超級龍熱

香港功夫映画と共に

愛娘失踪に隠された驚愕の真実!ベン・アフレック主演『ドミノ』10月公開!

2023-08-29 21:52:44 | 作品レビュー

さて、昨日はロバート・ロドリゲス監督、ベン・アフレック主演『ドミノ』(23)を試写で観て来ました。

刑事ダニー・ローク(ベン・アフレック)は愛する娘のミニーを一瞬の油断から誘拐され今だに行方不明のまま、の生活に悲しみ疲れ切っていた。そんなロークの許に銀行強盗計画のタレコミが入る。

銀行に部下たちと張り込んだロークは、そこで異様な雰囲気を持つ男デルレーン(ウィリアム・フィクナー)と出会う。しかしデルレーンは自分が話しかけ、また触れた人間を次々と服從させるという驚愕の行動を繰り返しロークの目の前で現場から逃走する。そしてロークの手許には銀行の貸し金庫に保管されていた愛娘ミニーの写真が残った。

あのデルレーンは何者なんだ?あの男は絶対にミニーの行方を知っている!捜査を開始したロークはやがて女占い師ダイアナ(アリシー・ブラガ)に辿り着く。ダイアナは“人の心を操る能力”を持った女性だった。そこでロークがダイアナから聞かされたデルレーンの正体は想像を絶する真実だった。ロークはダイアナと協力し、愛する娘を救い出すため、邪悪な集団を率いるデルレーンとの対決を決意する!

映画の前半の主人公ロークが失踪した娘を救い出すために謎の組織に立ち向かう展開はスリル満点で面白いし、そこからの“HYPNOTIC(本作の原題)”な世界との闘いもテンポ良く楽しめました。ただ後半からの展開はロドリゲス監督ちょっと捻り過ぎかなと感じました。登場人物の関係が複雑かつ強引過ぎて、それが逆にクライマックスに至る緊張感を損なってしまった印象でした。

それでも“人の心を操る能力”同士の闘いは、私たちの世代は横山光輝先生の漫画『バビル2世』のバビル少年☓悪漢ヨミの闘いを彷彿させてくれましたね(^^)。

この『ドミノ』は10月27日からロードショー公開との事です。


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「最後的死亡遊戯」② “フィリピンの魔杖師”☓怪力丸太男!

