超級龍熱

香港功夫映画と共に

女双侠大血闘!川原、虞慧、シュウ・ペイペイ主演『大内高手』(SB)

2009-01-29 03:54:56 | 作品レビュー
さて、今回もショウ・ブラザース武侠片のレビューなんですが、それが林福地導演、川原、シュウ・ペイペイ、虞慧(虞の字微妙に異なります)主演『大内高手(又題:『絶命崖』)』(72)です。
林福地といえば、昔に国内でもビデオ化していた嘉凌主演『カンフー・コップ』(73)など数々の嘉凌主演作品や、オールスター武侠片『旋風十八騎』(77)などの導演作品を残している人ですね。
この作品もブート全盛時代には映像が出回らなかった作品である上に、いざ天映娯楽社からDVDがリリースされた際には、国内でもこの作品自体の詳細かつ正当な評価は殆どされる事はありませんでした。
確かに主要キャストが川原、ペイペイ、虞慧、董力とやや(いや相当)地味ですし、物語も異国と手を組み謀反を起こそうと企む高官フー・ビンチュン(チン・ミャオ)の陰謀を阻止するべく、皇帝の命により派遣された“鉄面娘子”の異名を持つ女剣士史雪蘭(ペイペイ)ら4人の“大内四衛士”が、フーの隠れ家である龍虎山荘なる山奥の要塞に乗り込み、延々と闘いを繰り広げるという単純かつ在り来たりな展開です。
ただそうは言いながらも、本作の撮影カメラマンを賀蘭山こと西本正が担当している点や、映画の序盤で日本人武打星の鹿村泰祥(暗い室内のシーンなので判り難いのですが恐らく)らしき絡み役が確認出来たり、武術指導が叔父の梁少松であるためか同じく絡み役で梁小龍、洪金寶(これは誰でも判りますね)、小麒麟(1カットのみ)、そしてアッと言う間に切り殺される白装束姿の剣士役でまたも『死亡遊戯』の“丸太男”こと解元など、私たち日本の香港クンフー映画ファンにとって実に興味深い面子が続々と確認出来ます。
そして私がこの『大内高手』という作品を観て思わず唸ってしまった一番の理由に、映画の中盤までは川原が一応の主人公でありながらも、さらに映画が進むにつれて、それこそ決して本格派の女武打星ではない虞慧、またはペイペイ(彼女は多くの武侠片出演を誇りますが)の2人がそれぞれ短刀や剣を手にその美しい顔を鮮血に染めながら文字通り凄まじいまでの残虐描写満載の剣劇アクションを展開する事により、アッサリと主役の座を川原から奪ってしまう事でした。
まずペイペイがフーの警護団にしてその4人全員がスキンヘッド&不死身の巨漢集団“四大金剛(唐天希やチャン・シェンなど)”との死闘の口火を切り、チェン・シェンを斬り殺したペイペイは短刀で身体を貫いても簡単には死なない2人目の“四大金剛”をメッタメタに斬りまくって倒し、虞慧も3人目の“四大金剛”の両目を潰しそれでも自分に襲いかかって来る相手の首に鎖を巻きつけながら短刀で腹を「グサ!グサ!」と突き刺し、そのまま思い切り首を鎖で締め上げ、やっと不死身の巨漢を窒息死させます。
その間に唐天希演じる“四大金剛”の最後の1人は、李允中たち他の2人の四衛士との大激闘の果てに相討ちで倒されます。さらに闘いを続けるペイペイは鞭使いの黄宗迅と鮮血飛び散る闘いの末に一度はその場に倒れるも、逆に力尽きその場に崩れ落ちた黄宗迅に自分もフラフラと歩み寄ると自らの剣を冷酷非情にも黄宗迅の身体に突き立て倒します。もうここまでで延々20分以上に及ぶ大血闘が展開されているんですが、ここからいよいよ要塞の奥深くに潜んでいるチン・ミャオ演じる悪の高官フーと川原、虞慧、ペイペイの3人の剣士たちの最後の決戦が幕を開けます。遂に売国奴であるフーを追い詰めた史雪蘭は、怒りと共にフーに詰め寄ります・・・!

史雪蘭「フー・ビンチュン!」
フー「何奴じゃ!?」
史雪蘭「私は“鉄面娘子”史雪蘭!孫様の命により、お前を捕らえに来た!」
フー「フフン!よくぞ今まで余を欺き通したのう?褒めてやるわ!」
史雪蘭「国賊!もはやここまで・・覚悟おし!」
フー「戯け者めが!始末してやるわ!」

自らの手にある密書を鋼に変え、それを手裏剣のように投げつけるフー・ビンチュンに3人は苦戦を強いられますが、ペイペイ演じる史雪蘭はかくなる上は!と最後の手段とばかりに鬼女のような表情で自分の剣を口に銜え空いた両手を組んで即席の足場を作ると、剣を手にした川原がその足場を蹴り上げ高々と宙に舞います!それを見た虞慧、そしてペイペイも一斉にフー目掛けて飛びかかります!迎え撃つ悪漢フー・ビンチュン・・!
映画はこの後に実に衝撃的な決着シーンが私たちの前に映し出されるのですが、そのシーンは是非皆さんには実際にDVDでご覧になって頂きたいので、ここでは敢えて触れないで置きたいと思います。
私もこれまでにそれこそ何百本というショウ・ブラザース作品を観て来た中で、よくぞこのような女剣士物の秀作が今まで正当な形での評価を受ける事なく埋もれていた!と感嘆させられると同時に、改めてショウ・ブラザースという伝説的な映画帝国の懐の深さに脱帽させられた次第です。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

