超級龍熱

香港功夫映画と共に

炎海で2人の男が雌雄を決す・・!黎明&任賢齊主演『火龍對決』

2010-05-31 13:43:43 | 作品レビュー
『イージーライダー』(69)などで知られたハリウッド俳優のデニス・ホッパーが29日に亡くなりましたね。
私はホッパーの作品だとそんなに大きな役ではありませんでしたが、何故か『地獄の黙示録』(79)のカメラマン役が強烈な印象として残っています。改めて名バイプレーヤーであったホッパー氏のご冥福をお祈り致します。合掌。
あと最近は韓龍哲主演『帰って来たウェダリ』(74)オリジナル韓国語バージョン(高画質ワイドスクリーン!)や、劉徳華主演『未来警察』(10)のDVDを入手したりしてはいるんですが、ちょっとバタバタしていて中々ジックリと観る機会が作れません。

と言いながら、昨日は林超賢導演、黎明&任賢齊主演による最新ポリス・アクション『火龍對決』(10)を観てみました。
この『火龍對決』は1人の女性の死を発端に、レオン・ライこと黎明演じる主人公の香港警察の警部と、ニッチー・レンこと任賢齊演じる麻薬捜査官が事件解決へ向けて共同で捜査に挑んでいきながら、そこから事件は意外な方向に・・!?という展開です。
映画自体も物語が進むにつれ明らかになっていく警察内部に潜む“真犯人”や、黎明(今回は顎髭姿で逆に新鮮かつ凄みあり!)演じる悲しい過去を持つ警部の苦悩振り、レストラン内での黎明率いる捜査チームと犯人側のド迫力&リアルな銃撃戦、黎明と犯人との高所での格闘、そしてクライマックスの炎の海と化した倉庫内を舞台に黎明に追い詰められた事件の“真の黒幕”とのお互いの意地を懸けての一騎討ち!と中々観応えがありました。
特に主演の黎明は今回これまでの颯爽としたハンサム・ガイのイメージを敢えて捨て去り、顎髭を蓄え終始暗い表情、冴えないヨレヨレの服装の中年刑事という新境地の役柄に挑戦した意欲は大いに評価出来ると思います。
映画の最後の最後に何故全編に渡って主人公の黎明がこれほどまでに深く心が傷つき、また苦しみながら警部としての職務と向き合って生きているかが黎明自身の回想シーンの形で映し出されるんですが、ここは観ている側に何とも重く悲しく響いて来るシーンです。
黎明はこの『火龍對決』の警部役で、早くも香港金像奨の最優秀主演男優賞候補と噂されているそうですが、それも思わず納得の熱演振りでした。
あと個人的には任賢齊の恋人役でビビアン・スーこと徐若宣(今でも綺麗で可愛い人です♪)の出演に加えて、その父親(だと思うのですが)役で陳観泰、黎明の運命を変えてしまう事件の目撃者役で羅奔と、2人の“邵氏LEGENDS”が顔を見せているのがちょっと嬉しかったりしました。
コメント (2)

熱風!韓国LEGENDS(39) 『鷹爪鐵布衫』韓国版、劉忠良&黄正利主演『雙雄』!!

2010-05-28 13:15:37 | 熱風!韓国LEGENDS
さて、久々の「熱風!韓国LEGENDS」第39回は、呉思遠導演、“ノーザンレッグ”劉忠良、“鐵血銀狐”黄正利主演『鷹爪鐵布衫』(77)の韓国公開バージョン『雙雄』(80)でいきましょう。
ちなみに私が所有する『雙雄』のソフトは、今では韓国現地でも激レアとなっている韓国製オリジナルVHSテープで、当然全編に渡り韓国語吹き替え&韓国サイドによる別編集版(後述)になっています。
またこの韓国バージョンである『雙雄』は、一応はイ・ドゥヨンと呉思遠の聯合導演の形になっているんですが、オリジナル版である『鷹爪鐵布衫』は77年6月29日に香港で劇場公開されており、韓国バージョンである『雙雄』はそれに遅れる事3年後の80年12月20日に韓国で劇場公開されています。

で、『雙雄』の物語に関しては全編韓国語&無字幕のため完全な物語展開の把握は難しかったのですが、鷹爪功と全身を鋼の如く変化させる秘術鐵布衫の達人にして悪辣な大臣鄭重(黄正利)の命により、高官劉天和((川原)を殺害した李海生から無実の罪を着せられた主人公蕭如風(劉忠良)が、鄭重が放った追っ手(王将)や殺し屋(またも『死亡遊戯』の“丸太男”こと解元!)と闘いながらの逃亡を強いられ、その道中で蕭如風は鐵布衫の秘伝書を持つ郭新馨ら姉弟と知り合います。そして蕭如風はお互いに男の友情で結ばれた王将と共闘し無敵の鐵布衫高手である鄭重との決戦に挑む!という展開は、基本的にはオリジナル版である『鷹爪鐵布衫』とほぼ同じです。
ただこの『雙雄』ではオリジナル版の冒頭に出てくる黄正利の特訓シーンは物語の中盤に移行され、代わりにオープニングには別撮りの短い決闘シーンが登場します。さらに黄正利の娘役に扮した韓国人女優2人の出演シーン、黄正利自身が同じ鄭重役(但し本人の風貌から明らかにオリジナル版出演時以後に追加撮影した事が明白)を演じるシーン、玄吉洙演じる黄正利の師父が見守る中、黄正利が組み手で対戦相手を空中連続蹴りで撃退するシーン(このシーンは超貴重!)を兄弟弟子(高飛)が回想するシーン、玄吉洙を襲い黄正利が秘伝書を奪い取るシーン、玄吉洙がある夫婦(郭新馨らの両親の設定?)に助けられ介護されるシーンなどといった韓国バージョンである『雙雄』のために追加撮影されたシーンが各所に挿入されています。
またオリジナル版である『鷹爪鐵布衫』とは切っても切れない関係のBGMであるあの『怒りの荒野』のテーマ曲は、この『雙雄』では一切使用されず、代わりに王羽主演『怒れるドラゴン/不死身の四天王』(74)などで使用されていたBGMが劇中で使用されていました。個人的には『鷹爪鐵布衫』という作品に昔から親しんでいた私としては、この『怒りの荒野』が全く流れない韓国バージョン『雙雄』には強い違和感と寂しさを感じてしまいましたねえ。
ただそうは言っても、主人公の蕭如風を中心とした物語展開とは別に、鷹爪功と鐵布衫の達人である鄭重に扮した黄正利とその兄弟弟子に扮した高飛の長年の確執というユニークな展開は、本作のもう一つの見所である事に変わりはありません。映画の中盤で同じ白髪&髭ルックの黄正利vs高飛が鐵布衫の唯一の“弱点”を巡って激しい攻防を繰り広げるシーンは何度観ても面白いし、私はむしろこの黄正利vs高飛の対決シーンの方がラストの劉忠良&王将vs黄正利の決着戦よりも数倍お気に入りだったりします♪
因みに韓国バージョンである『雙雄』では、ラストで蕭如風に倒された父親の鄭重の死を知った娘2人が山奥の崖の上で寂しく佇む、という韓国バージョンのみでしか観られないエンディング・シーンが追加撮影されていました。
また私が所有する某海外レーベルの『鷹爪鐵布衫』のDVD(ワイドスクリーン&英語版)の収録時間は約101分でしたが、韓国バージョン『雙雄』VHSの収録時間は約90分と韓国VHSメーカーお得意のバッサリ編集カット版となっていましたね。

