超級龍熱

香港功夫映画と共に

フジテレビ「地上最強功夫電影特集」で、『ブルース・リー死亡の塔』地上波放送!

2011-01-29 12:31:43 | ニュース
さて、27日深夜にフジテレビの「ミッドナイト・アートシアター」で放送されたリーさん主演『ドラゴン怒りの鉄拳』、きっと皆さんもご覧になったと思いますが、やっぱり字幕放送とは言え、香港クンフー映画の地上波放送は嬉しいですねー!
ところが、今回のフジテレビさんは気合いが違っているようで、何と今回の『~怒りの鉄拳』を皮切りに、今後も「地上最強功夫電影特集」と題して3本の香港クンフー映画を放送予定だそうです♪♪早速に、その気になる放送ラインアップを下記にご紹介しましょう!

2月3日  『ブルース・リー死亡の塔』(81)

2月17日 『最後のブルース・リー/ドラゴンへの道』(72)

3月3日  『かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート』(06)

どうですかぁ?このリーさん信者とドニー兄貴信者の両方をターゲットにしかたのような(苦笑)、ユニークかつ充実のラインアップは!?特に私、龍熱としてはリーさんの記念すべき初導演作品にして、リーさん扮する唐龍とチャック・ノリス扮するコルトがローマのコロシアムで“パンクラチン・ファイト”を展開する『~ドラゴンへの道』や、ドニー兄貴が共演の謝霆鋒や余文楽にも決して負けない若さ漲る髪型やファッション(苦笑)で大暴れする『かちこみ!~』も楽しみなんですが、私が個人的に超感激&衝撃を受けたのが、リーさん関連映画史上最大の怪作にして問題作である『~死亡の塔』の久々の地上波放送なんです。まあ当ブログを何時もご覧になって下さっている方々は、このリーさん映画の文字通り“鬼っ子”的存在である『死亡の塔』に対する龍熱の異常な?愛着は既に十分にご理解頂いているとは思いますが、もう私はこの映画の持つ何とも怪しげな雰囲気や、作品の公開から約30近く経ちながらも、未だに多くの謎を持ち続けている(ように思わせる♪)この『死亡の塔』の不思議な佇まいが溜まらなく魅力的なんです。
考えて見れば、私のこの『死亡の塔』に対するある意味一方的な思い入れが、あの『死亡の塔』韓国バージョンを日本のファンの皆さんに紹介する事が出来たり、ちゃうシンイチーさん主催のイベントで“謎のジージャン男”こと加藤寿さんと邂逅を果たせたり・・と本当に有意義な出来事や嬉しい出会いを齎してくれたのかも知れません。
余談ですが、昨年12月に開催された錬心館の演武会で、演武会のゲストで来場なさった日本の伝説的な殺陣師であられる高倉英二先生とお話する機会がありました。その際に私が高倉先生に先生のお弟子さんである加藤寿さんが『死亡の塔』に出演するに至った当時の経緯をお訊きすると、高倉先生はシッカリと『死亡の塔』という作品を覚えていらっしゃいましたし、お弟子さんの加藤さんの事も高く評価されていて、色々と加藤さんや『死亡の塔』に関するお話を聞かせて下さいました。改めまして、私の質問に対して真摯にお答え下さった高倉英二先生のご厚意に感謝致します。
恐らくは今回の「地上最強功夫電影特集」で放送される『死亡の塔』は、オープニングに「アローン・イン・ザ・ナイト」は流れないし、序盤に金泰中と王虎の“温室の決闘”は挿入されていないバージョン(じゃない事を祈る!)かも知れませんが、それでも劇中で展開される金泰中vs黄正利の“死の宮殿大決闘”を初めとする数々のクンフー・ファイトは正真正銘にハイレベルであり、また“本物”である事をここに保証します!さあ、呉思遠&袁和平の強力コンビによる“闘神ラスト・アクション”映画『ブルース・リー死亡の塔』、久々の地上波放送です!!
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『ドラゴン怒りの鉄拳』TV放送!&第二のアンジェラ・マオこと白静主演『功夫・詠春』

2011-01-27 00:26:42 | ニュース
既にリー信者の間では話題になっていますが、本日深夜2時からフジテレビで我らがリーさんことブルース・リーの事実上の最高傑作にして、香港クンフー映画の古典として知られる『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)が放送されます!
恐らくは字幕放送だと思いますが、現在当ブログで「正宗精武門電影大全」を連載中の龍熱としては、まさにベスト・タイミングでの本作の放送に只々感激の一言です!さあ、是非この機会に“栄光の初代陳眞”ことブルース・リーの雄姿をお茶の間で堪能して下さい!!勿論、私も絶対に観ますよぉぉ♪