加護亜依ちゃん感涙の試写会!洪金寶&呉建豪主演『カンフー・シェフ』

2009-01-27 02:43:48 | 作品レビュー
さて、昨日は都内某所で葉永健導演、サモ・ハンこと洪金寶、ヴァネス・ウーこと呉建豪、そして加護亜依ちゃん主演『カンフー・シェフ』(08)の試写に、本作のライン・プロデューサーを務める染野行雄さんのお誘いで行って来ました。
私が試写場に到着すると、既に染野さんはじめ関係者の皆さんもいらっしゃっていてヤアヤア!とご挨拶が交わされたりと和やかな雰囲気の中、一足先に私が試写場内の席に座っていると、何と加護亜依ちゃんご本人も試写場に入って来ました。するとすぐにその場で今回加護さんと香港映画界の橋渡しに尽力なさった染野さんが加護さんを私にご紹介して下さいました。初めてお会いする加護さんはやはり小柄で可愛い!との印象でしたが、加護さんは挨拶の後に「私も一列後ろがいいかなぁ!」とそのままスタスタ!と歩いて来て私の隣に座ったのにはちょっとビックリでした。で、結局私は今回の『カンフー・シェフ』を主演者の1人である加護さんと隣合わせで座った形で観る事になったのですが、上映前に私と加護さんで以下のような会話をしました。

龍熱「加護さんも映画の中でアクションをやってるんですか?」
加護さん「はい!(キッパリとした返事)」
龍熱「サモ・ハンさんはどんな感じでした?」
加護さん「すごくいい人でしたぁ!あと日本語もけっこう喋るんですよぉ!」

加護さんは話す時にジッと相手の目を見て話す人で、私もとても感じの良い女性との印象を持ったんですが、その間にも染野さんのご挨拶に続いていよいよ『カンフー・シェフ』の上映が始まりました。
ちなみに今回は全編北京語のプリントでの上映です。映画は料理の達人の証明である龍包丁を持つ主人公(サモ・ハン)が、弟子(洪天明)の策略により住み慣れた地を去らざるを得なくなるシーンから始まりますが、ここでいきなりサモ・ハンが4、5人の暴漢相手に迫力のクンフー・ファイトを披露します。
さらにこの冒頭シーンのみの出演ながらあの李海生が久々に銀幕に顔を見せているのに私は思わず感激でしたし、他にも老いたれどショウ・ブラザース伝説の名優である谷峯も出演していて、もうこの3人の面子だけでオールド・クンフー映画ファンは胸が一杯になりますね。
続いて『功夫厨神』のタイトルバックが始まり、プロデューサーとしてシャロン・ヤン(パンパン)、主演の呉建豪、釈行宇、ルイス・ファン、あと勿論加護亜依ちゃん、さらに動作導演の袁祥仁、動作指導の袁信義といった錚々たる名前がクレジットされる中、そこにサモ・ハンが龍包丁を手に1人延々と演武するシーンが登場し、このまるで古き良き時代のクンフー映画のタイトルバックを彷彿させるオープニング・タイトルに私はまたも感激の至りとなったのでした。
映画自体はヴァネス・ウー(今回は顎髭を生やし見事なアクションを披露)がサモ・ハンに料理人として弟子入りし、自分の父親(演じるは何とブルース・リャンこと梁小龍!)から龍包丁を奪った(と思い込み)サモ・ハンを恨むライバル料理店のオーナー(ルイス・ファン)、そして林子聡との中国最強料理人決定戦に挑む、という展開です。
ちなみに加護さんの役柄はチェリー・イン演じる料理店の社長の妹役という設定です。
当然劇中には豪華絢爛たる中国料理が次々と登場し、私たちの目を楽しませてくれるのですが、そうは言ってもやはりこの『カンフー・シェフ』における注目点は袁氏兄弟が構築する数々のクンフー・アクションにあるのは言うまでもないでしょう。まず映画の中盤でアッサリと実現するブルース・リャン(兄)vsサモ・ハン(弟)の兄弟対決ですが、流石にこの2人が画面に登場し対峙するシーンは貫禄十分で、サモ・ハンが椅子に座ったままでリャンの繰り出す怒涛の突きや蹴りを受けまくるシーンは、もうこの2人の対決シーンだけでも大スクリーンで観れて良かった!と感無量でした。さらにその後にいよいよ加護亜依さんがスーパーの店内で釈行宇相手にアクションを披露するシーンが登場するんですが、ここでもシン・ユーこと行宇が画面に出て来た際に私が思わず小声で「おお!シン・ユーだ!」と反応すると、それを聞いた隣の加護さんが私にこう話しかけて来ました。

加護さん「あ、あの人知ってるんですか?親友(しんゆう)なんですか?」
龍熱「いえシン・ユーって、あの俳優さんの名前がシン・ユーなんです(笑顔)」
加護さん「あ~!なるほどぉ!(笑顔)」

