以前にヨルダン等で既に英語版が発見されていたのでレア作品ではありません。
では天映娯楽社が既に多くのショウ・ブラザース作品をDVDリリースした現在において、本当の意味で激レアなショウ・ブラザース作品とは一体何か?それが孫仲導演、岳華主演『阿Sir毒后老虎槍』(77)なんです。
何故ならこの『阿Sir~』は、ショウ・ブラザースの激レア作品の絶対条件である(1)これまでも今後も天映娯楽社からDVDリリースされる予定がない事、(2)この作品の映像(ブート)が確かに存在する事が確認されている事、(3)この作品を所有している人間(海外コレクター)が実際にいる事(これが一番のポイント!)、と言った項目を全てクリアしているからです。いやはや“幻の映画帝国”制覇の道はまだまだ近いようで遠いようですね。
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倉田保昭からドニー・イェンへ!香港電影金像奨で『導火線』が最佳動作設計受賞!

2008-04-16 13:42:14 | ニュース
皆さんの熱いご声援で何とか昨日ゴールしました「GOD IS BACK!」を無事に終えた達成感と、先週から今週にかけてタイの格闘ヒーロー映画(詳細は時期が来ましたら当ブログでもアップしますね)の劇場パンフ&チラシとそれこそ格闘中だった事もあって完全に出遅れてしまいましたが(涙)・・我らがドニー兄貴がまたもやってくれました!
そうです!先日の第27回香港電影金像奨で“最後の本格派”ことドニー・イェンが『導火線』で最佳動作設計賞を受賞しました!ドニー兄貴、おめでとう!
いや~今回の強敵は『投名状』の程小東かなぁ?と思っていたんですが、文句なしの受賞で本当に良かったです。
それも受賞式のプレゼンターがこれまた“和製ドラゴン”倉田保昭(着流し姿で登場!)というダブル・サプライズ!
もう倉田さん、いきなりステージで即興アクションまで披露していてノリノリでしたねー!
と言いながら私もこの模様は谷垣健治導演のブログ「谷垣健治のアクションバカ万歳!」にアップされていたYouTube画像で観たんですけど(苦笑)。健治導演、多謝です。

残念ながらドニー兄貴は当日の受賞式には出れなかったので、代わりにドニーの奥さんの妹さん(『導火線』でドニー馬軍と行宇演じる阿虎のエレベーター内の格闘に巻き込まれる婦人警官を演じていた人です)がステージに上がって倉田さんからトロフィーを受け取っていたので、ドニーと倉田さんの貴重なツーショットは観れなかったのですが、それでも“和製ドラゴン”から“最後の本格派”へのベスト・アクション設計賞の継承は龍熱者としては感激でした。
余談ですが、ドニーが香港金像奨関連で初めて受賞式のステージに上がったのは恐らく92、3年の受賞式で『ワンチャイ天地大乱』(92)が最佳武術指導賞を受賞して、ドニーが袁和平師父の代理でステージに上がった時ではないでしょうか?
その時プレゼンターとしてドニー(何故か短髪!)にトロフィーを渡していたのが成龍ことジャッキー・チェンとミシェール・ヨー姉御(今度再婚されるとか!?)でしたね。で、この受賞式で観客席に帽子を目深に被って座っていたのが誰あろう李連傑!・・じゃなくて熊欣欣だったんですよ(苦笑)。もうあれから16年近くが経っているんですねえ・・。

で、忘れちゃいけない今回の香港金像奨で『投名状』の鬼気迫る佇まいで見事に最佳男主角(最優秀主演男優)賞をゲットしたのが“功夫皇帝”李連傑ことジェット・リーです!もうここで多くを語る必要はないでしょう!
きっと日本を含めた世界中のリンチェイを愛する女性ファンが涙を流してこの快挙を喜んでいる事でしょう。
おめでとう!リンチェイ!これで君は文字通り“皇帝”ならぬ“影帝”になったんだね!本当におめでとう!
当ブログ「超級龍熱」もこの李連傑の栄誉に心からの拍手を贈りたいです。

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GOD IS BACK!⑩ 迫り来る“未知の恐怖”!闇の番人ハキムとの死闘・・!(後編)

2008-04-15 01:03:55 | その他
今から30年前の今日、78版こと『ブルース・リー死亡遊戯』(78)が日本で劇場公開されました。
先月から続けて来ました当ブログ「超級龍熱」による『死亡遊戯』公開30周年記念特別企画「GOD IS BACK!」も今回の第10回がいよいよフィナーレとなります!