余談ですが、この70年代後半における香港クンフー映画の秀作の1本として知られる『鷹爪鐵布衫』ですが、未だに国内ではソフト化されていないという事実は本当に残念です。本作『鷹爪鐵布衫』は欧米を初め世界各国のファンの間で恐らくは知らない者がいない!と言っても良いほど名の知られた作品なんですが、それに関しては元女優にして本作の制作者である女性プロデューサー夏帆の功績が大きかったと言えます。
夏帆は当時この『鷹爪鐵布衫』を中国大陸で公開する事に尽力し、何と夏帆は『鷹爪鐵布衫』を中国大陸側に無償(!)で寄贈しました。そのため鬼才呉思遠導演、劉忠良&黄正利という2人の伝説的なスーパーキッカーが真っ向勝負に挑んだこの『鷹爪鐵布衫』は、中国大陸で初めて公開された香港クンフー映画の1本となったのです。今でも中国大陸の人たちの間でこの『鷹爪鐵布衫』という作品が広く知られているのはそれが理由なのでした。
改めて夏帆女史の英断と尽力に敬意を表すると共に、是非この『鷹爪鐵布衫』が何時の日か日本語字幕付きDVDで観られる時が来る事を熱望したいと思います。
コメント

余りにも常識人過ぎた心優しき“金網の鬼”ラッシャー木村さん、死去

2010-05-25 16:19:01 | ニュース
今週はキム・チョラン監督、カム・ウソン&チャン・シニョン主演の韓国サスペンス映画『無法者』(09)を観たんですが、これが中々面白かったですね。カム・ウソン演じる刑事が法で裁けない凶悪な犯罪者に妻と子供を殺され、遂に怒りを爆発させたカム・ウソンが取った最終手段とは!?って感じなんですが、女性刑事役のチャン・シニョンが相変わらず超綺麗でナイス♪なのと、最後の大ドンデン返しに思わず「ええっ!?」となりますので、ご興味のある方は現地版DVDでご覧になってみては如何でしょうか。あといまカン・ドンウォン主演の妖怪ハンター物『田禹治』(09)も観ているんですが、これも面白かったらまたレビューしようかな。

さて、またもプロレスラーの訃報です。元国際プロレスのIWA世界ヘビー級王者だったラッシャー木村さん(本名・木村政雄さん)が24日午前5時30分、都内の病院で腎不全による誤嚥性(ごえんせい)肺炎で亡くなりました。享年68歳だったそうです。最近のファンはプロレスラーとしての木村さんに関しては、試合後の「永源!・・」といったコミカルなマイク・パフォーマンスが売りのレスラーとの印象が強いと思いますし、実際その木村さんのマイクは立派な“一代芸”だったと私も思います。
ただ全盛期の、つまり国際プロレス時代の木村さんはジプシー・ジョー、キラー・トーア・カマタ、アレックス・スミルノフ相手に金網デスマッチでの数々の名勝負を残し、所謂“金網の鬼”の異名で知られたパワー&ラフを売りとした堂々たるトップ・レスラーでした。
ただ今思い返しても残念だったのは、国際プロが消滅後に新日が田園コロシアムで開催した“9.23”のリングに上がった際に木村さんが行ったマイクによる挨拶でしょう。
実はこの時、私はBFCの初代会長のNさんと共に田園コロシアムの最上段の席でこの木村さんの「こんばんわ!え~、いま我々は秩父で・・」との挨拶を生で聴いていました。(当然あの伝説の試合アンドレ対ハンセン戦も生観戦!)
この木村さんの余りにもプロレスラーらしからぬ(当日のその場が新日vs国際の団体対抗戦の皮切りという殺気漲る場である!との雰囲気を読めなかった)常識的な挨拶に、当時“過激”で知られた新日ファンが一斉に罵声と嘲笑を浴びせたため、その後の新日マット上での木村さん、アニマル浜口、寺西勇の“格と扱い”がその場で瞬時に決まってしまいました。
今から思えばあの時の木村さんの挨拶は一般常識から言えば当然すぎるほど立派な挨拶ではありましたが、ある意味“非日常の闘い”を売りとするプロレスラーとしては完全に“KY”な発言でした。
その木村さんが以後流れ流れて、日本マット界の御大にして常識人である馬場さんの全日マットで馬場さんを「兄貴!」と慕い、日々試合後マイクを片手に会場の温かい笑いを誘っていた姿は、新日参戦時代には猪木の“噛ませ犬”として「3対1マッチ」など屈辱的なポジションで使い続けられた木村さんを見て来た私にとっても、何故か「ホッ」とする風景でした。
まさに“心優しき巨人”馬場さんの全日マットは、“心優しき常識人”の木村さんにとって最後の最後に辿り着いた安住の地だったのではないでしょうか。ラッシャー木村さん、本当に長い間お疲れ様でした。どうか安らかに。合掌。
コメント (4)

THIS IS 甄子丹⑯ 改めて『葉問2/宗師傳奇』、そして『葉問3』製作の行方

2010-05-20 14:36:25 | THIS IS 甄子丹
昨日は以前に某巨大DVDレンタル店の「レンタル半額デー」に借りた『サブウェイNY』(09)って映画を観ていたんですが、何と主人公の1人でスコット・アドキンスが出ててビックリでした。それも得意のアクションは一切見せずに映画の前半で地下鉄内に潜む食人族(はあ?)に首を切られてしまい画面からアッサリ消えてしまうと言う何とも「トホホ!」な役柄振り。
スコット、頼むから仕事は良く選んでから出ようね。って映画自体も何でニューヨークの地下鉄に食人族が住んでるのかも観ている私が途中で寝てしまったのでまだ判らないんですけどね(爆笑)。それにしてもこの手のB級ホラー映画とかB級アクション映画ってマジで「半額デー」とかじゃないと、とてもじゃないけど借りる気にならないよねえ?
こうなったら当ブログでも井筒和幸監督の向こうを張るわけじゃないですが「こちトラ自腹じゃ!」ならぬ「こちトラ半額じゃ!」のタイトルで超トホホな映画を滅多滅多に語ってみようかな?

さて、先日「THIS IS 甄子丹」の特別版として前後編の形で作品レビューをお届けした我らがドニー兄貴主演『葉問2/宗師傳奇』(10)ですが、嬉しい事に現地香港や中国でも大ヒットを達成しているそうで、個人的にも大変喜ばしく思います。
勿論、この『葉問2』には他にも前回の作品レビューでは書き切れなかった素晴らしい場面も多々ありました。
例えば屋上での葉問と黄梁の初手合わせの細かい攻防、葉問と夫人の深い愛情の描写、任達華や鄭則士などベテラン俳優の存在感ある佇まい、前作からの継続出演ながら武打シーンが無かったのが本当に残念な樊少皇、古いファンには嬉しいドニー葉問と羅奔や馮克安らLEGEND武打星の対決シーン、そして現在マイク・ランバードと共にハイレベルな香港クンフー映画の動きに対応可能な数少ない欧米の武打星ダレン・シャラヴィのタイラー“ツイスター”ミロス役での出演などです。
特に今回本作の最大の悪役であるイギリス人ボクサーのミロスに扮したシャラヴィは、彼の初登場シーンからして強烈で、それもリングに向かう花道の途中で出会った洪震南(洪金寶)が礼儀正しく「你好!」と差し出した手に自分の上着をハンガー代わり(!)に引っ掛けてそのまま洪震南を完全無視し、自分はサッサとリングに向かうという大反派振りですからねえ(苦笑)。ただ何と言ってもこの『葉問2』の最大の注目点は、主人公であるドニー葉問とサモ・ハン演じる洪拳宗師の洪震南の反目と友情にある事は間違いありません。
特に序盤のドニー葉問とサモ洪震南のテーブル上での直接対決、その後2人が洪震南の国術社内で激しい口論の末に再び拳を交えるも、そこに洪震南の幼い子供が飛び込んで来たために思わず2人が闘いを止めてしまうといった様々なプロセスを経て、当初は対立していた2人の武術家が次第にお互いに親しみと敬意を持ち始めていく展開が実に重厚かつ繊細に描かれています。
そしてそのドニー葉問とサモ洪震南の熱き友情は、彼ら中国武術家たちにとって共通の外敵であるミロスの出現で、より固く強く結ばれていき、それが洪震南のミロスとの闘いの果てのリング上での壮絶な“戦死”、それを目前で観た葉問が亡き拳友のためにミロスとの決着戦へと挑む!・・とそれこそ物語は「葉問、いけ!いくんだぁぁ!!」的に(苦笑)もう天井知らずの状態で盛り上がっていくわけです。さらにそこに川井憲次の奏でる躍動感溢れる戦闘BGMが流れて、これがまたメチャに燃えるんですよぉ!
実はこの『葉問2』の最大のクライマックスであるドニー葉問がサモ洪震南の“魂の鼓動”と共にミロスに最後の闘いを挑んでいくシーンに関しては、この葉問vsミロス戦の撮影現場に参加していた谷垣健治導演から事前に「最後はこうなってから、こうなって・・こうなりますから!」とある程度の詳細を教えて貰っていたんですが、それでも実際に自分自身が映像でこの葉問vsミロス戦を観た時は、もう感動!興奮!感動の連続で、もう観終わった後は暫く放心状態だったもんなぁ!
改めて健治導演、ありがとうございました。
また前回の当ブログにおける『葉問2』のレビューを読まれた方の中には、恐らくある1本の超有名ボクシング映画を思い起こした方もいるかと思います。そうです、この『葉問2』はあのシルベスター・スタローン主演『ロッキー4/炎の友情』(85)の香港クンフー映画版と言ってもいい展開なんですねえ。勿論ロッキー・バルボアがドニー葉問、アポロ・クリードがサモ洪震南、そしてイワン・ドラゴがタイラー・ミロスといった感じになるかと思いますが、それでもこの『葉問2』には『ロッキー4』には存在しない大きな相違点&見せ場が映画の最後の最後に用意されています。
それが映画のエンディングで描かれている葉問とブルース・リーこと李小龍少年(演じるは蔣岱言君。もうリーさんに激似!!!)の初対面のシーンです。実は私は『葉問2』を観る前からこの葉問と李小龍少年の邂逅シーンが気になって気になって仕方が無かったんです(苦笑)。
で、実際に葉問の武館にもう小生意気そ~な顔して(苦笑)入って来た李小龍少年の独特の佇まいや、それを何とも嬉しそうに出迎えるドニー兄貴演じる葉問の表情を観た時は・・それこそ感激の果ての泣き笑い状態でもうひたすら涙が止まりませんでした(号泣!)。
そして私が次の瞬間に思ったのが「ああ、これは絶対にこの師弟のさらなる後日談が観たい!そう、『葉問3』が観たい!」との強い思いだったんです。
で、この『葉問3』製作に関しては、現時点では主演者であるドニー兄貴の心情は勿論ですが、色々な検討課題があるのは十分承知の上で、私、龍熱はこう強く言いたい心境です。
甄子丹主演版『葉問』系列は、その葉問と李小龍の師弟の関係を中心とした最終章にして第3作である『葉問3』を撮ってこそ初めて完結するのである!と。
ドニー兄貴が老けメイクで葉問に?いや是非それって観てみたいなぁ!周杰倫がリーさんこと李小龍役に?それも意外にピッタリかも知れない!とにかく『葉問3』を撮らずして、ドニー兄貴版『葉問』シリーズに完結はない!こう龍熱は強く思い、また願うのでありました。
コメント (4)

李連杰公認FC「たいやん」会報「太陽」50号突破記念号発行に思う

2010-05-14 14:11:25 | その他
さて、先日私の許にも李連杰公認FC「たいやん」さんが発行する会報の第50号(何とオールカラー頁!素晴らしい!)が送られて来ました。ご送付頂きましたFCスタッフのおっくさん、改めてありがとうございました。
今回は会報「太陽」が50号を迎える記念の号という事で、リンチェイFC「たいやん」発足から現在に至るまでの歩み、FCの会員さんなどからのお祝いメッセージ、リンチェイと幼い頃から親交がある東京武術太極拳クラブ理事長の孫建明さんのインタビュー(これは内容的にも大変興味深いインタビューでした)など盛り沢山の中身となっています。
今回、私も特別寄稿という形でお祝いのメッセージを書かせて頂きましたが、思えば1998年前後に「たいやん」の初代会長でらっしゃったTさんご自身が当時リンチェイが滞在していたアメリカまで行き、リンチェイ本人からFC公認を貰った時に撮影したリンチェイと「太陽」のツーショット写真を「リンチェイがFCを公認してくれました!」とのTさんの喜びのお手紙と共に頂いてから随分と長い年月が経ちました。
その間には以前に私が主宰していた同人誌「龍熱」の「臨時増刊号:リー・リンチェイ総力特集号」をTさんを初めとする全国の「たいやん」さんの会員の間で回覧して下さった事もありました。そのため最後まで徹底した僅数発行主義を貫いた「龍熱」の中で、唯一この「~リンチェイ総力特集号」だけはたった1度だけ増刷をしたのですが、今ではそれも良き思い出です。
もう一つ。これは今回初めて書く事柄ですが、現在同人誌「龍熱」の事実上の最後の号が98年4月発行の女ドラゴンを特集した「女武打星の逆襲!」なんですが、実はその前後にもう1冊「龍熱」としての「臨時増刊号」を準備中だったんです。
それが当時リンチェイのファンの方々から大好評を頂いた「リー・リンチェイ総力特集号」の第2弾「リー・リンチェイ総力特集号・続集(確かリンチェイが颯爽と表紙を飾っている原版も含めて何頁かは既に製作済みでした)」と題したリンチェイ完全特集号だったんです。それも巻頭特集はあの『精武英雄』こと『フィスト・オブ・レジェンド怒りの鉄拳』(94)の正統的続編の形を取った『精武双雄』という完全オリジナル・ノベライゼーションを企画していて、実際当時の私もこの『精武双雄』に関してはかなりの量の原稿を書き終わっていたんです。
で、いま思い出せる範囲でその『精武双雄』の物語展開をお話すると・・・

