さて、『燃えよドラゴン ザ・モニュメンタル』第4回は、李小龍の遺作にして世界アクション映画不滅のモニュメント作品『燃えよドラゴン』(73)で李小龍と共演を果たした2人の偉大なるレジェンドであるサモハンこと洪金寶とアンジェラ・マオこと茅瑛に触れたいと思います。
私はサモハンには2006年にサモハンが『SPL狼よ静かに死ね』(05)の宣伝プロモーションで甄子丹と呉京と共に来日した際にインタビューしています。この時のサモハンのインタビューで、私がサモハンの口から『死亡遊戯』のために金泰靖☓黄仁植戦を確かに撮影したとの証言を引き出した事実は皆さんもご存知だと思いますが、同時にサモハンには『燃えよドラゴン』のオープニングの少林寺の組手シーンについても訊いています。
サモハン曰く「あの『龍争虎闘』の少林寺のファイトシーンでは現場で李小龍が俺に何故か怒ってるんだよ。あの僕が何かしましたか?と訊いたら、李小龍が「お前は俺の『死亡遊戯』に出ると約束したのにすっぽかした!」と。慌てて俺が「いやあの時は僕も『死亡遊戯』に出るつもりで嘉禾からの連絡を何ヶ月も待ってたんですが何の連絡もなかったんです。俺も家族がいるんで仕事しないわけにいかなくて他の映画の撮影で韓国に行ったんですよ!」と必死に釈明したよ。最後には李小龍も分かってくれてホッとしたぜ!」
また2007年には映画祭のゲストで来日したアンジェラ・マオにも2日間に渡ってインタビューしましたが、インタビューでは当然アンジェラが李小龍演じる李振強の妹役で出演した『燃えよドラゴン』についても訊きました。
アンジェラ曰く「ああ、『龍争虎闘』ね。あの映画は私が『アンジェラ・マオの女活殺拳』(72)を撮影しているセットに李小龍がやって来て、私に「ユーに決めた!今度の僕の映画の妹役はユーにするから!」って。私と暴漢たちのアクションシーン?はい、あれは確か嘉禾のスタジオの裏で撮ったと思うけど、実は最初に監督(ロバート・クローズ) が撮ろうとした私が暴漢と闘いながら逃げる場所は別の場所だったの。でもその乱闘シーンが犬がいる場所だったのね。実は私は犬が嫌いで、その犬が凄く吠えるので監督がじゃあ場所を変えようと言ってくれて場所を変えてアクションシーンを撮りました。あと『龍争虎闘』で李小龍と私が海外マーケットにデビューして、李小龍が『死亡遊戯』を完成させてから、嘉禾は今度は李小龍と私をコンビで本格的に海外マーケットに売り出そうと計画していたの」
サモハンとアンジェラ・マオ、この2人の偉大なレジェンドが語る『燃えよドラゴン』出演時の思い出を回想しながら改めて私が思う事。それは本作『燃えよドラゴン』のオープニングで李小龍が洪金寶との組手シーンでオープンフィンガーグローブを付け、打つ、投げる、そして固めるという総合格闘技の夜明けを観客に披露して見せた事。さらに李小龍自ら主人公の妹役に指名したアンジェラが暴漢たちと勇敢かつ果敢に闘うクンフーアクションで香港アクション映画が世界トップクラスである事を同じく観客に知らしめた事です。
そしてこの2つの素晴らしいアクションを李小龍が認め信頼したサモハンとアンジェラ・マオという2人のドラゴンが披露したからこそ、中盤のハンの武術トーナメントで怨敵オハラ相手に李小龍がその卓越したクンフーアクションを初めて本格的に披露する場面が最大限に生かされたわけです。
最後に私が目の前に座るサモハンとアンジェラ・マオに『燃えよドラゴン』、いえ『龍争虎闘』について質問した時の2人の何とも誇らしげで懐かしそうな表情からは、自分たちは李小龍が世界に飛翔したあの『龍争虎闘』に李小龍自らの指名で出演したんだ!との強烈にして歓喜に満ちたプライドをハッキリと感じ取る事が出来て心から感激したのでした。我が名は李小龍!ENTER THE DRAGON!!ドラゴン登場!!
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