ここで今回の「GOD IS BACK!」で初めてジョン・バリー作曲による『死亡遊戯』のメイン・テーマに触れましょう。
この勇壮でそれでいて何処となく物悲しい旋律は、この78版『死亡遊戯』という作品の持つ“稀代のアクション・スターが志し半ばで倒れ未完成に終わった作品を、そのスター縁の人間達が全身全霊を込めて完成させた作品”という一種特種かつ運命ずけられた作品背景に相応しく、リーさん主演作品のテーマ曲中屈指の名曲です。
ここで私が強く言いたいのは、ジョン・バリーがこの78版『死亡遊戯』のメイン・テーマの曲名を一般的な「THEME FROM GAME OF DEATH(『死亡遊戯』のテーマ)」ではなく、「BRUCE LEE THEME(ブルース・リーのテーマ)」と命名している事なんです。そうなんです、伝説の作曲家ジョン・バリーは自分の結婚式の直後僅か3日後に作ったこの曲を『ブルース・リー死亡遊戯』という作品に対してではなく、ブルース・リーいや、リーさん本人に直接捧げるために作ってくれたんです!(号泣!)
私は今でもこの78版『死亡遊戯』の“ブルース・リーのテーマ”が流れる度に、薄暗いレッドペッパー・タワーの中で展開されるビリー・ロー対ハキムの死闘を私が初めて観た時の事を思い出します。
ビリーは自分よりも数倍長い手足を誇るハキムの猛攻によって、何度も床にコロッコロッと叩き着けられながらも必死に起き上がりハキムに挑んでいきます。まさにそのビリーの闘志溢れる姿は悲壮感すら漂っていました。
そうは言いながらも確かにこのビリー対ハキムの闘いは、本来はバスケット・プレーヤーであるジャバールの体型的な線の細さや武術テクニックの劣性などからそれほど完成度の高い武打シーンではありません。
むしろリーさん演じるビリーが必要以上にハキムに何度も殴られ、または倒されて見せるなど、かなり敵であるジャバールに“花を持たせ過ぎている”展開になっています。
でも当時の私、龍熱少年のこのビリー対ハキム戦に対する思いは全く違っていたんです。何故ならこの待ちに待った『死亡遊戯』最大のクライマックスであるリーさん対ジャバール戦は私、いや全てのリー信者にとって文字通り“最後のブルース・リー主演作品の、最後のクンフー・ファイトシーン”なんです!もうこれ以上リーさんのクンフー映画はこの世の中には存在しないんです!私はこのビリー対ハキムの死闘を観ながら心の奥底で「このままズ~ッとこのリー対ジャバールの闘いを観ていたい!このまま僕の大好きな『死亡遊戯』の映像が永遠に終わらないでくれたらいいのに!」と願っていたんですね・・。

これは余談ですが、私がBFCに在籍していた時に同時期に精力的に活動していた「イエナ・ブルース・リー・クラブ」というリーさんのFCがありました。私はBFCと共にこの「イエナ~」にも入会していたんですが、当時銀座にあったイエナのFCの拠点を兼ねていた洋書店によく遊びに行っては店長(だったと思うんですが)のTさんを相手にああでもないこうでもないとリーさんの話ばかりしていました。
で、その時にTさんが「実は『死亡遊戯』広東語版のジャバール戦にはリーの“台詞”があるんです!」という仰天情報を教えてくれたんです!
今では簡単に観る事が出来る78版の広東語版ですが、まだ80年代初頭当時では78版の広東語版を観た人間はごく限られていました。そこに78版のリーさんは一切無言のはずなのに何と台詞シーンが!?まさか別編集バージョン!?それは絶対に観たい!と1人大興奮の私だったんですが、その時はTさんも多忙だった事もあり、残念ながら78版の広東語版を観る事は出来ませんでした。
そして後日、私が自分で入手した78版の広東語版でジャバール戦を確認して見ると・・確かにリーさんがジャバールの急所を打ち、倒れたジャバールを見下ろすリーさんが少し口を開け喋るように見えるシーンで「起きろ!(を意味する中国語)」と喋る台詞が一言だけですがアテてありました。
このイエナのTさんとのやり取りも今では懐かしい思い出です。この私とTさんのエピソードからも判るように、80年代初頭には『死亡遊戯』に関するこのような些細な情報交換でさえ情熱的に交わしていた私たちリー信者が、約20年後に『BRUCE LEE in G.O.D/死亡的遊戯』を観た時にどれほどの感動と衝撃を与えられたかが良くご理解頂けるかと思います。

