超級龍熱

香港功夫映画と共に

正義の空手王者vs凶悪スーパーフット!チャック・ノリス主演『フォース・オブ・ワン』

2011-03-27 12:46:13 | 作品レビュー
ちょっとここ数日間はバタバタしていまして中々ブログの更新が出来ませんでしたが、実は来月からスカパーなどでお馴染みの某映画チャンネルによる香港クンフー&アクション映画をメインとした特設サイトがスタートとなります。私もそのサイトには連載の形でこれから定期的にコラム原稿を書いていくのですが、また同特設サイトが正式にスタートしましたら当ブログでも告知したいと思っていますので、お楽しみに!

さて、別に今月の当ブログが「チャック・ノリス特集」を歌っているわけじゃないんですが、先日の『野獣捜査線』に続いて、またもチャック・ノリス主演作品でポール・アーロン監督『フォース・オブ・ワン』(79)を観てみました。だって家族と一緒に映画を観るのに「じゃあ今夜は劉忠良の『龍之根在中国』(82)か、李大根の韓国動作片『五六島の大蛇』(78)にしようか?」なんてわけにいかないでしょう?(苦笑)。そこはやっぱりB級ながら大抵はストーリー性もシッカリしていて、ビシッとした空手アクションが観られるチャック作品ならOK!となるわけです。
映画はカルフォルニアを舞台に麻薬密売組織の暗躍を捜査する刑事たちが正体不明の空手使いに次々と首の骨を折られ惨殺されるという事件が発生し、警察側の要請により元空手世界王者のマット・ローガン(我らがチャック・ノリス!若い!)が捜査に参加する、という展開です。作品的にはチャックがプロ空手ファイターを彷彿させるパンタロン姿でリング上で闘ったり、その時のレフリーがパット・ジョンソン(!)だったり、相棒の女刑事が『思い出の夏』のジェニファー・オニールだったり、リングアナウンサーが『死亡遊戯』のスティックことメル・ノバックだったり・・とそれなりに見所があったんですが、龍熱的には何と言っても本作の最大のチェック・ポイントは主人公ローガンのリング上の好敵手にして麻薬組織の凶悪な殺し屋スパークスをあのビル“スーパーフット”ワラスが堂々の貫禄で出演している事でしょうね。
劇中でもワラスはパーティー会場で顔を合わせたチャックとジェニファー嬢に「ローガン、俺のキックは無敵だぜ!ほ~ら見ろ!?」なんて行き成りチャックの顔面スレスレに得意の“ケンケン上段蹴り”のポーズを決めて、それを目前で見たジェニファー嬢から「まあ、この人って下品ね!」なんて思い切り駄目ダシされたりして、私を大いに喜ばせてくれたりするわけです♪
で、最後はマット・ローガンとスパークスがリング上での激闘の果てに、リング下に無数の刑事が待機している事で刑事連続殺人犯である自分の正体が露見した事を悟ったスパークスが何とローガンとの試合を放棄してリングから飛び降り、そのまま会場から車で逃走!
それを上半身裸&試合コスチュームのまま(苦笑)郊外まで追走したローガンが、改めてスパークスとの激しい蹴り合いの末に見事凶悪な空手使いを倒して、映画は無事フィナーレとなります。
でも改めてこの『フォース・オブ・ワン』という作品はチャック・ノリスとビル・ワラスという“アメリカ格闘技界のLEGENDS”である2人が、それもお互いの全盛期に銀幕上での一騎打ちを実現させていたという点だけでも、もっと再評価されてしかるべき作品でしょう。
また香港クンフー映画ファンにとってビル・ワラスと言うと、すぐに成龍ことジャッキー・チェンとワラスが対決した『プロテクター』(85)や、巴比金とワラスが真っ向から蹴り合う異色ウェスタン『満州の復讐者』(83)などが思い浮かぶかと思いますが、遙か以前に国内でもVHSが発売されていたこの『フォース・オブ・ワン』も機会があったら是非チェックして頂きたいと思います。
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1人の少女を命懸けで守る男の物語・・!ウォン・ビン主演『アジョシ』

