超級龍熱

香港功夫映画と共に

Joy Sales版『ヤングマスター/師弟出馬』収録アウトテイク映像検証!

2007-02-28 00:30:58 | DVD&Blu-ray情報
すでに各方面で話題になっている樂貿影視ことJoySalesがリリースした『ヤングマスター師弟出馬』(80)のDVDに映像特典で収録されているアウトテイク集、私もDVDを購入したので早速観てみました。
アウトテイクは全部で3つのパートに分けられていて、以下簡単にですが触れていきますね。

アウトテイク(1)
まず最初のアウトテイクはジャッキー対李麗麗戦、そしてジャッキー対石堅戦のアウトテイクです。
私は個人的にはこの対李麗麗戦のアウトテイク集が一番興味深かったですね!
日本のファンの方々には余り実感が沸かないかも知れませんが、李麗麗は欧米、特にショウ・ブラザース信者の間では今だに熱狂的なファンが数多くいる女武打星で、恐らくこの李麗麗のアウトテイクはショウ・ブラザースのファンにとっても号泣モンのフッテージだと思います。よくぞ・・今まで処分されずに残っていましたねえ!
ただよ~くジャッキーとの対決シーンを見ると、幾つかのテイクで他の李麗麗のテイクと比べると格段に李麗麗のアクションのスピードが速いテイクがありますね(苦笑)。
勿論これらのテイクだけダブル(スローで見ると一瞬振り返った顔が誰かに似ている)を使っているんですが、李麗麗も劉家班時代に劉家良に徹底的に鍛え上げられた武打星なのでジャッキー相手に見事な<スカート・フー>を披露しています。
余談ですが、女武打星と言えばメディア・アジア社にゴールデン・ハーベスト作品のフィルムが管理されている時に、そのフィルム倉庫に保管されているフィルム・リールの中には茅瑛ことアンジェラ・マオのNGフッテージ(!)とかが収録されたままのリールが放置状態であったりしたらしいですね(苦笑)。まあこれは本当かどうか判りませんが、もし事実ならばそういうフッテージを是非とも将来的に茅瑛主演作品のDVDに映像特典で収録して欲しいなぁ。

アウトテイク(2)
さて、2番目のアウトテイクはジャッキー対元彪戦ですが・・これも実に貴重なフッテージですねえ。
約2分ほどですがジャッキーは勿論、元彪がメチャに若いのにビックリします。
あとジャッキーがロープを使って攀じ登っていくシーンのカットの次に一瞬カチンコで顔を隠している男性スタッフが映りますが、これはフォン・ハックオンじゃないでしょうか?

アウトテイク(3)
恐らくこのパートでハックオン&李海生のアウトテイクの次に、バッと黄仁植が画面に出てきたのを観て大興奮したファンの方がかなりいるんじゃないでしょうか?(苦笑)。いや~かく言う私もメチャに興奮しました!
<韓国の猛将>とまで言われた黄師父の、それも全盛期のアウトテイク映像が観れるんですから・・これは本当に嬉しいですね。
特に黄師父の放った廻し蹴りの目測がズレて、相手の顔面から黄師父の蹴り脚がかなり距離を残した状態で蹴り終わるテイクなんて号泣しちゃいます。あとジャッキー導演自身が黄師父に蹴られて吹っ飛ぶダブルをやっているテイクもありましたね。
ただ私が残念だったのが、やはりクライマックスのジャッキー対黄師父のマラソン・ファイトのアウトテイクが全く収録されていなかった事ですね。もしほんの数テイクでも2人のラストファイトのアウトテイクが今回収録されていたら・・もう言う事なかったんですけど。
これまた余談ですが、黄仁植のゴールデン・ハーベスト時代のアウトテイク(と言うか本編以外のフッテージ)だと、『暗黒街のドラゴン/電撃ストーナー』(74)での黄師父の野外某所でのフッテージが数秒ですが今でも現存しています。
これはいずれ詳しく触れたいと思っています。この後は屋内でのジャッキーが2本の刀を手にしての絡み相手の乱闘シーンのアウトテイクが登場しますが、よく観ると絡みの中に元徳がいますね。

最後になりますが、今回のDVDのジャケットの裏表紙のジャッキーの扇子ファイトの写真にも相手役であるファン・メイシャンのダブルの顔が思いっきり映っていますが(苦笑)、これって付け髭を付けてますが蒋金じゃないかな?
いや~ジャケット写真まで<アウトテイク>してるなんて・・本当にナイスなDVDです!今後もこのJoySalesのDVDには注目ですね。
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燃えるしょこたん、怒りの鉄拳!リー真似者4つの条件

2007-02-27 14:23:09 | その他
昨日の深夜知り合いからの情報で、日本テレビの「浜ちゃんと!」にアイドルの中でも熱狂的なリーさん信者で知られるしょこたんこと中川翔子ちゃんが出演し、リー真似をします!との事で観てみました。
で、実際に番組を観て見ると・・私の予想していた以上にしょこたんは気合いの入ったリー信者でした!
もういきなり浜ちゃんにリーさん主演作のDVDをプレゼントし、さらに『死亡遊戯』のトラックスーツ(4着持っているそうです!)に着替えると、頬に『燃えドラ』のハンの鉄の爪の傷まで入れてるし、ヌンチャクもアキバの「武器屋」というお店で探索する炎上振り!
そして番組のメインである『ドラゴン怒りの鉄拳』の名場面のリーさん対鈴木(橋本力)の対決、そしてラストのリーさんが銃弾の雨の中へ大飛翔するシーンをしょこたんが再現するパートでは、浜ちゃんをカメラマンに仕立てて「アチャアァァ!」「アアアアチャァァァ!」とロケ現場の体育館中に響き渡る怪鳥音を連発し、最後まで見事にリー真似をやり切っていました。お見事です!
私もこれまでもBFC(ブルース・リーファンクラブ)の時代から、BFCのイベント<フォーエバー>などでリー信者たちが披露する数多くのリー真似を見てきましたが、一見誰にでも気楽に出来るように見えるリー真似にも以下の4つの条件があると思っています。

(1)リー真似をする時は絶対に照れずにやる事

(2)リー真似を一度始めたらその時にやると決めたシーンやポーズを最後までやり切る事

(3)ヌンチャクやコスチュームは人に借りないで必ず自分愛用の物を使う

(4)リーさんへの愛情と敬意に満ち溢れている事(これが一番大事!)