さてビリー対ハキムの死闘は、ハキムに殴られその衝撃で後退したビリーが窓の障子を破り、そこから外部の光がフロア内に差し込むと、何故か急にハキムが怯み戦意を消失していきます。
この78版の実際には夜の設定なのに窓の外がまるで昼間のように明るいのは、唐龍演じるビリーがレッドペッパー・タワーの裏口からタワーに侵入した際に、タワーを見上げるようにセッティングされたライトが一斉に点く、という設定が施されているからでした。またそれよりも重要な事柄としては、78版ではこのハキム戦でも他のフロアと同様に監督のロバート・クローズによってリーさんによるオリジナル案を悉く変更した上で大胆なカット編集が施されているわけなんですが、それこそ私としてはオリジナル版のそれまで無敵を誇ったジャバールが実は“光に弱い”事を知った主人公(リーさん)が、ジャバールに対してさらに強烈な太陽光線を注ぐべく背後の障子を片っ端から突き破っていき勝機を得る、という実にドラマチックな展開こそ、そっくりそのまま78版で使用したとしても全く問題なかったのでは?と今でも思っています。
それはオリジナル版をそのまま使用する上において、映像的に最も大きな障害であった田俊&解元の2人がこのハキム戦の終盤では既に共に倒され、文字通りリーさん対ジャバールの一騎打ち的なシチュエーションになっていただけに尚更そう思うのです。
そしてこのビリー・ローにとって本当に長く苦しかった“デス・ゲーム”は、ビリーが必殺のネック・ロックで最強の闇の番人ハキムの首をヘシ折る事で幕を閉じます。
「ふううぅぅ・・!」ビリー、いやリーさんが絶命したハキムの大きな首を抱えたまま深い溜息を着くシーンでは、78年当時私を含めた多くのリー信者もきっと同じように溜息を着いていたと思います。
まさに私にとっては至福にして究極の、そして以後何万回(それ以上かも)となく繰り返し観る事になる78版『死亡遊戯』における約11分間のファイト・シーンがここに幕を閉じたのです。

さて、全10回に渡って続けて来ました『死亡遊戯』公開30周年記念特別企画「GOD IS BACK!」も今回が一応の大結局となります。では結局、私たちリー信者にとって『死亡遊戯』という作品は一体何だったのでしょうか?
私がそれを一言で表すならば『死亡遊戯』という作品はまさに“リー信者最後の希望”だったと思います。
何故なら1973年7月20日を境に、私たちリー信者はブルース・リーという偉大な武打星が遺した全ての事柄を追い求めて、そこから時間を逆行していく旅が始まりました。
そのある意味切ない“過去への旅”という道程の中において、唯一未完成作品として残っていた『死亡遊戯』を完成させて欲しい!リーさんの最後のアクション・シーンを観たい!という熱い思いだけが、それこそ過去への逆行ではなく“希望に満ちた未来への現在進行形の旅”として私たちリー信者の心を支え続けたのです。
そしてその私たちの“『死亡遊戯』探しの旅”はまだ終わってはいません。そうです、まだ“野原でヌンチャクを手に颯爽と身構える闘神”や“丸太を振り回し魔杖師と闘う怪力男”の映像の欠片がきっと何処かのフィルム倉庫で私たちを待っているんです!
私は今回の「GOD IS BACK!」を単なる回顧録や、過去の思い出を懐かしむためだけに行ったのではありません。それはこの「GOD IS BACK!」が公開から30周年と言う長い年月を経た今年に、きっと『死亡遊戯』という作品において新たなる“デス・ゲーム”のムーヴメントが生まれるための少しでも力となればこんな嬉しい事はない!との思いからでもありました。
そうです!私たちにとっての“『死亡遊戯』探しの旅”がまだ終わらない以上、この「GOD IS BACK!」もまだまだ終わりません。皆さん、きっとまた近い将来に「GOD IS BACK!」第11回でお会いしましょう!GOD IS NOT OVER YET!

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GOD IS BACK!⑨ 迫り来る“未知の恐怖”!闇の番人ハキムとの死闘・・!(前編)

2008-04-12 01:09:35 | その他
長らく続けて来ました「GOD IS BACK!」も、この第9回ではレッド・ペッパータワー最強の番人である身長220㎝の黒い巨人ハキム(カリーム・アブドゥール・ジャバール)が守る“未知の恐怖”のフロアを語る時がやって来ました。
つまりいよいよ78版『死亡遊戯』における最大のクライマックスを迎えるわけです。