2023-08-28 21:14:13 | 闘神伝説~李小龍

撮影から51年経って遂に一般公開された『死亡遊戯』は3階“虎殿”のダン・イノサント☓田俊&解元戦。
殆どのファンがそれまでスチール写真のみでしか観れなかった解元が丸太を手にイノサントと闘う様子が動く映像で観れた事に感激するのは無理ないでしょう。
今回の『最後的死亡遊戯』第2回では、そこからさらに踏み込んでこの五重塔内で繰り広げられる3人のウェポンファイト自体を検証したいと思います。
李小龍演じる主人公がまだ下階で蟷螂拳の達人(ターキー木村)と闘っている間に3階に上がった田俊と解元を待っていたのがフィリピノエスクリマの名手イノサントでした。
イノサントは2本のカリスティックを「カンカカカンカン!カンカン!」と繰り返し打ち鳴らし、五重塔の侵入者2人に対して「自分は今からお前たちと闘う!」と宣戦布告します。
それに対して丸太を手に戸惑う解元と、後ろから解元に向かって身勝手に攻撃を指示する田俊。
改めてこの五重塔の番人☓五重塔の挑戦者たちのスリリングな邂逅シーンがロバート・クローズ監督作品『ブルース・リー死亡遊戯』(78)で主人公ビリー・ローが挑むクライマックスファイトの冒頭部分として観れなかった事が残念でなりません。
ここからのイノサントが突進して来る解元の丸太をカリで叩き落とし、お互い素手による乱打戦から最後はイノサントの顔面蹴りで解元が失神するまでのファイトは素晴らしい完成度です。
李小龍監督はこのダン・イノサント☓解元の闘いで、観客にイノサントが何の武術のエキスパートか理解させ、イノサントがエスクリマだけでなくケンポーカラテの名手である事を明らかとする事で、この“フィリピンの魔杖師”がトータルバランスに優れた格闘家である事を私たちに強く印象付ける事に成功しています。
また解元を倒したイノサントが後ろに控える田俊にユックリと振り返り、悠然と両手を揺らし挑発する様も実にインパクトあるパフォーマンスです。
さらに田俊が腰に差した棍棒を取り出すと、それを見たイノサントが口元を歪ませ闘志を漲らせながら、背後の椅子からカリを取り猛然とそれを旋回させ田俊を挑発するシーンも「何でクローズ監督はこんなカッコイイ姿のイノサントを78版『死亡遊戯』でカットしたのか!」と憤然とした気持ちにさえなります。
一説には78版『死亡遊戯』製作の際に、この李小龍監督による五重塔内ファイトの(田俊&解元出演シーン込み)撮影済みフィルムを観たクローズ監督がかなり辛辣な評価をしていたとの情報もあり、結果的に約45分の五重塔内ファイトが約11分のレッドペッパータワーのファイトとなった背景には、クローズ監督の存在とその監督自身の思い切った判断が大きなウェートを占めていたのかも知れません。
この直後、ターキー木村を倒した李小龍が3階に駆け上がって来るお馴染みのシーンとなりますが、この李小龍、いやビリー・ローが階段を駆け上がって来る前に、もしイノサント☓田俊&解元のウェポンファイトが插入されていたら、私たちの『ブルース・リー死亡遊戯』のクライマックスファイトに対する印象は全く異なっていたかと思うと、改めて残念な気持ちです。
諸事情により切り離されたイノサント☓解元の丸太戦とビリー・ロー☓パスカルのヌンチャク戦が再び1つのファイトシーンとして繋ぎ合わさるまで45年という長い年月が必要だった。
その悲しくも切ない事実こそが永遠の未完成作品『死亡遊戯』を最も象徴する出来事なのかも知れません。Let's the Death Game Begin!!

今回も画像提供のTさんに感謝。ありがとうございました😊。

Long time missing log fight scene from Game of Death.


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「最後的死亡遊戯」① 未公開映像で見る“虎殿”に集った3人の格闘家!!

2023-08-24 11:58:55 | 闘神伝説~李小龍

さあ始まりました!『The Final Game of Death 』検証企画『最後的死亡遊戯』です。

李小龍監督が撮影した『死亡遊戯』は五重塔内のファイトシーンで、最も下層階のフロアである3階は“虎殿”におけるダン・イノサント☓田俊&解元の闘い。
李小龍監督が残した設定ノートには、彼ら3人それぞれのキャラクターがある程度は書き残されているようです。そして今回撮影から51年目で遂に一般公開され、改めてテイク順に繋いだファイトシーンを見ると、新たに彼ら3人の細かいキャラが垣間見えて興味深いですね。
まず田俊は狡猾かつ用心深い格闘家で、必ず同行者の解元を先に塔の番人と闘わせてその実力を知ろうとする狡猾な人物。
丸太を抱えた解元はやや単細胞で力任せに丸太を振り回すも、すぐ不安になり田俊の顔色を伺う。
ここで五重塔に入る前からの田俊と解元の微妙な力関係が分かります。
そしてエスクリマの達人ダン・イノサントは自分のカリスティックの技術と“死の舞い”と称される素手の闘いに絶対の自信を持つ格闘家です。
ただこれまで私たちがパスカルことイノサントに対して持っていたCoolな格闘家とのイメージが、今回『The Final Game of Death 』で田俊が腰から棍棒を取り出し挑んで来るのを見たイノサントが口元を歪ませて怒りの表情と共に猛然とカリスティックを旋回させ臨戦態勢に入る、というこれまで知られていなかった闘志漲るエスクリマの達人の姿を観れた事により、新たにイノサントに対するイメージが良い意味で覆された事に改めて興奮を禁じ得ません。『最後的死亡遊戯』まだまだ続きます。Let's the Deah Game Begin!!

*Tさん、画像提供ありがとうございました😊。

Unseen Game of Death scene from The Final Game of Death.


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20歳の龍熱編集による『李小龍〜決戦五重塔』とは何か!?