今回のしょこたんは、これら上記の<リー真似者4つの条件>を全てクリアしていましたね。素晴らしかったです!
私も今回の番組を観ながら、テレビの画面の中のしょこたんの奮闘振りに思わず大拍手をしていましたし、この「浜ちゃんと!」の録画ビデオは保存しておこうと思います。
そういえば、しょこたんは拙著「龍熱大全」が出版された時も彼女のブログで紹介してくれて、とても嬉しかったのを覚えています。
今回のしょこたんの頑張りには、私も久々に気合いの入った<龍熱者>を観た嬉しさで実にハッピーな気分になれました。
しょこたん、多謝!そしてこれからも頑張ってください。

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五獣拳変幻自在!戚冠軍主演『龍形虎歩千里追』

2007-02-27 01:11:04 | 作品レビュー
朱牧導演、戚冠軍主演『龍形虎歩千里追』(79)です。
この映画の英語原題は『Snake Shadow Lama Fist』なんですが、実は以前に白夜書房から出版された「ブルース・リー大全集」か「~超全集」に、この『龍形~』のポスターが『Final Fist of Fury』というメチャクチャな改題名作品として掲載されていてビックリしたのを覚えています。でもそうは言いながらもあの『Final~』のポスター、かなりカッコ良かったなぁ!(シミジミ)。
余談ですが、白夜書房さんと言えば上記のブルース・リーのグッズ本2冊の後に「~大全集」シリーズの第3弾として、リーさん以外の香港功夫映画グッズを大フィーチャーした書籍(題名が「カンフー映画大全集」だったかな?)の出版を企画していました。
実際、この時は私にも原稿依頼が来たのでかなりの量の原稿を執筆していたんですが・・その後に色々と諸事情で出版が中止になってしまったのが実に残念でした。
私がこの『~カンフー映画大全集』のために執筆していた原稿の詳細等についてはここでは控えたいと思いますが、もし無事に出版されていたらきっと素晴らしい書籍になっていたかと思うと、今更ながら残念の一言ですね。

さて『龍形~』ですが、主演の戚冠軍は言うまでもなく張徹導演が台湾にショウ・ブラザース傘下の形で立ち上げた長弓公司の中核として<少林英雄傳四部作>など数多くの長弓公司作品に主演した本格派の五獣拳高手です。
この『龍形~』では、戚冠軍と彼の家族を殺した江島&唐炎燦ら兄弟の抗争を描いているんですが、まずはオープニングで江島vs元彬というマニア泣かせの対決が登場します。
さらに他の出演者である李昆、金帝、胡錦らに交じって前半1シーンのみですが、武打星時代の程小東が出演している点が注目でしょう。まだ武術指導や導演に転身する以前の程小東の出演している功夫映画は意外に本数が少ないのでこれは貴重な映像と言っていいと思います。程小東には数年前に『LOVERS』(04)の宣伝プロモーションで程導演が来日した時にインタビュー取材で会いましたが、とても温厚で笑顔の優しい人でしたね。
ただ時々ですが、こちらを「ギラリッ」と鋭い視線で見る人でもありましたし、あと程導演が監督した『沈黙の聖戦』(03)の主演者スティーブン・セガールに対しては何故かやや厳しい意見でした。

さてさて再び『龍形~』ですが、この作品の一番の見せ場は何と言っても終盤の戚冠軍vs唐炎燦、さらに戚冠軍vs江島のクンフー・ファイト2連戦でしょう。
特に戚冠軍vs唐炎燦は、上半身裸となった両者が互いに鍛え上げた肉体を駆使して、何度となく突きや蹴りを叩き込み合い秘術の限りを尽くし闘う素晴らしいクンフー・ファイトで、恐らく唐炎燦の武打星としてのベスト・ファイトでしょう!
また戚冠軍がこのクライマックスで唐炎燦たち相手に次々と披露する虎拳、豹拳などと言った五獣拳の怒涛の連環撃は実に見事で、この戚冠軍の電撃の拳技だけでもこの作品は十分に見応えあり!と断言したいですね。
余談ですが、以前に私は戚冠軍にもインタビューしているんですが、戚師父はとても寡黙な人ながらも、自分の長弓公司時代の思い出と張徹導演への感謝の気持ちを今でも大切にしている人でした。

今回、私がレビューに使用した『龍形虎歩千里追』は、アラビア語字幕入りのワイドスクリーン仕様なんですが、最近ではDVDも出ているんですね。私はこのDVDは購入していないので仕様の詳細は不明なんですが、機会があれば購入したいと思っています。
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天皇巨星、追命槍に殉じる!王羽主演『戦国水滸伝/嵐を呼ぶ必殺剣』

2007-02-25 14:55:53 | 作品レビュー
高寶樹導演、王羽ことジミー・ウォング主演『戦国水滸伝/嵐を呼ぶ必殺剣』(71)です。
この映画は1974年の5月に日活の配給で日本でも劇場公開されていますが、ハッキリ言って数あるジミーの武侠片の中でも『ドラゴン武芸帖』(72)と並ぶ大傑作の1本だと断言したいですね!
改めてあの<ドラゴン・ブーム>時に、このような武侠片の秀作を厳選し劇場公開した日本の配給会社諸氏の皆さんに敬意を表したいと思います。あとこの『戦国水滸伝~』って言う何とも勢いだけで付けちゃったような(苦笑)邦題の素晴らしいネーミングのセンスも最高にイカしてるなぁ!(シミジミ)。

今回久々に引っ張り出してきて観たのが英語吹き替え版だったので、物語展開は劇中の英語の台詞に頼るのみなんですが、元朝末期を舞台に漢民族の反元朝派の名簿を巡り、<追命槍>と呼ばれる槍の達人ルン・タイ(ジミー)と、その名簿を狙う元朝の悪将軍(易原)の壮絶な闘いを描いています。
とにかく映画の中でジミーが披露するド迫力の槍撃アクションが素晴らしく、この時期はジミーがショウ・ブラザースを離脱した直後とは言え、まさに武打星として脂の乗り切ったジミーの佇まいはマジでカッコイイなぁ!と実感させられます。
反派側も台湾映画では悪役と言えばこの人!の易原、苗天、龍飛と言った<台湾悪役商会>の面々が素晴らしい個性を発揮していて、特にお約束の髭面で登場の龍飛はいい味出していてナイスですね。
余談ですが、以前に鹿村泰祥さんに龍飛の事をお聞きしたら、「龍飛はねえ、ダンスが好きでよくダンス・ホールで踊っていたよ!」という龍飛のイメージ的とは全く異なる衝撃情報?に唖然としましたねえ(苦笑)。
だって龍飛がダンス・ホールで「イエ~イ!」なんて踊ってるのってどう考えても想像できないもんねえ??