さて、昨日は以前にDVDを入手したまま放置状態だった呉思遠出品人、張同祖導演、そして白静主演『功夫・詠春』(10)を観てみました。この『功夫・詠春』、最初はどうも近年の“葉問電影熱”の便乗作品の1本に思えて、私も余り期待しないで観始めたのですが・・これが中々面白い!特に200人を超えるオーディションを突破して今回の主役嚴詠春役を得た新人女武打星の白静が可憐かつ容赦ない表情から放つ詠春拳が実に見応え十分だし、何よりこの白静のルックスが若い頃の“旋風レディ”ことアンジェラ・マオこと茅瑛にソックリなのが私は嬉しくってねー!(涙)。
繰り返しになりますが、本作の劇中で嚴詠春に扮した白静が披露する詠春拳は、武術指導を担当する江道海&董瑋のサポートもあり、それこそ白静が射るような視線と共に相手を見据えながら猛然と繰り出す機敏かつ力強い連続の拳技として、過去の“詠春系列作品”で嚴詠春を演じて来た黄杏秀や楊紫瓊と言った名高い女武打星たちが見せた詠春拳にも決して負けない迫力と説得力に満ちた武打シーンに仕上がっています。
キャスト的にも鷹爪&蛇形拳を使う清の悪将軍金鷹に扮した鄒兆龍(拍手!)の凄み溢れる悪役振り、その金鷹に仕える清の高官に恵天賜、また詠春に武術を伝授する五枚役に恵英紅(大拍手!つまり本作では恵天賜と兄妹共演!)と言ったマニア号泣の豪華出演陣に加えて、またも今回元華&元秋がお馴染みのコミカルな夫婦キャラで顔を見せています♪
そしてラストの金鷹vs五枚、詠春vs金鷹の2大決闘は、流石に香港クンフー映画の歴史上において数多くの傑作を世に送り出して来た呉思遠が手がける作品だけあって文字通りの素晴らしい完成度でした。特に詠春と金鷹が地下道から断崖絶壁の橋上へと闘いの場を変えながら延々(って要するに呉思遠お得意の“ハイスパート・クンフー”の復活!)と展開するクンフー・ファイトは、その激しい打ち合いの末に詠春が金鷹の喉許にトドメとばかりに放つ鋭角的な手刀攻撃も含めて、もう私自身も「久々に手に汗握る“女武打星電影”を見せて貰った!」と大満足でした。
あとですね、映画の最後の最後にまるで現在国内で絶賛公開中であるドニー兄貴主演『イップ・マン/葉問』の“あのエンディング”を摸倣したかのようなシーンが登場するんですが、この年老いた嚴詠春(思い切り老けメイクの白静)と裕福な家庭の少年との微笑ましい邂逅シーンは、観ていた私も「うう~ん!そう来るか!」とちょっと唖然としてしまいました(苦笑)。
まあこの『功夫・詠春』は日本では劇場公開は無理だとしても、DVDスルーでならそこそこイケるんじゃないか?と思わせる佳作でしたし、何よりも主演の白静は“第2のアンジェラ・マオ”として、今後の活躍を大いに期待できる新進女武打星だと思います。
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ヴェネチア国際映画祭“金獅子賞”受賞作品!ソフィア・コッポラ監督『SOMEWHERE』

2011-01-26 12:56:53 | 作品レビュー
最近何故か無性に邵氏片が観たくなって時間が出来ると色々と観ています♪で、今週観ていたのが張徹導演、“五毒”主演『殘缺』(78)と、同じく張徹導演、姜大衛&狄龍主演『雙侠』(71)の2本なんです。
いや~当たり前ですが、日本語字幕付きで観る邵氏片は本当に最高ですね(笑顔!)。『殘缺』なんて本当に久しぶりに観たけど、郭追、羅莽、孫建、江生が黒虎三式なる剛拳の使い手杜天道(この映画が邵逸夫とのドロ沼裁判後の邵氏片復帰作となる陳観泰)に復讐するため黙々と鍛錬に励むシーンで流れる哀愁漂う“殘缺のテーマ”!素晴らしい!
もう1本の『雙侠』はまだ観ている途中なんですが、確か大衛演じる軽功の達人が狄龍たちに協力して巨大な桟橋を渡るため奮闘するんじゃなかったっけ?あとこの『雙侠』は昔に初めて観た時に、ラストの海岸で壮絶なる“立ち往生死”を遂げた姜大衛の姿に、観ていた私も余りの感動に思わず身震いしたのを今でもハッキリと覚えています・・・って早く続きを観なきゃ(苦笑)。

さて、昨日は都内某所でソフィア・コッポラ監督、スティーヴン・ドーフ主演『SOMEWHERE』 (10)を試写で観て来ました。
ソフィア・コッポラと言えば、あのフランシス・フォード・コッポラ(本作でも制作総指揮を担当)の実娘として知られていますし、スティーヴン・ドーフもウェズリー・スナイプス主演の人気シリーズ『ブレイド』のパート1(98)で演じた凶悪な吸血鬼役が印象的でしたね。で、今回の『SOMEWHERE』なんですが、LAにあるセレブご用達のホテル「シャトー・マーモント」で暮らすハリウッド俳優ジョ二ー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)と、そこを訪れたジョ二ーの娘クレオ(エル・ファニング)の心温まる数日間を描いています。このジョ二ーは俳優としては新作映画も撮っていますし、それなりに人気もあるんですが、かなりのプレイボーイで、フェラーリを乗り回しては毎日のようにパーティに繰り出し、酒を呷り、女性と見ると次々と手を出したりしているわけです(苦笑)。そのため新作発表会見のフォト・セッションでは、隣同士で写真に納まっている共演女優から「私たちって“あれっきり”なわけ?冗談じゃないわ!」と詰め寄られたりと、かなり綱渡り的な事も度々あったりします(トホホ!)。
でも、そんなジョ二ーの乱れた生活も、彼のホテルの部屋に普段は前妻と同居している11歳の娘クレオがやって来た日から一変します。ある日前妻から突然「私が家を空けるから、クレオのキャンプが始まる日までクレオを預かって!」と一方的な申し出を引き受けたジョ二ーですが、その日からジョ二ーとクレオ、父と娘が久しぶりに一緒に暮らす毎日が始まります。
それはジョ二ーがクレオが作る手料理を一緒に食べたり、体感型のギターゲームを一緒にやったり、Wii Sportsをやったり、授賞式に参加するために行ったイタリアのホテルのプールで泳いだりと、ちょっとリッチで楽しい毎日なんですが、そんな中でジョ二ーとクレオは、これまで親子であるはずの2人に欠けていた“大切な何か”をお互いに感じ合っていきます。
そして楽しかった2人の一緒の日々が終わり、キャンプに向かうクレオを見送り、再び孤独な1人の生活に戻ったジョ二ーが改めて自分という人間を真正面から見詰め直した時、そこでジョ二ーが選択した勇気ある答えとは・・?
この『SOMEWHERE』は、これまで親子をテーマにした作品で多々観られた父親と母親による子供の親権争いとか、親子の断絶を描くと言ったような、ある意味ドラマチックな展開は一切無く、逆にそこにあるのはジョニー・マルコとクレオ親子の心の絆を静かに淡々とスクリーンに映し出す心優しい風景なんですね。また同時にこの映画はジョ二ーというハリウッド俳優を通じて、その一般社会とは異なるセレブ俳優の特異なライフ・スタイルを私たち観客に克明に(かつ嫌味ではない形で)伝えてくれています。私はこの映画を観終わった後「スティーヴン・ドーフってこんなに懐が深くて味のある俳優だったっけ!?」と思わず感嘆してしまったんですが、それほどこの『SOMEWHERE』におけるスティーヴン・ドーフのナチュラルかつピュアな佇まいは素晴らしかったです。と言うわけでソフィア・コッポラ監督最新作『SOMEWHERE』は、4月2日から全国ロードショー公開との事ですので是非!
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『イップ・マン/葉問』が「ぴあ初日満足度ランキング」で、堂々の第1位達成!!

