さて、今回もショウ・ブラザース武侠片のレビューなんですが、それが林福地導演、川原、シュウ・ペイペイ、虞慧(虞の字微妙に異なります)主演『大内高手(又題:『絶命崖』)』(72)です。
林福地といえば、昔に国内でもビデオ化していた嘉凌主演『カンフー・コップ』(73)など数々の嘉凌主演作品や、オールスター武侠片『旋風十八騎』(77)などの導演作品を残している人ですね。
この作品もブート全盛時代には映像が出回らなかった作品である上に、いざ天映娯楽社からDVDがリリースされた際には、国内でもこの作品自体の詳細かつ正当な評価は殆どされる事はありませんでした。
確かに主要キャストが川原、ペイペイ、虞慧、董力とやや(いや相当)地味ですし、物語も異国と手を組み謀反を起こそうと企む高官フー・ビンチュン(チン・ミャオ)の陰謀を阻止するべく、皇帝の命により派遣された“鉄面娘子”の異名を持つ女剣士史雪蘭(ペイペイ)ら4人の“大内四衛士”が、フーの隠れ家である龍虎山荘なる山奥の要塞に乗り込み、延々と闘いを繰り広げるという単純かつ在り来たりな展開です。
ただそうは言いながらも、本作の撮影カメラマンを賀蘭山こと西本正が担当している点や、映画の序盤で日本人武打星の鹿村泰祥(暗い室内のシーンなので判り難いのですが恐らく)らしき絡み役が確認出来たり、武術指導が叔父の梁少松であるためか同じく絡み役で梁小龍、洪金寶(これは誰でも判りますね)、小麒麟(1カットのみ)、そしてアッと言う間に切り殺される白装束姿の剣士役でまたも『死亡遊戯』の“丸太男”こと解元など、私たち日本の香港クンフー映画ファンにとって実に興味深い面子が続々と確認出来ます。
そして私がこの『大内高手』という作品を観て思わず唸ってしまった一番の理由に、映画の中盤までは川原が一応の主人公でありながらも、さらに映画が進むにつれて、それこそ決して本格派の女武打星ではない虞慧、またはペイペイ(彼女は多くの武侠片出演を誇りますが)の2人がそれぞれ短刀や剣を手にその美しい顔を鮮血に染めながら文字通り凄まじいまでの残虐描写満載の剣劇アクションを展開する事により、アッサリと主役の座を川原から奪ってしまう事でした。
まずペイペイがフーの警護団にしてその4人全員がスキンヘッド&不死身の巨漢集団“四大金剛(唐天希やチャン・シェンなど)”との死闘の口火を切り、チェン・シェンを斬り殺したペイペイは短刀で身体を貫いても簡単には死なない2人目の“四大金剛”をメッタメタに斬りまくって倒し、虞慧も3人目の“四大金剛”の両目を潰しそれでも自分に襲いかかって来る相手の首に鎖を巻きつけながら短刀で腹を「グサ!グサ!」と突き刺し、そのまま思い切り首を鎖で締め上げ、やっと不死身の巨漢を窒息死させます。
その間に唐天希演じる“四大金剛”の最後の1人は、李允中たち他の2人の四衛士との大激闘の果てに相討ちで倒されます。さらに闘いを続けるペイペイは鞭使いの黄宗迅と鮮血飛び散る闘いの末に一度はその場に倒れるも、逆に力尽きその場に崩れ落ちた黄宗迅に自分もフラフラと歩み寄ると自らの剣を冷酷非情にも黄宗迅の身体に突き立て倒します。もうここまでで延々20分以上に及ぶ大血闘が展開されているんですが、ここからいよいよ要塞の奥深くに潜んでいるチン・ミャオ演じる悪の高官フーと川原、虞慧、ペイペイの3人の剣士たちの最後の決戦が幕を開けます。遂に売国奴であるフーを追い詰めた史雪蘭は、怒りと共にフーに詰め寄ります・・・!
史雪蘭「フー・ビンチュン!」
フー「何奴じゃ!?」
史雪蘭「私は“鉄面娘子”史雪蘭!孫様の命により、お前を捕らえに来た!」
フー「フフン!よくぞ今まで余を欺き通したのう?褒めてやるわ!」
史雪蘭「国賊!もはやここまで・・覚悟おし!」
フー「戯け者めが!始末してやるわ!」
自らの手にある密書を鋼に変え、それを手裏剣のように投げつけるフー・ビンチュンに3人は苦戦を強いられますが、ペイペイ演じる史雪蘭はかくなる上は!と最後の手段とばかりに鬼女のような表情で自分の剣を口に銜え空いた両手を組んで即席の足場を作ると、剣を手にした川原がその足場を蹴り上げ高々と宙に舞います!それを見た虞慧、そしてペイペイも一斉にフー目掛けて飛びかかります!迎え撃つ悪漢フー・ビンチュン・・!
映画はこの後に実に衝撃的な決着シーンが私たちの前に映し出されるのですが、そのシーンは是非皆さんには実際にDVDでご覧になって頂きたいので、ここでは敢えて触れないで置きたいと思います。
私もこれまでにそれこそ何百本というショウ・ブラザース作品を観て来た中で、よくぞこのような女剣士物の秀作が今まで正当な形での評価を受ける事なく埋もれていた!と感嘆させられると同時に、改めてショウ・ブラザースという伝説的な映画帝国の懐の深さに脱帽させられた次第です。
林福地といえば、昔に国内でもビデオ化していた嘉凌主演『カンフー・コップ』(73)など数々の嘉凌主演作品や、オールスター武侠片『旋風十八騎』(77)などの導演作品を残している人ですね。
この作品もブート全盛時代には映像が出回らなかった作品である上に、いざ天映娯楽社からDVDがリリースされた際には、国内でもこの作品自体の詳細かつ正当な評価は殆どされる事はありませんでした。
確かに主要キャストが川原、ペイペイ、虞慧、董力とやや(いや相当)地味ですし、物語も異国と手を組み謀反を起こそうと企む高官フー・ビンチュン(チン・ミャオ)の陰謀を阻止するべく、皇帝の命により派遣された“鉄面娘子”の異名を持つ女剣士史雪蘭(ペイペイ)ら4人の“大内四衛士”が、フーの隠れ家である龍虎山荘なる山奥の要塞に乗り込み、延々と闘いを繰り広げるという単純かつ在り来たりな展開です。
ただそうは言いながらも、本作の撮影カメラマンを賀蘭山こと西本正が担当している点や、映画の序盤で日本人武打星の鹿村泰祥(暗い室内のシーンなので判り難いのですが恐らく)らしき絡み役が確認出来たり、武術指導が叔父の梁少松であるためか同じく絡み役で梁小龍、洪金寶(これは誰でも判りますね)、小麒麟(1カットのみ)、そしてアッと言う間に切り殺される白装束姿の剣士役でまたも『死亡遊戯』の“丸太男”こと解元など、私たち日本の香港クンフー映画ファンにとって実に興味深い面子が続々と確認出来ます。
そして私がこの『大内高手』という作品を観て思わず唸ってしまった一番の理由に、映画の中盤までは川原が一応の主人公でありながらも、さらに映画が進むにつれて、それこそ決して本格派の女武打星ではない虞慧、またはペイペイ(彼女は多くの武侠片出演を誇りますが)の2人がそれぞれ短刀や剣を手にその美しい顔を鮮血に染めながら文字通り凄まじいまでの残虐描写満載の剣劇アクションを展開する事により、アッサリと主役の座を川原から奪ってしまう事でした。
まずペイペイがフーの警護団にしてその4人全員がスキンヘッド&不死身の巨漢集団“四大金剛(唐天希やチャン・シェンなど)”との死闘の口火を切り、チェン・シェンを斬り殺したペイペイは短刀で身体を貫いても簡単には死なない2人目の“四大金剛”をメッタメタに斬りまくって倒し、虞慧も3人目の“四大金剛”の両目を潰しそれでも自分に襲いかかって来る相手の首に鎖を巻きつけながら短刀で腹を「グサ!グサ!」と突き刺し、そのまま思い切り首を鎖で締め上げ、やっと不死身の巨漢を窒息死させます。
その間に唐天希演じる“四大金剛”の最後の1人は、李允中たち他の2人の四衛士との大激闘の果てに相討ちで倒されます。さらに闘いを続けるペイペイは鞭使いの黄宗迅と鮮血飛び散る闘いの末に一度はその場に倒れるも、逆に力尽きその場に崩れ落ちた黄宗迅に自分もフラフラと歩み寄ると自らの剣を冷酷非情にも黄宗迅の身体に突き立て倒します。もうここまでで延々20分以上に及ぶ大血闘が展開されているんですが、ここからいよいよ要塞の奥深くに潜んでいるチン・ミャオ演じる悪の高官フーと川原、虞慧、ペイペイの3人の剣士たちの最後の決戦が幕を開けます。遂に売国奴であるフーを追い詰めた史雪蘭は、怒りと共にフーに詰め寄ります・・・!
史雪蘭「フー・ビンチュン!」
フー「何奴じゃ!?」
史雪蘭「私は“鉄面娘子”史雪蘭!孫様の命により、お前を捕らえに来た!」
フー「フフン!よくぞ今まで余を欺き通したのう?褒めてやるわ!」
史雪蘭「国賊!もはやここまで・・覚悟おし!」
フー「戯け者めが!始末してやるわ!」
自らの手にある密書を鋼に変え、それを手裏剣のように投げつけるフー・ビンチュンに3人は苦戦を強いられますが、ペイペイ演じる史雪蘭はかくなる上は!と最後の手段とばかりに鬼女のような表情で自分の剣を口に銜え空いた両手を組んで即席の足場を作ると、剣を手にした川原がその足場を蹴り上げ高々と宙に舞います!それを見た虞慧、そしてペイペイも一斉にフー目掛けて飛びかかります!迎え撃つ悪漢フー・ビンチュン・・!
映画はこの後に実に衝撃的な決着シーンが私たちの前に映し出されるのですが、そのシーンは是非皆さんには実際にDVDでご覧になって頂きたいので、ここでは敢えて触れないで置きたいと思います。
私もこれまでにそれこそ何百本というショウ・ブラザース作品を観て来た中で、よくぞこのような女剣士物の秀作が今まで正当な形での評価を受ける事なく埋もれていた!と感嘆させられると同時に、改めてショウ・ブラザースという伝説的な映画帝国の懐の深さに脱帽させられた次第です。