2023-08-22 13:45:18 | 闘神伝説~李小龍

『李小龍〜決戦五重塔』&『李小龍〜真・死亡塔』と書かれた2枚のDVD-R。
先週、私の部屋の奥の棚から出て来て、約10年振りに手に取ったこのDVD、元はBetaのテープでした。
今から約40年前に当時20歳だった龍熱青年がまだ稼働していたBetaのビデオデッキでVHSからBetaのテープにダビングしたもので、それを後年に私の知り合いがBetaからDVDに変換ダビングしてくれたのがこれらのDVD-Rなわけです。
実はこの『李小龍〜決戦五重塔』、20歳の龍熱青年がVHSデッキを2台並べて当時入手可能だった『死亡遊戯』関連の映像ソフトである『ブルース・リー死亡遊戯』(78)、『〜死亡遊戯』欧米公開版、『ブルース・リーの神話』(84)を駆使して、もし李小龍監督原案による五重塔ファイトを自分で編集したらどうなるか?をテーマに私が自分で各フロアのテイクを編集し、自分で本物李小龍の怪鳥音をダビングし、自分で打撃音などの効果音を入れた、言わば世界にたった1つのオリジナル編集版と言っていい『死亡遊戯』五重塔ファイト映像『龍熱的死亡遊戯』なのです!!
78版『死亡遊戯』の本物李小龍のアクションシーンは約11分でした。しかし『龍熱的死亡遊戯』の五重塔ファイトは何と約20分あります。
いま見直してみると画質も悪いし音声も聴き難いですが、製作から40年間に渡り、我ながらよくぞ今日まで紛失や破棄を免れ保管して来たと感嘆しています。
この『龍熱的死亡遊戯』の編集経験があったからこそ、1994年に発刊された私の記念すべきデビュー本「ブルース・リーと101匹ドラゴン大行進!」で最も反響が高かったデスゲーム検証企画「闇の中に誰も知らない『死亡遊戯』を見た!」で、私が『死亡遊戯』の未公開フィルムに関してあのような的確な考察が可能だったわけです。
つまり、この約20分の『龍熱的死亡遊戯』こそ、私こと香港功夫映画評論家知野二郎のライフワークである“『死亡遊戯』探しの旅”の原点中の原点なのです。
さらにこの『李小龍〜決戦五重塔』DVDには冒頭の『龍熱的死亡遊戯』の後にも、当時の龍熱青年がこの時入手可能だった様々な『死亡遊戯』関連映像や五重塔ファイトにあらゆる編集&怪鳥音変更などの冒険的かつ強引な試行錯誤を繰り返した無数のバージョンも収録されていました。
さて、この“『死亡遊戯』探しの旅人”である知野二郎の原点的映像『龍熱的死亡遊戯』ですが、今年も11月に開催予定の「龍熱トークライブ2023 」での本邦初の上映を考えております。
世界にたった1つの知野二郎編集による『龍熱的死亡遊戯』、その本邦初、そして恐らくは最後の上映、どうぞお楽しみに!!

My self edited Game of Death pagoda footages DVD which I made them almost 40years ago  are found from my room.


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遂に発見されたDVD-R!『龍熱的死亡遊戯』とは何か!?

2023-08-20 12:54:12 | 闘神伝説~李小龍

先週自宅の部屋の奥の棚からそれこそ10年以上再生していないDVD-Rが出て来ました。
このDVD-Rは元はBetaのテープに収録されていた映像を永久保存を目的にDVD-R化したものでした。
ではそのDVD-Rのディスクに収録されている映像とは何だったのか?
そう、その映像こそ李小龍信者のバイブルにして私のデビュー本「ブルース・リーと101匹ドラゴン大行進!」で最も読者を熱狂させたデスゲーム検証企画「闇の中に誰も知らない『死亡遊戯』を見た!」のベースとなった、言わば世界にたった1つの“『龍熱的死亡遊戯』”なのである!!近日発表予定の詳細を待て!!

Found amazing and very much personal Game of Death footages in old DVD-R from my room last week!!


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清義、お願い、私を弁護して!永瀬廉&杉咲花主演『法廷遊戯』11月公開!

2023-08-18 21:50:12 | 作品レビュー

さて、昨日は深川栄洋監督、永瀬廉、杉咲花、北村匠海主演『法廷遊戯』(23)を試写で観て来ました。

法曹を目指す若者が集う名門・法都大学のロースクールに通う久我清義(永瀬廉)は司法試験合格を目標に猛勉強の毎日を送っていた。ある日、清義が過去に児童養護施設で犯した殺人未遂を暴露するビラが巻かれる。しかしそれは清義が同じ養護施設で育ち、今も同じロースクールに通う女性美鈴(杉咲花)を守るためだったのだ。

司法試験に合格し弁護士となった清義に以前ロースクール内で密かに行われていた裁判ゲーム“無辜ゲーム”への招待状が届く。そしてその“無辜ゲーム”の主宰者こそ清義の親友結城馨(北村匠海)だった。しかし指定された“無辜ゲーム”の開催場所にやって来た清義が見た光景はその場で息絶えている馨と、傍らで呆然と立ち尽くす美鈴の姿だった!全身に返り血を浴びた美鈴は立ち尽くす清義に向かって叫ぶ・・!

美鈴「清義!・・お願い・・私を弁護して!」

再び美鈴を守る事を決意した清義は美鈴の弁護人を引き受け、無罪を主張しながら一切の尋問に黙秘する美鈴からSDカードを渡される。そしてそのSDカードには清義が現場に到着する前の美鈴と馨の映像が録画されていた!騒然とする法廷!しかしこれは青年弁護士清義にとって過酷で、悲しく、そして究極の裁判、いや“無辜ゲーム”の始まりでもあった。次々と明らかになる清義、美鈴、馨を繋ぐ驚愕の真実!3人だけが知る、3人だけが苦しみ続ける忌まわしくも悲しい過去とは!?いまその全てが明らかになる時が来た!

1人は弁護士となり、1人は被告人となり、そして1人は命を失ったロースクールの若者たち。訪れた判決宣告の日。清義は弁護士としての正義か、人としての愛か、その余りにも崇高にして残酷な決断を迫られるのだった・・!

主人公久我清義を演じた永瀬廉の私の印象は、まず俳優として実に良い声をしている、でした。この『法廷遊戯』は当然ながら裁判、つまり法廷のシーンが多く、そこで弁護士である清義が熱弁を振るう場面が多々あるわけです。その際にまるで絹を滑らすような永瀬廉の美声はとても耳障りが良く、それが緊張感漲る法廷シーンをさらに盛り立てていました。映画の中盤からの法廷シーンは真実と虚構が二転三転しながら次々と明らかになり、我々観客がそれについていくのが精一杯なほど十分に見応えがあります。

まだ情報解禁前のキャストもあり、他のキャスト陣にここで触れられないのが申し訳ないです。それでも永瀬廉君の女性ファンの皆さんに1つだけお話すると、映画本編が終わっても絶対にすぐ席を立たない事。そのまま静かに席に座っていましょう♫。

この『法廷遊戯』は11月10日ロードショー公開との事ですので是非!


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なぜ“起きろ!”ポーズは78版『死亡遊戯』でカットされたのか?

2023-08-15 11:03:31 | 闘神伝説~李小龍

この『死亡遊戯』は“虎殿”で、李小龍扮するビリー・ローが蹴り飛ばし倒れたパスカルに向かって「起きろ!」と手招きするカットは、何故か78版『死亡遊戯』本編では使用されませんでした。
リーさんの背後に田俊も解元も映り込んでいないのにです。そして私たちはこの素晴らしい未使用テイクが存在する事を78版『死亡遊戯』香港バージョンのオープニングを挿入したTV特番「木曜スペシャル/いま甦るブルースリーの世界」を見て初めて知ります。
それから長い年月が過ぎ、今度は『A Warriors Journey』(00)を見て、この「起きろ!」は合計2テイク撮られていた事を新たに知るわけです。
ただそれでも、私たちは何故78版『死亡遊戯』でこのテイクが本編で使用されなかったのか、その真実は依然として知り得ないままなのでした。

その辺りの考察も含め、我が「超級龍熱」では『The Final Game of Death 』徹底検証プロジェクト「最後的死亡遊戯」を予定しています。どうぞお楽しみに!

Cool nunchaku shot which only could seen in Game of Death HongKong and Taiwan virsion.


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改めてHongKong Legends『死亡遊戯』スペシャルプラチナエディション

2023-08-11 13:01:52 | 闘神伝説~李小龍

今回のArrowVideo製作『The Final Game of Death 』が世に出るまで海外の『死亡遊戯』関連ソフト最強盤だったのがこのHongKong Legendsがリリースした『死亡遊戯』DVD2枚組スペシャルプラチナエディションでした。
このプラチナエディション発売時は、ベイ・ローガンが約96分の『死亡遊戯』ラフカットから新たに五重塔ファイトを約40分に編集した映像特典が収録されると噂されましたが、実際の映像特典はアートポートの『BRUCE LEE in GOD/死亡的遊戯』(00)のクライマックスファイトでした😚。
ただ今回、そのアートポート製作『GOD』の約40分の五重塔ファイトでもなく、ジョンリトル監督『A Warriors Journey』(00)の約35分の五重塔ファイトでもない、文字通り“第3のデスゲーム”、それも幻の丸太戦を収録した完全なる最後の『The Final Game of Death』が遂に我々の前に姿を見せたわけです。

HongKong Legends Game of Death Special Platinum Edition DVD two disc sets.


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『The Final Game of Death 』観賞!

2023-08-10 11:58:43 | 闘神伝説~李小龍

ArrowVideo製作『The Final Game of Death 』観ました。223分の前半は110分ある『死亡遊戯』のラフカットを大量に挿入し、5階のカリーム・アブドゥル・ジャバールが守る“未知の恐怖”、3階のダン・イノサントが守る“虎殿”、4階の池漢載が守る“龍殿”の撮影順に男性ナレーションと共に検証しています。但しラフカットは全テイクを公開しているわけではないです。

さらに新界野外ロケ映像も黄仁植、ダン・イノサント、池漢載のデモアクション映像として登場しますし、『燃えよドラゴン』(73)の武器博物館セットを使用した『死亡遊戯』のリハーサル映像も登場(武器博物館は未公開映像は無し)。

で、注目の『The Final Game of Death 』ですが、李小龍監督の原案ストーリーを導入部分でドラマ仕立てで再現(画像参照)していて、韓国人ボスに家族(苗可秀)を誘拐された主人公(李小龍)が五重塔に関する情報を韓国人ボスに8mmを見ながら説明を受けるシーンから、『ドラゴンへの道』(72)のテーマに乗って如何にも70年代の嘉禾影業作品をイメージしたタイトルバックが登場します。

ここから五重塔内で田俊&解元がダン・イノサントと闘う丸太戦から、池漢載戦、ジャバール戦までは今回新たに編集した40分のファイトシーンとなりますが、李小龍演じる主人公の英語の台詞を吹き替えてる声優がやたら老けた声だったり、李小龍☓イノサントのヌンチャク戦の効果音が、あるシーンは鎖状のヌンチャクを旋回させる金属音だったり、あるシーンはクリス・ケント版のヌンチャク効果音だったりとかなり雑な効果音編集になっているのが残念でした。同じく怪鳥音の入れ方も雑でした。

もう一つ気になった点が五重塔内のファイトシーンに流れるBGMです。今回製作サイドが70年代クンフー映画のテイストを再現しようと、同年代の嘉禾作品のクンフー映画から突きや蹴りの効果音を流用挿入しているのは評価出来ます。ただ李小龍と五重塔の番人たちの闘いのバックに同じ嘉禾作品『迎春閣之風波』(73)のBGMをそのまま流したのはかなり違和感があったし軽率でしょう。この手のミスは分かる人間にはすぐに分かると思います。

それら留意点を含めた池漢載戦、ジャバール戦は『BRUCE LEE in GOD/死亡的遊戯』や『A  Warriors Journey』(共に00年)とは別テイクを使用しているのが目に付くくらいで全体的に卒なくまとめている印象です。

私がこの『The Final Game of Death』にもし点数をつけるとしたら75点になります。ただジョン・リトル作品『A Warriors Journey』ではMissing Dialog扱いだった李小龍がバオを手にイノサントに語りかけるシーンの台詞が今回の『The Final Game of Death 』では、別テイクながら李小龍の口と台詞がピタリ!と合っていたのは感心しました。

また改めてジックリと検証するつもりですが『The Final Game of Death 』観賞速報でした。


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俺たちが愛した思い出の君よ・・!綾野剛&柄本佑主演『花腐し』11月公開!

2023-08-09 12:47:44 | 作品レビュー

さて、昨日は荒井晴彦監督、綾野剛&柄本佑主演『花腐し』(23)を試写で観て来ました。日本映画はまだまだ死んではいない!と感じさせる作品でした。

斜陽のピンク映画界で映画監督として生きる栩谷(綾野剛)は、恋人で女優の祥子(さとうほなみ)が同じ映画監督の男性桑山と心中自殺した事を知る。なぜ祥子が桑山と心中したのか?なぜなんだ?混乱と悲しみのまま、祥子の実家を弔問に訪れた栩谷を祥子の両親は荒々しく追い返す。

祥子と暮らしたアパートの家賃を滞納していた栩谷はアパートの大家(マキタスポーツ)から取り壊したいアパートに1人居座っている男性を説得してくれたら滞納した家賃分+経費を払うと言われ渋々承諾する。栩谷が訪れたアパートで部屋から姿を見せた怪しげな男性伊関(柄本佑)は、最初こそ栩谷と掴み合いになるも、すぐに打ち解け、栩谷を自分の部屋に誘う。かつては脚本家を目指していたと明かす伊関に不思議な親近感を覚えた栩谷は自分の恋人が心中した事。それも自分と同じ映画監督の男性と一緒に、と伊関に打ち明ける。それを聞いた伊関も自分が初めて付き合った女性について語り始めるのだった。

ここまでが映画の導入部分で、ここから綾野剛演じる栩谷と、柄本佑演じる伊関の2人がかつて自分が愛した女性との様々な思い出を語り続けます。そしてやがて2人はお互いが愛した女性の驚くべき、そして余りにも切ない偶然に辿り着くのでした。

デジタル化という時代の荒波に押し流されようとしているピンク映画の世界で映画を撮りたくても撮れない自分に対する焦りと悲しみ。それを傍らで見守る祥子に対して素直になれない自分への苛立ちにもがく栩谷を綾野剛はストイックなまでに抑えた、されどピュアな佇まいで見事に演じ切っています。

その栩谷と酒を酌み交わしながら一見飄々と生きる伊関もまた脚本家としての成功という厚い壁にぶち当たり苦しむ自分の怒りと挫折感を愛する女性に向けてしまった過去に苦しみ続けている。その伊関の秘めた心の葛藤を柄本佑は巧みな台詞回しと共に実に味わい深く演じています。

そしてある意味この『花腐し』の狂言回しにして影の主役である祥子を可憐に演じたさとうほなみ。実に存在感溢れる女優で、この映画はさとうほなみ演じる祥子無くして成立しないと言っても過言ではないでしょう。

ただ日活ロマンポルノ出身の荒井監督作品なだけに、劇中では激しいセックスシーンが多々出て来ます。特に映画の後半部分のそれは映画を観ていた私も「この映画はちょっと・・」と思い始めたくらい、それは執拗です。でも私は改めて荒井監督に教えられました。映画は最後のエンドクレジットが終わるまで観て初めて1本の映画を観終わり、その映画を語る事が出来るのだと。この『花腐し』がまさにそれでした。

普段口下手で無愛想な栩谷がどれほど祥子を深く愛していたか?そして祥子が本当に愛した男性は誰だったのか?どうか皆さんもくれぐれもエンディングロールが終わり「監督:荒井晴彦」のクレジットが出る、その瞬間まで席を立たずに映画を観て頂きたいと思います。

この『花腐し』は11月10日からテアトル新宿ほか全国ロードショー公開との事ですので是非!


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