このスーパーでの加護さんのアクション・シーンは、いきなり加護さんが両足でのドロップキックを行宇に叩き込むなど私が予想していた以上に相当激しい物で、加護さんは自分でも背後の敵に肘討ちを放ったり、大胆なワイヤー・アクションにも果敢に挑戦するなど大奮戦でしたね。
で、この乱闘シーンの最後は加護さんとヴァネスが手を取り合って無事にスーパーを走り出るんですが、ここで加護さんは画面を見ながら「アハハハ!」と楽しそうに笑っていたのが印象的でした。
その後もヴァネス・ウーとルイス・ファンがテーブル上を舞台に猛然と打点の高い蹴り技の応酬を披露するなど見せ場が続くんですが、何と言っても本作の最大のクライマックスが終盤におけるヴァネスvs林子聡による最強料理人対決の場面と交互に映し出される形で展開されるサモ・ハンとルイス・ファンの一騎討ちでしょう。
この2人の対決では日本刀を手にしたルイスをサモ・ハンが真っ向から受け止め応戦するド迫力のクンフー・ファイトとなり、この『カンフー・シェフ』のクライマックスを飾るに相応しいハイレベルの対決となりました。
最近もドニー兄貴の『葉問』(08)をはじめ貴重な本格派の武打星として活躍するルイスにとって、本作『カンフー・シェフ』で香港クンフー映画の“生きる伝説”サモ・ハンとこれだけの好勝負を展開した事は、今後のルイス自身の武打星人生にとってもきっと大きな財産となる事でしょう。
そして映画は最強料理人決定戦に見事勝利したヴァネスと加護さんが2人きりの厨房でジッと見つめ合うロマンチックなシーンで劇終となります。

映画が終わると、試写場にいる全員が加護さんに対して大きな拍手を贈ったのですが、私も拍手をしながら「映画面白かったですよ!」と何気に隣の加護さんに向きなおると・・何と加護さんはその場で感極まって涙を流していました。加護さんもこの『カンフー・シェフ』出演に至るまでは、色々な事があって本当に大変だったと思うんですが、映画のエンドクレジットが流れている内に加護さんの胸中には自然とこれまでの様々な事が思い出されて来たと思いますし、きっとそれが加護さん自身にとっての晴れやかな達成感となり、この涙になったのではないでしょうか。
加護さん、本当にお疲れ様でした!どうかこれからも頑張って下さいね。
また映画『カンフー・シェフ』自体も、豪華絢爛たる中国料理のシーンと迫力のクンフー・アクションが絶妙のバランスを保っていて、私自身大変楽しんで観る事が出来ましたし、何よりも主演のサモ・ハンが近年の作品で多々観られた顔見せ程度の出演ではなく、文字通りのサモ・ハン完全主演作品として豪快かつ貫禄のアクションを劇中でも何度となく披露してくれていたのが私自身一番嬉しい事柄でした。
香港クンフー映画ファン、また中国グルメの方にも理屈抜きに楽しめる娯楽アクション映画である『カンフー・シェフ』、今後の日本公開の際には是非劇場に足を運んで頂きたい1本です。
コメント (13)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

“詠春一代宗師”ドニー・イェンが「Men`s Health」1月号の表紙に登場!

2009-01-25 15:14:39 | その他
今年の「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」ではあのナ・ホンジン導演作品『チェイサー』(08)だけでなく、当ブログでもイチオシ中のリュ・スンワン導演作品『タチマワ・リー/悪人よ、地獄行き急行列車に乗れ!』(08)を上映するばかりか、何とスンワン導演が題名等でもオマージュを捧げているパク・ノシクこと朴魯植導演&主演作品『悪人よ、地獄行き列車に乗れ!』(76)も上映するそうです。いやこれは凄いねー!
もう朴魯植と言ったら韓国アクション映画のそれこそ“Legend”的な人でしたし、私も昔に国内でもビデオ化していた『帰って来た龍八』(83)は勿論、中国とのコラボ作品『双龍剣』(69)や『白面剣鬼』(69)などの剣劇片、あと侠客アクション物の『八道の男(八道サナイ)』(69)とか色々と観ていますが、それぞれ面白い映画ばかりでした。
そう言えば朴魯植は香港のショウ・ブラザースの武侠片などにも韓国側から出演していますので、その内それらの作品もレビューしてみようかと思っています。

さて、最新作『葉問』が大好評の“最後の本格派”ことドニー・イェンがあちらの「Men`s Health」1月号の表紙をゲットしております。堂々の表紙を飾るドニー兄貴は白のシャツにジーンズ姿、そして百万ドルの笑顔&カメラ目線でポーズを決めているんですが、勿論1月号の中身でも「斯文武打」と題してドニー兄貴がダンヒルやプラダのグッズに身を包み、様々なポーズを決めているカラー写真&インタビュー記事が6頁に渡って掲載されています。
でもこの掲載写真のドニー兄貴の決めっぷりはもう殆どファッションモデル・モードですね。これってどちらかと言うとドニー兄貴の女性ファンの方にお薦めの情報かも知れませんが、詳しくはwww.mh.trends.com.cnにGOです!
ドニー兄貴の雑誌表紙ゲットといえば、昨年末の「香港電影」12月号での『葉問』特集号がありましたが、またドニー兄貴雑誌掲載情報がありましたら、当ブログでもお知らせしたいと思います。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

videoasiaからソックリさん10作品収録DVDボックス「DRAGON IMMORTAL」発売!