さて、確か今から12、3年前だったか、白夜書房から「ブルース・リー/ドラゴン伝説」という本が出版されました。
その本の頁の下の部分にそれこそ何頁にも渡って無数の『死亡遊戯』の未発表写真(主に“龍殿”戦)が掲載されていて、私は白夜の担当編集者に「この未発表スチール写真を拡大して『死亡遊戯』の検証をやろう!」と提案しました。そして私のその企画が無事に実現し「『死亡遊戯』の謎を追え!」と題した検証企画が掲載されたのですが、この際の文中で私がリーさん関連の商業書において初めて“GOD”と言う名称を使いました。
またこの「ドラゴン伝説」では当初私が聞き手を担当して倉田保昭さんにロング・インタビューを敢行していて、倉田さんにはご自身のショウ・ブラザース時代の話は勿論、リーさんの主演5作品などを延々2時間近くに渡って細かく検証して頂いていたんです。
でもこの倉田さんのインタビューは色々と諸事情があって・・残念ながら「ドラゴン伝説」には掲載されずにお蔵入りしてしまったのでした。いま思い出しても本当に残念です。
で、そのインタビューの際に倉田さんがリーさんと『死亡遊戯』に関してとても興味深い事柄を話して下さったんです。私が今でも覚えている範囲ですが、この時の倉田さん曰く「確か僕が台湾にいた時にね、リー(と倉田さんはリーさんの事を何時もそう呼びますね)が次回作で『死亡遊戯』という作品を撮っている・・というのを何かの雑誌で写真や記事を観たんですよ。それもあの大きな黒人(当然ジャバール)に向かってリーが高々とジャンプしてキックしてる写真でね。僕はあれ?リーはトランポリンは当時練習はしてたかもしれないけどまだ出来ないはずだから、一体このシーンどうやって撮ったんだろう?と思ってねぇ・・」との事でした。
でも皆さんもご存知のように、このリーさんが白い短パン姿のジャバールに「ウオッショォ!オィッショ!」の掛け声と共に何度もジャンピング・キックを放っているフォト・セッションの模様は、現在もモノクロ音声入りで約5分ほど観る事が出来るんですが、驚くべき事にリーさんはジャバールにキックを放つ前は助走のみでトランポリンは一切使用してないんです!まさに倉田さんがリーはトランポリンを使っているのでは?と思ってしまったのは無理がないほどリーさんの脅威的なジャンプ力には改めて驚嘆するのみですね。
またかなり昔からこのフォト・セッションの際に、リーさんが白と黒の横縞のシャツ(本番の対ジャバール戦とは異なるシャツ)を来た田俊と対峙している写真を撮ったために、日野康一さんが「『死亡遊戯』ではブルース・リーとジェームス・ティエンの対決シーンも撮影している」と書いておられましたが、このリーさんと田俊の対峙写真は単なる宣伝用写真で、実際のオリジナル版での2人の役柄は00年の『死亡的遊戯』を観ても判るようにお互い胸の内に敵対意識は秘めていても一応は行動を共にしながら五重塔に挑戦するという設定でした。
ただこの事で日野さんを責めたりするのは的外れで、74年前後から78版『死亡遊戯』完成&公開に至るまでの間に日野さんが私たちに発信して下さった一連の『死亡遊戯』の情報はいま読み返して見ても本当に充実した内容でした。ここに改めて大先輩である日野さんの功績に敬意を表したいと思います。

さて、下階で武芸者を倒したビリー・ローは一気に階段を駆け上がると、不気味で薄暗いフロアを見渡します。
そしてビリーは闇の奥で巨大な妖鬼のように佇むハキムを見ると、思わずその驚異的な身長を見上げながら呆然とします。78年当時の劇場ではこのシーンで思わず館内の観客たちから苦笑いが起きていました。
勿論その笑いは失笑ではなくて、目の前のリーさんと同じようにジャバールの異様なまでに高い身長に対する驚きと、果たしてリーさんがこの“闇の番人”とどうやって闘うのか?という期待と興奮から起きた苦笑いでした。
そう、ハキムという異形の敵、つまり“未知の恐怖”に対しビリーが直ぐさ順応し攻略しなければそこに待っているのは死あるのみ!まさにこのブルース・リー対カリーム・アブドゥール・ジャバール戦こそ『死亡遊戯』という作品テーマその物を象徴している、言わば“デス・ゲーム”のシンボル的なファイト・シーンなのです。
ビリーは悠然と椅子に腰掛けたハキムに突進しますが、ハキムの巨大な脚蹴りを浴び吹っ飛び、その衝撃でビリーのトラックスーツの胸板には何とハキムの脚型がクッキリと着きます!(実はここでビリーの胸板に着いたジャバールの脚型がアップになるシーンは78年時の撮り直しです)
そして再び迫るハキムにレッグシザースを仕掛け倒す事に成功したビリーは、瞬時に起き上がると同時に自分に向かって巨大な両手を広げ威嚇するハキムと睨み合います!
ここでジョン・バリー作曲による『死亡遊戯』のメイン・テーマ(大拍手!)が流れ、映画は最高潮を迎えます!
そうです!私たちが長い間本当に観たくて観たくて堪らなかった“幻のシーン”であるブルース・リー対ジャバールの闘いが、いま目の前の巨大スクリーンの中で遂に動き出したのです!
この時映画館の片隅に座っていた私、いや龍熱少年は1人コブシを握り心の中で力一杯こう叫んでいました!
「BRUCE IS BACK!俺たちのブルースが帰って来たんだ・・!」

以下、大興奮のビリー・ロー対ハキムの死闘、その後編へ続く!GOD IS BACK!
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