2011-03-21 14:20:11 | 作品レビュー
さて、昨日はDVDを入手していながら中々ジックリと観る時間が無かった韓国映画でイ・ジョンボム監督、ウォン・ビン主演『アジョシ』(10)を観ました。
ウォン・ビンと言うと、近作の『母なる証明』が全く楽しめなかった私としては、今回ウォン・ビンが本格的な格闘アクションに挑んだ事で話題となっているこの『アジョシ』はかなり期待していたのですが・・・結果から言えば素晴らしい傑作に仕上がっています!
ウォン・ビン演じる主人公のチャ・テシクはビルの一部屋で質屋を運営していながら世間に背を向け影のように生きている男。でもそんなテシクの質屋に毎日やって来ては何時も「アジョシ~?(韓国語でおじさん)」と笑顔で話しかけて来る少女ソミ(キム・セロン。名演!)。
過去に余りにも悲しい事故で愛妻とそのお腹の子を失っていたテシクは、その日から人生に絶望し、頑なに自分の世界に引き篭もり今日まで生きて来たが、純粋で無垢なソミにだけでは次第に心を開いていき・・・やがてソミはテシクのたった1人の友人となるのだった。
しかし!そのソミが凶悪な麻薬犯罪組織に拉致された時!自分の唯一の友を取り戻すためにテシクは彼自身が長い間封印していた“格闘マシーン”としての本能を覚醒させると、たった1人で麻薬犯罪組織に闘いを挑んでいく!
そう、チャ・テシクの隠されたその素顔こそあらゆる格闘術をマスターした元特殊部隊隊員だったのである・・!テシクはソミを取り戻すために、自分の命さえも投げ打って鮮血飛び散る阿修羅の世界に飛び込んでいく・・!
ウォン・ビンは今回この『アジョシ』でビルの窓から地上に向かって飛び落ちたり、高所からゴルフ場のネットに大落下したりと、数々の壮絶アクションを披露しているのですが、特に犯罪組織の送り込んだナイフ使いの殺し屋との2度に渡る決闘シーンは実に見事な完成度を誇っています。この決闘シーンではウォン・ビンと殺し屋が激しい交手からお互いが鋭利なナイフを手に身体を密着させたまま、まるで獣のように唸り声を発しながら幾度となく斬り刻み合うという、異様かつ息詰まるアクションが展開されるんですが、この決死のナイフ・バトルはまさに「真性武打星ウォン・ビン誕生!」と叫びたくなる事必至のシーンです。
そして傷ついた自分の心を唯一癒してくれた少女を救うために、それこそ全身がボロボロになるまで闘ったテシクを待っていた運命とは!?映画の最後の最後に待っている観る者の心を打ち震わすような大感動のラスト・シーン!全てのウォン・ビンのファン、そして全てのアクション映画ファンに是非観て頂きたい、龍熱の本年度ベスト1ムービーです!・・って言っていたら、何とぉ!既にこの『アジョシ』は東映さんの配給で今秋日本公開予定との事です!(大拍手!)
いやはや、これは私もこの『アジョシ』が大スクリーン&日本語字幕付きで観られる日が今から超楽しみです!!

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“闘神”ブルース・リーと闘った男、チャック・ノリス主演『野獣捜査線』