2009-01-24 12:10:04 | DVD&Blu-ray情報
今日は当ブログにもよく遊びに来て下さる家有喜事さんと久々にお茶しましょう!という事で、その場ではまたまた70年代クンフー映画の話題等で延々と盛り上がったのですが、その際家有喜事さんから「ドラゴン・スピリッツ」という本を頂きました。内容的には中村頼永さんのインタビューや、関誠さんによる倉田保昭さんのインタビューなど盛り沢山の内容になっているんですが、私が何よりも素晴らしいと思ったのが鮑智行さんによるホイ4兄弟のインタビュー(何とスタンレー・ホイのインタビューも!)の収録に成功している事でした。
これは本当に画期的かつ貴重なインタビューだと思います。本自体はまだ読み始めたばかりなのですが、付録のDVDと共に今から他の記事も読むのが楽しみです。

さて、既に昨年の事になりますが海外レーベルの「videoasia」からリーさんのソックリさん系列映画を何と10本収録(3枚組。リージョン・フリー!)したDVDボックス「DRAGON IMMORTAL」がリリースされていますね。
ボックス・ケースは黄色をメインとしていて、表ジャケットはイラストのリーさんが颯爽とヌンチャクを構えたポーズがそれなりにカッコイイんですが、早速気になる収録作品を駆け足になりますが触れていきましょう。

1枚目のピクチャー・ディスク(何故かピクチャー・ディスクはこの1枚のみ)にはブルース・バロン主演『パワー・フォース』(83)と、巨龍、張一道、林銀珠主演の韓国クンフー映画『武林十八女傑』(79)を収録。

2枚目には呂小龍、巨龍、張一道主演『クローン人間ブルース・リー/怒りのスリー・ドラゴン』(77)、唐龍こと金泰中主演の韓国クンフー映画『双輩』(81)、ジャック・リー主演のフィリピン映画(だと思われます)『They Call him Bruce Lee』(79)、小龍こと龍天翔主演『海女』(79)を収録。

3枚目には何宗道&黄加達主演『詠春與截拳』(76)、何宗道が『グリーン・ホーネット』のカトー・ルックで奮闘する『猛龍征東』(75)、リーさんファンの間では伝説のアニメ『ドラゴン水滸伝』(75)、呂小龍主演のフィリピン映画『Bruce`s Fist of Vengeance』(84)を収録。

まだ私も殆どの収録作品を触り程度しか観ていないんですが、収録作品全てが英語吹き替え版で、唯一『猛龍征東』がビスタ・サイズで収録されていましたね。個人的にはこれまでちゃんと最後まで観ていない『They Call Him Bruce Lee』の序盤のジャック・リーのリーさん真似を交えながらの見事なキッキング・アクションや、題名からして実に怪しげな龍天翔の『海女』が楽しみです。
あと唐龍の『双輩』は以前から今回のボックスにも収録されている英語バージョンのDVDが出回っていましたが、レア度では同作品の北京語バージョンの方が断然上でしょう。
まあ今回収録された作品全てがお薦めとは言い難い部分もあるボックスではありますが、逆にこれまでのソックリさん系列DVDセットではお決まり的だった収録作品とはティストが異なる作品も何本か収録されているので、この手のソックリさん系列作品が好きな人はチェックして見るのも良いかもしれませんね。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

余りにも悲しき恋人たちの運命・・!宗華&井莉主演『新啼笑因縁』(SB)

2009-01-22 03:39:11 | 作品レビュー
さて、最近はひたすらショウ・ブラザース作品のレビューが続く当ブログですが、今回は楚原導演、宗華&井莉主演による悲恋物『新啼笑因縁』(75)です。この作品もブート全盛時代には観る事が出来なかった作品で、私も天映娯楽社版のDVDで初めて鑑賞する事が出来ました。
導演の楚原といえば、古龍原作の武侠小説を改編した“浪漫武侠片”でその名を知られた人ですが、今回の『新~』でも楚原作品では定番である夕陽や池などの豪華かつ美しいセットをバックに宗華演じる富豪の青年と井莉演じる貧しい歌手の女性の余りにも悲しい恋の末路をドラマチックかつ情感タップリに描いています。
ただオーソドックスな悲恋物であるはずのこの映画のオープニングに、何故か武術指導として袁祥仁の名がクレジットされているのですが、その理由はこの映画のクライマックスで十分過ぎるほどに判る時がやって来ます。
また同じくそれに関連して、自分が病気になった時に病院の入院費を宗華に助けて貰った事が縁で宗華と固い友情で結ばれる大道芸人の武術家役で陳観泰が、そして観泰の妹にして飛刀の名手役で施思が出演している事がこの映画の最大の注目点であり、また私がこの映画を強く推す理由でもあります。(ついでに岳華もほんの一瞬ですがカメオ出演しています)
さて、この映画のもう1人のキーパーソンと言うか、悪の権化的な登場人物である凶暴で異常なほどの女好きのスキンヘッドの軍人・張大師を実に憎々しげに演じているのがスタンリー・フェン(ツイファン)なんですが、この何か気に入らない事があると「コイツを処刑してしまえェェ!」が口癖の張大師に目を付けられた井莉は、無理矢理に酔わされて張大師に強姦された挙句に強引に張大師と結婚させられてしまいます。
さらには密かに宗華に想いを寄せながらも宗華の井莉への愛を知り何かと2人を助けようと奮闘する富豪の娘(演じるは李青。拍手!)の協力も空しく、井莉は宗華と密会した事を張大師に知られてしまいます。
当然激怒した張大師は狂ったように井莉を鞭で何度も打ちまくり、とうとうそのショックで井莉は精神に異常をきたしてしまいます(うう~ん!それにしてもトコトン救いようがない展開だなぁ・・)。
で、もはやこうなったら自分たちの手で張大師の許から井莉を救出するしか宗華と井莉を再会させる方法はないと立ち上がった陳観泰と施思の兄弟は、今度は施思を自分の新しい花嫁にしようと(オイオイ?)祝いの宴会を開き有頂天の張大師の屋敷に自分の子分たち(何と袁和平、袁祥仁、袁日初など錚々たる面子!)を率いて乗り込んでいきます。さあ、ここからこの映画はそれまでの涙また涙の悲恋物から、突如として大興奮のクンフー映画モードに突入します!(大拍手!)
新婚初夜のはずの一室でいきなり花嫁転じて刺客と化し自分に飛刀を振りかざす施思の姿から施思の正体を知った張大師は「誰か!誰かいないかぁぁ!?」と絶叫しますが、そこに施思の飛刀!続いて廻し蹴りが炸裂!さらに妹の加勢に飛び込んで来た陳観泰の怒涛の鉄拳と飛燕の蹴りを浴びた張大師はそのまま屋敷の2階のテラスから「うおああああ!」と絶叫と共に真下の地面に転落すると、血反吐を吐きそのまま絶命!いやはや私もここでの観泰&施思vs張大師の短い時間ながらも激しいクンフー・ファイトは思わず息を呑んで見入ってしまいましたね。
陳観泰と施思はそのまま井莉を宗華の待つ屋敷の外へと連れ出します。ところが観泰たちを追って来た張大師の部下たち(王侠や田青)の銃弾が井莉の身体を撃ち抜き、やっと最愛の女性と再会を果たせた宗華の前には、既に息絶えている井莉の亡骸が横たわっていたのでした・・。
ショウ・ブラザースにはまだまだこのような知られざる作品にしてクンフー映画ファン必見のシーンを盛り込んだ佳作が数多く存在しますし、今後も当ブログでのショウ・ブラザース熱はまだまだ続きそうです。
コメント (5)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