さて、私がこの映画で何よりもお気に入りのシーンが、クライマックスにおけるジミー、チャオ・チャオ、そしてジミーを慕う乞食の少年たちが立て篭もった客桟を取り囲んだ易原率いる無数の元朝の兵たちと、ジミーの壮絶なる決死戦です。
以前に自分が決闘で命を奪ってしまった男性(田野)の息子である革命義士の青年に名簿を渡し後を託したジミーは、客桟の屋根を突き破り易原たちの眼前に降り立つと、自分を取り囲む悪漢たちに鋭い視線を投げかけます。
「逃がすな!・・取り囲め!」と迫る苗天に対し、ジミーは「誰が逃げると言った?さあどうした?かかってこい!」と吼えると、闘いの火蓋が切られます!
ここからの槍を手にしたジミーと易原一派との凄惨な戦いは、何と延々15分間にも渡って展開され、ジミーは自らの白い胴着を鮮血に染めながらも、たった1人で槍を手に敵をバッタ!バッタ!と突き倒していきます!
ある者はジミーによって客桟の屋根に投げられ、その屋根の下からジミーに槍で突き上げられ絶命し、易原の配下の苗天もまたジミーの怒涛の槍攻撃で何度となく腹を突きまくられ悶死!気が付くとあれだけいた元朝兵は全てジミーに倒されています。
最後に残った易原将軍は「どうだ?お前の持っている名簿を余に渡せば、お前に巨万の富を与えてやるぞ?」とジミーに誘いをかけますが、ジミーは「蒙古の手先に成り下がった貴様に従うくらいなら、地面に這い蹲って死ぬほうがマシだ!来ぉぉぉい!」と毅然と槍を旋回させ易原に突進します!
まあこのジミー対易原の対決は、当然最後はジミーが勝利を得るんですが、この2人の一騎打ちも二転三転するスリリングな展開で最後まで観ている側を飽きさせません。何たって最後はジミーが易原を槍で串刺しにすると、そのまま易原の身体を宙に持ち上げブンブン!と振り回し、さらに地面に易原の亡骸を投げ捨てて・・やっと長い激闘が終止符となります。
いや~もうそこまでやるか?っていう決着シーンですね(苦笑)。
そして全ての敵を倒したジミーに、客桟から飛び出てきたチャオ嬢と少年が駆け寄りますが、そこで彼女たちが見たのは・・全身を鮮血に染め手に槍を握り締めたまま絶命し、立ち往生死しているジミーの姿でした・・!
「おじちゃぁぁん!」少年が思わず泣き叫びジミーに縋りつくと、ジミーの亡骸はそのまま静かに地面に倒れ、それを見たチャオ嬢はソッとジミーの亡骸に手を添えると「やっと・・やっと貴方は闘う事なく休めるのですね?」と涙ながらにジミーに語りかけ、映画は劇終となります。

この『戦国水滸伝~』は、80年代終盤にUnited American Video社から『Blood of the Dragon』なる英語題名(正式な英語題名はThe Desperate Chase)で英語吹き替え版のビデオが出ていました。ちなみに画面サイズはフルサイズで画質も余り良くないです。
私が今回レビューに使用したのもこのビデオですが、このビデオはフラッドなるロック・グループが強引にオープニング等に妙な音楽を挿入しているバージョンで、近年にDVDとしてリリースされている同英題作品も見かけましたが、もし同じバージョンだとしたら残念ですね。
実は『戦国水滸伝~』は、以前に台湾でちゃんとした北京語版のビデオが出ていて、私もジャケット付きのオリジナルテープで所有しています。
このビデオのジャケットがもう70年代武打片独特のあの迫力に満ちたイラストによる素晴らしいデザインで、マニアには号泣モンのジャケなんですよ(号泣)。
機会を見てその北京語版も探しておきたいと思っていますが、最近海外レーベルのCrashが同じくジミー主演の武侠片の秀作『剣』(71)もDVDリリースした事ですし、何処かのレーベルでこの『戦国水滸伝~』もリマスター&ワイドスクリーン仕様のDVDとして新たにリリースして欲しいですね。
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李連傑、『ハムナプトラ3』で悪のミイラに挑戦!?

2007-02-23 00:43:31 | ニュース
ちょっと触れるのが遅くなりましたが、ブログのテンプレートを変更してみました。
私は赤が好きな色なんですが、それ以上に黄色と言えば?・・そう!あの『死亡遊戯』でリーさんが身に付けた伝説のイエロートラックスーツの黄色なのです・・!と言うわけで(苦笑)、私的には今回のテンプレートとても気に入っております(笑顔)。

さてさて、昨日は海外サイトを流していたら、ロブ・コーエンが監督として来年の夏に公開予定の『ハムナプトラ』シリーズの第3作である原題:The Mummy3/ Curse of the Dragonに、李連傑ことジェット・リーの出演が予定されている、とのニュースが飛び込んできました。
映画は中国を舞台とし、これまでのシリーズの主人公ブレンダン・フレイザー&レイチェル・ワイズも出演しますが、実際の主人公は映画の中でのフレイザーの息子たちになるようです。
気になるジェットの役柄ですが、コーエン監督によると何と悪のミイラ役(!)で、ミイラたちによるテラコッタ軍団の首領的なキャラクターになる予定との事です。
さらに!コーエン監督によるとジェットと共に、何とあのミシェール・ヨーの出演も予定されているとの事です!
これは海外の幾つかのミシェールのファンサイトでも同じニュースがアップされていましたね。
ただミシェールの代理人によると、ミシェールはまだこの『ハムナプトラ3』出演に関してはサインをしていないとの事で・・これは今後に注目ですね。
でもジェット・リーがミイラ役って・・ミイラが無影脚やったり、棍術アクション見せたりするのかなぁ?(苦笑)・・う~ん??
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今、改めて『SPIRIT<スピリット>』ノーカット完全版に想う

