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人工透析A(脱血)とV(返血)の間違え

2024-06-07 22:12:06 | 医学・病気
人工透析A(脱血)とV(返血)の間違え。

昨日と今日、久しぶりに仕事が入って人工透析のクリニックに行った。

昨日のことである。
通院の血液透析の患者は月・水・金か火・木・土のどちらかで週3回の透析を行っているのだが。
ある患者が前回、火曜日の透析の時、A(脱血)とV(返血)を透析ナースが間違えてダイアライザーにつないでしまって、それに気づいたのが透析終了後だった。
ということを聞かされた。
A(脱血)もV(返血)も共に静脈から採るのだが、そして一回の透析で前回からの体重の増えの分の量を4時間の透析で除水するのだが。
たとえばDW(ドライウェイト=その患者の目標体重)が60kgで、今回、来院した透析前の体重が62kgだったら、2l(2kg)除水するのだが。
A(脱血)の方は静脈といっても、血液がたくさん流れている静脈にするために、手術で橈骨皮静脈に橈骨動脈をつなげて、血液量が増えた橈骨皮静脈から血を採って、ダイアライザーにつなげるのである。
V(返血)の方はダイアライザーで除水した血を返すだけだから、どの静脈でもいいのである。
その患者は前回、透析ナースがA(脱血)とV(返血)を間違えてダイアライザーにつないでしまったのである。
こういうケアレスミスがある事は初めて知った。
僕はA(脱血)とV(返血)を間違えてダイアライザーにつないで透析したら、きっと透析の機械のアラーム音が鳴るものだと思っていた。
しかしアラーム音は鳴らなかったらしい。
そして透析ナースは1時間ごとに、血液流量、静脈圧、透析液圧、積算除水量、抗凝固薬、温度、HDF捕液量、穿刺部状態、脱血状態、緑ランプ、をチェックして経過表に記載しているから、その時、気づくものとばかり思っていた。(←これは確実)。
しかし、その患者は透析終了までA(脱血)とV(返血)が逆になっていて、透析終了時に透析ナースが気づいた、とのことだった。
要するに効率の悪い、というか、不十分な透析をしたことになる。
A(脱血)とV(返血)をダイアライザーにつなげる時には、こういう間違えをしないように、二人の人でダブルチェックしているらしい。
ダブルチェックしていても気づかなかった、という事もあるようだ。
これは、ここのクリニックだけの問題ではなく、通院の血液透析をしているクリニック全てで起こり得ることである。
日本で透析している患者は35万人で、腹膜透析している人もいないわけではないが、腹膜透析している人は1%もいない。
99%以上は通院の血液透析である。

別に誰を責めるわけでもないが、私も責任上、回診の時に謝ったが、こういうこともある、ということは初めて知った。

その患者は週3回じゃなく週2回でもいい、と言っていたので、回診が終わった時に、ネットで調べてみたが、週2回透析というのは出てこない。
「日本透析医学会のガイドラインによっても、最低限守るべき人工透析の時間として、週3回・4時間以上が推奨されています。」
と書かれている。

今、「週2回透析」で検索すると

と出てきて週2回透析している人もいるようだ。しかし、その数は極めて少なく99%以上は週3回透析だろう。



む。疑問が起こった。

というのは。

人工透析の患者から透析する時、血液を持続的に抜くわけだが、その血液量は200ml/分位なのである。

なので、アラームは鳴らなくても、透析を開始して、最初の1時間後に経過表に血液量を記載する時、シャントを作ってない単なる静脈からでは、とても200ml/分の血液など採れるわけがない。

これはどういうことか?

さらに再考。

そういえば透析ナースが「再循環が・・・・」と言っていた。

透析では「A側(脱血)」と「V側(返血)」があります。 基本的にはA側が末梢側で、V側が中枢側であることが多いです。 これらが反対になると、透析後の不要物を除去した血液が再度透析に回ってしまい、非効率な透析になってしまいます。

これを逆にしてしまうと。

つまりAを中枢、Vを末梢にしてしまうと再循環が起こってしまうので、200ml/分の血液量は採れるのである。

しかし。

(再循環とは、何らかの原因により透析されて綺麗になった血液の一部が逆流し、血液ポンプにより吸い出され透析されてしまう現象です。)

ということだろう。

再循環について

さらに考察

A(脱血)を右手、V(返血)を左手にすれば再循環は起こり得ない。

これをしない理由は何なのだろう?

ネットで調べも出てこない。

患者の負担を少なくするためだろうか?

透析の患者は全員、A(脱血)とV(返血)を片方の手だけでしている。

透析百科

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