羅維ショウ・ブラザース作品フェスタ&アレクサンダー・フーシェン主演作DVDリリース!

2009-01-20 21:51:51 | その他
ついついお知らせするのを忘れてしまっていたんですが、今月9日にキングレコードさんから既に発売になっているショウ・ブラザース作品の『洪家拳対詠春拳』、『裸足の洪家拳』、『新嵐を呼ぶドラゴン』などアレクサンダー・フーシェン主演作品DVD3枚のジャケット裏解説&封入ミニブックレットに執筆していますので是非よろしくお願いします。
特に『洪家拳~』は間違いなく張徹導演が撮った数あるクンフー映画の中の最高傑作ですので、超お薦めです。
あと明日発売の「映画秘宝」最新3月号でも毎年恒例の「2008ベスト&トホホ10!!」に私も参加していますし、連載中のキングレコードさんのショウ・ブラザースDVDレビューでは空とぶギロチンこと血滴子映画について執筆していますので、こちらもよろしくお願いします。

さて、最近はまたまた私の大好きなショウ・ブラザース作品熱が復活して来ていまして、ここ何日かは「協和影視」や「海岸」などの古いショウ・ブラザース作品のビデオを引っ張り出して来て観たり、天映娯楽社のDVDを観たりと久々のショウ・ブラザース三昧の日々となっています。
それも何故か今は亡き羅維導演のショウ・ブラザース時代の導演作品ばかり観ているので、現在の私の部屋はさながら「羅維導演ショウ・ブラザース作品フェスティバル」状態といった感じです。
簡単に最近観た作品を挙げていくと、ジェニー・フー&ポール・チャン主演のサスペンス・ドラマ『慾海情魔』(66)、何莉莉が007ならぬ009なる女スパイに扮した『鉄観音』(67)、そして李青&岳華主演の武侠片『冷天侠女(冷の字異なります)』(71)などです。
まあどれも日本のファンには余り知られていない作品かも知れませんが、『慾海情魔』は女性を利用して己の欲望を満たそうとするポール・チャンとダイアナ・チャンこと張仲文&ジェニー親子の出会いから対立、そして衝撃の結末に至るまでの展開を羅維導演(自らもジェニーの父親を熱演)が情感豊かかつ生々しく描いていますし、シリーズ化するほどの何莉莉の代表作の1本である『鉄観音』では我らがリリー嬢の体当たりアクションやファッション七変化も観れるし、またも羅維導演がリリー嬢の上司役で出演もしています(ちょっと105分の上映時間はダラダラ感ありだけど)。あと面白いのが上記の2本ではあの鄭昌和導演作品『キングボクサー大逆転』(72)のテーマ曲がオープニングや劇中で盛んに使用されているんですね。
で、最後の『冷天侠女』こそ羅維導演のショウ・ブラザース時代のベスト作品だと私は断言したいですし、特に幼い時に両足を極度に冷たい水中に長時間漬けていたために両足が不自由になった女剣士(李青)が、剣を仕込んだ松葉杖と共に両親の仇である4人の武芸者を鬼気迫る佇まいで追い詰めていく姿はひたすら圧巻ですし、ラストで自分を愛する青年剣士(岳華)に閉ざされていた心を開いた李青が自分の身を犠牲にして岳華を救う結末は実にロマンチックかつ感動的でした。
よく嘉禾公司時代や自身のプロダクション羅維影業公司時代の作品水準で羅維導演の導演としての実力を評価しがちな人がいますが、私に言わせれば羅維という人の導演としての本当の全盛期はむしろショウ・ブラザース時代にあったのは間違いがない事実でしょう。
というわけで、龍熱の愛すべきショウ・ブラザース作品鑑賞はまだまだ続きます。
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