2007-02-21 00:36:31 | 作品レビュー
本日発売の「映画秘宝」4月号のDVDレビューで、ロニー・ユー導演、ジェット・リー主演『SPIRIT<スピリット>』ノーカット完全版(約2時間20分バージョン。以下完全版)について執筆していますので、是非お読みになって頂ければ幸いです。
ただ今回のレビューでは編集部から「未公開シーンを中心に書いて下さい」との要望があった事と、私自身このジェット・リー最後の功夫映画については、まだまだ書き足りない事もあって今回もう少し詳細に書いてみたいと思います。
以下、文中では今回新たに追加された未公開シーン約40分にも随時触れていきますので、3月9日のDVDボックス発売まで詳細をお待ちになりたい方は、どうかその点をご留意下さいませ。

まず映画の冒頭、現代の上海におけるIOCの会議のシーンで、オリンピック委員役のミシェール・ヨーが登場し、来る北京五輪で中国武術を正式種目に!と熱弁を振るうシーンが登場します。(ミシェールは本人の英語による肉声です!)
個人的にはこのシーンはとても観たかったので、ミシェールが颯爽と画面に登場した時は興奮しましたね!
当然このシーンは劇場公開版(約1時間44分。以下劇場版)ではカットされたんですが、ここでミシェールが<武術>という文字の持つ<真の意味=闘いを避ける>を我々に語りかけるシーンは、やはり映画的にはとても重要な意味がある、と思いました。
ちなみにここで「では武術とは何か?」とミシェールに質問する男性は、日本公開が期待される『東京審判』でオーストラリアのウェッブ裁判長を演じていた俳優さんではないでしょうか?
この後完全版のオープニング・タイトルが出ますが、劇場版のそれとは全く異なり、霍元甲が廃人のように船内に横たわる船のシルエットに『霍元甲』のオープニング・タイトルが重なります。
少年時代の元甲のシーンでは、元甲と親友ジンスンが極意書「絶殺拳」のやり取りをするシーンなど細かい未公開シーンに続き、成人した元甲が武館の中で苛立って弟子たちを殴打したりする未公開シーンにはビックリしました。こんなシーンを撮っていたんですねえ・・!

その後、元甲が精神的に未熟だった故に暴力の限りを尽くし、そのために母と娘を殺された失意の元甲が、放浪の果てに山村に辿り着き、そこでの盲目の少女との交流から徐々に生きる勇気を再び取り戻していく場面にも、様々な未公開シーンがあります。
そうは言っても、この山村のシーンでの一番の見せ場は、やはり元甲と村の青年(ソムラック・カムシン!)との決闘シーンでしょう。
この決闘シーンは以前の元甲とは違い、すでに元甲が暴力の空しさや慈悲の心に目覚めて精神的に成長を遂げている事を観客に判りやすくさせるためにもどうしても必要なシーンだと思いました。
だからこそ、この後の上海での元甲とヘラクレス・オブライエン(ネイサン・ジョーンズ)との決闘シーンの開始直後、元甲が「ババッ!」と片手を突き出すその動作一つだけで既に元甲が天津時代の傲慢な暴れん坊ではなく、中国人の期待を一身に背負った青年武道家<黄面虎>に変貌を遂げている事がより明確に我々に伝わってくるのです。
さらに細かい事ですが、劇場版での終盤で元甲が4連続決闘に挑むシーンで少年時代から元甲と因縁のあった武術家・趙健が何故か元甲の傍らに付き添っているのを不思議に思った方も多いかと思います。
実はこれも今回の完全版の途中で、天津へと戻った元甲が霍家拳の極意書を肉屋になっている趙健に友情の証として届けた事に感激した趙健が元甲の元を訪れ、2人が爽やかに和解する未公開シーンを経る事で初めて理解できるシーンだったのでした。
さて、クライマックスのアンソニー・デロンギス(彼は実際に剣術の達人で、あのジョー・リュイス主演『ジャガーNo.1』(79)のラストで、城壁を舞台にリュイスと対決したのが若き日のデロンギスでした!)を初めとする3人の西洋人格闘家と元甲の連続決闘も、劇場版ではやや強引な形で映画の冒頭に配置されていましたが、今回の完全版では本来の正しい位置である元甲と田中安野(中村獅童)の一騎打ちの前へと配置されました。
余談ですが、三田(原田真人)と密談する西洋人役で、リーさん導演&主演作品『ドラゴンへの道』(72)のボスことジョン・ベンが出演しているんですが、今回の完全版ではジョン・ベンにも劇場版以上に台詞があった事に苦笑いしてしまいました(苦笑)。
さて、元甲と田中の余りにも壮絶かつ余りにも感動的な一騎打ちに関しては、いまさらここで私が改めて言及するまでもない事ですが、この完全版では映画が終わりエンド・クレジットが始まった後に、もう一度オリンピック委員役のミシェール・ヨーが画面に登場し、来る北京オリンピックへ向けた彼女なりの<謎かけ>を我々に残して颯爽とその場を去っていくシーンが観られるので、どうか皆さんも直ぐにDVDの停止ボタンを押さずに、そのまま観続けて頂きたいと思います。

そして、この可憐なミシェール・ヨー最後の登場シーンに続いて、今度こそジェイ・チョウ主唱の主題歌が我々の耳に流れてきます。
実は私はこの『SPIRIT』の劇場版が公開された時に様々な論争を生んだこのジェイ主唱の主題歌差し替え問題に関しては、当時は余り実感が沸かなかったのが正直な気持ちでした。
勿論ジェイのファンの方たちの主題歌差し替えに対する無念な気持ちは十分に理解していたつもりですが、私にとってこの映画のラストの霍元甲と田中安野の壮絶な闘いの果ての感動的な決着シーンの前には、ジェイの主題歌の差し替えはそれほど大きな問題とはどうしても感じられなかったのでした。
ところが、今回この完全版において約40分もの未公開シーンを加えた、言わば導演であるロニー・ユー、そして主演者であるジェット・リーが本来望んでいた映画の本当の姿である2時間20分を観終わり、改めてその後にジェイが熱唱する主題歌に聴き入った時・・私はジェイが心を込めて歌っているその歌声が初めて私の心の奥に深く入ってくるのを感じたのでした。これは新鮮な驚きでした。
その夜、私は気が付いたら『SPIRIT』完全版のサンプルビデオのエンド・クレジット部分を繰り返し巻き戻しては、ジェイ・チョウが熱唱する主題歌に何度も何度も聴き入っていました。
そしてこの時になって私は、この『SPIRIT』という映画にとって、ジェイが歌う主題歌が如何に不可欠であり、また重要な位置を占めていたのかを理解したのでした。