2011-01-26 12:17:53 | ニュース
さて、絶賛公開中の我らがドニー兄貴主演『イップ・マン/葉問』ですが、早くも吉報が入って来ました!
何と「ぴあ初日満足度ランキング」で『イップ・マン/葉問』が堂々の第1位という快挙(出口調査91.8点♪)を達成したとの事です!(大拍手!!)詳しくはこちらをご覧下さい→http://pia-eigaseikatsu.jp/ranking/firstday/
いや~是非ともこの調子で沢山のお客さんにこのドニー兄貴の大傑作にして香港クンフー映画の最高峰を観に劇場に足を運んで頂きたいと思います。そしてこの“最後の本格派、その真実の瞬間”の強力かつ巨大なパワーによって、必ずや『イップ・マン/序章』の公開が実現する事を心から願っています!!
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THIS IS 甄子丹⑲ これぞ甄子丹!これぞ詠春拳電影!『イップ・マン/葉問』公開中!

2011-01-22 21:38:45 | THIS IS 甄子丹
さて、行って来ました!本日より新宿武蔵野館で封切りとなりました我らがドニー兄貴こと甄子丹主演『イップ・マン/葉問』です!初日の初回を観るべく気合入りまくりの私こと龍熱は(苦笑)、新宿武蔵野館の前で家有喜事さんと待ち合わせると、すぐに今回『イップ・マン/葉問』の日本公開に尽力された染野行雄さん、さらにはアクション俳優の松田優さんと木村圭作さん率いるワイルド・シングの皆さんたちと合流しました。
皆さんはビル内の3階にある新宿武蔵野館に向かうエレベーターの中でも、何処か表情も上気していると言うか・・「いよいよ『イップ・マン/葉問』の初日だ!」的な興奮状態と言った感じでしたね。ってそう言う私もソワソワ状態でしたけど(苦笑)。
劇場の入り口で整理券を受け取り、上映前の劇場内ロビーを見渡すと・・もう既に多くの観客の皆さんがこれまた私たちと同じように興奮を抑え切れない表情で、ロビーに設置された詠春拳の木人椿(もちろん私もバシッ!バシッ!とやって来ました♪)や、『イップ・マン/葉問』の香港版ポスターやロビーカード、あるいは「秘伝」のリーさん&『イップ・マン/葉問』特集号などの『イップ・マン/葉問』関連の掲載雑誌の展示コーナーに見入っていました。
で、やっと劇場が開場となり、私も家有喜事さんと一緒に席を確保したんですが、私は敢えてすぐには席には座らず、暫くスクリーンに背を向ける形で続々と劇場内に入って来るお客さんの様子を見ていました。
その沢山のお客さんの姿を見つめながら、私は万感迫る思いで心の中でこう呟いていました。「ああ・・このお客さんたち全員がドニー兄貴の映画を観に来てくれたんだ、『イップ・マン/葉問』を観に来てくれたんだ!」と。
思えば、私が15年ぐらい前に「甄子丹を見よ!ドニー・イェンに注目せよ!」と1人で絶叫(苦笑)していても、中々期待するほど反応が返って来なかった時期があったり、ドニー兄貴自身も例え来日しても媒体の取材がアッサリだったりと、“最後の本格派”信者としてチョッピリ辛い時期がありました。そして今から思うと、このチョッピリ辛い時期は思ったり長かったんですね・・。私もドニー兄貴が自分の可能性と才能を固く信じながらも、香港映画界で活動を続けていく道程で様々な壁にブチ当たり、その度にドニーが傷つきながら、それでもひたすら自分の信じる道を黙々と歩み続けている姿を、私なりに見守り続けて来たつもりです。
そのドニー兄貴の長く厳しい“ドラゴンの道”の歩みにおいては、リンチェイと“伝説の死闘”を見せた『ワンチャイ/天地大乱』(92)があり、黄麒英として“炎海大決闘”に挑んだ『アイアン・モンキー』(93)があり、ドニー兄貴が“戦狼”として密林を疾走する『ドラゴン危機一発97』(97)があり、スノーマンが吸血鬼にキックを叩き込んだ『ブレイド2』(02)があり、“生きる伝説”洪金寶や“狂乱の短刀高手”呉京と壮絶なる闘いを見せた『SPL/狼よ静かに死ね』(05)があり、そして今や“幻の本格的MMA電影”になりつつある『導火線』(07)があったわけです。これらのドニー兄貴作品には、私も皆さんと同じように様々な思い入れがあります。
でもドニー兄貴曰く、ドニーが敬愛するリーさんの恩師に扮したこの『葉問』シリーズで“全て”が変りました!と言うか、これまで中々明確な形で評価され難かったドニー兄貴のリアリズム&殺気漲るアクション、そして独創性溢れる格闘センスにやっと世界中のファンの意識が追いついたと言って良いでしょう。
この遂にやって来た“最後の本格派、その真実の瞬間”とも言うべきドニー兄貴の大ブレイクは、私自身本当に嬉しい思いですし、ドニー兄貴には心から「おめでとう!」と言いたい心境です。そして今日初日の初回で観た『イップ・マン/葉問』は、もう何度観ても最高に興奮し、涙して、最後には大拍手を贈りたくなる映画でした。私はこの『イップ・マン/葉問』は劇場だけで5回観ているんですが、何度観てもその興奮と感動が決して薄らぐ事がない映画はそうそう出会える事はないと思います。今回も映画のクライマックスのドニー葉問vsタイラー・ミロス戦、そしてラストのドニー葉問に入門願いに訪れた愛らしくも怖いもの知らずな“鼻ピン”を見せる少年との邂逅シーンでは只々溢れ出る涙が止まりませんでした・・。
そして映画が終わり、その後に上映された『イップ・マン/序章』の予告編を観た私は、興奮冷めやらない表情の多くのお客さんたちと一緒に劇場を出ると、ロビーの奥に設置された「『イップ・マン/序章』5000人突破祈願!掲示板」に立ち寄り、既に沢山の人たちが書き記した熱いメッセージ(皆さん、それぞれ本当に素晴らしいメッセージを書いてました!)をジックリと読んだ後、同じようにその場に用意された用紙にこう書き記して来ました。

「ドニー兄貴、やっぱり貴方は“本物”だったんですね! 龍熱」

さあ、どうか皆さんも是非今日から絶賛公開中の『イップ・マン/葉問』を観に新宿武蔵野館に足を運んでみて下さい。
そして“最後の本格派、その真実の瞬間”をリアルタイムで体験した“歴史の目撃者”になって下さい。そこには“本物”だけが見せられる、“本物”だからこそ体現できる文字通り香港クンフー映画の最高峰があります。
そう、これぞ“甄子丹”!これぞ“詠春拳電影”!遂に世界のスーパースターへと駆け上った甄子丹のベスト・オブ・ベスト、ここに公開です!!
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「映画秘宝」最新3月号で、“最後の本格派”ドニー・イェン特集&ベスト&トホホ10!!

2011-01-20 14:38:21 | ニュース
昨日はウェス・アンダーソン監督『ファンタスティック Mr.FOX』を試写で観て来ました。この映画は3DやCG全盛の現在、敢えて全編に渡ってパペットによるストップモーション・アニメ(それも約87分!)で撮影されています。
映画としては愛妻のミセスFOX(声の担当はメリル・ストリープ!)の妊娠を機会に泥棒家業から足を洗った狐のミスターFOX(声の担当は何とジョージ・クルーニー!)が、またも昔の“家業”に戻ってしまったために3人の人間の農業主たちと大戦争となる様子を、弾けるような会話やコミカルで愛らしい動物キャラクターたちと共に描いています。
とにかく劇中に登場するパペットたちの可愛いらしくも生き生きとした表情は、観ている私たちも“彼ら彼女たち”がパペットである事を忘れてしまうほどの躍動感に満ちています!
この『ファンタスティック Mr.FOX』は3月19日より、シネスイッチ銀座他にて全国ロードショー公開との事ですので是非!

さて、明日21日発売の「映画秘宝」最新3月号で「2011年、ドニー・イェンの大逆襲!」と題して堂々カラー4頁に渡ってドニー兄貴&その主演作品の大特集が組まれています。
その特集の中身も、江戸木純さんの「世界ドニー・イェン主義宣言」、谷垣健治導演の「ドニーが考える究極のアクションとは!?」、岡本敦史さんの『イップ・マン/序章(2月公開予定!)』レビュー、ギンティ小林氏の『孫文の義士団(4月GW公開予定!)』&『処刑剣(5月28日公開予定!)』レビュー、くれい響氏の「もっとドニーを!」と題したドニー兄貴の他の未公開作品情報と、まさに盛り沢山のコンテンツとなっています。
で、今回のドニー大特集では、私、龍熱もいよいよ今週土曜日に新宿武蔵野館でのロードショー公開が迫った『イップ・マン/葉問』のレビューを執筆していますので、是非よろしくお願いします。
さらに同じく「映画秘宝」同3月号では、毎年恒例の「2010年ベスト&トホホ10!」も掲載されているんですが、こちらにも他のライターさんと一緒に私も参加していますので、よろしくお願いします。えっ?龍熱の2010年のベスト1映画は何ですかって?それはもうドニー兄貴の“あの映画”に決まってるでしょう!?(キッパリ)。
何て言いながら、私も今回の「ベスト10&トホホ」には韓国初のゾンビ映画『怪屍』(80)や唐龍こと金泰中の韓国クンフー映画『お嬢さん、我慢して下さい』(81)、あるいは『国家代表!?』、チョン・ホジン&ユ・ヘジン主演『殺したい!!』など新旧韓国映画群もシッカリとランクインさせていますので、その辺りも是非チェックしてみて下さいね♪
それにしても、今回のドニー兄貴特集は、長年ドニー兄貴を応援している人間としても本当に嬉しい企画ですし、是非とも皆さんも今週の『イップ・マン/葉問』から始まる、怒涛の“最後の本格派、主演作品公開ラッシュ”に乗り遅れないようにしましょう!!
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正宗精武門電影大全(八) 韓国大雄寶殿の決闘!巨龍&楊斯主演『精武門'81』

2011-01-18 01:00:01 | 作品レビュー
さて、「正宗精武門電影大全」の第8弾は、韓国クンフー映画で異銀導演、ドラゴン・リーこと巨龍主演『精武門'81』(81)でいきましょう。本特集でも何宗道、呂小龍主演作品に続いて、遂に“ソックリさん武打星御三家”の最後の1人である巨龍の登場となったわけですが、本作は韓国と香港(または台湾)映画のコラボ映画のようで、そのため香港映画側から楊斯、高飛、張力、杜偉和、岑潛波などが韓国現地に出向く形で撮影に参加しています。
また同じく本作は杜魯波導演作品として『截拳大蕩寇』との中文題名も存在しています。ってさらに言うなら、韓国題名である『精武門'81』に関してですが、今回もまたまた劇中には“精武門”は一切登場しません(トホホ!)。

日帝に対抗するための独立運動資金を運搬する任務を託された主人公の李阪生(巨龍。本役名は韓国現地サイトからの直訳)は、日本の憲兵部隊から派遣された大幹部天野(楊斯。今回は白髪&チョビ髭ルック!)一派から追われる事となります。阪生は天野の銃弾で脚を負傷し、懸命に追っ手を巻こうとしますが、最後にはその場で気を失ってしまいます。
負傷した阪生を助けたのは、日本軍に父親を殺された独立運動の闘士である阪生の叔父(高飛。これまた白髪&口髭姿)で、そこに楊斯の手下によって父親を殺され、さらには姉を障害者にされた事で日本軍に激しい怒りを持つ同じく独立運動の闘士(張力)も加わり、ここに韓国を舞台に李阪生ら独立運動の闘士たちvs天野一派の激しい抗争が展開されていきます。今回の『精武門'81』における巨龍ですが、まず髪型が同時期に香港で活躍していたジャッキー・チェンこと成龍を意識したような「フワッ」としたワイルドな長髪で、それが中々カッコ良いんですね。
また肝心のクンフー・アクションも相変わらず「ハチョッチョチョオオ!」と怪鳥音を叫びながらの奇天烈なリーさんの物真似アクションを披露してくれるんですが、今回は楊斯の拳銃に対抗するために割り箸を手裏剣代わりに使ったり、黄正利ばりの空中連続三段蹴りを見せたり、天野一派に高飛家族を皆殺しにされ怒りを爆発させた李阪生が「オオチョオオ!」と天井から吊るされた電灯を飛び前蹴りで蹴り割ったりと、それなりに新鮮かつ工夫を凝らしたアクション・シーンを見せています。
ただ既にこの『精武門'81』を『Big Boss2』表記の英語版でご覧になっている方はご承知かと思いますが、劇中で明らかに外見や髪型の異なる巨龍の某作品のフッテージが何回も強引に挿入されているのがちょっと興醒めですねえ・・。
で、ラストは山奥に悠然と聳える大雄寶殿において、李阪生(お約束の白衣大侠ルック!)vs天野の決着戦が展開されるんですが、ここでは2人がお互いに韓国人と日本人で言葉が通じないとの設定のようで、李阪生が天野に対して人差し指を「チチチチ!」と立てながら、リーさんチックな挑発ポーズを取ったり、これまたお互いが自慢の筋肉隆々の上半身を露わにしての鉄拳や蹴りの応酬の果てに、最後は李阪生の怒涛の連続パンチをボディに浴びた天野が苦悶の表情と共に崩れ落ちて闘いは決します。で、最後は勝利を得た李阪生が「オチョオオォォ!」と万歳ポーズを決めて「劇終」です・・って巨龍の映画ってこういうエキセントリックな終わり方がやたらに多いよねえ!(苦笑)。

巨龍ことドラゴン・リーは1958年8月12日生まれで、本名をムン・ギョンソク。“韓国アクション映画の父”鄭昌和監督の助監督を務めていた金時顕導演作品『最后的精武門』(77)でデビューを果たした巨龍は、その後主に80年代に数多くの韓国クンフー映画に主演し、その奇天烈かつエキセントリックなリーさん真似アクションで、“韓国の李小龍”として韓国のアクション映画ファンから高い人気を誇りました(ってちょっと意外!?)。
特に他のソックリさん武打星の(敢えて韓国語風に発音してみると♪)ハ・ジョンド(何宗道)やヨ・ソリョン(呂小龍。即:李呂龍)などが見せたストレートなリーさんのイミテーションだけではなく、巨龍の場合自身の代表作『少林寺龍八』(82)などで披露した“訛り、または方言を使う李小龍”的なコミカルかつ奇怪なキャラクターを確立した点は高く評価されてしかるべきでしょう。この巨龍の“訛りを使う李小龍”的キャラは、元々は韓国アクション映画の伝説的な武打星である朴魯植が得意とした“全羅道の龍八(ヨンパル)”なるキャラに、巨龍が新たにリーさん真似アクションを合体アレンジさせる形で“全羅道訛りを使う李小龍”、つまり“韓国的李小龍”として定着させた事で、当時の韓国アクション映画ファンから大きな支持を得たのでした。近年の巨龍は自らのプロダクションの運営に加えて、韓国の映画俳優協会の副会長の職(09年9月当時)に選出されたりと、韓国映画のさらなる発展のために奮闘中との事です。
と言うわけで、精は“魂の団結”、武は“支配への抵抗”、精武と書いて“不屈の闘志”と読む!次回の「正宗精武門電影大全」第9弾をどうぞお楽しみに!

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「IMPACT」最新1月号で、カサノヴァ・ウォンこと王虎のインタビュー記事掲載!

2011-01-16 12:36:56 | ニュース
最近知り合いの方からリーさんの実弟であるロバート・リーこと李振輝による書籍「李小龍Bruce Lee My Brother:李振輝回憶録」という中文本を頂いたのですが、これは中々面白そうですねー!リーさんの実弟のロバートの本だけに、文中にも数々のリーさんの香港時代のレアな写真が掲載されていますし、本の内容自体も今から読むのが本当に楽しみです♪
あと肝心の最新映画である李治廷主演『李小龍』も是非とも日本劇場公開熱望です!!