福岡ネット放送に松井哲也登場!&「IMPACT」1月号で呉京主演最新作『狼牙』特集

2009-01-18 00:01:58 | ニュース
さて、先日13日に福岡のネット放送番組「Sattamoまちかど放送局」の「福岡発アジア/九州エンターティメント事情」に、当ブログにもよくいらっしゃって下さっているドラ道さんのコーディネイトにより、あの日本人武打星である松井哲也さんがミュージシャンの高倉世名さんと出演しました。
詳しくは当ブログと相互リンクしているドラ道さんのブログ「少林寺歓楽房」をご覧になって頂きたいのですが、私自身PCの画面を通じて久々に拝見した松井さんは以前と殆ど変わらない若々しさとバイタリティーに溢れた人!との印象でした。松井さんは約40分ほどに渡ってご自身の事(何とジャニーズ出身!)に始まり、説明不要の『十福星』(86)でのサモ・ハンこと洪金寶の思い出や、松井さんが語る『蛇拳』の成龍VS黄正利、あるいは松井さんがダスマダー大佐役で出演したあの特撮ドラマ『仮面ライダーBLACK:RX』のエピソードをもうハイテンションで熱く語りまくっています!それにしても日本人武打星として香港で活躍した松井さんがこれだけタップリと自身の事を語る機会はそうそうないと思いますし、実に画期的かつ貴重な放送だったと思います。
松井さんはネット番組出演の後は、場所を代えてシンシア・ラスターこと大島由加里さんとトークライヴを行ったとか。
うう~ん!そちらも是非観てみたかったなぁ!ドラ道さん、本当にお疲れ様でした。

さて話題は代わって、イギリスのマニア向けのアクション映画専門誌「IMPACT」の最新1月号の表紙を何と呉京最新主演作品『狼牙』が奪取しております。この呉京主演による『狼牙』の詳細に関しては、これまた当ブログと相互リンクしている千夜さんのブログ「MY TREASURE」でもう本当に沢山の呉京+『狼牙』の最新情報が満載されていますので、直ぐにGO!です。
肝心の「IMPACT」誌の中身でもカラー5頁に渡って『狼牙』の特集が組まれていますし、他にもリーさん信者は要チェックのダイアナ・リー・イノサントのインタビューや、先月号から連載の「シーゾナルUSA作品の歴史PART2(個人的にはこの特集が一番嬉しかったりして)」など私たちには嬉しい記事が色々と掲載されています。
あ、あとトニー・ジャーのショート・インタビュー込みの『オンバック2』の記事もありましたね。この「IMPACT」1月号はまだ大きな書店の洋書コーナーで購入可能だと思いますので、ご興味のある方は是非。
「IMPACT」って昔にベイ・ローガンが編集長やっていた頃は本当に毎号が楽しみだったけど、今のジョン・モスビーが仕切るようになってから内容的にイマイチだなぁ・・と思っていたんですが今月号は中々のコンテンツでしたね。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジャッキー・チェン出演アサヒ靴バイオターボCM映像&ドラゴン・リー直筆サイン生写真

2009-01-17 12:56:31 | その他
最近前からやろうやろうと思っていたベータマックスのビデオテープをDVD-Rにコピー変換する作業を始めました。
と言っても私が所有しているべータのテープを全部DVD-Rにコピーしても仕方がないので、まだ元気に可動するベータのビデオデッキを持っている知り合い(拍手!)にどうしてもDVD-Rに保存しておきたいベータのテープを何本か渡して変換して貰っているんですね。で、早速DVD-Rにコピーして貰った「元ベータ」の映像を観ているんですが、いや~何とも懐かしい映像ばかりで感激ですねえ!

で、一緒に出て来た李青主演のショウ・ブラザース映画の古いVHSテープの本編の後にちょっと面白い映像が入っていました。それがジャッキー・チェンが昔に出演したアサヒ靴のテレビCMで「クーガ/バイオターボ」のCM映像です。野外の芝生上を舞台に白の短パン上下姿のジャッキー(当然超若い!)がジャッキーの持つバイオターボ靴をもう1人の男性(これって王坤?)と取り合った果てに「早ーい!強ーい!カッコイイー!僕みたーい!」の決め台詞を叫び、最後はカメラに向かってアサヒ靴を手にニッコリ!とジャッキー・スマイルを見せる、という内容です。
いや~懐かしい!と思いながらも・・・これって私何時テレビ録画したのか全く記憶にないんですが、ただこの「~バイオターボ」のCM映像は殆ど直撮り並みの画質の良さでした。
他にも『神拳ヤングボディガード(「木曜洋画劇場」放送版)』や『拳精』の例の「いよいよ来週放送!」のテレビ予告も入ってました。