最後になりますが、私は決して諸事情によって大幅にカットされた『SPIRIT』劇場版を否定しているわけではありません。
この劇場版があったからこそ、今回ノーカット完全版の持つ様々な主張や理念がより明確に理解できたと思うし、当初の段階では功夫映画というジャンルにおいて約2時間20分の上映時間自体は確かに無理があったかと思います。
ただそうは言いながらも、映画は本来それを作った人間、そして演じた人間が望んでいた形でそれを観賞した時に、初めてその映画の<全て>を完璧に理解する事ができるんだ、という事も改めて強く感じました。
そして、私は今回この『SPIRIT<スピリット>』ノーカット完全版を観れて本当に良かったですし、心から嬉しく思っています。待った甲斐があった!と心から思っています。
どうか、皆さんにもこの観終わった後にまるで心が洗われるような清い感動を覚える香港功夫映画の傑作を存分に楽しんで頂ければ、と願っています。



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ゴールデン・ハーベスト社、満を持しての再始動!

2007-02-19 01:15:19 | ニュース
ここ数年鳴りを潜めていたゴールデン・ハーベスト社が、約4年ぶりに映画産業への本格的な投資&製作を再開するようです。
再開と言っても以前のような本格的な映画制作を行うかはまだ何とも言えませんが、それでも現時点でそれなりの額($10ミリオン!)の資金投資を今年に予定しているようです。
今回ハーベストの関係者のコメントによると「ここ数年香港の映画マーケットと比べても大陸のマーケットが飛躍的な成長を遂げていますが、我々ゴールデン・ハーベストもそれぞれの地域で数百もの配給ネットワークを誇っていますし、我々はそこで上映する<新しい映画>がもっと必要なのです!」との事です。

何だかんだ言っても我々日本人の香港映画ファンは、小さい頃からリーさん、ジャッキー、ホイ兄弟といった<GH>マークの映画に親しんで来たわけで、今回の復活宣言は実に嬉しいですね。
ショウ・ブラザース作品の威厳に満ちたオープニングのファンファーレも勿論大好きですが、ゴールデン・ハーベスト作品の「ボン!ボン!ボンボン!・・パパパパァァ~!」のオープニング・タイトルを劇場の大スクリーンでもう一度聞いてみたいなぁ。
そして、そのハーベストの<新しい映画>がジャッキー、サモ・ハン、ユン・ピョウたち3人が本当に久々に勢揃いする功夫映画だったりしたら、更に嬉しいんですけど(笑顔)。
日本人に最も愛された香港の映画会社の今後の更なる動向に注目したいと思います!!
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『甲午風雲』&『ロッキー・ザ・ファイナル』

2007-02-18 01:18:02 | その他
この週末観ていたのが、長春による林農導演作品『甲午風雲』(62)という日清戦争を題材とした戦争映画なんですが、これが実に見応えがある作品で、さすがに<20世紀の優れた中国語圏映画>100本に選ばれただけの事はあります。
主人公は清末に実在した北洋艦隊提督・丁汝昌(浦克)なんですが、当時の清王朝が諸外国と極度の緊張状態にある中、丁汝昌が祖国や民衆のために1人奮闘する様をドラマチックに描いています。
ご存知のように丁汝昌は、日本の伊藤祐亭率いる連合艦隊との海戦に敗れ、清の軍人や民衆の安全等と引き換えに降伏を決意し、丁汝昌自身は艦内で服毒自殺を遂げました。
果たして、この『甲午風雲』のラストでの丁提督は、軍艦鎮遠を駆り日本海軍相手に孤軍奮闘しますが、最後は伊藤中将(らしき日本軍人)の魚雷攻撃で爆死する形で劇終となっていました。
あと私がとても興味深かったのが、この『甲午風雲』に登場する丁汝昌、李鴻章を初めとする清朝の大官たちの煌びやかなコスチューム、豪華絢爛たる宮内のセット、そして辮髪ですね。
特に主要の登場人物たちの見事な辮髪姿は、それが現代に作られた映画の1シーンではなく、まるで映画を観ている我々が清王朝の時代にタイムスリップしたかのような錯覚を覚えるほどでした。
李鴻章が西太后の命を聞くためにおもむろに跪き帽子を取ると、李の白髪交じりの辮髪が露わになるシーンなんて、60年代の中国映画(ちなみにこの映画カラー映画です)って結構いいなぁ~!と感嘆してしまいました。

話はガラッと変わりますが、何時も当ブログをご覧になって頂いてる方はもうご存知かと思いますが、私がいま一番観たい映画がスライことシルベスター・スタローン主演『ロッキー・ザ・ファイナル』なんです。
ところが・・何ともうブートではこの映画のビデオが出回っているんですね。
実は私の手元にも以前から『~ファイナル』のビデオがあるんですが・・果たして4月の劇場公開までビデオを観ないで我慢できるか?(苦笑)。う~ん、でもまずは我慢できるだけ我慢してみます!
それよりも何よりも、まずは第1作『ロッキー』から第5作『ロッキーⅤ/最後のドラマ』までを改めてジックリと観直してから『~ファイナル』劇場公開に備えたいと思い、もう既に全5作のビデオを手元に用意してあります。
こうなったら、いよいよ以前から予告?していた「超級龍熱:特別企画」である<ロッキー祭り>本気でやるかな!?
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元彪vsシンシア・ラスロック!『検事Mr.ハー/俺が法律だ!』

2007-02-17 14:42:53 | 作品レビュー
ユン・ケイ導演、元彪主演『検事Mr.ハー/俺が法律だ!』(86)です。
これ今回本当に久々に観た(北京語版ビデオ)んですが、いや~面白い!と言うか余りの劇中のアクション・シーンの素晴らしさに最初はチョコッとだけ観るつもりが、結局最後まで観てしまいました。

映画は表の顔は検事でいながら、実は法で裁けない悪党を密かに制裁する<闇の仕事人>検事夏令正(元彪)の活躍を描いているんですが、武術指導をユン・ケイ(本人も刑事役で出演しイイ味出してます)&元彪にプラスして孟海と徐蝦が担当しているだけあって、劇中での元彪vs女刑事シンシア・ラスロックの手錠ファイト、元彪vs殺し屋ピーター・カニングハムの肉弾戦、そして元彪vsメルヴィン・ウォンの整備工場からセスナ機上での決着戦と、どれもが実にハイ・レベルなクンフー・ファイトの連続です。
特に元彪とラスロックの一騎打ちは、2人の打点の高い猛スピードの蹴りが激しく交錯し、さらには手錠と言う小道具を使っての見事なトリッキー・アクションと、間違いなくこの元彪戦は香港時代のラスロックのベスト・ファイトの一つでしょう。
ラスロックと言えば、彼女の映画の中盤における大きな見せ場が、悪の警司メルヴィン・ウォンに送り込まれた女殺手(何とカレン・シェパード!)がラスロック刑事の目の前で目撃者の少年(何とこれまた若き日の力王ことルイス・ファン少年!)を刺殺し、逃走するカレンとそれを追うラスロック刑事の大追撃戦でしょう。
いまだに香港映画最強の白人女武打星と言われるラスロックと、<形のゴールデン・クィーン>とまで呼ばれた本格派の女武術家であるカレンの対決は、香港映画を舞台とした白人女武打星同士の一騎打ち、という前代未聞の展開となります。
ここでのラスロックとカレンの対決も素手のクンフー・ファイトからラスロックが竹竿、カレンが腰に巻いた鎖状の九節鞭を駆使したウェポン・ファイトとなり、最後にはラスロックの勝利となりますが、まさに稀に見る女武打星同士の名勝負で必見です。
ただ最後の元彪とメルヴィンの決闘では、どうしても元彪の圧倒的と言っていいハイ・ポテンシャルなアクションにメルヴィンが付いていくのがやっとの状態なので(苦笑)、いま一つ2人のクライマックス・ファイトが盛り上がらないのが惜しいかな、と言う感じですね。
余談ですが、メルヴィンは一時期名前を出せば「ええ?」というほどの大物武打星に師事してテコンドーを修練していた時期があった人なんですが、普段は英語もベラベラ(彼が全て英語で答えているインタビュー映像を観た事があります)だし、確か弁護士の資格も持っていた(か当時勉強中)んじゃなかったかな?
あとラスロックは、この映画で武術指導を担当している孟海が彼氏だったのは有名ですが、孟海と別れた後にも、また今度は別の中国人武打星とも付き合っていましたね。

さて、この『検事~』の通常版ではラストでラスロックがメルヴィンに殺されてしまうんですが、実は以前からフィリピン公開版の『検事~』では、フィリピンでラスロックが高い人気を誇っていたために、ラスロックが死なない別編集版が存在する!と言われていました。
で、以前に海外の某レーベルからその<ラスロック生存バージョン>が収録されたDVDがリリースされていて、私もかなり前にそのDVDを購入し確認しましたが何と事実でした。いや~『皇家師姐之四・直撃証人』(89)の欧州別編集版と言い、こういう別バージョン追跡って本当に興奮しちゃいますね~!あと別編集版では元彪の生死というかラストの物語展開も微妙に違っていたと思うのですが・・この別編集版は随分前に一度観ただけなので、また機会を見てこのDVDを探して確認してみようかと思っています。
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アメリカの夢、愛の奇跡! 『ロッキー』

2007-02-16 02:08:37 | 作品レビュー
これは1人の売れない俳優兼ライターが、ある日偶然観たモハメッド・アリ対チャック・ウェプナーのプロボクシング世界ヘビータイトルマッチにインスパイアされ、たった3日間で書き上げた脚本に、自らが主演した作品です。
この映画で主人公に扮した青年俳優は、以後一躍スターダムに伸し上がり、それはアメリカ映画、いや20世紀“最大の奇跡”と呼ばれました。


(1)「イタリアの種馬」

1975年の暮れ。米国はフィラデルフィアの3流ボクサー、ロッキー・バルボア(シルベスター・スタローン!)は、素質にも恵まれ強打を誇るボクサーでしたが、その普段の生活は節制とは縁遠い上に、とてもボクサーだけでは食えずに高利貸しのガッツォ親分(ジョー・スピネル)の借金取立て係で生計を立てていました。
安アパートに帰っても話し相手はコフとリンクという2匹の亀だけ。ロッキーはそんな自分が気がついたら既に30歳を過ぎている事に寂しさと焦りを感じる日々でした。
でも身体は大きくても気の優しいロッキーは、この下町の人々に深く溶け込み、腐れ縁の友人ポーリー(バート・ヤング)と酒場で愚痴を言い合ったり、ボクシング・ジムのオーナーのミッキー(バージェス・メレディス)にジムのロッカーを取り上げられたりと冷たくされながらも、何とか毎日を彼なりに生きていました。
そんなロッキーにも気になる女性がいました。ポーリーの妹でペットショップに勤める内気な女性エイドリアン(タリア・シャイア)です。
ロッキーは用もないのに毎日のようにペットショップに寄ってはショ~もないジョークを言って何とかエイドリアンの気を引こうとしますが、中々旨くいきません。
でも感謝祭の日に、ポーリーの仲介でロッキーは何とかエイドリアンをデートに誘う事に成功します。2人は無人のスケートリンクでお互いの事を話します。「よぉ~、俺はさ、親父にお前は頭が悪いから身体を使った仕事をしろって言われたんだよ」「私は母に逆の事を言われたの。貴方は体が弱いから頭を使う仕事をしなさいって!」2人はその後も手を繋ぎながら無人のスケートリンクを滑ります。
2人だけのスケートリンクでのデートを楽しんだロッキーとエイドリアンは、その夜ロッキーのアパートで静かに結ばれます。

(2)「アメリカの夢」

そんな頃、プロボクシングの世界ヘビー級王者、アポロ・クリード(カール・ウェザース)が自ら保持するタイトルマッチの防衛戦のためにフィラデルフィアにやってきます。ところが、もう試合まで僅かの時に対戦相手のマイクリー・グリーンが負傷し、アポロは苦肉の策として「いいか、この国はチャンスの国なんだぜ?建国記念日のこの日に世界チャンピオンの俺が無名のボクサーにタイトルマッチのチャンスを与える・・!どうだ?いいアイディアだろう?」と発案し、興行側はすぐさま対戦相手の人選に入ります。
そして無数のボクサーの中からアポロ自身が選んだのが<イタリアの種馬>ことロッキーでした。でもアポロのトレーナーであるデューク(トニー・バートン)だけは「チャンプ、コイツはサウスポー(左利き)だぞ?サウスポーだけは止めたほうがいい!」とロッキーとの対戦に危機感を覚えますが、自分のアイディアにすっかり酔ったアポロは聞く耳を持ちませんでした。
そして、この日からロッキーの生活は一変します。大金のファイトマネーが約束され、テレビに出演したり、ロッキーを妬んだポーリーとエイドリアンが喧嘩になったり、とロッキーは周囲の変化に戸惑います。
そしてある晩、ロッキーのアパートにミッキーが訪ねてきます。
ミッキーは「ロッキー、ワシは今度の試合でお前のマネージャーになりたいんだ!ワシの長年の経験をお前に授けたいんだよ!」とロッキーに申し出ますが、ロッキーは「今頃何だってんだよ?俺がアンタの助けが欲しかったのは10年前だったんだぜ?それなのにアンタは何時も俺に冷たかった・・俺のロッカーまで取り上げたじゃないか!」と激しくミッキーを拒絶し罵倒します。
でも・・ロッキーに突き放され1人寂しく寒空の下を帰っていくミッキーの後ろ姿に、アパートを飛び出て走り寄るロッキーの姿がありました。2人は暫く肩を組んで歩き、最後にはガッチリと握手を交わします。そう、固い絆で結ばれた名コンビの誕生でした!

(3)「Gonna Fly Now・・!」

こうして世界タイトルマッチに向けて、ロッキーのトレーニングが始まりました。
生卵5個(!)を飲み干して、まだ早朝誰もいない無人の街をロッキーは走り出します。ところが、これまでの煙草や酒の飲み放題の不摂生が祟り、何とか美術館に辿り着いたロッキーは、その美術館の長い階段をヨロヨロと登るのが精一杯で、すっかり疲れきって家へと帰ったのでした・・。
そんな時、またもポーリーがエイドリアンとロッキーの仲に嫉妬し、兄妹は大喧嘩をしてしまい、その日を境にエイドリアンはロッキーのアパートで一緒に暮らす事になります。
ロッキーとミッキーの世界タイトルマッチへ向けたトレーニングは激しさを増し、ロッキーはジムでの厳しいトレーニングで日に日に全盛期のコンディションを取り戻し、全身に力が漲ってくるのを感じていました。
そこにオズオズとポーリーがやってきて、ロッキーがタイトルマッチで着るガウンに自分が勤める生肉会社のロゴを入れてくれるように頼んできます。気のいいロッキーは、そのポーリーの申し出を承諾します。親友同士の仲直りでした。
翌朝、ロッキーはまたも無人の街を走り出します。(ここであの「ロッキーのテーマ」が流れます!)
身体中に闘志が充満したロッキーは、世界タイトルマッチに挑む自分を応援し次々と声をかけてくれる下町の人々の声援を全身に浴びながら市場を走りぬけていきます!
市場から波止場を駆け抜けたロッキーは少しずつ走るスピードを上げ、最後には全力疾走でゴールの美術館に辿りつきます!
前回はヨロヨロで這うように登った美術館の階段を、ロッキーは踊るように飛び越え、一気に階段を登りきると澄み切った大空に両手を突き上げ何度も何度も飛び跳ねます・・!Gonna Fly Now!・・もう後は世界タイトルマッチを待つのみです!

(4)「ロッキーの誓い」

タイトルマッチ前夜。ロッキーは自分のアパートで明日に控えたアポロとの世界タイトルマッチのプレッシャーと1人闘っていました。
そんなロッキーを優しく励ますエイドリアン。ロッキーはエイドリアンに静かに語り始めます。
「俺のこれまでの人生はロクなもんじゃなかった。でもそんな俺にも最初で最後のチャンスがやってきたんだ!明日のアポロとのタイトルマッチで俺は例え頭を叩き割られようが・・マットに這い蹲ろうが・・最終ラウンドの15ラウンドが終わっても、まだ俺がそのままリングに立っていられたら・・その時こそ俺がただの負け犬じゃなかった事を証明できるんだ!」
そして、ついにアポロ・クリード対ロッキー・バルボアの世界ヘビー級タイトルマッチの日がやってきます。
控え室でポーリーが用意した赤のガウンを着たロッキーは、同じように真っ赤な帽子を被ったエイドリアンと一緒でした。ロッキーの目の前のエイドリアンは、あの以前の内気な女性ではなく、見違えるほど美しい女性になっていました。
「試合が終わっても、そのまま待っててくれよな?」「頑張って・・!」エイドリアンは控え室を出て行くロッキーをジッと見送ります。

試合場は超満員。リングサイドにはガッツオ親分、ポーリーたち友人が駆けつけ、ロッキーが常連の下町の酒場でも店内一杯に人が集まり店のTVに釘付けでした。
静かに入場したロッキーに続き、ジョージ・ワシントンを気取った派手なコスチュームでリングに姿を見せたアポロは盛んに「I want youuuu!」とロッキーを挑発します。特別ゲストのジョー・フレージャー(本人!)の登場を経て、ついに運命のゴングが鳴ります!
ロッキーはユックリとアポロの待つリング中央に歩み出ていきます・・!

(5)「死闘!」

第1ラウンド。アポロは鋭いジャブを何度もロッキーの顔面に叩き込みながら、時には笑みを浮かべて余裕の攻撃を続けます。
ところが、試合開始直後・・ロッキーの左フックがアポロの顔面を捉え、アポロが衝撃のダウンを喫します・・!騒然とする場内!全員総立ちで狂喜する下町の酒場!まさに無敵を誇ったアポロ・クリード生涯初のダウンでした・・!
何とかアポロは立ち上がりますが、アポロのトレーナーのデュークの不安が的中し、サウスポーのロッキーの変則的なスタイルに苦しむアポロは以後のラウンドでも苦戦の連続となります。誰もがただの“楽勝マッチ”と予想していた試合が“壮絶な死闘”へと変貌していきます・・!第3ラウンド、第6ラウンド、第8ラウンド、第10ラウンド・・と2人の激闘は続きます。
ロッキーもアポロの強打で鼻をヘシ折られ、ラウンドが重ねられていく内に、ロッキー、アポロ両者の顔は鮮血に塗れ醜く歪み、目はシャッターを閉じていきます。
そして第14ラウンド、会場の観客はロッキーの予想外の善戦に大興奮となり、その歓声は控え室のエイドリアンにも聞こえてきました。
エイドリアンはオズオズと控え室を出ると・・そのままリングへと通じる通路へとやってきます。
そして、そこでエイドリアンが見たのは・・アポロの強打を浴びマットに叩き着けられ、必死に立ち上がろうとしているロッキーの姿でした・・!
「もういい!ロッキー、そのまま寝てろ!寝てるんだ!」セコンドのミッキーの声にもロッキーはロープを掴み必死に立ち上がろうとしています・・!エイドリアンは思わず目を閉じますが・・再び目を開けるとリング上をジッと見つめます。
既に限界状態であるロッキーは、カウント9ギリギリで立ち上がると、唖然と自分を見つめるアポロに再びファイティング・ポーズを取ります。そしてロッキーは接近して来たアポロの脇腹に渾身のボディ・ブローを何発も叩き込みます!その瞬間第14ラウンド終了のゴングが鳴り、残すは最終第15ラウンドのみとなりました。

(6)「最終ラウンド」

アポロは苦痛に顔を歪めながらコーナーに戻ると、セコンドのデュークに呻き声を発します。「チャンプ?どうした?」「あいつ・・俺の肋骨を折りやがった・・!」「何だって?」デュークは愕然としながら苦痛に満ちた世界王者の顔を見つめます。
一方、ロッキーもコーナーに戻ると、ミッキーに「ミッキー・・目が塞がって見えない・・切ってくれ!」と頼みます。ミッキーはレフリーに判らないようにカットマンのアルにロッキーの瞼を切らせて視界を確保させます。
ロッキーは最後のラウンドに挑むために立ち上がると、ミッキーに「絶対に止めないでくれ!」と頼み、ミッキーも「ああ、判ってるさ!」と応じます。
第15ラウンド、最終ラウンド開始のゴングが鳴ります。
ユックリとリングの中央に進み出たロッキーとアポロはジッと睨み合いますが、すぐにアポロがフックでロッキーをグラつかせます。
ところがアポロはそのまま苦しげに脇腹を押さえて動きを止めます。そこをロッキーが猛攻を開始します!何度となくロッキーの左フックがアポロに決まり、場内は無敵の世界チャンピオンの大苦戦に騒然となります!激しい打ち合いの果てにロッキーが最後の力を振り絞った左フックがアポロの顔面に入った瞬間、試合終了のゴングが鳴ります!
「いいか・・リマッチ(再戦)は無しだぞ?」「ああ、俺もさ!」
アポロとロッキーが2人だけの会話を一瞬交わした後、リング上には関係者が雪崩れ込み大混乱となります!両目が塞がり疲労困憊状態のロッキーには何本ものTV用マイクが突き出されコメントを求めようとしますが、ロッキーはそれには目もくれず一心不乱に叫び出します!「エイドリアン?・・エイドリアァァァン!」
大歓声に包まれた場内でも、何故かこのロッキーの叫び声は観客席遥か後方のエイドリアンにもハッキリと聞こえていました。
「ロッキー?・・・ロッキー!」エイドリアンは人込みを掻き分けながらリング上のロッキーに向かって歩き出します・・!
リング上ではこのアポロ対ロッキーの世界タイトルマッチが判定に持ち込まれた事に騒然となり、全ての人間が判定の行方に聞く耳を立てています。特にフラフラで立っているのがやっとのアポロは祈るような表情で、判定が出るのを待っていました。
エイドリアンは擦れ違う人たちと何度もぶつかりながら懸命にリングに向かって歩き続けます。一瞬自分の被った真っ赤な帽子が落ちても気にせずエイドリアンはそのままロッキーに向かって歩き続けます・・!
「エイドリアァァァン!」ロッキーの絶叫は続きます。もう誰もロッキーを見ていませんでした。誰もがマイクを持ったリングアナウンサーの読み上げる判定の行方に注目していたからです。
「エイドリアァァァン!」それでもロッキーは叫びます。何度も!・・何度も!
そのロッキーの傍らで、アポロがアナウンスが告げた判定に小躍りして両手を突き上げています。
世界タイトルマッチの勝敗が決したその時、エイドリアンはリング下に辿りついていました。エイドリアンは自分が見上げるリングサイドで、警備の警官と掴み合いになっているポーリーに声をかけます。
「ポーリー?」その瞬間、ポーリーは後ろ手でサッとロープを掴み上げ、妹をリング内へと招き入れます!(大拍手!)
エイドリアンは無数の人々で大混乱のリング上に駆け上がると、自分を待つロッキーに向かって力いっぱい走ります・・!
ロッキーもエイドリアンの姿に気ずき人を掻き分けながら、とうとうロッキーとエイドリアンの2人はリング上で見詰め合います・・!
「帽子は・・どうした?」そう優しく問うロッキーに、エイドリアンは今まで言いたくてもどうしても言えなかった言葉をロッキーに思い切り叫びます!「あなたを愛しているわ!」
ロッキーはエイドリアンのその言葉に、ジッとエイドリアンの目を見詰め返しながら応えます。「俺も・・お前も愛してる!」
エイドリアンはそのまま血に染まり汗に塗れたロッキーに力一杯抱き着き、ロッキーも最愛の女性を力一杯抱き締めます・・!
ロッキー・バルボアは世界タイトルマッチには敗れました。でも自分自身との誓いを見事に果たし、いま世界中で一番愛する女性を抱き締めながら、ロッキーは彼の人生で最高の幸せを噛み締めていたのでした・・!

              世界ヘビー級タイトルマッチ

          ○アポロ・クリード(15R判定)ロッキー・バルボア●


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