物語の冒頭は陳眞との激闘の末に倒された日本軍人藤田剛(周比利)の上海における葬儀の場面から始まります。
陳眞の恋人の山田光子(中山忍)や船越文夫(倉田保昭)など前作のキャストも葬儀に参列する中、そこに精武門の陳眞に兄の藤田剛を殺され復讐に猛り狂う藤田剛の実弟の藤田剛二(この新キャラを演じるのは何とドニー兄貴こと甄子丹!)と末弟の藤田剛三郎(当時この剛三郎役は私もどの実在武打星を配役するか未決定だったと記憶していますが、かなりの長身巨漢の武打星をイメージしていました)が姿を見せ、銃殺されたと思われていた陳眞が実は東三省に逃げ延びてまだ生きている事、そして自分が必ず兄の藤田剛の仇である陳眞を倒す!と藤田剛の墓前に誓うシーンとなります。
さらにこの藤田剛二と山田光子は光子がまだ陳眞と出会う前から許嫁(!)の間柄という設定で、陳眞×山田光子×藤田剛二という超危険なトライアングル的な展開も交えて(苦笑)、物語は序盤から中盤へと進みます。
で、異様な執念で陳眞への復讐に燃える藤田剛二が陳眞の消息を知る数少ない人物である霍延恩(銭小豪)に闘いを挑み、剛二の凄まじい荒技に延恩が絶体絶命となった時!いよいよここでこの『精武双雄』の主人公である陳眞(当然演じるは李連杰!)が登場します!
車屋に姿を変え上海に舞い戻っていた陳眞に「陳眞?ああ、やっぱり生きていたのね!」と喜び駆け寄る光子!ところがその背後からついに自分が追い求めていた兄の仇を目の前にした藤田剛二が陳眞に襲いかかります!
「お前が陳眞か・・待っていたぞ!この瞬間を!」陳眞と藤田剛二、精武門を間に因縁の糸で引き寄せられた2人の雄、つまり“精武双雄”は遂に激突の時を迎えます・・!
光子は愛する陳眞に背後から猛然と迫る自分の許嫁の藤田剛二の鬼気迫る姿に思わず「陳眞、逃げて!剛二さんは貴方を殺すつもりよ!彼は・・彼は藤田剛の弟よぉ!」と叫びます!その光子の絶叫を聞いた“帰って来た精武英雄”は自分に迫る藤田剛二に対して振り返ると、瞬時に拳を固めて身構える・・!
と確かこの辺りまで当時の私は『精武双雄』の原稿を書き上げていたんですが、その後私自身が次第に商業誌などの活動が中心となってしまい、この「リー・リンチェイ総力特集号・続集」の目玉企画だった『精武双雄』は結局未完成のままお蔵入りしてしまい、現在に至っているのでした・・・(涙)。

まだ探せば何処かにこの『精武双雄』の未完成原稿が入ったフロッピー・ディスクがあるかと思うのですが、今回「たいやん」さんの会報「太陽」50号突破記念に際して、私も以上のような事柄を懐かしく思い出した事もあり、書き連ねて見ました。
それにしても一言でリンチェイをメインとした会報を50冊製作し続ける、というのは本当に言葉では言い尽くせない愛情と労力を必要とする文字通りの偉業だと思いますし、まさに「継続こそ力なり!」との言葉の重みと意義を強く感じさせる今回の「太陽」50号突破記念号でした。
改めまして、李連杰公認FC「たいやん」さんと会報「太陽」の今後の益々のご発展をお祈り致します。本当におめでとうございます!!
コメント (10)

THIS IS 甄子丹⑮ いま中国武術の誇りに懸けて!『葉問2/宗師傳奇』 (後編)

2010-05-11 11:49:25 | THIS IS 甄子丹
タイラー・ミロスと洪震南の試合は、洪震南の試合中の“戦死”という凄惨な結末となり、香港のマスコミも一斉にミロスとイギリス政府をバッシングする報道を開始します。この事態を重く見たイギリス政府は、ミロスと関係者に記者会見を開かせ、もう一度ミロスと中国人武術家の公開試合を行う事を発表します。
記者会見でミロスは自分の前に居並ぶ大勢の香港の新聞記者たちに向かって「いいか、ミー自身の名誉を守るためにいま一度腰抜けのチャイニーズにミーに挑戦する機会を与えてやる!だがこの国にミーと対戦する勇気がある奴が1人でもいるか?まあ例え誰だろうとミーに挑戦するチャイニーズは全員地獄行きだがな!グアッハハハハ!」と吼えまくるのでした。
その時!「中国人は腰抜けではない!」凛とした中国語が記者会見場に響き渡りました。香港の新聞記者たちがその声の主に対し一斉に振り返る中、静かにミロスの前に歩み出た葉問は「ミロス先生、私、詠春葉問が貴方に挑戦します!」と毅然と言い放ちます。
無数のフラッシュが焚かれる中、残忍な意味を浮かべ椅子から立ち上がったミロスは葉問に「ユー、きっと後悔する事になるぜ!」と不気味に唸るのでした。

試合当日。葉問は身重の愛妻に見送られ、試合場へと向かいます。場内は失墜した中国人と中国武術の名誉を葉問に取り戻して欲しい!と願う香港の各武館の館主を初めとする中国人観客、そしてタイラー“ツイスター”ミロスを支持する外国人の観客の声援が真っ二つに分かれ、超満員となっていました。
先にリングに上がった葉問は反対側の花道からイギリス国旗を高々と両手で掲げながら憎々しげにリングへと歩を進めるミロスがリング内に入って来るのを確認すると、思わず自分でも抑えきれない相手への闘志の赴くままミロスの待つコーナーへと歩を進めてしまいます。「マスター・イップ?自分のコーナーに戻って!」
レフェリーの制止の声に従い黄梁たちが待つ自分のコーナーに戻る葉問に「ワッハハハ!アイツは何を今から血迷っているんだ!?」と嘲笑を浴びせるミロスと外国人の観客たち。
そして全ての中国人と中国武術を代表しこの試合に挑む葉問と、西洋拳王の名を掲げるタイラー“ツイスター”ミロスはリングの中央で再び対峙し鋭い視線を向け合います・・!

ミロス「ユーを叩き潰すにはミーのパンチ2発だけで十分だ!グッハハァ!」
葉問「・・・・」

第1ラウンド。試合は序盤から葉問の詠春拳とミロスの電撃のパンチが交差する激しい闘いとなり、葉問はミロスの強引な投げや強烈なフックでダウンを喫します。またミロスも葉問の連続の拳技、さらには変則的な体勢から繰り出される蹴り技を顔面に浴びダウン!場内は2人の壮絶な攻防に騒然となります。そして第2ラウンド終了間際、ラウンド終了のゴングが鳴った瞬間、卑劣なミロスのパンチが葉問の顔面に決まり、思わず葉問はダウンします!
「汚いぞ?ゴングが鳴ってからの攻撃だ!」とミロス側に抗議する黄梁ら弟子たちに「シャラッァァァップ!文句があるならかかって来い!カマァァァン!」と応戦するミロス!試合はまさに遺恨が遺恨を呼ぶ大荒れの様相を見せ始めます。
そして第3ラウンドの開始直前、リング中央に進み出た葉問に対してレフェリーが信じられない要求を突き付けて来ます。
「マスター・イップ、ジャッジの判断によりこのラウンドから貴方のキックの使用を禁止します。このルールに従わないならこの場で即ミスター・ミロスが勝者となります!OK?」傍らの通訳からレフェリーの要求を聞いた葉問は「蹴りを・・?」と思わず愕然とその場に立ち尽くします。これこそ葉問の蹴りにミロスが苦戦している事からイギリス側がジャッジに圧力をかけた卑劣な策略でした。
「ではこのルールでの試合続行に同意するんだね?OK、ファイト!」非情なレフェリーの声を合図に、激しい闘いで疲労困憊の果てに蹴りまでも封じられた“香港宗師”に、残忍な意味を浮かべ猛り狂った西洋拳王が迫る中、運命の第3ラウンドのゴングが鳴ります・・!


*ここまでお読みの皆様へ、以下の展開は完全にネタバレとなります。今後の鑑賞の妨げを危惧する方はどうかご留意下さい!


猛然と葉問に迫ったミロスは強烈なパンチを何発も浴びせ、思わず防戦状態となった葉問は鋭い蹴りを繰り出しミロスの猛攻を断ち切ります。それを見たレフェリーはすぐに「イップ・マン!キックは禁止と言ったはずだ!もう一度キックを使ったら即刻ユーの反則負けだぞ!?」と警告します。レフェリーの警告に愕然とする葉問に「グワッハハ!ユーもフィニッシュだなぁ!」と勝ち誇ったミロスの怒涛のラッシング・パンチが襲いかかります!
冷酷なミロスのパンチは葉問の顔面に次々と叩き込まれ、顔面を鮮血に染めた葉問は凄まじい勢いでリングに叩き着けられダウンを喫します!リングに横たわったままピクリとも動かない葉問・・!
「師父!立って下さい!」「師父!立って!師父!」リング下から懸命に自分に声をかける黄梁たちの声援と、レフェリーが数えるカウントが次第に意識の彼方に遠のこうとしたその瞬間!葉問の脳裏に己の命を懸けて中国武術の名誉を守ろうと雄々しく闘い散った洪震南の最後の言葉が甦って来ます!
「例えこの身がどうなろうと中国武術の名誉と誇りを守る!・・中国武術の名誉と誇りを守るんだ!」
「洪師父!・・」洪震南の“魂の声”によって全身に気迫を甦らせた葉問はユックリと身体を起こすと、場内の中国人の観客の大歓声を背に、反対側のコーナーで「さあ、決着つけようじゃねえかぁ!カマーン!」と吼える西洋拳王に向かって燃えるような闘志と共に再び両手を掲げ身構えるのでした・・!
そして葉問は詠春拳の構えを取る自分のそのすぐ真横で、勇猛な虎形拳の構えを取り共に身構える洪震南の“魂の鼓動”をハッキリと感じながら、猛然と自分に迫って来るタイラー・ミロスを迎え撃ちます!
葉問はミロスの繰り出すパンチをかわすと電撃の拳技や肘打ちの連打を次々とミロスに叩き込んでいきます!その葉問の猛攻はミロスの両腕に集中し、ミロスはその激痛から次第に両腕のガードが下がります!
それを見た葉問は両手でミロスの顔面を電撃のフェイントで覆い撹乱すると、亡き“拳友”洪震南得意の左右から繰り出す鉄拳突きを渾身の力を込めてミロスの胸板と胴に同時に叩き込みます!「グワワァァ!」その衝撃に思わず後退するミロス!
さらに葉問は続け様に洪震南がミロスとの闘いで打ち込もうとしながら果たせずに終わった虎鶴双形拳の構えから放つ鶴拳の連環撃をミロスの顔面に集中的に叩き込みます!
「バシュ!バシュ!バシュ!バシュシュシュ!」いま洪拳高手の“魂の拳”の力を借りた詠春高手が放つ必殺の“鶴の嘴”がミロスの顔面から首筋に次々と、そして的確に炸裂する!!!
「ウグアアアア・・!ノオオォォ!」葉問は顔面を血に染め既に戦意を失いフラフラのミロスを引き攣り倒すと、ミロスの顔面に悲しみと怒りを込めた鉄拳を叩き込みます!何度も!何度も!何度も・・!
そしてもはや戦闘不能状態のミロスの顔面に最後の鉄拳を叩き込もうと右腕を振り上げた葉問は、一瞬の間と共にその拳を解くと、ユックリとリング上に倒れていくイギリス人ボクサーを横目に、困惑しながらカウントを取り続けるレフェリーの裁定を静かに待つのでした。
「6!7!8!9!10!」この瞬間、試合場にいる全ての中国人武術家たち、ラジオで愛する夫の無事を願う愛妻、そして香港中の中国人が一斉に歓喜の大歓声を上げる中、葉問はイギリス人ボクサーのタイラー・ミロスを倒し、中国武術の名誉と誇りを取り戻したのでした!
リング上には葉問を称える観客が殺到し大混乱となりますが、葉問は傷だらけの身体を弟子の黄梁に支えられながらリングアナウンサーが自分に差し出した場内マイクに向かい、一つ一つの言葉を噛み締めるように1人語り始めます。
「皆さん・・你好。私は今日この場に中国武術や西洋ボクシングのどちらが優れているかを証明するために来たのではありません。確かに人にはそれぞれの生き方がありますが、それでも必ず人間同士、何時かは理解し合えるものだと信じます。そしてそこからお互いに対する尊敬の心が生まれる事を期待します・・!私が言いたい事は・・それだけです。多謝!」

この葉問の言葉がリングアナウンサーのマイクを通じて試合場内に流されると、中国人の観客は勿論、それまで試合中はミロスに声援を送っていた外国人の観客たちも一斉に立ち上がり、リング上に立つ“香港宗師”に畏敬の念と共に大きな拍手を送るのでした。
そして葉問が黄梁ら弟子たちとリングを静かに下りようとした時、リングサイドに殺到していた中国人の記者の1人が「葉問師父!これからどちらに?」と声をかけます。葉問はその記者に傷だらけの顔で振り返ると、僅かに口許に笑みを浮かべながらこう答えるのでした。「帰ります・・私を待っていてくれる妻と子供たちの許に!」。

数日後。葉問の許を1人の少年(蔣岱言)が訪ねて来ます。武館のドアを勢いよく開けて葉問の前に立った少年はポマードでピッタリと分けた髪型も得意げに、少年を穏やかな笑顔で出迎えた葉問に向かってこう言い放つのでした。

少年「俺さ、武術が習いたいんだ!」
葉問「ほう、で、君の名前は?」
少年「名前はね、李小龍ってんだ!」
葉問「そうか、君はどうして武術を学びたいんだね?」
少年「決まってんだろ?ケンカに勝つためさ!」
葉問「ハッハハ!なるほど。ではもう少し大きくなってから、またおいで!」
少年「・・・ふふん!(と自分の鼻をピン!と擦る)」

葉問はいま自分の目の前に立っている生意気で怖い物知らずの少年が、後に自分の弟子として世界で最も有名な人物になるとは露知らずに、ただただ穏やかな眼差しと共に少年を優しく見つめ続けるのでした・・。


さて今回、私、龍熱がこの葉偉信導演、甄子丹主演、洪金寶動作導演作品『葉問2/宗師傳奇』(10)のレビューで使用したDVDが国語版&字幕無しバージョンだった事もあり、文中の台詞の数箇所は管理人である私の意訳が入っている点をどうかご容赦下さい。
また劇中の重要な台詞などの数箇所に関しては、香港在住のEちゃんさんにご教示を頂きました。改めましてEちゃんさんに厚くお礼を申し上げます。ありがとうございました。
私自身のこの感動の傑作である『葉問2/宗師傳奇』に関する様々な思いは後日にジックリと語らせて頂きたいと思いますが、まず今回は「THIS IS 甄子丹」特別版の前後編として作品レビューをお届けしました。
最後にこの『葉問2/宗師傳奇』のレビューを全てのドニー兄貴こと甄子丹のファンの皆さん、全てのサモ・ハンこと洪金寶のファンの皆さん、そして映画の最後の最後に登場する李小龍少年ことブルース・リーことリーさんの全てのファンの皆さんに捧げます。
コメント (6)

THIS IS 甄子丹⑭ 詠春一代宗師、香港へ! 『葉問2/宗師傳奇』 (前編)

2010-05-11 11:49:13 | THIS IS 甄子丹
1950年の香港。日本軍の統治下となった広東省から香港へと逃れた来た葉問(ドニー兄貴こと 甄子丹)一家は、雑居ビルの屋上で詠春拳を教え細々と生計を立てながら暮らし始めます。
葉問の愛妻(熊黛林)のお腹には既に2人目の子供が宿っていました。やがて葉問の許には葉問に何度も勝負を挑みその武術の実力に心酔し一番弟子となった黄梁(黄暁明)や他の弟子(釈小龍)など徐々に弟子も増え始めますが、自分の弟子から授業料をどうしても強引に取り立てられない葉問一家の苦しい生活は続きます。さらに葉問はかつての自分の友人である周清泉(任達華)の余りにも変わり果てた姿を街中で目撃し強い衝撃を受けるのでした。
そんなある日、黄梁と地元の洪家拳の武館の弟子が争いを起こしてしまいます。葉問はその洪拳武館の連中に捕らえられた黄梁を救出するため単身乗り込むと、旧知の金(樊少皇)の協力もあり、葉問は無敵の詠春拳や刀を駆使して闘い、無事に黄梁を救出します。
しかしその黄梁と争いを起こした洪拳武館の館主こそ香港でも名を知られた「洪震南国術社」の館主である洪震南(洪金寶!)だったのです。堂々たる貫禄と共に葉問と対峙した洪震南は「葉問、この香港で武館を開くには掟がある。それにはお前が各武館の師父たちと勝負し、もしお前が彼らに勝てばここで武館を開く事を許可しよう!」と提案するのでした。
こうして葉問は洪震南が用意した茶屋で大勢の香港の武館主たちが見守る中、テーブル上を舞台とした決戦場で、猴拳の達人(羅奔)、八卦掌の達人(馮克安)らを次々と撃破し、いよいよ洪震南との一騎打ちに挑みます。
ここでの葉問と洪震南の激闘は、洪震南の繰り出す豪快かつ荒々しい剛拳を葉問が柔軟かつ力強い詠春拳で幾度となく受け止めそこから反撃する、という実にハイ・レベルかつ味わい深い攻防が披露され、本作『葉問2』の大きな見せ場の一つとなっています。そしてこの対決後、葉問と洪震南は洪震南とイギリス政府の関係に複雑な思いを持っていた葉問と洪震南の和解を経て、2人は次第にお互いの人格と武術の腕前を認め合い、詠春拳と洪家拳という流派を越えた熱き友情で結ばれていくのでした。
ところが当時の香港を統治していたイギリス政府は、イギリスから“ツイスター”の異名で呼ばれるボクシングの世界王者タイラー・ミロス(ダレン・シャラヴィ)を呼び寄せ、ミロスと中国人武術家の“西洋拳王vs中国武術”の試合を組もうと暗躍します。その凶悪な性格と無敵のパンチで知られるミロスは、ある試合場で洪震南の弟子たちが表演を披露しているリング上にいきなり飛び込むと、洪震南の弟子たちを傍若無人に次々と撲り倒し「グワッハハハ!これがお前たち中国人の“チャイニーズ・ボクシング”か!?まるでダンスじゃねえか!グァッハハハ!」と嘲笑し、そのミロスの挑発に激怒した中国人観客たちは一斉にリング上のミロスに怒号を浴びせ、試合場は大混乱となります・・!
そのミロスの中国武術への侮辱に激怒した洪震南や香港の武館の関係者たちはリング内に踊り込み、葉問もミロスに撲りかかり逆に打ち倒された黄梁を救うためリングに上がります。洪震南はミロスに詰め寄ると「おい!お前は中国武術を侮辱したな?いまこの場で謝罪しろ!」と激しく問い詰めます。
その洪震南に対しミロスは不遜な笑みと共に「謝罪だと?お前たちチャイニーズを片っ端からブチ倒した勝者のミーが何故敗者のお前らに謝罪するんだ?それより老いぼれ、何ならミーが貴様とこの場で勝負してやってもいいんだぜ?さあどうする!?」と凄みます。
こうして試合場が騒然とする中、ミロスの挑発に応じた洪震南とミロスの5ラウンド形式の試合が開始されます。
葉問がセコンドとしてリング下から見守る中、第1ラウンド、第2ラウンドとお互いにダウンを奪い合うなど、洪震南とミロスは一進一退の闘いを展開します。しかし既に年齢的にも決して若くはない洪震南は、ラウンドのインターバルの合間に差し出されたタオルに苦しげに血を吐き出します。それを見た葉問はリング下から洪震南に不安げに声をかけます。

葉問「洪師父、あのイギリス人の胴を攻めてはどうですか?」
洪震南「ああ、それは判ってるが、奴の両腕のガードが固くてな!ハアハア・・!」
葉問「洪師父、もう・・これだけ闘えば十分では?」
洪震南「いや!俺は絶対に中国武術の名誉と誇りを守る!ま、まだ闘うぞ!」
葉問「洪師父・・!」

葉問に見送られ再びミロスとの闘いの場に進み出た洪震南ですが、ラウンドの終盤、洪震南は最後の力を振り絞りミロスを激しく攻め立て、そのミロスの一瞬の隙を突き、鶴のように大きく両手を広げ洪家拳伝説の必殺技“虎鶴双形拳”をミロスに放とうと迫りますが、ミロスは逆に洪震南の顔面に強烈な右フックを叩き込みます・・!
「ぐうう・・あああ!」その衝撃でリング上に激しく叩き着けられ血反吐を吐く洪拳宗師・・!それを見た葉問が直ぐに手に持ったタオルをリング上に投げ入れようとしますが、その葉問の手をロープの間から弱々しく制止したのは意識朦朧とした洪震南でした・・!

葉問「洪師父・・!?」
洪震南「・・・・・」

葉問と無言でジッと視線を交わした洪震南はレフェリーのカウント10寸前にヨロヨロと立ち上がりますが、もう洪震南には自分に止めを刺そうと襲いかかって来るタイラー・ミロスの狂気の乱打攻撃に耐え得る力は既に残っていませんでした。
試合場内に悲鳴と怒号が鳴り響く中、試合ではなくまるで“公開処刑”のようなミロスの左右のラッシングパンチを数え切れないほど顔面に浴びまくった洪震南はズルズルとリングに崩れ落ちると、そのまま絶命し果てるのでした・・。
「洪師父!?」「師父!」恩師の異変を察知した洪震南の弟子たちが既に息絶えリングに大の字となっている洪震南に駆け寄る中、リング上では他のイギリス人関係者と共に「ガッハハハ!どうだ!チャイニーズども!これが最強のパンチだぜ!」」と勝ち誇るタイラー・ミロスの姿がありました。
そしてその歓喜に酔うイギリス人ボクサーの姿をリング下からジッと燃えるような視線と共に見上げる葉問の手には、洪震南が無念の思いと共に吐き出した血が染み付いた真っ白なタオルが握り締められているのでした・・! 
以下『葉問2/宗師傳奇』(後編)に続く・・!
コメント

眞英雄!眞功夫!甦れ!70年代香港クンフー映画の熱き息吹よ!『打擂台』!!

2010-05-08 12:09:49 | ニュース
先日トビー・ラッセルから「おい、この『Gallant』の予告観てみろ?メチャ観たいよなぁ!」とのメールが来まして、早速YouTubeの予告編で観たのが郭子健&鄭思傑聯合導演、元徳動作指導作品の『打擂台』(10)でした。
これがその『打擂台』の予告編のアドレスです。とにかく観てみて下さい!!→http://www.youtube.com/watch?v=wxUSH55JVVE&feature=player_embedded

いや~もう私はこの予告編を観ていて涙が出たなー!リーさんの名作『ドラゴン怒りの鉄拳』(72)を彷彿とさせる怪鳥音と旋律!古き良き70年代クンフー映画のオープニング・タイトルを模写したクレジット!全編に流れる男騒ぎするマカロ二・ウエスタン調のテーマ曲!梁小龍、陳観泰、陳恵敏、羅莽、泰迪羅賓といった70年代の“眞英雄”たちが今改めてこの時代に再び自分たちにスポットライトが当たられた喜びと興奮を、彼ら自身がこれまで決して錆付かせることなく温存し続けて来た肉体と肉体の激突という名の“眞功夫”として、惜しげもなくスクリーンの中で全力で体現しているのだ!
ああ、早くこの映画が観たい!もう『葉問2』と同じくらい観たい!それにしてもこの『打擂台』のマカロニ調のテーマは素晴らしい!だって私たち“龍熱者”にとっては、誰が何と言おうと『怒りの荒野』のテーマ曲は黄正利主演『鷹爪鐵布衫』(77)のテーマ曲だし、『奴らを高く吊るせ!』は劉忠良主演『神腿』(77)のテーマ曲って事で決まりなんですから。
こういう70年代香港クンフー映画に対する魅力と敬意を十分過ぎるぐらい“ちゃんと分かってる”スタッフたちが放つ『打擂台』、是非とも観たい作品です!!いやもうこうなったら私、龍熱も久々に吼えずにゃいられないぜ!ホオオォォォ~!アタタタタタタタァ!!!!
コメント (4)

ブルース・リーのソックリさん映画復活!?ニック・カテロ主演『Bruce the Challenge』

2010-05-04 13:40:58 | ニュース
今日は都内某所で『野蠻師姐』という韓国映画の香港版DVD(何と広東語吹き替え音声入り!)を救済しました。
皆さんはこの『野蠻師姐』って何の韓国映画の香港題名だか判りますか?実はこの『野蠻師姐』こそ全智賢ことチョン・ジヒョン主演『僕の彼女を紹介します』(04)の香港題名なんです。
この『僕の彼女を~(以下僕カノ)』に関しては以前にも当ブログでレビューしましたので覚えていらっしゃる方もいるかと思いますが、実は私はこの『僕カノ』がチョン・ジヒョンの主演作品の中で一番好きなんです。
そしてこの『僕カノ』に関しては個人的にもある思い出があるんです。あれは去年でしたか、知り合いの女性にこの『僕カノ』のストーリーを話してあげた事がありました。その時私たち2人はある場所で立ったままで、さらに私たちの周りには沢山の人が行き交っていたんですが、それでも彼女は私が一生懸命に話す『僕カノ』の粗筋を真剣に聞いてくれていました。
で、映画の後半でジヒョンが恋人のチャン・ヒョクを誤射して(しまったと思い)死なせてしまうシーンがあるでしょう?
私がそのシーンを話し始めると、それまで目の前で私の話をジッと聞いてくれていた彼女の両目が何時の間にか涙で一杯になっているんです・・。私はその自分の目の前で涙を浮かべている彼女を見た時、女性の涙とはこれほどまでに美しいのかとその場で呆然としてしまいました。それは本当に息を呑むような美しさと切なさで、私は心の中の激しい動揺を何とか抑えながら彼女に映画の粗筋を最後まで話し終えました。
そしてそんな私に彼女は「私も今度『僕カノ』を絶対観ますから!」と笑顔で約束してくれたのでした。いま思えば、私が今でもこのチョン・ジヒョン主演『僕の彼女を紹介します』が大好きな理由の一つが、私が話す映画の粗筋を涙を浮かべながら、最後まで真剣に聞いてくれたその女性との美しい思い出があるからなのかも知れません。

さて、久しく作られなくなったブルース・リーことリーさんのソックリさん映画(『阿呆遊戯/ブルース・リーを探せ!』なんてのは別として)、いわゆる「Bruceploitation」映画なんですが、どうも最近ニック・カテロと称する人間が“Docu-Dramoedy ”スタイルの新作『Bruce the Challenge/小龍挑戦』という作品を撮ったようです。
内容的には武術の達人を自称する主人公ニック(カテロ本人)が彼のエージェントがニックにブルース・リーへの独占インタビュー取材を企画するんですが、実際のニックの心中では自分とリーとの直接対決に燃えていた!・・という何ともブッ飛んだストーリーのようです(涙)。で、こちらがその『Bruce the Challenge』のオフィシャル・サイトのアドレスです↓http://www.hspfilms.com/Brucethechallenge.html
同サイトでは『Bruce~』の予告編やメイキング映像も観られるんですが、予告編を観ると有名な「ロスト・インタビュー」やバックヤード映像、あるいは某トーナメントなどのリーさん本人の映像が使用されていますが、これってちゃんと権利問題とかクリアしてるのかなぁ?
まあ私もまだ断言は出来ませんが、どうもこの『Bruce the Challenge』ってリー信者の間で今でも失笑ネタとして必ず出てくる『恐怖の鉄拳、死の香り』みたいな映画なんじゃないでしょうか?(ゾゾォォ~!)。
ハッキリ言ってこの手のB級&自己満足的ソックリさん映画を作るくらいなら、一時期のトビー・ラッセルが取り組んでいたような何宗道、呂小龍、巨龍、金泰中といったそれこそ“真正偽小龍武打星”たちへの直撃インタビューを中心とした「正宗ソックリさん武打星ドキュメンタリー」的な作品を作った方が私も含めたソックリさん信者たちもよっぽど喜ぶと思うんですけどね。
コメント (2)

“邵氏武打影后”恵英紅健在!、香港電影金像奨最佳女主角奨受賞作品『心魔』

2010-05-03 11:39:23 | 作品レビュー
さて最近は更新も絶好調(苦笑)の当ブログですが、昨日は何宇恆が導演、脚本、撮影を兼任し、ベティ・ワイこと恵英紅、徐天佑主演によるマレーシア映画『心魔』(09)を観てみました。
既に皆さんもご存知のように、先日恵英紅はこの『心魔』で、第29回香港電影金像奨の最佳女主角奨を受賞しました。
実は恵英紅は記念すべき1982年の第1回香港電影金像奨でも劉家良導演作品『長輩』(81)で同奨を受賞していますので、本格派の武打片、そして重厚な人間ドラマ、という2つのジャンルの作品で最佳女主角奨を2度も受賞するという、まさに稀に見る快挙を達成したと言っていいでしょう。

で、『心魔』のストーリーですが、恵英紅と徐天佑は夫に逃げられた母と息子の2人だけで慎ましく暮らしている親子なのですが、23歳の徐天佑が16歳の女子高生の彼女と付き合っている事が彼女の両親に知られてしまい、その両親から「未成年強姦罪で訴える!」と激しく責め立てられます。
徐天佑は彼女の両親に払う示談金を作ろうと大好きな自分のバイクを売ろうとしたり、恵英紅は知り合いの男性(元夫かも知れません)に助けて貰おうと相談した際に関係を求められ心が傷つくなど辛い日々が続きます。
まあ映画はこの後に徐天佑と彼女、そして徐天佑の男友達たちを巻き込んだ余りにも陰惨な展開が待っているのですが、私がこの『心魔』で何よりも印象に残ったのが女手一つで息子を育てながら毅然と生きていこうとする母を演じた恵英紅の昔と殆ど変わらない美しさでした。
1970年代後半の邵氏兄弟公司において、劉家良の導きによりあの“武侠影后”鄭佩佩以来の本格派の女武打星として数々の武打片群に名を残した恵英紅ですが、その恵英紅も父親が盲目だった貧しい家庭に育った事もあり、幼い時からアメリカ軍人相手に土産物を売ったり、15歳でナイトクラブで踊って生活費を稼いだりと大変な苦労をしながらここまでの人生を歩んで来た人でした。
また映画界で成功後も、彼女が40歳を過ぎた辺りから次第にオファーされる役柄が彼女の年齢が理由で限定され始めた事もあり、その事で恵英紅は悩み苦しむようになり、一時は彼女自身も自殺さえ考えたそうです。
そういう意味でも今回この『心魔』で、何宇恆導演が殆どスッピンの恵英紅をここまでピュアで聡明、そして美しく撮って見せた事による恵英紅の香港電影金像奨の最佳女主角奨受賞は、恵英紅自身にとっては勿論ですが、それこそ昔から恵英紅、いえ敢えて昔懐かしい呼び名で呼べばベティ・ワイの華麗で俊敏なクンフー・アクションに長年親しみ愛し続けて来た私たち龍熱者にとっても本当に嬉しく喜ばしい事でした。

人間にとって歳を取る、年齢を重ねる、という事は個人によって様々な受け取り方があると思います。勿論それは女性と男性ではそれぞれの年齢に対する感じ方、受け取り方も違うと思いますし、特に女性にとって年齢という意味合いはとても繊細で大切な事柄だと思います。
ただ私が今回『心魔』で自分と自分が愛する息子を襲った悲しみと試練に対してひたすら黙々と耐えながら日々を生き抜いていこうとする母親を劇中で見事に演じ切った恵英紅に、1人の女優としてのある種の成熟した“凄みと色気”を感じたのもまた事実でした。
女性で言えば例え幾つになっても美しく年齢を重ねていきたい、また男性で言えばカッコ良く、あるいは渋く年齢を重ねていくという事は口で言うほど簡単な事ではありません。何故なら人間ほどその人のそれまで生きて来た人生や生き様自体がその人の表情や言動に色濃く出る生き物は他に存在しないからです。
私は今でも以前に友人のトビー・ラッセルと私が大好きな映画『ロッキー・ザ・ファイナル』(06)を観終わった後に、お互いに映画の感想を交換し合った時の言葉を思い出します。その時私と年齢が一歳違いのトビー監督と私がほぼ同時に口にした言葉こそ「Hey getting older is not a bad thing!(なあ、歳を取るってのもそんなに悪いもんじゃないぜ?)」でした。
もしかしたら、今回『心魔』に主演を決意した恵英紅もその私とトビー監督が感じた思いに近い感情、あるいはそれまで彼女が悩み苦しんで来た様々な思いを恵英紅自身が強い気持ちで乗り越える事が出来たからこその本作『心魔』の名演だったのではないでしょうか。
“邵氏武打影后”恵英紅、改めて香港電影金像奨最佳女主角奨の受賞おめでとうございます!壇上で金像奨のトロフィーを手にし喜びに満ち溢れた貴方の心の中では、きっと貴方があの『瘋猴』(79)、『武館』(81)、『掌門人』(83)など文字通り黄金時代の邵氏武打片に主演した当時のまさに光り輝くような思い出が駆け巡っていた事でしょう。
コメント (2)