ついでと言うか、これまた写真等の資料を整理していたら、韓国武打星のドラゴン・リーこと巨龍の直筆サイン入り生写真が2枚出て来ました。この巨龍本人のサイン入り写真は今から6年前の10月に友人のトビー・ラッセルが韓国で巨龍にインタビューした時に、その場で巨龍にサインして貰ったこの2枚の写真を私宛てに送ってくれたんですね。1枚目の写真は野外で髭面メイクの巨龍が笠を被り赤い上下の古装片ルックに背中に剣を背負ったポーズでカメラ目線の写真。2枚目はセット内でこれまた髭面で白の鉢巻に黒装束の巨龍がもう1人の男性出演者と並んでのカメラ目線&笑顔でツーショット写真です。
で、2枚とも写真の裏にそれぞれ巨龍自身がボールペンで書いた直筆のサインで大きく“巨龍(漢字です!)”と龍の字を思い切り崩したサインの下に、“コリョン(ここはハングル)”、さらに横に「MOON(これは当時撮影中だったテレビドラマの題名でしょうか?)」とあり、最後に2003.10.9と日付けが入っています。
実は以前拙著「龍熱大全」の巻頭カラー頁の「交友録」のパートにこの巨龍の直筆サイン入り写真を載せようかとも思ったんですが、結局は本人イラスト入りのカサノヴァ・ウォンこと王虎のサイン入り名刺の方が視覚的に面白いかな?と思い、この巨龍のサイン入り写真はお蔵入りさせてしまっていたんです。
恐らく韓国クンフー映画を愛する日本人で巨龍の直筆サインを持っているのは私だけかと思いますが、何て言いながらも今の今まで巨龍のサインを持っているのを完全に忘れていたぐらいですから余り自慢にもなりませんね。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

美しき女殺し屋vs凄腕刺客トリオ!何莉莉主演『女殺手』 (SB)

2009-01-14 00:17:18 | 作品レビュー
昨年の事になりますが、日本でも大昔に大映ビデオからVHSがリリースされていた染野行雄製作総指揮、李作楠製作作品『新キョンシーズ』(88)の韓国バージョン『キョンシー訓練院』を入手しました。
韓国バージョンは導演を崔起風が担当し当然全編韓国語吹き替えで、オープニングから台湾バージョン(と言っても韓国ロケ作品ですが)とは編集が異なり、台湾バージョンにはないキョンシーの秘伝書が出て来たり、悪の導士役の金東浩の韓国バージョンのみの法力シーンがあったりと幾つもの別編集シーンが確認出来ます。
また台湾バージョンで妙に違和感があった金東浩と権成榮の韓国武打星同士の会話シーンや、龍世家と権成榮の対決シーンも韓国バージョンだと全て韓国語吹き替えなので逆にスンナリと観れたりします。
それにしてもあの羅鋭がキョンシーに扮しての武打シーンは何度観ても素晴らしいですね。
あ、関係ないけど前から楽しみにしていたあの『ワイルドカード(大大大傑作!)』(02)を撮ったキム・ユジン導演の新作『神機箭(シンギジョン)』(08)のDVDも入手したので、今から観るのが楽しみです!

さて、さらに昨日はショウ・ブラザース作品でマイ・チーホーこと松尾昭典導演(桂治洪との聯合導演)、何莉莉主演『女殺手』(71)も観ました。と言うかこの作品は昔のブート全盛時代には映像が存在しなかった作品だったので、近年天映娯楽社がこの映画をDVDリリースしてくれたおかげで、私たちもやっとこの『女殺手』を高画質で観る事が出来るわけです。
作品的には父親を悪漢によって無残に殺された主人公の女性葛天麗(何莉莉)がやがては冷酷な女殺し屋となり、遊園地でジェットコースターに乗っている怨敵を自分のコンパクトに仕込んだ毒針で殺し、すぐに現場を離れようとする天麗の後姿を目撃者の女性が「ああ!あの女よ!あの女が殺したのよぉぉ!」と指差す衝撃のカットに何と『007/ロシアより愛を込めて』のイントロが被さる、という実にインパクトあるオープニングで映画は幕を開けます。
この主人公の葛天麗が狙った相手をコンパクトに仕込んだ毒針を飛ばして殺すというプロットに関しては、一説にはこの『女殺手』の脚本段階の題名もそれを彷彿とさせる別題名であったと言われており、本作『女殺手』の製作段階のかなり初期からこの“女毒針使い”のプロットが想定されていた事が判りますね。
また66年に既に日活でショウ・ブラザースとの合作『亜洲秘密警探』(66)を撮っている日本人導演松尾昭典の演出も、この時期の香港映画に多々見られた今一つ歯切れの悪い物語進行的な描写も一切無く、実にスピーディーかつ小気味良いテンポの物語で構成されていて、逆にそれが本作が約80分という短い上映時間の作品である事に殆ど違和感を感じさせません。
さて、映画は黄宗迅に仕える張佩山(既に皆さんもご存知の多くの作品でリーさんやジミーなどの北京語吹き替えを担当した“七色の声を持つ男”)らの陰謀に立ち向かう葛天麗が、中盤で天麗の命を狙う3人の刺客と夜の工事現場で対峙するシーンで一気に盛り上がりを見せていく事となります。
何故ならこの3人の刺客を演じている武打星たちこそ、あの『怒れるドラゴン/不死身の四天王』(74)の鹿村泰祥!ボロ・ヤンこと楊斯(坊主頭)!、そして『死亡遊戯』の“丸太男”こと解元(またも坊主頭!)という日本の香港クンフー映画ファンなら思わず大興奮必至の3人衆なんですねー!これって本邦初の発見&紹介かな?
鹿村さんは本作『女殺手』の武術指導も担当しているんですが、この何莉莉との格闘シーンでも鹿村さんはナイフ投げの達人として異様な迫力で見せ場を作りますし、楊斯&解元の“筋肉ムキムキ・コンビ”も上半身に黒のベスト姿で全身に殺気を漲らせながら何莉莉に襲いかかります。
まあ何莉莉扮する葛天麗が如何にこの大ピンチを切り抜け鹿村、楊斯、解元の3人の刺客を倒すか!?は是非皆さんには実際にDVDでご覧になって頂きたいので、ここでは触れませんが、日本からショウ・ブラザースに招かれた日本人導演である松尾昭典作品の中で、まさかこのような私たち日本人の香港クンフー映画ファン(特にリーさん信者)必見の顔合わせ的な対決シーンが観られるとは!!
いやはやこれだからショウ・ブラザース作品鑑賞&探索は止められませんねえ。
この『女殺手』の最後は、チン・ミャオ扮する黒幕の男性を空港の電話ボックスの中で毒針で刺殺したシスター姿(この何莉莉のコスプレはショウ・ブラザース信者の間では伝説化していますね)の葛天麗が、颯爽とタクシーで空港を後にし、そのまま自ら警察署に自首するシーンで劇終となります。
まさに数ある日本人導演が手がけたショウ・ブラザース作品の中でも出色の完成度を誇るサスペンス・アクションにして、これまたショウ・ブラザース随一の美人女優である何莉莉主演による『女殺手』、私も大変楽しめた1本でした。
コメント (10)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サンダス・ホーこと何宗道主演『詭計』&韓国悪役商会総出演!張佩山導演『刺紋』