さて、当ブログでもお馴染みのイギリスのアクション映画専門誌「IMPACT」の最新1月号に、カサノヴァ・ウォンこと卡薩伐こと王虎のインタビュー(聞き手はマイク・リーダー&ガイ・エドワード・ラーク)が掲載されていますね。
同インタビューは昨年の9月に韓国で収録された物のようです。実は同誌の王虎のインタビューは、先月号、つまり12月号と今回の1月号と2回(2号合わせてそれぞれカラー4頁)に渡って掲載されています。
で、そのインタビューの内容ですが、王虎自身の生い立ちや軍隊時代の話に始まり、黄楓導演の導きによる香港映画デビューの経緯、王虎のテコンドーや武道に対する理念、恩人にして友人である洪金寶への思い、『死亡遊戯(アジア地域公開版)』における“温室の決闘”で対決した金泰中の思い出、“世紀の闘神”ブルース・リーへの限りない敬意、王虎の香港時代の代表作である『贊先生與找錢華』(78)の興味深いエピソード、独立系作品『六合千手』(79)、『扮豬吃老虎』(80)、『通天老虎』(80)などの思い出、80年代序盤に韓国映画界に凱旋してから主演(導演兼任)した『北少林南跆拳』(83)や『赤いマフィア』(94)などの韓国クンフー作品群、そしてインタビューの締めは王虎自ら創造した武道「天地武術」について王虎が熱く語っています。
まあインタビュー全体としては、これまで多方面で王虎が語って来ている内容と重なっている部分も多々あるんですが、それでも王虎が『死亡遊戯』はロバート・クローズと洪金寶の聯合導演だったとハッキリと名言していたり、王虎が金泰中と闘った“温室の決闘”撮影時の彼ら2人の心理状態を詳細に告白していたり、大傑作『贊先生與找錢華』の伝説的な名シーンにして映画のラストで王虎が馮克安に決めた“大回転飛び廻し蹴り”撮影時の秘話などは中々興味深かったですね。
あと今回のインタビューで王虎本人が「私は香港ではカサノヴァ・ウォンやカサファー(卡薩伐)として知られていますが、自分としてはワン・ホ(王虎)の名前が気に入っています」と語っていて、実際に今回の「IMPACT」のインタビュー記事中の表記もWong Hoとの表記で統一されていました。
また王虎はインタビューの中で「『通天老虎』では武術指導を兼任していた程小東と共演したんですが、私はこの映画のファイト・シーンが大好きなんです!この映画で私が演じるキャラクターは発狂してしまうんですよ!」と語っていて、やっぱり王虎自身もあの“超ブチ切れキャラ”は印象に残っていたんだなぁ!と、インタビューを読んでいた私もちょっと嬉しかったりしました♪「IMPACT」はベイ・ローガンが編集長だった頃(って大昔ですが)に比べると、最近はコンテンツがイマイチだったんですが、たまに今回の王虎の近況インタビューのようなコアな記事を載せてくれるので要チェックでしょう。
ちなみにこちらが「IMPACT」のオフィシャル・サイトのアドレスです→http://www.impactonline.co/
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正宗精武門電影大全(七) 最強日本軍官、藤田剛再び!?石天龍主演『精武真英雄』

2011-01-15 14:19:56 | 作品レビュー
今週は某誌のドニー兄貴作品の原稿を一気に書き上げ、そして無事入稿したりで、ブログの更新が出来ませんでした。
あと当ブログの相互リンク(ブックマーク)コーナーに「亜洲電影街市」さんを新たにリンクさせて頂きましたので、チェックしてみて下さいね。

さて「正宗精武門電影大全」第7弾は繆健導演、石天龍主演『精武真英雄』(04)でいきましょう。「正宗~」の第7弾にして、遂に陳天星と並ぶ“現役ソックリさん武打星”であるドラゴン・セキこと石天龍の登場です(苦笑)。
石天龍と言えば同じく“精武門系列”作品である楊麗青共演『復活!ドラゴン怒りの鉄拳』(98)が代表作ですね。いや私も昨年この『復活!~』の“李小龍生誕70周年記念”限定版DVDっていうのを購入先の価格がかなり良心的だった事もあって、ついつい買ってしまったんですよぉ(苦笑)。
このDVDって映像特典で石天龍のショボイ来日会見風景や、角田信朗&ドラゴンエンジェル(って彼女たち3人は一体今どうしてるのか??)熱唱の主題歌とか入ってて、もう最高で~す!(泣き笑い)。
で、今回の石天龍主演『精武真英雄』ですが、本作がリーさんの代表作にして香港クンフー映画の古典である『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)のリメイク作品である事は理解出来るのですが、実はこの『精武眞英雄』はさらにもう1本の“精武門系列”作品を強く意識している、というか摸倣している点が大きな特色なんです。
では、そのもう1本の“精武門系列”作品とは何か?その作品こそがズバリ!陳嘉上導演、李連杰主演『フィスト・オブ・レジェンド怒りの鉄拳』こと『精武英雄』(94)なんです!と言うわけで、早速にリーさん信者のみならず、リンチェイ信者必見?の『精武真英雄』のストーリーに入りたいと思います。
まず映画の冒頭で、霍元甲(演じるは特別客串の劉家輝。貫禄です!)が自分に襲いかかる忍者軍団を一蹴する現場を車引きの青年陳眞(石天龍)が目撃します。その霍元甲の見せる鮮やかな迷綜拳に感服した陳眞はその場で霍元甲に弟子入りを申し入れます。で、場面が代わって、いきなり霍元甲が急死し、その葬儀の現場に陳眞が駆けつけるシーンになるのですが・・・これってちょっと展開が速すぎじゃないかい?(苦笑)。
ここからの精武門における霍元甲の葬儀、日本人が率いる虹口道場一派が葬儀に乱入し屈辱的な“東亜病夫”の額縁の登場、それに怒った陳眞が単身虹口道場に乗り込んでいく・・という展開はリーさんの『~怒りの鉄拳』をはじめ、多くの“精武門系列”作品でも観られた言わば定番的な展開です。
ところが、いざ虹口道場に乗り込んだ陳眞が生前の霍元甲と最後に闘ったとされる虹口道場館主である戸根木に対決を迫る場面になると、陳眞が自分に詰め寄って来た門弟の頭部を思い切り床に叩き着けたり、襲いかかって来た無数の門弟たちを強烈な関節技で次々と蹴散らしたり、相手の顔面で寸止めする前蹴りを放ったりと・・完全に『精武英雄』におけるリンチェイ演じる陳眞がその道場破りシーンで見せた大乱闘と酷似しまくりのシークエンスが何度も登場します。
さらに陳眞と戸根木の一騎討ちのシーンでも「俺は霍師父が使った霍家拳でお前と闘う!」と宣言した陳眞が闘いの前に自分の靴を礼儀正しく脱ぎ揃えるなど、これまたリンチェイ版『精武英雄』における陳眞vs芥川龍一(樓學賢)の対決シーンのまんまコピーなんですねえ!(唖然)。
と言いながらも、中盤で陳眞が公園に出向いた際、その入り口に「犬と中国人入るべからず!」と大書された看板を見て激怒(しながらこの石天龍版では門番が吹くはずの笛を陳眞が自分で吹いたりする♪)して大暴れしたり、今回のヒロインの1人王鳳をドニー兄貴版『精武門』でドニー陳眞の恋人武田由美を可憐に演じていた萬綺雯が演じていたりと・・もう新旧の“精武門系列”作品の様々なシーンやキャラクターが入り乱れている『精武真英雄』だったりするわけです(苦笑)。
ついでに本作にはヘンテコな日本人侍役で黄子揚や、もう1人のヒロイン役で張寶文(1人2役)が出演しております。
ただですね、そんなリンチェイ版『精武英雄』を摸倣しまくりの本作『精武真英雄』において最大の類似点があります。
それがこの『精武真英雄』において陳眞の恩師霍元甲毒殺を指示した張本人にして、最強の日本人武道家禿鷹大佐に扮する周比利の存在なのだ!そう、言うまでも無く『精武英雄』では大日本帝国最強軍官藤田剛として、香港クンフー映画史上に必ずや刻まれる“日本庭園の決闘”をリンチェイ陳眞と展開した周比利が、今度はこの『精武真英雄』で、またも石天龍扮する“精武英雄”陳眞と真っ向から激突するのが本作『精武真英雄』最大のクライマックスなのである!
でも禿鷹大佐って・・周比利からするとあんまりにもあんまりな役名だよなぁ(トホホ!)。
この石天龍扮する陳眞(お約束の白衣大侠姿!)vs周比利扮する禿鷹大佐の一騎討ちは、薄暗い納屋を舞台に火蓋を切るんですが、そこは以前に『復活!死亡遊戯』(03)でも迫力あるクンフー・ファイトを見せていた2人だけに、闘いは陳眞と禿鷹大佐がお互いに激しいキック合戦を見せた後、『精武英雄』でリンチェイ陳眞が藤田剛に見せた片手を相手の顔面に「ババッ!」と突き出すフェイント攻撃を陳眞が禿鷹大佐に仕掛けたり、禿鷹大佐も同じく『精武英雄』で藤田剛が芥川龍一を抹殺した“藤田式バックブリーカー(龍熱命名による背骨折り!)”を陳眞に決めようとしたりと、またも『精武英雄』の陳眞vs藤田剛戦を彷彿させる摸倣アクションが登場します。
そして最後は陳眞がグロッキーになった禿鷹大佐の顔面に怒りの鉄拳を叩き込もうと「オアタアア・・!」と迫りますが、そこで敢えて陳眞はコブシを寸止めし、敗北感に打ちのめされた禿鷹大佐をその場に残し、陳眞が悠然と決戦場を立ち去るという威厳を感じさせる決着シーンとなっています。

このようにリンチェイ版『精武英雄』からの数々の摸倣シーンを確認出来た石天龍版『精武真英雄』ですが、映画のラストで主人公陳眞がその命を散らす事無く無事に生き延びる点も、リンチェイ版『精武英雄』と同様の結末です。
思えば、これまでの“精武門系列”作品群ではオリジナル作品であるリーさん版『ドラゴン怒りの鉄拳』をベースとした作品が多い中で、今回の『精武真英雄』のようにリンチェイ版『精武英雄』をリーさん版『~怒りの鉄拳』とミックスさせる形でベースとしているという傾向は大変興味深かったですね。
要するに今回の『精武真英雄』の例を見るまでも無く、リーさんのオリジナル版『~怒りの鉄拳』の伝説的な存在と同じく、リンチェイ版『精武英雄』も“精武門系列”作品における文字通りの“正宗精武門電影”的な存在として、近年高く評価され始めている証しと言っていいでしょう。
改めてその動作導演を担当した袁和平“最後のベスト・ワーク”と言われ、数々の出色のクンフー・ファイトが展開される李連杰主演『フィスト・オブ・レジェンド怒りの鉄拳』こと『精武英雄』を、今こそ私たちがジックリと再評価する時が来たのかも知れませんね。(それも当ブログの「正宗精武門電影大全」で!)
と言うわけで、精は“魂の団結”、武は“支配への抵抗”、精武と書いて“不屈の闘志”と読む!次回の「正宗精武門電影大全」第8弾をどうぞお楽しみに!
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正宗精武門電影大全(六) もう一つの『孫文の義士団』!李錦坤主演『赤膽好漢』

2011-01-10 15:25:40 | 作品レビュー
さて、「正宗精武門電影大全」第6弾は陳銅民導演、 李錦坤&楊子江主演『赤膽好漢』(74)でいきたいと思います。
実はこの『赤膽好漢』こそが、以前にも当ブログで何度か触れていますように、96年に戴徹が撮った左考虎(即:ジェット・レ!)&トッド・セナフォンテ(説明不要のJCVDのダブル武打星!)主演作品『精武風雲』(96)の劇中に半ば強引に映像が挿入されていた作品なんですね。まあ「正宗精武門電影大全」と題した特集で作品を取り上げるからには、本来なら左考虎主演『精武風雲』をレビューするのが筋かと思いますが、今回は敢えてその『精武風雲』に映像を強引挿入されている『赤膽好漢』に重点を置いたレビューでいきたいと思います。また私が今回レビューに使用した『赤膽好漢』のソフトですが、大昔にイギリスでリリースされていた英語版VHSで、今ではかなりの激レアソフトです。ちなみに上映時間は約72分です。

物語は清の末期の香港を舞台に、清王朝打倒!を目指す革命家の孫文が香港に立ち寄る事を知った清の将軍(李允中)が、同じく清の高官(田豊)と共に凄腕の武術家(南宮勲、朱鐵和、そして楊斯!)を香港に差し向け孫文暗殺に動き出します。それを知った革命派の幹部(唐菁)たちも、同じく楊子江や李錦坤ら革命拳士たちを孫文を護衛させるべく呼び寄せ、ここに孫文の義士団vs清の暗殺団の壮絶なる闘いの火蓋が切られます!・・って、既にここまでお読みの皆さんもこの『赤膽好漢』の物語展開を読んで「あれ、どうも最近何処かで観たドニー兄貴主演映画にストーリーが似ているような?」と思ったかと思いますが(苦笑)、今は敢えてこのまま『赤膽好漢』のレビューを続けたいと思います。
で、この『赤膽好漢』の中盤辺りまでの事実上の主人公は楊子江なのですが、楊子江は革命派の重鎮である自分の父親(房勉)が清朝によって捕らえられ、その獄中で「息子よ、お前は革命にその身を捧げよ!」との言葉と、自らの指を噛み切りその血で書き記した遺言を残しその場で自害した事を知ると、自分もまた孫文を守るために自らの命を捧げる事を決意します。そして楊子江は清朝の暗殺団の魔手が香港に滞在中の孫文に迫ろうとしている事を革命派から知らされると、愛する妻(胡茵茵)と息子(この子役については後述します)に最後の別れを告げ、香港に向かおうとしますが、夫の身を案ずる妻の胡茵茵は「あなた、必ず無事に帰って来てくれるわね?」と涙ながらに楊子江を引き止めようとします。
楊子江はそんな自分の妻を優しく抱き締めると「私もこのまま愛するお前と一緒に暮らしていたい。この子が成長していく姿を見ていたい。だが私を必要としている人たちがいるのなら、私だけが身勝手な振る舞いをする事は許されないんだ!何時の日かきっとお前も私を誇りに思ってくれると信じている。そしてこの子が大きくなったらどうかお前からこう伝えて欲しい。
お前の父親は勇敢な男だったと・・真の愛国心を持った中国人だったと!」と静かに、しかし毅然と語りかけるのでした・・。
この楊子江と胡茵茵夫婦の別れのシーンは、まさに観る側の心に深い感動を残す素晴らしいシーンで、改めて導演の陳銅民の卓越した演出力に拍手を贈りたいと思います。
そしてこの後、この『赤膽好漢』のもう1人の主役である李錦坤も香港に到着し、いよいよ香港から脱出しようと海岸に向かう孫文の道中を護衛せんとする楊子江&李錦坤ら孫文の義士団vs南宮勲&楊斯&朱鐵和ら清朝の暗殺団の激しい乱戦が始まります。ここで繰り広げられる荒々しい廻し蹴りを繰り出す楊子江vsスキンヘッドからの頭突き攻撃で迫る朱鐵和、剛拳無敵の空手技の李錦坤vs怪しげな拳技の達人楊斯などの激闘は、そのどちらもが武術指導を担当する劉家榮の見事な殺陣構成もあって、実に迫力満点のクンフー・ファイトが展開されます。
そして最後は清の暗殺団全員を見事打ち倒した楊子江と李錦坤の2人がお互いに傷だらけとなった身体で共に肩を抱き合い、無事に香港から旅立った孫文を乗せた船を海岸から見送るシーンで劇終となります。

さて、先ほども触れましたが、劇中で楊子江の息子を演じた子役ですが、実はこの子役が当時10歳のピーター・チャンこと陳可辛です。言うまでもなく陳可辛は陳徳森導演、我らがドニー兄貴こと甄子丹主演『孫文の義士団』(09)のプロデューサーであり、さらに本作『赤膽好漢』の導演である陳銅民こそが陳可辛の実の父親なんです。
つまり陳可辛が製作した『孫文の義士団』は、陳可辛の父親の陳銅民導演による『赤膽好漢』のリメイク作品なわけです。ちなみに陳銅民はタイの華僑出身で、50年代に北京で映画を学び、その後香港に来ると長城公司や鳳凰公司に参加し編劇&副導演としてキャリアを積み、それらの編劇担当作品に『草木皆兵』(60)や『十夜柔情』(62)などがあります。
その後の陳銅民は70年代に入ると解元主演『奪命客』(73)、そして台湾の歐亞電影企業公司で撮った本作『赤膽好漢』などの導演作品を発表しますが、73年には香港に家族を残してタイに戻ると導演から新聞記者に転身しました。
また陳銅民は千葉真一主演『激殺!邪道拳』(77)を野田幸男と聯合導演の形で撮っていると言われていますね。
こうして昨年に陳可辛が『孫文の義士団』を発表した事で、改めて父親の陳銅民が36年前に撮ったオリジナル版『赤膽好漢』が国内外で注目を浴びる結果となったわけですが、実際に今回『赤膽好漢』本編を観てみると、その陳銅民による清の末期という動乱の中国を舞台とした重厚かつ悲壮美に満ちた人間ドラマ、そして劇中で李錦坤らが披露する70年代クンフー映画特有のストレートでパワフルな武打シーンが実にバランス良く両立している作品である事が判ります。
そういう意味では陳銅民&陳可辛という実の親子が同じテーマの作品を二代に渡って撮るという稀に見るケースも含めて、今回「正宗精武門電影大全」で敢えてその『孫文の義士団』のオリジナル版である『赤膽好漢』をレビューした意図をご理解頂ければと思います。最後になりますが、これからGWにかけて『孫文の義士団』がいよいよ劇場公開されるわけですが、その際には今から遥か昔の1974年に“もう一つの『孫文の義士団』”とも言える作品が現地で公開されていたという歴史的な事実を、どうか皆さんの心の片隅に置いて頂ければ幸いです。
と言うわけで、精は“魂の団結”、武は“支配への抵抗”、精武と書いて“不屈の闘志”と読む!次回の「正宗精武門電影大全」第7弾をどうぞお楽しみに!
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