2011-03-19 11:39:27 | 作品レビュー
毎日のようにテレビなどで報道される地震で被災された方々の様子や原発事故のニュースに、ここ数日間はどうしても通常通りにブログを更新する気が起きませんでした。ただ計画停電などで疲れが溜まっている家族と一緒に観られる映画をと思い、自分の部屋でゴソゴソとやってアッサリと出てきたのがアンドリュー・ディビス監督、チャック・ノリス主演のポリス・アクション『野獣捜査線』(85)でした。
これって典型的な80年代のB級アクション映画で、そこそこ楽しんで観る事が出来ました。
まあ映画的には腐敗した警官同士の裁判や悪漢のヘンリー・シルバ相手に我らがチャック刑事が得意の鉄拳や後ろ廻し蹴りで大暴れする(だけ)の映画なんですが、やっぱりこの頃のチャック・ノリスは「俺は安っぽく笑ったりはしないぜ!」的な徹底した“クール・ガイ”振りがカッコイイねー!
あと劇中で警察側が開発中の犯罪者撃退マシーンみたいなのが出て来て、クライマックスではチャックがその撃退マシーンを駆使してシルバ一味をやっつけるシーンが中々痛快でした。
考えて見れば、この80年代はアクション俳優としてのチャック・ノリスにとっては事実上の全盛期だったわけで、この『野獣捜査線』の中でも十数人の荒くれ者相手にチャックがたった1人で裏拳や連続蹴りで応戦するリアルかつ迫真の乱闘シーンは、私たちリー信者から見ても「さすがは『ドラゴンへの道』でリーさんと一騎打ちをした男、チャック・ノリスだ!」と頷かせるだけの迫力が十分に感じられましたね。
それは逆に言えば、当時も今もアメリカ空手界における伝説の格闘家であるチャックに対して、映画の中で敢えて“負け役”を承諾させるだけの友人としての信頼感と、格闘家としての高い実力を持ち合わせていたブルース・リーという人間の偉大さの証明でもあったわけです。関係ないんですが、今回『野獣捜査線』と一緒に『サイド・キックス』っていうVHSも出て来たんですが、これってどうしてもストーリーが思い出せないんですが・・・折角だからこれも今度観てみましょうか。
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今回の地震で被災された方々に心からお見舞い申し上げます

2011-03-15 11:10:03 | その他
まだ余震が続いていますが、皆さんはご無事でしょうか。
私もテレビなどの報道で各地の津波の被害の大きさを知り、
改めて地震や津波の怖さ、恐ろしさを思い知らされました。
どうか皆さんも余震などにはくれぐれも気を付けて下さい。
最後に今回の地震で被災された各地の方々に心からお見舞い申
し上げます。


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少林寺炎上!・・されど少林寺、不可辱!劉徳華主演『新少林寺』

2011-03-09 15:08:15 | 作品レビュー
さてさて、以前から観たいと思っていた陳木勝導演、劉徳華主演によるオールスター少林寺映画『新少林寺』(11)を観ました!まずは本作鑑賞直後の感想ですが、ドラマ性に重点を置いた少林寺系列の秀作に仕上がっていました。また肝心の武打シーンも元奎&元徳らの渾身の動作指導により実にシッカリとした、そして説得力溢れるクンフー・アクションが随所で展開されていきます。
まあ本作を観る際には、多くの人があの李連杰のデビュー作品である『少林寺』(82)の続編との印象を持つと思いますが、時代的には李連杰版よりも後の民国初期が舞台となっていて、主人公にして軍閥の保安司令官である候杰(劉徳華)とその弟分の曹蛮(謝霆鋒)の因縁の闘いを中心に描かれています。
勿論、劇中では劉徳華や謝霆鋒も見事なクンフー・アクションを披露しているんですが、龍熱的には干海演じる方丈に仕える少林武僧に扮した呉京と釈行宇(敢えて旧名表記)こそ本作の影の主役だと断言したいんですねー!
特に少林寺の大師兄を凛々しくも颯爽と演じる呉京の姿は、私でさえも「あの少年然とした呉京がこれほど重々しい佇まいを持った武打星に成長したとは!」と文字通り万感迫るほどの名演(特にその壮絶なまでの最後は圧巻!)で、まさに呉京迷の方は必見でしょう。
他にも相変わらず美味しい所を持っていく(苦笑)ジャッキーこと成龍の飄々とした端役振り、曹蛮の用心棒で切れ味鋭い連続蹴りを見せる熊欣欣、そして劉徳華の愛妻役に范冰冰と、まさに豪華なキャストが勢揃いしています。
クライマックスでは少林寺が砲撃を受け炎上する中、大雄寶殿での候杰vs曹蛮の決着戦、そしてマニア号泣の熊欣欣vs釈行宇戦が交互に映し出されるのですが、ここでは熊欣欣の猛攻に思わず血反吐を吐き膝を着く釈行宇に、熊欣欣は高笑いと共に「ケッ!それが少林寺か!?」と罵声を浴びせます。それを聞いた釈行宇は「少林・・少林寺、不可辱!」と叫ぶと自ら熊欣欣との“相討ち”の果ての最後を選ぶのでした。
そして方丈をはじめ、少林寺の僧たちが次々と銃弾に倒れていく中・・お互いに激しく闘いながらも、最後まで弟を庇い続けた候杰の余りにも崇高かつ感動的な最後には、私を含めた多くの観客が思わず銀幕の中の候杰に向かって静かに“両手を合わせる”事必至の名場面が用意されています。
この『新少林寺』を観終わって、私は導演の陳木勝が本作を撮る際に李連杰版『少林寺』よりも、むしろ張徹導演が台湾の長弓公司で撮った同じくオールスター少林寺映画である『少林寺』(76)を胸中にイメージして撮ったのでは?との思いを強くしました。
また確かにこの『新少林寺』に立派に成長した小虎役として李連杰が出演していたら、恐らくは今回呉京が演じた大師兄のキャラクターを李連杰が演じていたであろうし、それ自体は私も含めた多くのリンチェイ迷も心から喜んだと思います。
ただそれでも私は今回の『新少林寺』における呉京、そして釈行宇が見せた新鮮で強烈な存在感こそが、この新時代の少林寺系列映画に相応しいベスト・キャラだと言い切りたい心境です。そう、ここに新たに“少林寺系列映画”の秀作が誕生した事を大いに喜びたい気持ちと同時に、是非何らかの形での本作の日本公開を熱望したいですね。

最後になりましたが、今回この『新少林寺』の映像を快くご提供下さった家有喜事さんに厚くお礼申し上げます。
ありがとうございました。
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最強キョンシーvs女吸血鬼ハンター!羅守耀導演最新作『キョンシー新戰士』

2011-03-03 11:57:24 | 作品レビュー
さて、先月から続いていたバタバタした毎日もようやく落ち着き始めた事もあり、昨日は羅守耀導演、そして“大島由加里二世”こと蔣璐霞主演『殭屍新戰士』(10)を観てみました。タイトル題名を『キョンシー新戰士』としたのは“殭屍”の文字が文字化けしてしまうためですので、ご了承くださいね。
まあ映画自体は早い話(って実際かなり高速サーチ全開で鑑賞♪)が蔣璐霞扮する女キョンシー・ハンターと元華扮する最強キョンシーの死闘を描いているんですが、とにかく蔣璐霞の豪快かつスピーディーなクンフー・アクションが素晴らしい!特に彼女の左の後ろ廻し蹴りの速さは本当に圧巻!まさにこれこそ電光石火の廻し蹴りだ!!
他にも元華vs熊欣欣、元華vs銭小豪(老けたなぁ)といったマニア泣かせの対決も観れるのが嬉しいんですが、やっぱりこの映画の最大の見せ場はラストの蔣璐霞vs元華のド迫力の一騎打ちでしょう。
ここではあの『霊幻道士』で伝説の最強キョンシーに扮して故林正英らと激闘を見せた元華に蔣璐霞が真っ向から勝負を挑んでいくんですが、2人のワイヤーワークを加味した荒々しくも華麗なクンフー・ファイトは十分に及第点を進呈出来る完成度だと断言したいですね。
それにしても今では貴重な“中国女武打星”である蔣璐霞の今後の活躍が本当に楽しみですし、将来的には日本から武田梨奈、タイからジージャ・ウィサミタナン、そして中国から蔣璐霞と、それこそアジアが生んだ3人の本格派女武打星が勢揃いしての“夢の女ドラゴン競演クンフー・映画”なんて是非観てみたいなー!!
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