2009-01-12 13:02:28 | 作品レビュー
先週末にキングレコードさんの某ソックリさんショウ・ブラザース作品DVD原稿を入稿してやっと時間が出来たので、昨日は前からジックリと観たかった作品を何本か観ていました。
1本目は本来だったら当ブログの韓国武打片専門セクションの「熱風!韓国LEGENDS」で取り上げても良い香港と韓国のコラボ&韓国ロケ作品で、張佩山導演、ティナ・チン主演による女囚映画『刺紋』(76)です。
この映画は以前から探していたんですが中々入手出来なくて、やっと海外コレクターの友人が大昔にドイツでリリースされていたVHS(ドイツ語吹き替え&ワイドスクリーン仕様)を持っているのが判って、昨年に送って貰った次第です。作品的には日本軍による女性専用の刑務所に収監された伊美羅(伊の字異なります)の身体に特殊な方法で記された大量の金塊の在り処を書いた地図の刺青(題名の『刺紋』はここから)を巡って、主人公のティナ・チンと高強(即:慕思成)、別働隊の張佩山、それにガム・ケイチュー率いる日本軍が入り乱れての争奪戦を展開していきます。まあ作品の売りになっているのは、この手の女囚物では定番の日本軍による女性の囚人に対する非道な拷問や強姦シーンで、この『刺紋』でもそれらのシーンが数多く出て来ます。
ただ私がこの作品を観たかった一番の理由は前記のガム・ケイチュー率いる日本軍の悪漢軍人たちを朴東龍、金基範、趙春といった“韓国悪役商会”の面々が実に憎々しげに扮しているからなんです。
特に日本軍の狂気に満ちた軍医に扮した朴東龍なんて、もうその眼鏡&白衣姿が異様なほどにハマリ役でちょっとビックリでした。また日本軍の司令官役を堂々の貫禄で演じたガム・ケイチューは、韓国クンフー映画をご覧になった方なら恐らく一度は観た事があるお馴染みの名悪役俳優ですが、残念ながら2001年の10月25日に糖尿病が原因で亡くなっていますね。

さて、もう1本は韓保{王章}導演、何宗道&白鷹主演『詭計』(75。確認中)です。この映画もこれまで国内では余り知られていない作品ですが、要チェックポイントとしてまだソックリさん武打星として本格的に活動を開始する以前(あるいは前後)のブルース・ライが本名の何宗道名義、それも英語名をジェームス・ホーではなくサンダス・ホーのクレジットで主演している点でしょう。
この『詭計』での何宗道は自分の叔父を無残にも毒殺した白鷹&萬重山演じる李雲天&雲飛の悪の兄弟に敢然と闘いを挑む蹴り技の名手石玉龍(石天龍じゃないのよ)に扮していて、劇中での何宗道は私たちにはお馴染みのリーさんの物真似的アクションではなく、オーソドックスな中国武術をベースとしたクンフー・アクションを披露しています。さらに劇中では石玉龍と紫蘭演じるヒロインの女性との淡い恋も描かれていたりと、この『詭計』主演当時の何宗道自身がまだ正統派の武打星としての自分のキャリアを築いていこうと色々と模索しているのが判り興味深いですね。まあそうは言いながらも、映画の最後の石玉龍と李雲天の一騎討ちではそれまで映画の中では封印していた怪鳥音を突如「ハチャアアアア!」と解禁した何宗道が、得意の蹴り技で白鷹演じる李雲天を倒す結末辺りから既に後の“黎小龍”の姿が垣間見え、何とも複雑な思いですね。
余談ですが、私はこの『詭計』の製作年度が75年である事に今一つ疑問を感じていて、試しに皆さんもご存知の海外データベースのHKMDBこと「香港影庫」で検索してみました。そうしたら「香港影庫」でヒットした『詭計』のデータ欄では何と題名が『?計』になっていて、「詭」の字の部分が?マークで表記されていてちょっと唖然としました。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする